淺山あさやま金五郎きんごろう

あさやま きんごろう 淺山あさやま 金五郎きんごろう
陪審ばいしん員いん選出せんしゅつ時じに公表こうひょうされた肖像しょうぞう
生誕せいたん	(1880-01-16) 1880年ねん1月がつ16日にち 石川いしかわ県けん江沼えぬま郡ぐん我谷わがたに村むら
死没しぼつ	(1937-01-13) 1937年ねん1月がつ13日にち（56歳さい没ぼつ）
別名べつめい	金きむ一郎いちろう（通つう名めい）
職業しょくぎょう	淺山あさやま組ぐみ創業そうぎょう者しゃ 運搬うんぱん業ぎょう 請負うけおい業ぎょう
活動かつどう拠点きょてん	大阪おおさか府ふ大阪おおさか市し福島ふくしま

淺山あさやま 金五郎きんごろう（あさやま きんごろう、1880年ねん1月がつ16日にち - 1937年ねん1月がつ13日にち）は、日本にっぽんの実業じつぎょう家か、運搬うんぱん業者ぎょうしゃ、請負うけおい業者ぎょうしゃ。昭和しょうわ期きの地下鉄ちかてつ御堂筋みどうすじ線せん建設けんせつなどに従事じゅうじした。

来歴らいれき・人物じんぶつ

1880年ねん1月がつ16日にち、石川いしかわ県けん江沼えぬま郡ぐん我谷わがたに村むら（のち西谷にしたに村むら、現げん加賀かが市し）の淺山あさやま金四郎きんしろうの三男さんなんとして生うまれる。三男さんなんであったため、本家ほんけの家督かとくは継つがず（長男ちょうなん千せん太郎たろうが家督かとくを継つぐ）他たの兄弟きょうだいとともに大阪おおさかへ出でて運送うんそう業ぎょうを始はじめる。『人事じんじ興信録こうしんろく』には1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）に三男さんなん金五郎きんごろうが分家ぶんけしたと記載きさいされている。これ以後いごの淺山あさやま家か兄弟きょうだいの動向どうこうに関かんしては、二男じなん仁太郎にたろうは西野田にしのだ今こん開ひらき町まちを拠点きょてんに土佐堀とさぼりで回漕かいそう業ぎょう（運搬船うんぱんせん業ぎょう）を起業きぎょうし、五男いつお定吉さだきちとともに海上かいじょう運送うんそう業務ぎょうむに携たずさわっていたが、東ひがし区く北久宝寺きたきゅうほうじの合資ごうし会社かいしゃ山口やまぐち運送うんそう店てん設立せつりつの際さいに四よん百ひゃく圓えん出資しゅっししている。四よん男なん作蔵さくぞうは西にし区く九きゅう条じょうで古銅こどう及および銑鉄せんてつ商しょうを営いとなむ傍かたわら善光寺ぜんこうじ白馬はくば電鉄でんてつ株式会社かぶしきがいしゃの取締役とりしまりやくを務つとめ、金きむ五郎ごろうとともに西淀川にしよどがわ区くの合資ごうし会社かいしゃ山根やまね工業こうぎょう社しゃに多額たがくの資金しきんを出資しゅっししている。また、その兄弟きょうだいと思おもわれる輝治てるじは鋼材こうざいを扱あつかった商店しょうてんを経営けいえいしているなど淺山あさやま家かは大正たいしょう期きから昭和しょうわ期きにかけて多おおくの実業じつぎょう家かを輩出はいしゅつし、主おもに此花このはな区く福島ふくしま周辺しゅうへんを基盤きばんとしていたことからこれらの兄弟きょうだいは協力きょうりょく関係かんけいにあったと考かんがえられる。

その後ご、金きむ五郎ごろうは1912年ねん（大正たいしょう元年がんねん）に大阪おおさか市し此花このはな区く上福島かみふくしまで淺山あさやま組ぐみを設立せつりつし、その傘下さんかに多おおくの仲仕なかしを抱かかえることによって運搬うんぱん請負うけおい業ぎょうを広ひろく展開てんかいしていった。当時とうじの日本にっぽんは第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん後ごの大戦たいせん景気けいきの真まっ只中ただなかであったという社会しゃかい的てき背景はいけいがあり、特とくに近代きんだい都市とし化かが急速きゅうそくに進すすめられた大阪おおさかでは、土木どぼく工事こうじやこれに伴ともなった運搬うんぱん業ぎょうの需要じゅようが高たかまった時期じきであったと考かんがえられる。後ごの地下鉄ちかてつ御堂筋みどうすじ線せん建設けんせつの際さいには下請したうけ業者ぎょうしゃとして淺山あさやま組ぐみが従事じゅうじしている。さらに、1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）には淺山あさやま組ぐみの本社ほんしゃ地ちである此花このはな区く上福島かみふくしま三さん丁目ちょうめに資本しほん金きん拾ひろえ萬まん九きゅう千せん圓えんで有限ゆうげん会社かいしゃ関西かんさいトラクターを設立せつりつし、代表だいひょう取締役とりしまりやくとなっている。

『商工しょうこう資産しさん信用しんよう録ろく』などによれば、金きむ五郎ごろうの死後しごはその関係かんけい者しゃによって事業じぎょうは引ひき継つがれ戦後せんごにおいても一定いってい期間きかん活動かつどうしていた様子ようすが確認かくにんされており、重量じゅうりょう運搬うんぱん業ぎょうの他ほかに、荷造にづくり業ぎょう、機械きかい解体かいたい業ぎょう、据付すえつけ、海陸かいりく運輸うんゆ一式いっしきなどを手掛てがけていた。

また、1929年ねん（昭和しょうわ4年ねん）には陪審ばいしん員いんに選出せんしゅつされており『大だい日本にっぽん陪審ばいしん記念きねん録ろく』では、その人柄ひとがらについて「同どう業者ぎょうしゃ間あいだノ信望しんぼう篤あつしシ」と書かかれている。

死後しごは故郷こきょうの石川いしかわ県けん江沼えぬま郡ぐん我谷わがたに村むらにある淺山あさやま家かの墓所はかしょに埋葬まいそうされた。なお現在げんざい我谷わがたに村むらは我谷わがたにダムの建設けんせつによって水没すいぼつしたため廃はい村むらとなっているが、旧きゅう我谷わがたに村むらの住人じゅうにんは山中さんちゅう町まちへ移住いじゅうした。

法名ほうみょうは釋しゃく永ひさし寂さび、享年きょうねん57歳さい。

事件じけん

1917年ねん（大正たいしょう6年ねん）5月1日にち、午後ごご3時じから堺さかい市し大浜おおはま公園こうえん松波まつなみ楼ろうにて大阪おおさか市し大工だいく組合くみあい総会そうかいがあり、十じゅう五ご、六ろく名めいが階上かいじょうで酒宴しゅえんを開ひらき、階下かいかでも上福島かみふくしまの淺山あさやま組ぐみの仲仕なかし十じゅう五ご、六ろく名めいが酒宴しゅえんを開ひらいていた。大工だいく組ぐみの一人ひとりが便所べんじょへ行いき階下かいかで仲仕なかしと行いき違ちがいがあった。仲仕なかし親方おやかた谷川たにがわ鶴松つるまつは仲間なかまを連つれて階上かいじょうへ上あがり、大だい格闘かくとうとなり重傷じゅうしょう者しゃ二に名めいを出だした。

系譜けいふ・親戚しんせき

淺山あさやま家かは一説いっせつに加賀かが藩主はんしゅ前田まえだ氏し家臣かしんの後裔こうえいと伝つたわるが真偽しんぎは不明ふめいである。家紋かもんは前田まえだ家かと同おなじ丸まるに加賀かが梅うめ鉢はち紋もん。『加賀かが市し史し』によれば、父ちちの金きむ四郎しろうは勝光寺しょうこうじ門徒もんととして我谷わがたに等とう八はちヶ村かそん勝光寺しょうこうじ門徒もんと誓約せいやく書しょに署名しょめいしている。また、元和がんわ年間ねんかんの『加賀かが藩はん侍さむらい帳ちょう』には前田まえだ氏しの祐筆ゆうひつを務つとめ、石高こくだか五ご百ひゃく石せきの御ご大小だいしょう将しょうであった淺山あさやま七兵衛しちべえ尉じょう祐ゆう俊しゅんが散見さんけんされる。

曾祖父そうそふ	淺山あさやま金四郎きんしろう（初代しょだい）
祖父そふ	淺山あさやま淺あさ與あずか門もん
父ちち	淺山あさやま金四郎きんしろう

義ぎ甥おいの父ちちは、石川いしかわ県けん江沼えぬま郡ぐん西谷にしたに村長そんちょう元げん祐二ゆうじ太郎たろうである。

参考さんこう文献ぶんけん

• 加賀かが市し史し編纂へんさん委員いいん会かい 編へん『加賀かが市し史し』 資料しりょう編へん 第だい3巻かん、加賀かが市し、1977年ねん3月がつ。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:77006491。 
• 交詢社こうじゅんしゃ 編へん『日本にっぽん紳士録しんしろく』 第だい40版はん、交詢社こうじゅんしゃ、1936年ねん。NDLJP:2127088。 
• 人事じんじ興信所こうしんじょ 編へん『人事じんじ興信録こうしんろく』 第だい14版はん 上じょう、人事じんじ興信所こうしんじょ、1943年ねん。NDLJP:1704391。 
• 大だい日本にっぽん商工会しょうこうかい 編へん『大だい日本にっぽん商工しょうこう録ろく』 昭和しょうわ5年版ねんばん、大だい日本にっぽん商工会しょうこうかい、1930年ねん。NDLJP:1136923。 
• 帝国ていこく商工会しょうこうかい 編へん『帝国ていこく商工しょうこう録ろく』 分冊ぶんさつ 昭和しょうわ10年版ねんばん [大阪おおさか府ふ,京都きょうと府ふ]、帝国ていこく商工会しょうこうかい、1935年ねん。NDLJP:1029246。 
• 秦はた重吉しげよし 編へん『大だい大阪おおさか営業えいぎょう名鑑めいかん』大だい大阪おおさか営業えいぎょう名鑑めいかん発行はっこう社しゃ、1925年ねん。NDLJP:1017404。 
• 福島ふくしま鉚太郎ろう 編へん『自動車じどうしゃ関係かんけい者しゃ大鑑たいかん』 昭和しょうわ9年ねん、自動車じどうしゃ日日ひび新聞しんぶん社しゃ、1934年ねん。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:46093309。 
• 藤田ふじた五郎ごろう『公安こうあん百ひゃく年ねん史し 暴力ぼうりょく追放ついほうの足跡あしあと 極左きょくさ・極右きょくう・暴力団ぼうりょくだん総会そうかい屋や資料しりょうの最新さいしん版ばん』公安こうあん問題もんだい研究けんきゅう協会きょうかい、1978年ねん4月がつ。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:78033151。 
• 『加賀かが藩はん初期しょきの侍さむらい帳ちょう』太田おおた敬たかし太郎たろう 校訂こうてい及解説かいせつ、石川いしかわ県けん図書館としょかん協会きょうかい、1942年ねん。NDLJP:1918036。 
• 『商工しょうこう資産しさん信用しんよう録ろく』 第だい40回かい 近畿きんき版ばん、商業しょうぎょう興信所こうしんじょ、1939年ねん。NDLJP:1031300。 
• 『大だい日本にっぽん陪審ばいしん員いん記念きねん録ろく』大だい日本にっぽん陪審ばいしん協会きょうかい、1929年ねん11月。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:22321447。 
• 『日本にっぽん全國ぜんこく銀行ぎんこう会社かいしゃ録ろく』商業しょうぎょう興信所こうしんじょ、1942年ねん。NDLJP:1082944。