玄げん恵めぐみ

玄げん恵めぐみ（げんえ・げんね、文ぶん永ひさし6年ねん（1269年ねん）? - 正平しょうへい5年ねん/観かん応おう元年がんねん3月2日にち（1350年ねん4月がつ9日にち））は、南北なんぼく朝あさ時代じだいの天台宗てんだいしゅうの僧そう・儒学じゅがく者しゃ。号ごうは独どく清しん軒のき・健けん叟。玄げん慧としとも。虎とら関せき師し錬ねの弟おとうととも言いわれる。玄げん恵めぐみ法印ほういん。

略歴りゃくれき

天台てんだい教学きょうがくを学まなび法印ほういん大だい僧都そうずに就任しゅうにんしたが、一方いっぽうで儒学じゅがくや漢かん詩文しぶんにも通つうじていた。「太平たいへい記き」によれば倒幕とうばくの密議みつぎの場ばで書しょを講こうじ、後醍醐天皇ごだいごてんのうや公卿くぎょうに宋そう学まなぶや古典こてんを講こうじたとある（ただし実際じっさいには、一条いちじょう兼良かねらの『尺せき素す往来おうらい』や『花園天皇はなぞのてんのう宸記』にあるように、倒幕とうばくや密議みつぎとは関係かんけいなく花園はなぞの院いんやその臣しんにも宋そう学がくを講こうじている）。また、建たて武たけしの新政しんせいが崩壊ほうかいした後のちには、足利あしかが氏しに用もちいられ「建たて武たけし式目しきもく」の起草きそうに関与かんよしたともされるが、いずれも不明ふめいである。

また、寺子屋てらこやで習字しゅうじや読本とくほんとして使用しようされた『庭訓ていきん往来おうらい』の作者さくしゃという説せつが有力ゆうりょくである。また、『源平げんぺい盛衰せいすい記き』の編者へんしゃの一人ひとりとも言いわれている。玄げん慧としは等持院とうじいんで足利あしかが直義ただよしの前まえで、『太平たいへい記き』を朗読ろうどくしたといわれる。『太平たいへい記き』27巻かんには玄げん慧としの死しである「玄げん慧とし法師ほうし末期まっき事ごと」が記しるされているが、『太平たいへい記き』40巻かん本ほんのうち巻まき初はつの1巻かんから10巻かんまでは玄げん慧としの作さくであり、11巻かんから12巻かんも玄げん慧としが拘かかわりをもった作さくではないかと言いわれている。(『太平たいへい記きと仏教ぶっきょう』古田ふるた紹欽)

男鹿半島おがはんとうの先端せんたんの漁港ぎょこうである男鹿おが市し北浦きたうら入道崎にゅうどうざき(畠崎はたけざき)には、この地ちが玄げん慧とし法師ほうしの出身しゅっしん地ちであるとする伝承でんしょうが残のこされていたことが菅江すがえ真澄ますみによって記録きろくされている。

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