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Eu(fod)3 は化学 かがく 式 しき Eu(OCC(CH3 )3 CHCOC3 F7 )3 を持 も つ化合 かごう 物 ぶつ である。EuFOD とも呼 よ ばれる。この配 はい 位 い 化合 かごう 物 ぶつ は主 おも にNMR分光 ぶんこう 法 ほう におけるシフト試薬 しやく として使 つか われる。ランタノイド 系 けい シフト試薬 しやく の最初 さいしょ の化合 かごう 物 ぶつ であり、1970年代 ねんだい および1980年代 ねんだい に人気 にんき があった。
Eu(fod)3 はEu (III) 中心 ちゅうしん に結合 けつごう した3つの二 に 座 ざ 配 はい 位 い (英語 えいご 版 ばん ) アセチルアセトナート配 はい 位 い 子 こ (英語 えいご 版 ばん ) から成 な る。この金属 きんぞく 原子 げんし はf6 の電子 でんし 配置 はいち を持 も つ。これら6つの電子 でんし は不 ふ 対 たい 電子 でんし (それぞれが異 こと なるf軌道 きどう を単独 たんどく で占有 せんゆう している)であり、これによって分子 ぶんし は高度 こうど に常 つね 磁性 じせい となる。この錯体 さくたい はルイス酸 さん であり、配 はい 位 い 数 すう を6から8に拡張 かくちょう することができる。錯体 さくたい はエーテル 中 なか の酸素 さんそ 原子 げんし やアミン 中 なか の窒素 ちっそ 原子 げんし といった「硬 かた い 」ルイス塩基 えんき に対 たい して特 とく に親和 しんわ 性 せい を示 しめ す。非 ひ 極性 きょくせい 溶媒 ようばい に可 か 溶であり、アセチルアセトン やヘキサフルオロアセチルアセトン (英語 えいご 版 ばん ) の類縁 るいえん 錯体 さくたい よりもよく溶 と ける。Fod配 はい 位 い 子 こ はヘプタフルオロ酪酸 の誘導体 ゆうどうたい である。
Eu(fod)3 の当初 とうしょ の利用 りよう は、NMR分光 ぶんこう 法 ほう においてジアステレオマー化合 かごう 物 ぶつ の分析 ぶんせき に対 たい するものだった。常 つね 磁性 じせい NMR分光 ぶんこう 法 ほう (英語 えいご 版 ばん ) において典型 てんけい 的 てき なことだが、常 つね 磁性 じせい 化合 かごう 物 ぶつ は分子 ぶんし 中 ちゅう のルイス塩基 えんき が結合 けつごう する部位 ぶい の近 ちか くのプロトンにおいて追加 ついか の化学 かがく シフト を誘導 ゆうどう する。この変化 へんか によって、通常 つうじょう では化学 かがく シフトが似通 にかよ っているが、ルイス塩基 えんき 部位 ぶい とは近 ちか くないプロトンとシグナルが分離 ぶんり することで解析 かいせき が容易 ようい となる。試薬 しやく の常 つね 磁性 じせい は核 かく のスピン-格子 こうし 緩和 かんわ (縦 たて 緩和 かんわ )時間 じかん を短縮 たんしゅく し、線 せん 幅 はば の拡 ひろ がりと分解能 ぶんかいのう の低下 ていか の原因 げんいん となるため、ごく少量 しょうりょう のシフト試薬 しやく が使用 しよう される。より高 たか い磁場 じば を持 も つ分光 ぶんこう 計 けい が利用 りよう 可能 かのう となることで、NMRシフト試薬 しやく に対 たい する必要 ひつよう 性 せい が低下 ていか してきた。
最初 さいしょ のシフト試薬 しやく はHinckleyによって開発 かいはつ されたEu(DPM)3 であった[1] [2] 。その構造 こうぞう はEu(fod)3 と似 に ているが、ヘプタフルオトプロピル基 もと の代 か わりにtert -ブチル基 もと を持 も つ。すなわち、DPM− はジピバロイルメタン(2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオン)から誘導 ゆうどう される共役 きょうやく 塩基 えんき である。配 はい 位 い 子 こ fod− はより親 おや 油性 ゆせい であり、ペルフルオロアルキル基 もと のおかげで、その錯体 さくたい はDPM− 錯体 さくたい よりもルイス酸性 さんせい が高 たか い。
Eu(fod)3 は、立体 りったい 選択 せんたく 的 てき ディールス・アルダー反応 はんのう やアルドール付加 ふか 反応 はんのう を含 ふく む有機 ゆうき 合成 ごうせい においてルイス酸 さん 触媒 しょくばい として働 はたら く。例 たと えば、Eu(fod)3 は置換 ちかん ジエン と芳香 ほうこう 族 ぞく および脂肪 しぼう 族 ぞく アルデヒド との環 たまき 化 か 縮 ちぢみ 合 あい を触媒 しょくばい し、endo 付加 ふか 体 たい に対 たい する高 たか い選択 せんたく 性 せい でジヒドロピラン が得 え られる[3] 。
^ C. C. Hinckley (1969). “Paramagnetic Shifts in Solutions of Cholesterol and the Dipyridine Adduct of Trisdipivalomethanatoeuropium(III). A Shift Reagent”. J. Am. Chem. Soc. 91 : 5160–5162. doi :10.1021/ja01046a038 .
^ Sanders, Jeremy K. M.; Williams, Dudley H. (1972). “Shift Reagents in NMR Spectroscopy”. Nature 240 (5381): 385–390. doi :10.1038/240385a0 .
^ Wenzel, T.J.; Ciak, J.M. (2004). “Europium, tris(6,6,7,7,8,8,8-heptafluoro-2,2-dimethyl-3,5-octanedianato)”. Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis . John Wiley & Sons, Ltd.. doi :10.1002/047084289X.rn00449