泉いずみのエクセリオン

泉いずみのエクセリオン(Ecthelion of the Fountain)は、中なかつ国くにを舞台ぶたいとした小説しょうせつ、『シルマリルの物語ものがたり』、『終おわらざりし物語ものがたり』の登場とうじょう人物じんぶつ。トゥアゴンに仕つかえたノルドール・エルフの大将たいしょうの一人ひとり。ゴンドリンの没落ぼつらくの際さいバルログの首領しゅりょうゴスモグを打うち倒たおしたことで名高なだかいが、相打あいうちになり命いのちを落おとした。フルートを得意とくいとした。

逸話いつわ

エクセリオンはトゥアゴンに仕つかえたノルドールの大将たいしょうであり、ゴンドリンの十じゅう二に家いえの一ひとつ、泉いずみ家かの長ちょうだった。かれはまたゴンドリンの七ななつの門もんのうち、最後さいごの大門おおもんの司つかさであった。かれの武具ぶぐはすべて銀ぎんで、兜かぶとの先端せんたんには鋼はがねの大だい釘くぎがついていた。

ニアナイス・アルノイディアド

エクセリオンはニアナイス・アルノイディアド（涙なみだ尽つきざる合戦かっせん）にトゥアゴンと共ともに出陣しゅつじんした。フィンゴンが倒たおれ、ノルドールの上級じょうきゅう王おうとなったトゥアゴンの退却たいきゃくのおり、左右さゆうの側面そくめんを守まもったのはエクセリオンとグロールフィンデルだった。

大門おおもんの司つかさ

ウルモの使者ししゃトゥオルはトゥアゴン臣下しんかのヴォロンウェに導みちびかれ、ゴンドリンへとたどり着ついた。かれは衛士えじに捕とらえられ、六むっつの門もんをくぐり、最後さいごの大門おおもんの司つかさエクセリオンの前まえに引ひき出だされた。トゥオルが外そと衣ころもを脱ぬぎ、トゥアゴンがヴィンヤマールに残のこしていった武具ぶぐを身みに付つけているのを見みると、エクセリオンはかれが確たしかにウルモの使者ししゃであることを知しった。

ゴンドリンの没落ぼつらく

モルゴス軍ぐんにゴンドリンが包囲ほういされるとエクセリオンは三さん体たいのバルログを打うち倒たおすが、盾たてを持もつ腕うでの自由じゆうを失うしなった。かれがトゥオルと共ともに王おうの広場ひろばに駆かけ込こむと、バルログの首領しゅりょうゴスモグが現あらわれた。エクセリオンはゴスモグと激はげしく戦たたかい、今度こんどは剣けんを持もつ腕うでの自由じゆうを失うしなった。しかしエクセリオンは強つよく跳とびあがると、かれの兜かぶとの大だい釘くぎをゴスモグの胴体どうたいに深ふかく突つき刺さした。それからかれは両足りょうあしをゴスモグに巻まきつけ、全力ぜんりょくを持もってゴンドリンの泉いずみへと突つき落おとした。ここにゴスモグの炎ほのおは消きえ、エクセリオンは鎧よろいの重おもさに沈しずんでいった。エクセリオンの名なはエルフの鬨ときの声こえとなり、オークを恐おそれさせた。