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DeFi

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

DeFi(decentralized finance、ディーファイ、分散ぶんさんがた金融きんゆう)は、金融きんゆう実験じっけんてき形態けいたいのひとつであり、それは仲買人なかがいにん取引とりひきしょ銀行ぎんこうといった中央ちゅうおう集権しゅうけんてき金融きんゆう仲介ちゅうかいしゃたよらず、ブロックチェーンうえスマート・コントラクト利用りようする[1]。DeFi プラットフォームによって、利用りようしゃあいだ資金しきん貸借たいしゃくおこなったり、デリバティブもちいて様々さまざま資産しさん値動ねうごきに投資とうししたり、暗号あんごう通貨つうか売買ばいばいしたり、リスクにそなえて保険ほけんをかけたり、預金よきんがた口座こうざ利子りしることができる[2]。いくつかの DeFi アプリケーションはこう利子りしうたっているが[2]、リスクもたか[1]。2020ねん10がつ時点じてんで、110おくドル以上いじょう資金しきん様々さまざまな DeFi プロトコルに預託よたくされており、その数字すうじ同年どうねんちゅうで10ばいりつしめした[3][2]。2021ねん1がつ時点じてんで、やく205おくドルが DeFi に投資とうしされていた[4]

沿革えんかく

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暗号あんごう通貨つうか Dai英語えいごばん基盤きばんである MakerDAO は、ステーブルコインようの DeFi プラットフォームとして運営うんえいされており[2]、これによって利用りようしゃは Dai のけをけることができる。MakerDAO は中央ちゅうおう集権しゅうけんてき仕組しくみにより、Dai の価格かかくあめりかドルとペッグしつづけるよう調整ちょうせいする。

2020ねん6がつ、カンパウンド・ファイナンスはそのプラットフォームじょう暗号あんごう通貨つうかたいし、典型てんけいてき利子りし支払しはらいにくわえて、COMP トークンというあたらしい暗号あんごう通貨つうかあたえることにした。これはカンパウンドのプラットフォームで使つかえるのみならず、暗号あんごう通貨つうか取引とりひきしょ売買ばいばいすることもできる。この先例せんれいならほかのプラットフォームも、収益しゅうえき栽培さいばい (yield farming)・流動りゅうどうせい採掘さいくつ (liquidity mining) とばれる同様どうよう仕組しくみを開始かいしし、そこにおいて投資とうしたちはさかんに暗号あんごう通貨つうか資産しさんをプラットフォームのことなるプールあいだ、あるいはことなるプラットフォームあいだうごかし、利子りし手数料てすうりょうのみならず、報酬ほうしゅうとして付加ふかてきなトークンの価値かちふくめたそう収益しゅうえき最大さいだいしようとする[5]

2020ねん11月にワシントン・ポストは DeFi の紹介しょうかい記事きじ掲載けいさいし、収益しゅうえき栽培さいばい詳細しょうさいや、投資とうしによりられる利益りえきとリスクを解説かいせつした[5]。2020ねん9がつブルームバーグは、DeFi は価格かかく変動へんどうというてん暗号あんごう通貨つうか市場いちばの 2/3 を構成こうせいしており、DeFi の担保たんぽは90おくドルにたっしているとほうじた[6]。DeFi への関心かんしんたかまりにより、イーサリアムは2020ねん開発かいはつしゃ増加ぞうかした[7]

アンドリーセン・ホロウィッツ[1]、ベイン・キャピトル・ヴェンチャーズ、マイケル・ノヴォグラッツといったおおくの暗号あんごう通貨つうかベンチャーが DeFi に関心かんしんせている[8]

エコノミストは、2022ねんのデジタル金融きんゆう未来みらいを「どもえたたかい」となしました。デジタルウォレットを開発かいはつしたフェイスブックなどのビッグテック、独自どくじのデジタル通貨つうかをテストしている「富裕ふゆうそう大国たいこく」、金融きんゆう分散ぶんさんするために「あらゆる種類しゅるいのアプリケーションを開発かいはつ」するソフトウェア開発かいはつしゃ。すでに 2.5 ちょうドルの評価ひょうかけている暗号あんごう資産しさんがもたらすリスクへの対処たいしょは、米国べいこく規制きせい当局とうきょくにとって特別とくべつ課題かだいであった[9]

仕組しく

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DeFi は DApps(分散ぶんさんアプリケーション)とばれる一連いちれんのアプリケーションを中核ちゅうかくとし、DApps はブロックチェーンばれるデジタル台帳だいちょうもちいてその金融きんゆう機能きのう実現じつげんする。ブロックチェーンはビットコインはじめて利用りようされたが、そのはより広範囲こうはんい採用さいようされている[2]。DApps のトランザクションは、暗号あんごう通貨つうか取引とりひきしょのような中央ちゅうおう集権しゅうけんてき仲介ちゅうかいしゃかいするのでなく、利用りようしゃあいだ直接ちょくせつおこなわれるものであり、それはスマート・コントラクト・プログラムによって実現じつげんされる[1]。DApps は典型てんけいてきには、MetaMask のような Web3 対応たいおうブラウザ拡張かくちょう機能きのうもしくはアプリケーションをつうじて利用りようできる[10][11]。これらの DApps のおおくは、たがいに接続せつぞくきょうはたらけすることで複雑ふくざつ金融きんゆうサービスを[2]たとえば、ステーブルコインの所有しょゆうしゃ資産しさん流動りゅうどうせいプールにあづけることができる。利用りようしゃ追加ついか担保たんぽ通常つうじょう貸付かしつけ金額きんがく以上いじょうの)をすことでそのプールからりることができる。このプロトコルは、資産しさんたいするその時々ときどき需要じゅようおうじて自動的じどうてき利率りりつ調整ちょうせいする[1]

分散ぶんさんがた」とは、中心ちゅうしんとなる取引とりひきしょいことをす。DeFi プロトコルのためのスマート・コントラクト・プログラムは、それ自体じたい開発かいはつしゃとプログラマのコミュニティによってつくられたオープンソースのソフトウェアをもちいて実行じっこうされている[12]

DeFi プロトコルのひとつのれいUniswap で、この分散ぶんさんがた取引とりひきしょ (DEX) はイーサリアム・ブロックチェーンじょう実行じっこうされ、イーサリアム・ブロックチェーンじょう発行はっこうされたなんひゃくという様々さまざまなデジタル・トークンの取引とりひき可能かのうにしている。Uniswap のアルゴリズムは、取引とりひき注文ちゅうもんをさばくため中央ちゅうおう集権しゅうけんてきなマーケット・メーカー(づけ業者ぎょうしゃ)に依存いぞんするのではなく、流動りゅうどうせいたかめた利用りようしゃ取引とりひき手数料てすうりょうあたえることにより、トークンの流動りゅうどうせいプールを形成けいせいするよう利用りようしゃにインセンティブをあたえる。開発かいはつチームは Uniswap じょう動作どうさするソフトウェアをつくるが、Uniswap のプラットフォームは根本こんぽんてきにその利用りようしゃたちが支配しはいしている。なんらかの中央ちゅうおう集権しゅうけんてき集団しゅうだんが Uniswap を運営うんえいしているわけではないため、プラットフォームを使つかっている利用りようしゃ身分みぶんだれ確認かくにんすることがない。Uniswap のようなプラットフォームの合法ごうほうせいをどの官庁かんちょう判断はんだんするかははっきりしない[13]

べつれいとして「フラッシュ・ローン」(瞬間しゅんかんてき貸借たいしゃく)というものがあり、この任意にんいがく担保たんぽ貸借たいしゃく単一たんいつブロックないにおいてぶん単位たんいもしくはびょう単位たんい完結かんけつする。こうした貸借たいしゃくにはとう使つかわれかたもあるが、DeFi プラットフォームにおける不正ふせい行為こういのいくつかは暗号あんごう通貨つうか現物げんぶつ価格かかく一時いちじてき操作そうさするためにフラッシュ・ローンを悪用あくようしている[14]

批判ひはん

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ブロックチェーンのトランザクションは可逆かぎゃくてきであり、すなわち DeFi プラットフォームで間違まちがったトランザクションがしょうじたり、エラーをふくんだスマート・コントラクト・プログラムを配置はいちしてしまった場合ばあいつね簡単かんたん修正しゅうせいできるとはかぎらない[2]。プログラムのエラーと意図いとてき不正ふせいは、ありふれたものである[15][2]。2020ねんには、ヤム・ファイナンスというプラットフォームが7おく5せんまんドルまで急速きゅうそく預入よにゅう金額きんがくばしたが、プログラムにエラーがあったため、ローンチからなんにちもしないうちにクラッシュしてしまった[2]。また、DeFi プラットフォームをささえるスマート・コントラクト・プログラムは一般いっぱんにオープンソースであり、簡単かんたんにコピーして競合きょうごうプラットフォームをげることができ、そうして資金しきんがプラットフォームからべつのプラットフォームにうつされることで不安定ふあんていさがしょうじる[12]

ある DeFi プロトコルの背後はいごだれ/なにるかは不明ふめいなこともあり、投資とうし資金しきんげしてえてしまうこともある[12]投資とうしのマイケル・ノヴォグラッツは、いくつかの DeFi プロトコルは「ポンジ・スキームのようなものだ」とべている[8]。DeFi は、本人ほんにん確認かくにんルールや資金しきん洗浄せんじょう防止ぼうしルールとははなはだしく相容あいいれないものである[1]

DeFi は2017ねん暗号あんごう通貨つうかバブル英語えいごばんいちめんであった ICO ブームと比較ひかくされてきている。未熟みじゅく投資とうしは DeFi プラットフォームを使つかって損失そんしつこうむたかいリスクがあるが、なぜならそうしたプラットフォームを使つかいこなすには高度こうどなセンスが必要ひつようであり、お客様きゃくさま相談そうだんしつのような相談そうだんさきいからだ[15][16]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e f “‘DeFi’ movement promises high interest but high risk”. Financial Times. (2019ねん12月30にち). https://www.ft.com/content/16db565a-25a1-11ea-9305-4234e74b0ef3 2020ねん10がつ6にち閲覧えつらん 
  2. ^ a b c d e f g h i “Why ‘DeFi’ Utopia Would Be Finance Without Financiers: QuickTake”. Bloomberg. (2020ねん8がつ26にち). https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-08-26/why-defi-utopia-would-be-finance-without-financiers-quicktake 2020ねん10がつ6にち閲覧えつらん 
  3. ^ Leading ‘Privacy Coin’ Zcash Poised For Growth Following Placement On Ethereum” (英語えいご). Forbes. 2021ねん2がつ4にち閲覧えつらん
  4. ^ Ether’s Market Value Surges $20 Billion In One Day While Bitcoin Prices Slow–Here’s Why” (英語えいご). Forbes. 2021ねん2がつ4にち閲覧えつらん
  5. ^ a b “What’s ‘Yield Farming’? (And How Do You Grow Crypto?)”. The Washington Post. (2020ねん7がつ31にち). https://www.washingtonpost.com/business/whats-yield-farming-and-how-do-you-grow-crypto/2020/07/25/b0fc4662-ce5d-11ea-99b0-8426e26d203b_story.html 2020ねん10がつ5にち閲覧えつらん 
  6. ^ “Crypto Is Beating Gold as 2020’s Top Asset So Far”. Bloomberg. (2020ねん9がつ22にち). https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-09-22/defi-mania-puts-crypto-ahead-of-gold-as-2020-s-top-asset-so-far 2020ねん10がつ5にち閲覧えつらん 
  7. ^ Coders Flock Back to Crypto Projects With Prices Surging Again” (英語えいご). Bloomberg.com (10 December 2020). 2021ねん2がつ4にち閲覧えつらん
  8. ^ a b “Novogratz Plows Ahead In DeFi Amid the ‘Gamifying’ of Crypto”. Bloomberg. (2020ねん9がつ29にち). https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-09-29/novogratz-plows-ahead-in-defi-amid-the-gamifying-of-crypto 2020ねん10がつ6にち閲覧えつらん 
  9. ^ Rachana Shanbhogue (2021) "A three-way fight to shape the future of digital finance has begun", The Economist: The World Ahead 2022, 8 November. Accessed 6 January 2022
  10. ^ Crypto wallet MetaMask finally launches on iOS and Android, and it supports Apple Pay” (英語えいご). Mashable. 2021ねん2がつ4にち閲覧えつらん
  11. ^ MetaMask’s Blockchain Mobile App Opens Doors For Next-Level Web” (英語えいご). Bloomberg.com (2 September 2020). 2021ねん2がつ4にち閲覧えつらん
  12. ^ a b c “Crypto Exchange Gets Millions After Copy-Paste of a Rival’s Code”. Bloomberg. (2020ねん9がつ11にち). https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-09-11/-come-to-jesus-moment-for-crypto-finance-apps-rocks-valuations 2020ねん10がつ6にち閲覧えつらん 
  13. ^ DeFi Boom Makes Uniswap Most Sought-After Crypto Exchange”. Bloomberg.com. Bloomberg (October 16, 2020). 7 November 2020閲覧えつらん
  14. ^ DeFiance: billion dollar finance, million dollar hacks, and very little value”. TechCrunch (February 18, 2020). 22 November 2020閲覧えつらん
  15. ^ a b “Boom or bust? Welcome to the freewheeling world of crypto lending”. Reuters. (2020ねん8がつ26にち). https://uk.reuters.com/article/uk-crypto-currencies-lending-insight/boom-or-bust-welcome-to-the-freewheeling-world-of-crypto-lending-idUKKBN25M0GQ 2020ねん10がつ6にち閲覧えつらん 
  16. ^ Braun, Alexander (May 2020). “fidentiaX: The Tradable Insurance Marketplace on Blockchain”. Harvard Business School. 2021ねん1がつ5にち閲覧えつらん