静脈じょうみゃく管かん

静脈じょうみゃく: 静脈じょうみゃく管かん
胎児たいじ循環じゅんかん。静脈じょうみゃく管かん（赤あか）を経由けいゆして、臍帯さいたい静脈じょうみゃくが下大しもおお静脈じょうみゃくへと接続せつぞくする。
発生はっせい24–25日にち目めのヒト胚はいの肝臓かんぞうとその静脈じょうみゃく系けいを、臓側からみたもの。
ラテン語らてんご	Ductus venosus
起おこり始はじめ	臍帯さいたい静脈じょうみゃく
合流ごうりゅう	下大しもおお静脈じょうみゃく

胎児たいじでは、静脈じょうみゃく管かん（じょうみゃくかん、en:Julius Caesar AranziにちなんでArantius 管かんともよばれる）が臍帯さいたい静脈じょうみゃくの血ち流りゅうの一部いちぶを直接ちょくせつ下大しもおお静脈じょうみゃくに分流ぶんりゅうする。これにより、胎盤たいばんからの酸素さんそを含ふくんだ血液けつえきが肝臓かんぞうをバイパスすることが可能かのうになる。動物どうぶつ実験じっけんでは、臍帯さいたい血ちの50 ％が静脈じょうみゃく管かんを経由けいゆしてシャントされることが分わかっているが、ヒト胎児たいじの生理せいり的てき条件下じょうけんかでのシャントは、在ざい胎20週しゅう目めで 30 %、在ざい胎32週しゅう目めで18 %とかなり少すくなく、これまで考かんがえられていたよりも胎児たいじの肝臓かんぞうの優先ゆうせん順位じゅんいが高たかいことが示唆しさされる。他たの胎児たいじシャントである卵たまご円えん孔あなや動脈どうみゃく管かんと連携れんけいして、酸素さんそ化かされた血液けつえきを胎児たいじの脳のうに優先ゆうせん的てきにシャントするという重要じゅうような役割やくわりを担になっている。胎児たいじ循環じゅんかんの一部いちぶである。

解剖かいぼう学がく的てきな経路けいろ

胎児たいじの臍帯さいたい静脈じょうみゃくの流ながれの経路けいろは、臍帯さいたい静脈じょうみゃく→左門さもん脈みゃく→静脈じょうみゃく管かん→下大しもおお静脈じょうみゃく→右みぎ心房しんぼうへと向むかう。この解剖かいぼう学がく的てき経路けいろは、新生児しんせいじの臍帯さいたい静脈じょうみゃくカテーテルの評価ひょうかにおいて重要じゅうようである。というのも、静脈じょうみゃく管かんからのカニュレーションに失敗しっぱいすると、左右さゆうの門もん脈みゃくを介かいして肝臓かんぞうに向むかうからである。このような挿入そうにゅう位置いちでは、肝かん血腫けっしゅや膿瘍のうようなどの合併症がっぺいしょうが生しょうじる可能かのう性せいがある。

出生しゅっしょう後ごの閉鎖へいさ

臍帯さいたい静脈じょうみゃくカテーテルが有効ゆうこうなのは、生なま下か時じに静脈じょうみゃく管かんが開ひらいているからである。ほとんどの正せい期き産児さんじでは、生後せいご1週間しゅうかんで自然しぜんに閉鎖へいさするが、早産そうざん児じでは閉鎖へいさまでにかなりの時間じかんがかかる。機能きのう的てき閉鎖へいさは出生しゅっしょう後ご数すう分ふん以内いないに起おこる。正せい期き産児さんじの構造こうぞう的てき閉鎖へいさは3 - 7日にち以内いないに起おこる。静脈じょうみゃく管かんが閉鎖へいさした後のちは、静脈じょうみゃく管かん索さくと呼よばれる。

静脈じょうみゃく管かんが出生しゅっしょう後ごに閉鎖へいさせず開ひらけ存そんしている場合ばあい、静脈じょうみゃく管かん開ひらき存そん症しょう、つまり肝きも内ない門もん脈みゃく体たい循環じゅんかんシャント（portosystemic shunt）と診断しんだんされる。この疾患しっかんは一部いちぶの犬いぬ種しゅ（アイリッシュウルフハウンドなど）では遺伝いでん性せいにみられる。早産そうざん児じでは静脈じょうみゃく管かんの閉鎖へいさが遅おくれるが、静脈じょうみゃく管かんの閉鎖へいさと児この状態じょうたいとの間あいだに有意ゆういな相関そうかん関係かんけいはない。拡張かくちょう作用さようのあるプロスタグランジンの量りょうが増ふえることで、静脈じょうみゃく管かんの閉鎖へいさが遅おくれるのではないかと考かんがえられている。

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