金属きんぞくアミド

金属きんぞくアミド（きんぞくアミド）はアミン (R−NH₂) の水素すいそ原子げんしを金属きんぞく原子げんし (M) に置おき換かえた化合かごう物ぶつ (R−NH−M) である。アザニド (azanide) とも呼よばれる。

命名めいめい法ほう

金属きんぞくアミドは対応たいおうするアミンの語尾ごびを -ine（イン）から -ide（イド）に換かえ、対たいカチオンを元もとのアミンの前まえに持もってくることで命名めいめいできる。

• ジイソプロピルアミン (diisopropylamine) → リチウムジイソプロピルアミド (lithium diisopropylamide)
• アニリン (aniline) → リチウムアニリド(lithium anilide)

接尾せつび語ごを -ine から -ide にすることで、塩素えんそ (chlorine) が塩化えんか物ぶつ (chloride) になるのと同様どうよう、「アミド (amide)」とは元来がんらい、アミン (amine) からプロトンを取とり除のぞいてできるアニオンを示しめす。また、アミン誘導体ゆうどうたいに対たいして用もちいられる -アザン (-azan) の場合ばあいには -アジド (-azide) もしくは -アザニド (-azanide) とすることでアニオン種しゅであることを示しめす。

合成ごうせい法ほう

金属きんぞくアミドは一般いっぱん的てきには対応たいおうするアミンのプロトンを強つよ塩基えんきで引ひき抜ぬいて調製ちょうせいする。

${\ce {{^{\mathbf {n} }BuLi}+HN(CHMe2)2->{LiN(CHMe2)2}+^{\mathbf {n} }Bu-H}}$

市販しはんされている金属きんぞくアミドも多数たすうある。

物性ぶっせい・反応はんのう

合成ごうせい法ほうで示しめしたように、アミドはアミンと強つよい塩基えんき（アルキルリチウムなど）から合成ごうせいされる。特とくにリチウムジイソプロピルアミドなど立体りったい的てきにかさ高たかい2級きゅうアミンから得えられる金属きんぞくアミドは通常つうじょうのアルキルリチウムなどに比くらべて求もとめ核かく性せいが弱よわいことから、求もとめ核かく付加ふか反応はんのうを避さけたい場面ばめんで用もちいられる。

代表だいひょう例れい

• ナトリウムアミド (sodium amide) NaNH₂
• リチウムジイソプロピルアミド (lithium diisopropylamide, LDA) LiN(CH(CH₃)₂)₂
• ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド (Sodium bis(trimethylsilyl)amide, NaHMDS) NaN(Si(CH₃)₃)₂

関連かんれん項目こうもく

• アミン
• アミド - 英語えいごでは、金属きんぞくアミドは ['æmɑɪd]、カルボニル化合かごう物ぶつのアミドは [ə'mɪd] と発音はつおんすることで区別くべつしている
• アザニド