私設しせつ応援おうえん団だん

私設しせつ応援おうえん団だん（しせつおうえんだん）とは、日本にっぽん野球やきゅう機構きこうから特別とくべつ応援おうえん許可きょかを得えて、プロ野球やきゅうの試合しあいにおいて鳴なり物入ものいりの応援おうえんを先導せんどうする一般いっぱん市民しみんによる団体だんたいである。サッカーにおける同様どうようの組織そしきはサポーターの項こうを参照さんしょう。学生がくせい野球やきゅう・社会しゃかい人じん野球やきゅう、他たのスポーツについては応援おうえん団だんの項こうを参照さんしょう。

概要がいよう

広義こうぎにおける私設しせつ応援おうえん団だんは、ある特定とくていの団体だんたい（主おもにスポーツチーム）に対たいして、チームを運営うんえいする企業きぎょうや協会きょうかい等とうとは別べつに、営利えいりを目的もくてきとせず試合しあいに毎回まいかいのごとく駆かけつけて、元気げんき付づけとなるような声援せいえんを送おくるなどの応援おうえん行為こういをする人々ひとびとの団体だんたいである^{[注釈ちゅうしゃく 1]}。私設しせつ応援おうえん団だんはスポーツを通とおして、試合しあい中ちゅうに求もとめられる役割やくわりを果はたすことで、支配しはいや統率とうそつといった別べつの快感かいかんが満みたされる^[1]。このような経験けいけんも、応援おうえんに対たいするモチベーションの一ひとつとなり、私設しせつ応援おうえん団だんという集団しゅうだんの維持いじにつながっている^[1]。

プロ野球やきゅうの私設しせつ応援おうえん団だん員いんは一般いっぱんのファン心理しんりを把握はあくし、ファンが望のぞむタイミングで、適切てきせつな応援おうえん歌か（チャンステーマなど）を選択せんたくする必要ひつようがあり、高たかい「仕切しきり」能力のうりょくが求もとめられる^[2]。うまく仕切しきることができない場合ばあいには、一般いっぱんファンから非難ひなんの声こえが殺到さっとうする場合ばあいもある^[2]。ボランティアであるにもかかわらず心理しんり的てきな負担ふたんが大おおきいため、私設しせつ応援おうえん団だんによっては応援おうえん団だん員いんが長続ながつづきせず入いれ替かわりが激はげしいケースもある^[2]。

私設しせつ応援おうえん団だんは、原則げんそくとして球団きゅうだんから金銭きんせん的てきな援助えんじょを受うけておらず、活動かつどうする上じょうで「チケット代だい」「遠征えんせい費用ひよう」「楽器がっき代だい」は自費じひが基本きほんとなる^[3]。多おおくの私設しせつ応援おうえん団だんが年とし会費かいひ制せいであり、会員かいいん間あいだで互助ごじょ的てきな運用うんようがなされている^[3]。

入会にゅうかい方法ほうほうとしては、私設しせつ応援おうえん団だんのホームページから応募おうぼをする、または球場きゅうじょうで直接ちょくせつ声こえを掛かけ、面接めんせつを受うけるのが一般いっぱん的てきである^[3]。面接めんせつでは応援おうえん団だんや球場きゅうじょう・球団きゅうだんの規則きそくを遵守じゅんしゅできるか、仲間なかまを思おもいやって活動かつどうする素質そしつが備そなわっているかなどが審査しんさされる^[3]。合格ごうかくした場合ばあいには、私設しせつ応援おうえん団だんの責任せきにん者しゃが日本にっぽん野球やきゅう機構きこう（プロ野球やきゅうの統括とうかつ組織そしき）へ特別とくべつ応援おうえん許可きょかの申請しんせいを行おこない^[3]、その人物じんぶつの個人こじん情報じょうほう（氏名しめいや住所じゅうしょなど）を基もとに反はん社会しゃかい的てき勢力せいりょくに属ぞくしていないか、過去かこに球場きゅうじょうでトラブルを起おこしていないかなどが調査ちょうさされる。問題もんだいが無なければその人物じんぶつに特別とくべつ応援おうえん許可きょか証しょうが発行はっこうされ、私設しせつ応援おうえん団だん員いんとして球場きゅうじょうでの活動かつどうが可能かのうになる。

球団きゅうだん別べつの私設しせつ応援おうえん団だん

プロ野球やきゅうの私設しせつ応援おうえん団だんは12球団きゅうだん全すべてに存在そんざいするが、ほとんどの場合ばあい、1つの球団きゅうだんの中なかに複数ふくすうの応援おうえん団だんが存在そんざいする（傘下さんかの組織そしきも持もたない完全かんぜんな1団体だんたいだけで構成こうせいされるのは、中日ちゅうにちとロッテの応援おうえん団だんのみ）。2010年ねん（平成へいせい22年ねん）の時点じてんでは、12球団きゅうだんで計けい147の私設しせつ応援おうえん団だんが確認かくにんされていた（ただし2011年度ねんどの特別とくべつ応援おうえん許可きょかを申請しんせいした応援おうえん団だんに限かぎる）^[4]。球団きゅうだん別べつの私設しせつ応援おうえん団だんは以下いかの項こうを参照さんしょう。

プロ野球やきゅう応援おうえん規則きそく

1984年ねん

1984年ねん（昭和しょうわ59年ねん）に、当時とうじのプロ野球やきゅうコミッショナー下田しもだ武三たけぞうのアピールにより、以下いかの応援おうえん倫理りんり三さん則のりが定さだめられた。

他人たにんに応援おうえんを強制きょうせいしない
他人たにんの耳みみをつんざく鉦かねや太鼓たいこを鳴ならさない
他人たにんの目めを覆おおう大おおきな旗はたや幟のぼりを振ふらない

1987年ねん（昭和しょうわ62年ねん）には、第だい4の規則きそくとして「試合しあい中ちゅうに危険きけん物ぶつや紙かみ・テープなどを投なげ込こまない」が加くわえられた。

1989年ねん

また1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）に発足ほっそくした連絡れんらく組織そしき・パ・リーグ6球団きゅうだん応援おうえん会かいでは、以下いかの応援おうえん規則きそくが定さだめられた。

球場きゅうじょう内ないのトラブルは応援おうえん団だんでなだめよう
われわれ6球団きゅうだんの応援おうえん団だんはパ・リーグの名なに恥はじない応援おうえんをしよう
パ・リーグ応援おうえんエンブレム着用ちゃくよう者しゃは、名簿めいぼを球団きゅうだんに提出ていしゅつし、暴力ぼうりょく行為こういを厳禁げんきんし、その防止ぼうしに最善さいぜんをつくそう
応援おうえんの個人こじんプレーはやめよう
入場にゅうじょう者しゃ全員ぜんいんが楽たのしく応援おうえんできる雰囲気ふんいきにしよう
ファインプレーには自他じた球団きゅうだんを問とわず拍手はくしゅを送おくろう
22時じ以降いこうは鳴なり物ものを使つかってはいけない^{[注釈ちゅうしゃく 3]}

2006年ねん

2006年ねん（平成へいせい18年ねん）、中ちゅう虎とら連合れんごう会かいの横暴おうぼうや威力いりょく業務ぎょうむ妨害ぼうがい事件じけんなどを教訓きょうくんとして、12球団きゅうだん統一とういつの試合しあい観戦かんせん契約けいやく約款やっかんの中なかに、特別とくべつ応援おうえん許可きょか規程きてい^[5]が設もうけられた。主おもに、悪徳あくとく行為こういを球場きゅうじょうから追おい出だすのを狙ねらいとした私設しせつ応援おうえん団だんの一斉いっせい規制きせいであった^[1]。

本ほん規程きていは、観客かんきゃくを組織そしき化かし又または統率とうそつして行おこなわれる集団しゅうだんによる応援おうえん（以下いか、「応援おうえん団だん方式ほうしきの応援おうえん」という）の許可きょかの基準きじゅんと手続てつづきを定さだめるものである。(1条じょう1項こう)
応援おうえん団だん方式ほうしきの応援おうえんを行おこなおうとする団体だんたいは、当とう球団きゅうだんに対たいし、予あらかじめ、当とう球団きゅうだん所定しょていの許可きょか申請しんせい書しょを提出ていしゅつし、当とう球団きゅうだんの許可きょかを得えなければならない。(2条じょう1項こう)
前項ぜんこうの許可きょか申請しんせいを行おこなう団体だんたいは、当とう球団きゅうだん所定しょていの許可きょか申請しんせい書しょに以下いかの事項じこうを記載きさいし、代表だいひょう者しゃが署名しょめい押印おういんをしたうえで、これを当とう球団きゅうだんに提出ていしゅつしなければならない。(2条じょう2項こう)
1. 団体だんたい名めい
2. 代表だいひょう者しゃ名めい
3. 団体だんたいの連絡れんらく先さき
4. 構成こうせい員いん（経常けいじょう的てきに応援おうえん団だん方式ほうしきの応援おうえんに関かかわる者ものを含ふくむ。以下いか同おなじ）の数かず
5. 構成こうせい員いんの氏名しめい、顔写真かおじゃしん、住所じゅうしょ、連絡れんらく先さきを記載きさいした名簿めいぼ
6. 応援おうえん形態けいたい
7. その他たNPBが求もとめる事項じこう

これに基もとづき、2007年ねん（平成へいせい19年ねん）12月、中日ちゅうにちの私設しせつ応援おうえん団だん「名古屋なごや白龍はくりゅう會かい」と「全国ぜんこく竜りゅう心こころ連合れんごう」が2008年ねん（平成へいせい20年ねん）シーズンから排除はいじょ処分しょぶんと不ふ許可きょか処分しょぶんになった。前者ぜんしゃの関係かんけい者しゃは、団体だんたいが排除はいじょ処分しょぶんになった事ことで団員だんいんでなくなった今いまもナゴヤドームへの立入禁止たちいりきんしが続つづいている。後者こうしゃの関係かんけい者しゃは、昨年さくねんまでも一般いっぱんファンとして外野席がいやせきで観戦かんせんしている。両りょうグループは提訴ていそして争あらそったが2011年ねん（平成へいせい23年ねん）2月がつ敗訴はいそ^[6]。最高裁さいこうさいでも2013年ねん（平成へいせい25年ねん）に上告じょうこくが退しりぞけられ確定かくてい^[7]。判決はんけつでは、原告げんこくの応援おうえん団だんの中なかに暴力団ぼうりょくだん関係かんけい者しゃがいたと指摘してきされた^[8]。結果けっか、球団きゅうだんは、新しん応援おうえん団だんを公募こうぼによるグループ申請しんせいの後のち審査しんさによる認可にんか制せいとすることを決きめた^[9]。その後ご、球団きゅうだん公式こうしきサイト上じょうで新しん応援おうえん団だん結成けっせいと団員だんいん募集ぼしゅうの発表はっぴょうが2014年ねん8月がつに行おこなわれ、事実じじつ上じょう球団きゅうだん公設こうせつによる応援おうえん団だんが組織そしきされた。新しん応援おうえん団だんとしての活動かつどうは同年どうねん9月がつに始はじまった。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^ 応援おうえんする対象たいしょうによっては、「サポーターグループ（サポーター）」と呼よばれるものもあり、日本にっぽん国内こくないにおいては主おもにサッカーによって社会しゃかいで認知にんちされるようになった言葉ことばである。サッカーにおける「サポーター（略りゃく：サポ）」は、広義こうぎでは「サッカーファン」という位くらいの意味いみから、狭義きょうぎではフーリガンに近ちかい意味合いみあいの「特定とくていのチームに異常いじょうなほど熱狂ねっきょう的てきなサッカーファン」という程ほどの幅広はばひろい意味いみを持もつ。バスケットボールとアメリカンフットボールにおいては、「ブースター」という呼よび方かたが一般いっぱん的てきである。これは元々もともとNBAで使つかわれてきた用語ようごであり、bjリーグ発足ほっそくに当あたりNBAに少すこしでも近ちかづけようと公式こうしきに使用しようを始はじめた。ただ、こちらの場合ばあい、チームごとで「ブースタークラブ」が設置せっちされており、ほぼ「ファンクラブ」と言いっても過言かごんではない。またXリーグにおいては正式せいしき呼称こしょうとなっている。
^ Wikipediaに項目こうもくはないが、「全国ぜんこくツバメ軍団ぐんだん」および傘下さんかの「関東かんとうツバメ軍団ぐんだん」「名古屋なごやツバメ軍団ぐんだん」「関西かんさいツバメ軍団ぐんだん」「広島ひろしまツバメ軍団ぐんだん」が活動かつどうしている。初代しょだい応援おうえん団長だんちょうは岡田おかだ正ただし泰やすし。
^ その後ご各地かくちの騒音そうおん条例じょうれいやそれを元もとにした球場きゅうじょうルールに従したがうようになった。福岡ふくおかドーム、千葉ちばマリンスタジアムのように22時じ以降いこうも可能かのうな球場きゅうじょうでは鳴なり物もの応援おうえんが継続けいぞくされる。

出典しゅってん

^ ^a ^b ^c 岡田おかだ依子よりこ「プロ野球やきゅう私設しせつ応援おうえん団だんの文化ぶんか論ろん福岡ふくおかソフトバンクホークス」『人間にんげん科学かがく研究けんきゅう』第だい20巻かん、早稲田大学わせだだいがく人間にんげん科学かがく学術がくじゅつ院いん、2007年ねん3月がつ、99頁ぺーじ。
^ ^a ^b ^c https://www.facebook.com/ToyokeizaiOnline+(2016年ねん3月がつ19日にち).+“プロ野球やきゅう｢私設しせつ応援おうえん団だん｣の知しられざる世界せかい”. 東洋とうよう経済けいざいオンライン. 2023年ねん8月がつ19日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b ^c ^d ^e “「プロ野球やきゅう応援おうえん団だん」の給料きゅうりょうは？好すきな野球やきゅうをマネタイズ化かする方法ほうほうも紹介しょうかい | ファイナンシャルフィールド”. financial-field.com. 2023年ねん8月がつ19日にち閲覧えつらん。
^ プロ野球やきゅう応援おうえん団だん１４７団体だんたいに「飲酒いんしゅ自粛じしゅくを！」（野球やきゅう） ― スポニチ Sponichi Annex ニュース
^ “特別とくべつ応援おうえん許可きょか規程きてい”. 日本にっぽん野球やきゅう機構きこう. 2011年ねん5月がつ3日にち閲覧えつらん。
^ “中日ちゅうにちの私設しせつ応援おうえん団だん訴訟そしょう球団きゅうだん側がわが全面ぜんめん勝訴しょうそ”. スポーツニッポン (2011年ねん2月がつ18日にち). 2011年ねん5月がつ3日にち閲覧えつらん。
^ 悪質あくしつ応援おうえん団だんの排除はいじょ適法てきほう、球団きゅうだん側がわの全面ぜんめん勝訴しょうそ確定かくてい読売新聞よみうりしんぶん 2013年ねん2月がつ14日にち
^ 高橋たかはし豪つよし仁ひとし「「見みるスポーツ」の権利けんりに関かんする一いち考察こうさつ」『スポーツ社会しゃかい学がく研究けんきゅう』第だい22巻かん第だい1号ごう、日本にっぽんスポーツ社会しゃかい学会がっかい、2014年ねん、79-88頁ぺーじ、doi:10.5987/jjsss.22.1_79。
^ 【中日ちゅうにち】ナゴヤＤの鳴なり物もの応援おうえんが消きえる！最低さいていでも前半ぜんはん戦せん