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決定けっていせい有限ゆうげんオートマトン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

決定けっていせい有限ゆうげんオートマトン(けっていせいゆうげんオートマトン、えい: Deterministic Finite Automaton)または決定けっていせい有限ゆうげん状態じょうたい機械きかい(けっていせいゆうげんじょうたいきかい、えい: Deterministic Finite State Machine)は、状態じょうたい入力にゅうりょくによってつぎ遷移せんいすべき状態じょうたい一意いちいさだまる有限ゆうげんオートマトンである。DFA略記りゃっきされる。

DFAは入力にゅうりょく文字もじれつける。かく入力にゅうりょく文字もじについて、遷移せんい関数かんすうにしたがってあらたな状態じょうたい遷移せんいする。最後さいご入力にゅうりょく文字もじけたとき、受理じゅり状態じょうたいであれば入力にゅうりょく文字もじれつ受理じゅりされた、そうでなければ入力にゅうりょく文字もじれつ拒否きょひされたと判断はんだんされる。

決定けっていせい有限ゆうげんオートマトンは、決定けっていせい有限ゆうげんオートマトンとおなじように正規せいき集合しゅうごう認識にんしきでき、かなら決定けっていせいオートマトンに変換へんかんできる[1]

形式けいしきてき定義ていぎ

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DFA とは5くみ A = (Q, Σしぐま, δでるた, q0, F) のうち以下いか性質せいしつ右側みぎがわ)をたすものをいう。それぞれの要素ようそ以下いか左側ひだりがわ)のようにばれる[2]

  • 状態じょうたい集合しゅうごう (Q : 有限ゆうげん集合しゅうごう)
  • 文字もじ集合しゅうごう (Σしぐま : 有限ゆうげん集合しゅうごう)
  • 遷移せんい関数かんすう (δでるた : Q × ΣしぐまQ)
  • 開始かいし状態じょうたい (q0Q)
  • 受理じゅり状態じょうたい集合しゅうごう (FQ)

いま a = a0a1 ... an−1 という文字もじ集合しゅうごう Σしぐまふくまれる文字もじから構成こうせいされる文字もじれつあたえられたとする。かく i = 0, …, n−1 について帰納的きのうてき

qi+1 := δでるた(qi, ai)

とおく。 qnFつとき、 A文字もじれつ a受理じゅりするう。状態じょうたいれつ qi文字もじれつ aあたえられたとき、遷移せんい関数かんすう δでるた にしたがってこのマシンが状態じょうたい遷移せんいかえすことをしめしている。言語げんごなかでこのマシンが受容じゅようする文字もじれつ集合しゅうごうが、このDFAの理解りかいする言語げんごである。

以下いかは DFA である Aれいであり、入力にゅうりょく文字もじとしては 0 と 1 をけて、0の個数こすう偶数ぐうすうである入力にゅうりょく文字もじれつのみを受理じゅりする。

A = (Q, Σしぐま, δでるた, q0, F) であるとき

遷移せんい関数かんすう δでるた状態じょうたい遷移せんいひょう
0 1
q0 q1 q0
q1 q0 q1

A状態じょうたい遷移せんい以下いかとおりである。

A の状態遷移図
A状態じょうたい遷移せんい

状態じょうたい q0 にあるとき、それまでの入力にゅうりょく文字もじれつ偶数ぐうすうの 0 がふくまれていたことを意味いみし、状態じょうたい q1 にあるときはすうであることを意味いみする。1 が入力にゅうりょくされたとき、このオートマトンの状態じょうたい変化へんかしない。入力にゅうりょく終了しゅうりょうしたときの状態じょうたいれば、入力にゅうりょく文字もじれつ偶数ぐうすうの 0 がふくまれていたかかがわかる。

A言語げんご以下いか正規せいき表現ひょうげん記述きじゅつされる正規せいき言語げんごである。

輪状りんじょう決定けっていせい有限ゆうげんオートマトン

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輪状りんじょう決定けっていせい有限ゆうげんオートマトン(ひりんじょうけっていせいゆうげんオートマトン、えい: Acyclic Deterministic Finite Automaton)は輪状りんじょう環状かんじょう)の遷移せんい連鎖れんさがない決定けっていせい有限ゆうげんオートマトンである。ADFA と略記りゃっきされる。換言かんげんすれば、このオートマトンでは有限ゆうげん文字もじれつ集合しゅうごうしか表現ひょうげんできない。これは非常ひじょう高速こうそく検索けんさく可能かのう単語たんご格納かくのうデータ構造こうぞうとして使用しようされる。最小さいしょうしたADFAは非常ひじょうにコンパクトになり、そのサイズは格納かくのうされるキーのかずには比例ひれいしない。実際じっさい、ある閾値をえると、格納かくのうする単語たんごやしたときにデータ構造こうぞうのサイズは減少げんしょうしはじめる。その閾値サイズは格納かくのうされる文字もじれつがどれだけ複雑ふくざつであるかに依存いぞんする。トライ一種いっしゅのADFAである。

脚注きゃくちゅう 

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  1. ^ コンパイラI 原理げんり技法ぎほう・ツール、A.V.エイホ・R.セシィ、J.D.ウルマン 共著きょうちょ原田はらだ賢一けんいち やく、サイエンスしゃ、134ぺーじ
  2. ^ Hopcroft et al. 2001, p. 46.

参考さんこう文献ぶんけん 

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  • Hopcroft, John E; Ullman, Jeffrey D.; Motwani, Rajeev (2001) (PDF). Introduction to automata theory, languages, and computation (2nd ed.). Addison-Wesley. ISBN 0-201-44124-1. http://www.pmfst.unist.hr/~milica/Matem_teorija_r/MTR_web/Introduction%20To%20Automata%20Theory.pdf 

関連かんれん項目こうもく

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