(Translated by https://www.hiragana.jp/)
鍔迫り合い - Wikipedia コンテンツにスキップ

鍔迫つばぜ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

鍔迫つばぜ(つばぜりあい)とは、たがいに相手あいてったかたな自分じぶんかたなつばめ、うこと。てんじてはげしい試合しあいのこともさす。

鍔迫つばぜ

歴史れきし

[編集へんしゅう]

千葉ちば周作しゅうさくの『北辰ほくしん一刀いっとうりゅうくみよう口伝くでんしょ』などにおいて元来がんらい一刀いっとうりゅう」における即位そくいづけ(そくいづけ。馬庭まにわねんりゅう鹿島かしまかみりゅうそとりゅうなどでは続飯そくいづけ(そくひづ)けという。なお、続飯そくいとはいためしったのりのこと。)、下段げだんづけが「鍔迫つばぜい」にわっておりこれを剣道けんどういだものである。

わきかまけ(中略ちゅうりゃくのどむ(註 てき太刀だちげて突をさけるゆえつばぜりとなる)(中略ちゅうりゃく)突を小手こてあがるゆへ、つばせりとなるしょうえよりくじく、みぎ小手こてうたせ — 『北辰ほくしん一刀流組遣様口傳書』[1]
手元てもとどう 双方そうほうつばぜりあいになりたるときむこうのきをちながらどうつをいう — 『剣法けんぽう秘訣ひけつ
なお強調きょうちょう引用いんようしゃ

剣道けんどうにおける鍔迫つばぜ

[編集へんしゅう]

剣道けんどうにおける鍔迫つばぜいは、わせた竹刀しないかたな同様どうようつばめ、状態じょうたいで、わざはこの状態じょうたいからつ。戦前せんぜん剣道けんどう稽古けいこでは、鍔迫つばぜいからあしがらみ組討くみうちちなど武術ぶじゅつ由来ゆらいわざおこなわれたが、戦後せんごになると試合しあい反則はんそくになるわざ忌避きひされるようになった。中倉なかくらきよし稽古けいこちゅう鍔迫つばぜいとなったさい相手あいて竹刀しないうばわざ使つかうことがあったため、戦後せんご全日本ぜんにほん剣道けんどう連盟れんめい剣道けんどうからは「きたな剣道けんどう」「へんけん」などとわれた。

試合しあいでは鍔迫つばぜいが膠着こうちゃくすると審判しんぱんいんが「かれ」といってける。休憩きゅうけい時間じかんかせぎの鍔迫つばぜいとみなされた場合ばあい反則はんそくがとられる。警察けいさつ剣道けんどうでは10びょう以内いないかれなければ反則はんそくとなる。

試合しあい規定きてい変遷へんせん

[編集へんしゅう]
  1. 警視けいし劍道けんどう審判しんぱん規定きていあん1926ねん大正たいしょう15ねん[元号げんごうよう検証けんしょう]
    だい6じょう 審判しんぱんいんひだり各項かくこうじゅん墟シ審判しんぱんヲナスヘシ。(中略ちゅうりゃく)5、間合まあい接近せっきんシテつばせりあいトナリタルトキ太刀だちヲ互ニかたかけはなれぎわげき突シまた無理むりたおせスモこれラス。
  2. 警視けいし廰劍どう審判しんぱん規定きてい1933ねん昭和しょうわ8ねん)、1934ねん昭和しょうわ9ねん改定かいてい
    だい8じょう 試合しあいちゅうひだり事項じこう禁止きんしス。(中略ちゅうりゃく)5、つばはさまあいノトキ太刀だちたいしゅかたかけケルコト。
  3. 皇紀こうき2600ねん奉祝ほうしゅく昭和しょうわ天覧てんらん試合しあい剣道けんどう試合しあい審判しんぱん規定きてい1940ねん昭和しょうわ15ねん6月18にち1940ねん昭和しょうわ15ねん6がつ20日はつか
    だい9じょう中略ちゅうりゃく)44、間合まあい接近せっきんシテつばせりあいトナリタルトキ太刀だちヲ互ニかたかけはなれぎわげき突シまた不正ふせいたおせシテげき突スルモしょうみとめメス。ただしはなれぎわト雖敵ノ太刀たちさわきょラサルトキハしょうトス。
  4. 學徒がくと劍道けんどう試合しあい規定きてい1943ねん昭和しょうわ18ねん))
    中略ちゅうりゃく)5、審判しんぱん要領ようりょうトシテ左記さき各項かくこうとく留意りゅういスベシ。(中略ちゅうりゃく)(6)つばせりあいニ於テハそく突背シムベシ。遅滞ちたいシタル場合ばあい突ハ有効ゆうこうナルモノト雖勝トみとめメズ。「註」故意こい接近せっきんシテ防禦ぼうぎょてき態勢たいせいズルごとこれみとめメズ。
  5. たわわ競技きょうぎほう1950ねん昭和しょうわ25ねん3がつ
    中略ちゅうりゃく)3審判しんぱん中略ちゅうりゃく)(ロ)審判しんぱんほう中略ちゅうりゃく)(5)つば競合きょうごう5びょう以内いないおよ場合ばあい試合しあい中止ちゅうしさせ、出發しゅっぱつせんまでもどしてふたた開始かいしさせる。

西洋せいよう剣術けんじゅつにおける鍔迫つばぜ

[編集へんしゅう]

西洋せいよう両手りょうて剣術けんじゅつではけんけん接触せっしょくした状態じょうたい(バインド)から相手あいて出方でかたつつ、自分じぶん有利ゆうり状況じょうきょうけんうごかす。このとき、けん先端せんたんは「よわい」部位ぶいでありつばもとはつよ部位ぶいである。バインドしても剣先けんさきちいさくかわし、剣先けんさき相手あいて中心ちゅうしんいていればすぐにける状態じょうたいなので有利ゆうりとなる。また、「つよい」つばもとであれば相手あいてけんをコントロールすることが出来できる。おたがいが鍔元つばもとまでんだ状態じょうたい、これが鍔迫つばぜいとなる。金属きんぞくけんはとてもよくすべるのでバインドから鍔迫つばぜいまでは一瞬いっしゅんである。しかし剣道けんどうのようにそのままいをつづけることはありえない。 なぜなら柔道じゅうどうおなじく相手あいてつよせばからだななめにじくをはずし、側面そくめんまわれば簡単かんたんにいなすことができる。また、つばもとには当然とうぜん相手あいてうでとど位置いちにあるので、即座そくざ相手あいてうでをとらえ関節かんせつめたりばすことができる。相手あいてけんのポンメルをつかんでひねれば簡単かんたんにディスアームも出来できる。けん接触せっしょくしているてんじく自分じぶんのポンメルで相手あいて顔面がんめんげることも出来できる。相手あいてうであいだ自分じぶんのポンメルをれ、そのまままえだお反動はんどうをつけてキヨンでみぞおちを、あるいはうら相手あいてかおげることも出来できる。このようにさまざまな攻撃こうげきができるので鍔元つばもとまで相手あいてけんかさなったらもたもたするひまい。相手あいてちから方向ほうこうかん一瞬いっしゅん決断けつだん行動こうどうできなければ、られなくてもけんうばわれるかばされるだろう。 鍔迫つばぜいになった場合ばあい十字じゅうじがたのキヨンは相手あいてけんをしっかりとからることができる。しかし、親指おやゆびはやはり危険きけんなためフィンガーリングという防御ぼうぎょガードがつくようになる。またリカッソ部分ぶぶんだんをつけたものは、けん沿ってすべってきた相手あいてけんをキヨンではなくこの部分ぶぶんめるのでゆび危険きけんにさらすことはない。 特殊とくしゅなのはきの鍔迫つばぜいである。実際じっさいには鍔元つばもとではなくバインドしたポイントはけん半分はんぶんよりさきになるが、相手あいてけん排除はいじょ自分じぶん優位ゆうい位置いちけんこうとするので、うでばしさき相手あいてけたままけんかさなった状態じょうたいでぐるぐるとらせんじょうけんまわさざるをない状況じょうきょう発生はっせいする。この状況じょうきょうをデス・スパイラルとぶ。ドイツ剣術けんじゅつには「バインドしたときさきけんをはずしたほうがぬ」といわれている。これはバインドし、相手あいてろうとバインドからけんをはずせば間髪かんぱつれず、相手あいてきをれるからだ。

シングル・レピアにおいて鍔迫つばぜいはむしろ両手りょうてけんよりもおおい。これは片手かたて半身はんしんからきが主体しゅたいとなるため、おたが同時どうじ攻撃こうげきした場合ばあい両者りょうしゃ距離きょり瞬時しゅんじちぢまり、また、うでくよりもバインドしたままうでばし防御ぼうぎょするためすぐに鍔元つばもとまで相手あいてけんてしまうのである。ロングソードにおいては意図いとてきつばもとバインドだがレピアでは偶発ぐうはつてき発生はっせいする場合ばあいおおい。したがって、つぎのステップはパリーング・ダガーがなければおたがうでのつかみいとなってしまう。

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]