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有毛ありげ細胞さいぼう白血病はっけつびょう

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有毛ありげ細胞さいぼう白血病はっけつびょう
概要がいよう
診療しんりょう 血液けつえきがく and 腫瘍しゅようがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 C91.4
ICD-9-CM 202.4
ICD-O M9940/3
DiseasesDB 5589
MedlinePlus 000592
eMedicine med/937
MeSH D007943

有毛ありげ細胞さいぼう白血病はっけつびょう(ゆうもうさいぼうはっけつびょう、えい: Hairy cell leukemia)とは、B細胞さいぼう由来ゆらい白血病はっけつびょうで、周囲しゅういもうさま突起とっきしろ細胞さいぼう特徴とくちょうとする疾患しっかんである[1]

症状しょうじょう[編集へんしゅう]

全身ぜんしん倦怠けんたいかん発熱はつねつ食欲しょくよく不振ふしん脾腫(80~90%)、きもしゅだい(30~40%)、皮下ひか出血しゅっけつてんじょう出血しゅっけつみと[1]慢性まんせい経過けいかし、ひろし血球けっきゅう減少げんしょうていし、骨髄こつづい骨髄こつづい穿刺せんしをしても穿刺せんしえきけない状態じょうたい (dry tap)[2] となる[3]

疫学えきがく[編集へんしゅう]

欧米おうべいでは比較的ひかくてき発症はっしょう頻度ひんどたかく、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくではぜん白血病はっけつびょう患者かんじゃの2%から3%をめるとわれているが、日本にっぽんふくむアジアやアフリカでは発症はっしょう頻度ひんどひくく、地域ちいき報告ほうこくされている。男女だんじょは4から5 : 1と男性だんせい発症はっしょう頻度ひんどたかい。診断しんだん平均へいきん年齢ねんれいは50さいから55さいである[4]

検査けんさ[編集へんしゅう]

骨髄こつづいではびまんせいのhairy cellの浸潤しんじゅん特徴とくちょうてき蜂巣はちすさま組織そしきぞう繊維せんいられる[1]

末梢まっしょうまたは骨髄こつづい塗抹とまつ標本ひょうほん作成さくせいして、細長ほそなが細胞さいぼう突起とっきゆうする腫瘍しゅよう細胞さいぼう同定どうていすることにより診断しんだんする。さんホスファターゼ染色せんしょくつよ陽性ようせいとなる。フローサイトメトリーなどにより表面ひょうめん抗原こうげん同定どうていすることで、補助ほじょ診断しんだんすることができる。典型てんけいてき有毛ありげ細胞さいぼう白血病はっけつびょうでは、CD19, CD20, CD22, CD11c, CD25, CD103が陽性ようせいとなるが、variantではCD25やCD103が陰性いんせいとなる場合ばあいがある[5]

なお、脾辺えんたいリンパ腫りんぱしゅ splenic marginal zone lymphoma(SMZL) の一部いちぶでは、類似るいじする細胞さいぼう突起とっきともな腫瘍しゅよう細胞さいぼう存在そんざいするため、注意深ちゅういぶか鑑別かんべつする必要ひつようがある。SMZLとの鑑別かんべつには、CD5, CD10の発現はつげん有無うむや、SMZLは骨髄こつづい浸潤しんじゅんしにくいこと、脾臓ひぞうへの浸潤しんじゅん有無うむ参考さんこうとなる。

すべての症例しょうれいBRAF V600E変異へんい陽性ようせいとなると報告ほうこくされている[6]。しかし、悪性あくせい黒色こくしょくしゅ甲状腺こうじょうせんがん卵巣らんそうがん大腸だいちょうがんなど癌腫がんしゅでも同様どうよう変異へんい報告ほうこくされていることから、特異とくいひくいことに留意りゅういする[7]

治療ちりょう[編集へんしゅう]

症状しょうじょう進行しんこうしない場合ばあい経過けいか観察かんさつする場合ばあいもあるが、脾腫や血球けっきゅう減少げんしょう、B症状しょうじょうともな場合ばあい化学かがく療法りょうほうおこなう。以前いぜんはインターフェロンαあるふぁもちいられていたが、現在げんざいはより効果こうかたかいプリンアナログをもちいる。日本にっぽんでは、クラドリビン (ロイスタチン)が保険ほけん適応てきおうゆうする [8]有毛ありげ細胞さいぼう白血病はっけつびょうはB細胞さいぼう由来ゆらいのためこうCD20抗体こうたいであるリツキシマブの併用へいよう考慮こうりょする。

初発しょはつ有毛ありげ細胞さいぼう白血病はっけつびょう患者かんじゃたいするプリンアナログの治療ちりょう効果こうかは、完全かんぜん寛解かんかいが80-90%と報告ほうこくされている[9]

VRAF V600E変異へんいゆうするため、VRAF阻害そがいやくであるベムラフェニブ有効ゆうこうせい期待きたいされているが、2020ねん現在げんざいはベムラフェニブの適応てきおう疾患しっかんにはふくまれていない[10]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c イヤーノート 2015: 内科ないか外科げかへん  G-75 メディック・メディア ISBN 978-4896325102
  2. ^ 血液けつえき造血ぞうけつ病気びょうき血液けつえき疾患しっかんにおける末梢まっしょう骨髄こつづい検査けんさ”. とくしゅうかい. 2023ねん1がつ9にち閲覧えつらん
  3. ^ 病気びょうきがみえるVol.5 P129 メディックメディアしゃ発行はっこう ISBN 978-4896322538
  4. ^ 谷脇たにわき雅史まさしら『造血ぞうけつ腫瘍しゅようアトラス〈だい5はん形態けいたい免疫めんえき染色せんしょくたいから分子ぶんし細胞さいぼう治療ちりょうへ』日本にっぽん医事いじ新報しんぽうしゃ、2016ねんISBN 4784940820 
  5. ^ Matutes, E (2001). “The natural history and clinico-pathological features of the variant form of hairy cell leukemia”. Leukemia 15: 184-6. 
  6. ^ Enrico Tiacci (2011). “BRAF Mutations in Hairy-Cell Leukemia”. N Engl J Med 364: 2305-2315. 
  7. ^ Helen Davies (2002). “Mutations of the BRAF gene in human cancer”. Nature 417: 949-54. 
  8. ^ ロイスタチンちゅう 8mg 添付てんぷ文書ぶんしょ
  9. ^ Andrey J, Saven A (2001 May). “Therapeutic advances in the treatment of hairy cell leukemia”. Leuk Res 25: 361-8. 
  10. ^ ゼルボラフじょう240mg 添付てんぷ文書ぶんしょ

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]