BLU-82

2008年ねん7月がつ15日にち、ユタの試験しけん/訓練くんれん場じょうでMC-130Eから投下とうかされるBLU-82。使用しよう可能かのうなものとしてこの爆ばく弾だんは最後さいごのものだった。

最後さいごのBLU-82の炸裂さくれつ。

BLU-82B/C-130は、重量じゅうりょう15,000ポンド（6803.8kg）で従来じゅうらい的てきな内部ないぶ構造こうぞうを持もつアメリカの航空こうくう爆ばく弾だんである。この兵器へいきは「コマンド・ボルト」計画けいかくや、アフガニスタンでの戦闘せんとう、およびベトナム戦争せんそう中なかに「デイジーカッター」の通称つうしょうが付ついたことが知しられている。これはこの兵器へいきが、森林しんりんを吹ふき飛とばしてヘリコプターの着陸ちゃくりく地点ちてんに変かえる能力のうりょくを持もつためだった。投下とうかはC-130またはMC-130輸送ゆそう機きから行おこなわれた。この爆ばく弾だんは255個こが製造せいぞうされた^[1]。BLU-82は2008年ねんに退役たいえきし、より強力きょうりょくなMOABに代替だいたいされた。

概観がいかん

BLU-82B/C-130の元来がんらいの設計せっけいはベトナムの密林みつりんを即席そくせきに伐き掃することであり、試験しけん投下とうかはCH-54、通称つうしょう「フライングクレーン」ヘリコプターから行おこなわれた。後のちにこの兵器へいきは、非常ひじょうに巨大きょだいな爆風ばくふう半径はんけい（1500mから1700mと様々さまざまに報告ほうこくされる）、そして離はなれた距離きょりから判わかる閃光せんこうと音響おんきょうといった理由りゆうから、対人たいじん兵器へいきや威嚇いかく兵器へいきとしてアフガニスタンで使つかわれた。本ほん爆ばく弾だんは今いままでに用もちいられた中なかで最大さいだい級きゅうの通常つうじょう型がた爆ばく弾だんの一ひとつであり、これに優まさる兵器へいきは幾いく種しゅかの地震じしん爆ばく弾だん、燃料ねんりょう気化きか爆ばく弾だん、また地中ちちゅう貫通かんつう爆ばく弾だんが存在そんざいするのみである。これらのうちの幾いくつかには第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後期こうきに出現しゅつげんしたグランドスラムやT12地中ちちゅう貫通かんつう爆ばく弾だんがあり、現代げんだいのものとしてはロシア空軍くうぐんの全すべての爆ばく弾だんの父ちち、またアメリカ空軍くうぐんのMOABや大型おおがた貫通かんつう爆ばく弾だんが存在そんざいする。

「BLU」の名称めいしょうは「Bomb Live Unit」を意味いみし、練習れんしゅうに用もちいられる「BDU」、すなわち「Bomb Dummy Units」と対比たいひしている。

性能せいのう

BLU-82は炸薬さくやくとして硝酸しょうさんアンモニウムおよびアルミニウムを用もちいる^[2]。弾頭だんとうは5,700kgの安価あんかなGSXスラリー爆薬ばくやく（硝酸しょうさんアンモニウム、アルミニウム粉末ふんまつ、およびポリスチレン）を内蔵ないぞうする。

「デイジーカッター」はしばしば、燃料ねんりょう気化きか爆ばく弾だんであると不正確ふせいかくに報道ほうどうされる。燃料ねんりょう気化きか爆ばく弾だんは可燃かねん性せいを持もつ液体えきたいと散布さんぷ装置そうちから構成こうせいされ、またこれらの酸化さんか剤ざいとして空気くうきから酸素さんそを得える。一般いっぱんに燃料ねんりょう気化きか爆ばく弾だんは225kgから900kgで作動さどうする。デイジーカッターのような寸法すんぽうの燃料ねんりょう気化きか爆ばく弾だんを製造せいぞうするのは困難こんなんで、理由りゆうは薬剤やくざいが非常ひじょうに広範囲こうはんいに散布さんぷされた際さい、可燃かねん性せいの薬剤やくざいと外気がいきとを正まさしく均一きんいつに混合こんごうし、維持いじするのが難むずかしいことによる。特とくに強つよい風ふうや熱ねつの勾配こうばいがあるとき、従来じゅうらいの爆発ばくはつ物ぶつはこの点てんでずっと信頼しんらい性せいがある。但ただし後年こうねんロシアは7.1t級きゅうサーモバリック爆ばく弾だんFOAB（全すべての爆ばく弾だんの父ちち）を開発かいはつしている。

BLU-82は爆ばく心地ごこち付近ふきんで7MPaの非常ひじょうに高たかい圧力あつりょくを生うみ出だし、距離きょりが遠とおくなるにつれて次第しだいに減少げんしょうする。この爆ばく弾だんは965mm長ちょうの延長えんちょう信管しんかんにより地表ちひょうで起爆きばくする。この結果けっか、クレーターを掘ほることなく、地表ちひょう付近ふきんで最大さいだいの破壊はかい効果こうかが得えられる。

誘導ゆうどう

この兵器へいきは、地上ちじょうの固定こていレーダーもしくは機上きじょう航法こうほう装置そうちを用もちいた航空機こうくうきの正確せいかくな飛行ひこうに依存いぞんしている。地上ちじょうレーダーの操作そうさ員いん、もしくは利用りよう可能かのうであれば航空機こうくうきの航法こうほう手しゅは、最終さいしゅう的てきな秒読びょうよみと投下とうかの直前ちょくぜんに、航空機こうくうきを正ただしい飛行ひこう位置いちにつける役割やくわりを果はたす。搭乗とうじょう員いんが主おもに考慮こうりょすることは、航法こうほう手しゅによって提供ていきょうされる正確せいかくな弾道だんどう計算けいさんおよび風力ふうりょく・風向ふうこう計算けいさんがあり、また操縦そうじゅう指示しじを厳守げんしゅした精密せいみつ計器けいき飛行ひこうである。極きわめて強力きょうりょくな爆風ばくふう効果こうかのため、この兵器へいきを投下とうかする最低限さいていげんの安全あんぜん高度こうどは地上ちじょうレベルから1,800mとされる。

運用うんよう

BLU-82の元来がんらいの設計せっけいは、ベトナムでヘリコプターの着陸ちゃくりく地帯ちたいや砲兵ほうへいの展開てんかい陣地じんちを伐き掃するためのものだった。南みなみベトナム軍ぐんのVNAF所属しょぞく航空機こうくうきは、ベトナム戦争せんそうの最後さいごの数すう日間にちかん、スアンロクの戦たたかいでベトナム共和きょうわ国こく陸軍りくぐんの兵員へいいんを支援しえんするため、ベトナム人民じんみん軍ぐんの展開てんかいした区域くいきへと自棄じき的てきにBLU-82爆ばく弾だんを投下とうかした。

マヤグエース号ごう事件じけんの最中さいちゅう、MC-130は、コー・タン島とうから撤退てったいしようとするアメリカ海兵かいへい隊たいの支援しえんとしてBLU-82を一発いっぱつ投下とうかした^[3]。

1991年ねんの湾岸わんがん戦争せんそうでは、5回かいの夜間やかん作戦さくせん中ちゅうに11発はつのBLU-82Bが輸送ゆそうされ、投下とうかされた。これら全すべては特殊とくしゅ作戦さくせん用ようのMC-130コンバットタロンから実施じっしされた^[4]。最初さいしょの投下とうかでは、爆ばく弾だんが地雷じらい原はらを除去じょきょもしくは啓けい開ひらけする能力のうりょくがあるかを試ためしたが^[5]、しかしながら地雷じらい除去じょきょの効果こうかについて信頼しんらいのおける評価ひょうかは一般いっぱん公開こうかいされていない。この後のち、本ほん爆ばく弾だんは対人たいじん殺傷さっしょう効力こうりょくと同様どうように心理しんり的てき効果こうかによって投下とうかが行おこなわれた^[6]。

アメリカ空軍くうぐんはアフガニスタンのターリバーンとアルカーイダの基地きちを掃討そうとう中ちゅう、数すう発はつのBLU-82を投下とうかした。これは攻撃こうげきおよび兵員へいいんの士気しきをくじくためで、また地下ちか施設しせつ・壕ごうなどの構築こうちく物ぶつを破壊はかいするためでもあった^[4]。アメリカ軍ぐんは2001年ねん11月^[7]に本ほん爆ばく弾だんを使つかい始はじめ、一いちカ月かげつ後ご、アフガニスタン東部とうぶで行おこなわれたトラボラ戦せんの最中さいちゅうに再ふたたび爆ばく弾だんを使用しようした^[8]。フロリダ州しゅうのデューク飛行場ひこうじょうには第だい919特殊とくしゅ作戦さくせん航空こうくう団だんが駐屯ちゅうとんしており、この航空こうくう団だんに所属しょぞくする第だい711特殊とくしゅ作戦さくせん中隊ちゅうたいの隊員たいいん達たちは、2008年ねん7月がつ15日にち、実用じつよう可能かのうな最後さいごのBLU-82爆ばく弾だんをユタ試験しけん・訓練くんれん場じょうへ投下とうかした^[9]。

参考さんこう文献ぶんけん

^ London, U.K.: Aeroplane, Fricker, John, "Crosswind", October 2006, Volume 34, Number 10, No. 402, page 120.
^ Independent Online, Taliban downs US chopper, killing four, November 6, 2001
^ Grandolini, Albert. “Cambodia, Part Two; 1954-1999”. ACIG.org. 6 February 2013閲覧えつらん。
^ ^a ^b Pike, John. "BLU-82B." Federation of American Scientists, 24 March 2004.
^ Craib, J. A. "Occasional Paper Series 1: Survey of Mine Clearance Technology." BARIC (Consultants) Ltd., September 1994.
^ Wolfowitz, Paul; Stufflebeem, John D. "September 11, 2001: Attack on America." Department of Defense News Briefing, 10 December 2001.
^ “U.S. using mammoth 'Daisy Cutter' bomb” (英語えいご). USA TODAY. (2001年ねん11月6日にち)
^ “Daisy-cutter deployed after bin Laden sighting” (英語えいご). The Telegraph. (2001年ねん12月10日にち)
^ Nichols, Patrick (Captain, 919th Operations Group). "Duke Field Airmen Drop Last 15,000-Pound Bomb." Air Force Link (U.S. Air Force), 21 July 2008.

外部がいぶリンク

"Bomb Live Unit (BLU-82/B)." U.S. Air Force National Museum.
Pike, John. "BLU-82B." Federation of American Scientists, 24 March 2004.
"Daisy Cutter." 3D Animated Short Film by Enrique Garcia & Ruben Salazar ( SILVERSPACE ).

[1] London, U.K.: Aeroplane, Fricker, John, "Crosswind", October 2006, Volume 34, Number 10, No. 402, page 120.

[2] Independent Online, Taliban downs US chopper, killing four, November 6, 2001

[3] Grandolini, Albert. “Cambodia, Part Two; 1954-1999”. ACIG.org. 6 February 2013閲覧えつらん。

[pike-4] Pike, John. "BLU-82B." Federation of American Scientists, 24 March 2004.

[5] Craib, J. A. "Occasional Paper Series 1: Survey of Mine Clearance Technology." BARIC (Consultants) Ltd., September 1994.

[6] Wolfowitz, Paul; Stufflebeem, John D. "September 11, 2001: Attack on America." Department of Defense News Briefing, 10 December 2001.

[7] “U.S. using mammoth 'Daisy Cutter' bomb” (英語えいご). USA TODAY. (2001年ねん11月6日にち)

[8] “Daisy-cutter deployed after bin Laden sighting” (英語えいご). The Telegraph. (2001年ねん12月10日にち)

[9] Nichols, Patrick (Captain, 919th Operations Group). "Duke Field Airmen Drop Last 15,000-Pound Bomb." Air Force Link (U.S. Air Force), 21 July 2008.

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