英雄えいゆうの証明しょうめい (2021年ねんの映画えいが)

英雄えいゆうの証明しょうめい
قهرمان
監督かんとく	アスガル・ファルハーディー
脚本きゃくほん	アスガル・ファルハーディー
製作せいさく	アレクサンドル・マレ＝ギィ アスガル・ファルハーディー
出演しゅつえん者しゃ	アミール・ジャディディ サハル・ゴルデュースト モーセン・タナバンデ フェレシュテー・サドル・オーファン サリナ・ファルハーディー
撮影さつえい	アリ・ガーズィー アラッシュ・ラメザニ
編集へんしゅう	ハイデー・サフィヤリ
製作せいさく会社かいしゃ	メメント・フィルムズ
配給はいきゅう	シンカ
公開こうかい	2021年ねん7月がつ13日にち (CIFF) 2021年ねん10月がつ27日にち 2022年ねん4月がつ1日にち
上映じょうえい時間じかん	127分ふん
製作せいさく国こく	イラン フランス
言語げんご	ペルシャ語ご

『英雄えいゆうの証明しょうめい』（えいゆうのしょうめい、原題げんだい・ペルシア語ご: قهرمان‎）は、2021年ねんのイランのドラマ映画えいが。監督かんとく・脚本きゃくほんはアスガル・ファルハーディー、出演しゅつえんはアミール・ジャディディ、サハル・ゴルデュースト、モーセン・タナバンデなど。ふとしたことから美談びだんの英雄えいゆうとして祭まつり上あげられた後のちに一転いってんしてペテン師ぺてんしと非難ひなんされて四面楚歌しめんそかの状態じょうたいに陥おちいる1人ひとりの服役囚ふくえきしゅうの運命うんめいの逆転ぎゃくてん劇げきを描えがいている。

2021年ねん7月がつに第だい74回かいカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいのコンペティション部門ぶもんで上映じょうえいされ、グランプリを獲得かくとくした。第だい94回かいアカデミー賞しょう国際こくさい長編ちょうへん映画えいが賞しょうにイラン代表だいひょう作さくとして出品しゅっぴんされた。

ストーリー

イランの地方ちほう都市としシラーズ。看板かんばん職人しょくにんのラヒムは、前妻ぜんさいの父ちちからの借金しゃっきんが返かえせず、訴うったえられて服役ふくえき中ちゅうだった。ある日ひ、ラヒムの恋人こいびとファルコンデが、町まちで金貨きんかの入はいったバッグを拾ひろった。その金貨きんかを金かねに換かえて借金しゃっきんを精算せいさんし、刑務所けいむしょを出でようと画策かくさくするラヒム。

ラヒムの刑けいは、たまの一時いちじ帰宅きたくが許ゆるされていた。2日間にちかんの出所しゅっしょ期間きかん中ちゅうにファルコンデと落おち合あい、金貨きんかを売うりに行いくラヒム。だが、期待きたいした半分はんぶんの値ねしか付つかず、借金しゃっきん返済へんさいを諦あきらめたラヒムは、バッグと金貨きんかを落おとし主ぬしに返かえすために、貼はり紙がみをして刑務所けいむしょに戻もどった。

落おとし主ぬしの女性じょせいと連絡れんらくがつき、姉あね夫婦ふうふの家いえの住所じゅうしょを教おしえてバッグと金貨きんかを返かえすラヒム。ラヒムの善行ぜんこうを知しった刑務所けいむしょの所長しょちょうたちは、マスコミを呼よんで「正直しょうじき者しゃの囚人しゅうじん」の美談びだんを取材しゅざいさせた。刑務所けいむしょでは最近さいきん、囚人しゅうじんの自殺じさつ騒さわぎがあり、名誉めいよ回復かいふくの話題わだいを求もとめていたのだ。一時いちじ帰宅きたくを許ゆるされ、囚人しゅうじんをサポートするチャリティ団体だんたいから表彰ひょうしょうされ、多額たがくの寄付きふ金きんが集あつめられ、出所しゅっしょ後ごの職しょくまで決きまるラヒム。

ラヒムを雇用こようするはずの「地方ちほう審議しんぎ会かい」に、何者なにものかから「金貨きんかの美談びだんは作つくり話ばなし」と通報つうほうが入はいった。真実しんじつだと証明しょうめいするために、バッグの落おとし主ぬしを連つれて来こいと要求ようきゅうされるラヒム。だが、バッグを返かえした時とき、ラヒムの姉あねは相手あいての名前なまえを聞きいていなかった。探さがしても落おとし主ぬしが見みつからず、恋人こいびとのファルコンデを偽物にせものに仕立したてるラヒム。だが、担当たんとう者しゃは納得なっとくせず、落おとし主ぬしの夫おっとも連つれて来こいと言いう。怒おこって、就職しゅうしょくの内定ないていを蹴けってしまうラヒム。

「美談びだんは作つくり話ばなし」と密告みっこくしたのが前妻ぜんさいの父ちちだと疑うたがい、押おしかけて殴なぐり合あいになるラヒム。その様子ようすは動画どうがに撮とられて拡散かくさんし、ラヒムの美談びだんは地ちに落おちた。チャリティ団体だんたいからの寄付きふ金きんも他たの囚人しゅうじんに回まわされ、釈放しゃくほうの希望きぼうも絶たたれるラヒム。そんなラヒムに、動画どうがで世間せけんに無実むじつをアピールしろと持もち掛かける刑務所けいむしょの職員しょくいんタヘリ。しかし、それは吃音きつおん症しょうのあるラヒムの幼おさない息子むすこに無理むりに話はなさせる過酷かこくな撮影さつえいだった。耐たえられずにタヘリを追おい返かえしたラヒムは、残のこりの刑期けいきを過すごすために、自みずから刑務所けいむしょに戻もどるのだった。

キャスト

• ラヒム・ソルタニ: アミール・ジャディディ - 服役囚ふくえきしゅう。
• ファルコンデ: サハル・ゴルデュースト - ラヒムの婚約こんやく者しゃ。
• バーラム: モーセン・タナバンデ - ラヒムの借金しゃっきんの貸主かしぬしで前妻ぜんさいの義兄ぎけい。(父親ちちおやと言いっているセリフもあり)
• ラドメヘル夫人ふじん: フェレシュテー・サドル・オーファン - 慈善じぜん団体だんたいの責任せきにん者しゃ。
• ナザニン: サリナ・ファルハーディー - バーラムの娘むすめ。

製作せいさく

メメント・フィルムズは2020年ねんのヨーローマ映画えいがマーケットでファルハーディーによる脚本きゃくほんを購入こうにゅうした。2020年ねん6月がつにプリプロダクションが始はじまり、202012年ねんまでに撮影さつえいが行おこなわれた。製作せいさくはシーラーズで行おこなわれた。2021年ねん4月がつ、Amazonスタジオがアメリカでの配給はいきゅう権けんを獲得かくとくしたことが報ほうじられた。

公開こうかい

2021年ねん7月がつ13日にちに第だい74回かいカンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさいでプレミア上映じょうえいされ、コンペティション部門ぶもんでパルム・ドールを争あらそった。また2021年ねん11月28日にちに第だい52回かいインド国際こくさい映画えいが祭さいのクロージング作品さくひんとして上映じょうえいされた。

日本にっぽんでは2022年ねん4月がつ1日にちに東京とうきょう（銀座ぎんざ・新宿しんじゅく・渋谷しぶや）・仙台せんだい・千葉ちば・名古屋なごや・京都きょうと・梅田うめだ・心斎橋しんさいばしの9館かんで劇場げきじょう公開こうかいされた後のち、全国ぜんこく計けい46館かん以上いじょうで順次じゅんじ公開こうかいされた。

評価ひょうか

批評ひひょう家かの反応はんのう

レビュー収集しゅうしゅうサイトのRotten Tomatoesでは126件けんのレビューで支持しじ率りつは95%、平均へいきん点てんは8.0/10となり、「『英雄えいゆうの証明しょうめい』は脚本きゃくほん家か・監督かんとくのアスガル・ファルハーディーが取とり組くみ、観客かんきゃくが勝者しょうしゃとなる作品さくひんだ」とまとめられた。Metacriticでは37件けんの批評ひひょうに基もとづいて加重かじゅう平均へいきん値ちは81/100と示しめされた。

受賞じゅしょうとノミネート

年とし	映画えいが祭さい・賞しょう	部門ぶもん	候補こうほ	結果けっか
2021	カンヌ国際映画祭かんぬこくさいえいがさい	パルム・ドール	アスガル・ファルハーディー	ノミネート
		グランプリ		受賞じゅしょう
		フランソワ・シャレ賞しょう		受賞じゅしょう
2021	アジア太平洋たいへいよう映画えいが賞しょう	作品さくひん賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
		監督かんとく賞しょう	アスガル・ファルハーディー	受賞じゅしょう
		脚本きゃくほん賞しょう	アスガル・ファルハーディー	ノミネート
		男優だんゆう賞しょう	アミール・ジャディディ	ノミネート
2021	バリャドリッド国際こくさい映画えいが祭さい	作品さくひん賞しょう	アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2021	モントクレア映画えいが祭さい	ナラティブ作品さくひん賞しょう (コンペティション)	アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2021	サンタフェ・インディペンデント映画えいが祭さい	ナラティブ作品さくひん賞しょう	アスガル・ファルハーディー	受賞じゅしょう
2021	ハーフェズ賞しょう	映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	受賞じゅしょう
		映画えいが監督かんとく賞しょう	アスガル・ファルハーディー	受賞じゅしょう
		映画えいが脚本きゃくほん賞しょう	アスガル・ファルハーディー	受賞じゅしょう
		男優だんゆう賞しょう	アミール・ジャディディ	受賞じゅしょう
			モーセン・タナバンデ	ノミネート
		映画えいが女優じょゆう賞しょう	サハル・ゴルデュースト	ノミネート
		映画えいが撮影さつえい賞しょう	アリ・ガーズィー、アラッシュ・ラメザニ	ノミネート
		映画えいが編集へんしゅう賞しょう	ハイデー・サフィヤリ	受賞じゅしょう
2021	サテライト賞しょう	オリジナル脚本きゃくほん賞しょう	アスガル・ファルハーディー	ノミネート
		外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2021	シカゴ映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2021	ダラス・フォートワース映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2021	インディワイア批評ひひょう家か投票とうひょう	脚本きゃくほん賞しょう	アスガル・ファルハーディー	ノミネート
		国際こくさい映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2021	ラスベガス映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	国際こくさい映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2021	ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞しょう	オリジナル脚本きゃくほん賞しょう	アスガル・ファルハーディー	受賞じゅしょう
		外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	受賞じゅしょう
2021	ノーステキサス映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2021	セントルイス映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	国際こくさい映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2021	ユタ映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	非ひ英語えいご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2021	ワシントンD.C.映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2022	パームスプリングス国際こくさい映画えいが祭さい	ブリッジング・ザ・ボーダーズ賞しょう	アスガル・ファルハーディー	受賞じゅしょう
		FIPRESCI賞しょう (国際こくさい長編ちょうへん映画えいが)	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
		FIPRESCI賞しょう (国際こくさい脚本きゃくほん)	アスガル・ファルハーディー	受賞じゅしょう
		FIPRESCI賞しょう (国際こくさい長編ちょうへん映画えいが男優だんゆう)	アミール・ジャディディ	受賞じゅしょう
2022	シカゴ独立どくりつ批評ひひょう家か賞しょう	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
		オリジナル脚本きゃくほん賞しょう	アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2022	デンバー映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2022	コロンバス映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2022	EDA賞しょう	非ひ英語えいご作品さくひん賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2022	クリティクス・チョイス・アワード	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2022	ゴールデングローブ賞しょう	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2022	サンフランシスコ・ベイエリア映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2022	ハリウッド批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	国際こくさい映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート
2022	ノースカロライナ映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう	外国がいこく語ご映画えいが賞しょう	アレクサンドル・マレ＝ギィ、アスガル・ファルハーディー	ノミネート

関連かんれん項目こうもく

• 第だい94回かいアカデミー賞しょう国際こくさい長編ちょうへん映画えいが賞しょう出品しゅっぴん作さく一覧いちらん
• アカデミー国際こくさい長編ちょうへん映画えいが賞しょうイラン代表だいひょう作品さくひんの一覧いちらん

外部がいぶリンク

• 公式こうしきウェブサイト（日本語にほんご）
• 英雄えいゆうの証明しょうめい - allcinema
• Ghahreman - IMDb（英語えいご）
• A Hero - Metacritic（英語えいご）
• A Hero - Rotten Tomatoes（英語えいご）