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教会きょうかい旋法せんぽう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

教会きょうかい旋法せんぽう(きょうかいせんぽう、英語えいご:gregorian mode)は、グレゴリオ聖歌せいか分類ぶんるいもちいられる旋法せんぽうである。

教会きょうかい旋法せんぽう体系たいけいは、主要しゅようなグレゴリオ聖歌せいか作曲さっきょくよりものちに、ビザンティンオクトエコス基盤きばんとして成立せいりつしたものである。したがって、実際じっさいのグレゴリオ聖歌せいか教会きょうかい旋法せんぽう理論りろん全面ぜんめんてき合致がっちするものではなく、聖歌せいかなかには教会きょうかい旋法せんぽうでは分類ぶんるい困難こんなんなものもある。

8〜9世紀せいきごろ以来いらいすくなくとも16世紀せいきごろまで西洋せいよう音楽おんがく理論りろん基礎きそであったが、機能きのう和声わせい発達はったつによって長調ちょうちょう短調たんちょう組織そしきってわられた。しかし19世紀せいきまつ以降いこうあらたな音楽おんがく可能かのうせい追求ついきゅうなか教会きょうかい旋法せんぽうがしばしばもちいられている。

教会きょうかい旋法せんぽう一覧いちらん

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正格せいかく旋法せんぽう

  • だいいち旋法せんぽうドリア旋法せんぽう終止しゅうしおんレ、朗唱ろうしょうおんラ)
  • だいさん旋法せんぽうフリギア旋法せんぽう終止しゅうしおんミ、朗唱ろうしょうおんド)
  • だい旋法せんぽう:リディア旋法せんぽう終止しゅうしおんファ、朗唱ろうしょうおんド)
  • だいなな旋法せんぽうミクソリディア旋法せんぽう終止しゅうしおんソ、朗唱ろうしょうおんレ)

変格へんかく旋法せんぽう

  • だい旋法せんぽうヒポドリア旋法せんぽう終止しゅうしおんレ、朗唱ろうしょうおんファ)
  • だいよん旋法せんぽう:ヒポフリギア旋法せんぽう終止しゅうしおんミ、朗唱ろうしょうおんソ)
  • だいろく旋法せんぽう:ヒポリディア旋法せんぽう終止しゅうしおんファ、朗唱ろうしょうおんラ)
  • だいはち旋法せんぽう:ヒポミクソリディア旋法せんぽう終止しゅうしおんソ、朗唱ろうしょうおんド)
8つの教会きょうかい旋法せんぽうf終止しゅうしおんしめす(Curtis, 1998)。

のち追加ついかされた正格せいかく旋法せんぽう

のち追加ついかされた変格へんかく旋法せんぽう

理論りろんてきには存在そんざいするが、実際じっさいには使つかわれなかった旋法せんぽう

教会きょうかい旋法せんぽうはまず終止しゅうしおん(finalis)によって4つに分類ぶんるいされる。そのそれぞれは音域おんいき(ambitus)によって、終止しゅうしおんからたかがる正格せいかく(authenticus)と、音域おんいきを4げて終止しゅうしおんからあまりがらない変格へんかく(plagalis)の2つにけられる。

変格へんかく旋法せんぽうには接頭せっとう「ヒポ」がく。たとえば、ドリア旋法せんぽうはレ(ニおん)を終止しゅうしおんとする正格せいかく旋法せんぽうであり、ヒポドリア旋法せんぽうはその変格へんかく旋法せんぽうである。

正格せいかく旋法せんぽうでは朗唱ろうしょうおん終止しゅうしおんの5じょう変格へんかく旋法せんぽうでは朗唱ろうしょうおん終止しゅうしおんの3じょうだが、いずれの場合ばあいも、終止しゅうしおんの5・3じょうがシになる場合ばあいは、朗唱ろうしょうおんはシではなくドとなる。これは、教会きょうかい旋法せんぽうではシをける習慣しゅうかんがあったためである。

はじめはオクトエコスの組織そしきにラ、シ、ド(イ、ロ、ハおん)を終止しゅうしおんとする旋法せんぽうかったため、教会きょうかい旋法せんぽうにもそのような旋法せんぽうかったが、のちに、エオリア旋法せんぽう、ロクリア旋法せんぽう、イオニア旋法せんぽうとして追加ついかされた。

エオリア旋法せんぽうとイオニア旋法せんぽうはそれぞれ変質へんしつし、現在げんざい使つかわれる短音階たんおんかい長音階ちょうおんかいにつながることになった旋法せんぽうである。ただし、エオリア旋法せんぽう・イオニア旋法せんぽう短音階たんおんかい長音階ちょうおんかいとはかんがかたことなり、両者りょうしゃおなじのものではない。

ロクリア旋法せんぽうは、終止しゅうしおんが(教会きょうかい旋法せんぽうではけられる)シであること、また、終止しゅうしおん朗唱ろうしょうおんとの音程おんていげんであることにより、実際じっさい作品さくひんもちいられたれいはない。その変格へんかくであるヒポロクリア旋法せんぽう同様どうようである。実際じっさいには使つかわれなかったことから、ロクリア旋法せんぽうとヒポロクリア旋法せんぽうには番号ばんごうはない。

かく旋法せんぽう名称めいしょうには、古代こだいギリシアの旋法せんぽうおなじものを使用しようしているが、両者りょうしゃはまったく別物べつものである。教会きょうかい音楽おんがくではギリシアめい一般いっぱん使用しようされず、おも番号ばんごうもちいるが、現代げんだい音楽おんがく理論りろん教科書きょうかしょではギリシアめいおももちいられている[1]

現代げんだいにおける教会きょうかい旋法せんぽう利用りよう

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ジャズにおいて、1960年代ねんだいごろから、教会きょうかい旋法せんぽう利用りようされるようになってきた。だいいちは、あるコードにおけるアベイラブル・ノート・スケールとしての利用りようほうである。だいは、モード(旋法せんぽう)を調しらべとしてとらえ、そのうえでフレージングをおこなったり和声わせい構成こうせいしたりする利用りようほうである。だい利用りようほうでは、かく旋法せんぽう主音しゅおん特性とくせいおんとが重視じゅうしされる。

以下いか教会きょうかい旋法せんぽうもちいられている。

  • ドリアン Dorian
  • フリジアン Phrygian
  • リディアン Lydian
  • ミクソリディアン Mixolydian
  • エオリアン Aeolian
  • ロクリアン Locrian

現代げんだいにおいて教会きょうかい旋法せんぽうもちいられるのは、従来じゅうらい狭義きょうぎ調しらべせい、つまり長調ちょうちょう短調たんちょうとによる音楽おんがくからの脱却だっきゃく目的もくてきとしている。このため、アイオニアン Ionian はあまりにも従来じゅうらい調しらべせいである長調ちょうちょうかんじさせるので、もちいられない。

名称めいしょう ♯や♭がかない表記ひょうき 調ちょうにおける表記ひょうき
アイオニアン
ドリアン
フリジアン
リディアン
ミクソリディアン
エオリアン
ロクリアン

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 『グラウト/パリスカ しん 西洋せいよう音楽おんがくうえ〉』 音楽之友社おんがくのともしゃ、86ぺーじ

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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