粟田あわた大だい燈ひ呂りょ

粟田あわた大だい燈ひ呂りょ（あわただいとうろ）とは、京都きょうと府ふ京都きょうと市し東山ひがしやま区く粟田口鍛冶あわだぐちかじ町まちにある粟田あわた神社じんじゃの祭事さいじである粟田あわた祭さい（あわたまつり）の風流ふうりゅう行列ぎょうれつ^[1]。青森あおもり県けんのねぶたのルーツとも云いわれている。

沿革えんかく[編集へんしゅう]

青あお蓮れん院いん文書ぶんしょ「華はな頂いただき要略ようりゃく」に記しるされている「夜よる渡わたり神事しんじ」の下くだりによると、「年とし毎ごとの祭礼さいれいに・・・供奉ぐぶ(ぐぶ)に氏し人じん　灯籠とうろうをともして、神輿しんよに先行せんこうすること数すう百ひゃく。さまざまの造つくり物ぶつありて衆人しゅうじんの目めを驚おどろかすにより、貴賎きせん群集ぐんしゅうすることおびただし。誠まことに一大いちだい壮観そうかんなり」と書かかれている。祭まつりに大だい灯籠とうろうが加くわわった時期じきは不明ふめいだが、戦国せんごく時代じだいの公卿くぎょう山科やましな言げん継まましの日記にっきである「言げん継つぎ卿きょう記き」の永えい禄ろく10年ねん7月がつ24日にち（ユリウス暦れき：1567年ねん 8月がつ28日にち）には、「粟田口あわだぐちの風流ふうりゅうが吉田よしだへ向むかうということを聞ききましたので、夕方ゆうがたに吉田よしだへ向むかいました。大おおきな灯ひ呂りょが二に十じゅうあり、その大おおきさはおよそ二に間あいだ(3.6ｍ)四方しほうもあり、前代未聞ぜんだいみもんのことで大変たいへん驚おどろいた (粟田あわた神社じんじゃ口語こうご訳やく)」と、粟田あわた周辺しゅうへんの風流ふうりゅう行列ぎょうれつに大だい灯籠とうろうが出でていた事ことなどが描えがかれている^[1]。
しかしその後ご、大勢おおぜいの見物人けんぶつにんが殺到さっとうし、けが人にんが続出ぞくしゅつした為ため、この風流ふうりゅう行列ぎょうれつは中止ちゅうしになったとされる。この神事しんじが途絶とだえたのは少すくなくとも天保てんぽう3年ねん（1832年ねん）以前いぜんと言いわれており、それ以来いらい大だい灯籠とうろうを見みたという者ものはおらず、また図版ずはんも残のこっていない。

復活ふっかつ・再生さいせい[編集へんしゅう]

天保てんぽう3年ねん（1832年ねん）以降いこう途絶とだえたが、平成へいせい20年ねん（2008年ねん）に、粟田あわた神社じんじゃ清々せいせい会かい(氏子うじこ)の依頼いらいで、関本せきもと徹とおる生せい(京都きょうと造形ぞうけい芸術げいじゅつ大学だいがく教授きょうじゅ)がプロジェクトを組くみ、学生がくせいたちと大だい燈とう呂りょを制作せいさく。180年ねんぶりに復活ふっかつ・再生さいせいし、現在げんざいも「粟田あわた大だい燈ひ呂りょプロジェクト」として、京都きょうと造形ぞうけい芸術げいじゅつ大学だいがくとの連携れんけいのもと継続けいぞくして開催かいさいされている^[2]。 2008年ねんの復活ふっかつ時じは５基きで登場とうじょうしたが、徐々じょじょに台数だいすうを増ふやし、現在げんざい（2014年ねん）では平均へいきん10基きで巡行じゅんこうしており、京都きょうとでは珍めずらしい光ひかりものの祭まつりとなる。

制作せいさく手法しゅほうは木き・針金はりがね・和紙わし・塗装とそうと同おなじであるが、4年ねん前まえからからくり仕掛しかけを施ほどこし、動うごくねぶた(大だい燈ひ呂りょ)として独自どくじの造形ぞうけい美びを追求ついきゅうしている。造形ぞうけいのモチーフは粟田あわた神社じんじゃの祭神さいじん、粟田あわた周辺しゅうへんの歴史れきし的てき資源しげんを素材そざいとしており、地域ちいき振興しんこうとしての意味合いみあいも持もつ。