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PAdES

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

PAdES (PDF長期ちょうき署名しょめいPDF Advanced Electronic Signatures) とは、高度こうど電子でんし署名しょめい要件ようけんうようにしたポータブル・ドキュメント・フォーマット(PDF)およびISO 32000-1の拡張かくちょうである。この標準ひょうじゅん仕様しようはETSI TS 102 778(TS:技術ぎじゅつ仕様しよう)として欧州おうしゅう電気でんき通信つうしん標準ひょうじゅん機構きこう(ETSI)より公開こうかいされていたが、2016ねん4がつよりETSI EN 319 142 にえられた。

説明せつめい

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PDFおよびISO 32000-1は、これらのドキュメントにたいしてデジタル署名しょめいおこなうフレームワークを提供ていきょうしているが、PAdES(ETSI TS 102 778)はEU電子でんし署名しょめい指令しれい1999/93/EC要件ようけんうようにPDF使用しようするためのくわしいプロファイルを規定きていしている。 2016ねんよりEU規制きせい № 910/2014 eIDAS(Electronic identification and trust services)規則きそく施行しこうされ、体系たいけい刷新さっしんともないETSI EN 319 142が定義ていぎされた。

PAdESのひとつの重要じゅうよう利点りてんは、長期ちょうき署名しょめいけプロファイルで電子でんしてき署名しょめいされた文書ぶんしょは、使用しようしている暗号あんごうアルゴリズムがやぶられたとしても長期間ちょうきかん有効ゆうこうなままであるということにある。

PAdESはすうじゅうねんといったなが期間きかん電子でんしてき署名しょめいされた文書ぶんしょ利用りよう保管ほかんされる場合ばあいがあることを想定そうていしている。署名しょめいおこなった時点じてん署名しょめい有効ゆうこうであったことを確認かくにんするために、将来しょうらい任意にんい時刻じこくに、文書ぶんしょ検証けんしょうすることができなければならない。この概念がいねん長期ちょうき検証けんしょう(LTV: Long-Term Validation)としてられている。

PAdESの欧州おうしゅう規格きかく(EN 319 142)は、EU電子でんし署名しょめい指令しれい要件ようけんたすためのPDFの適用てきよう方法ほうほう拡張かくちょうしめしている。ETSIはこれらの欧州おうしゅう固有こゆう要件ようけんつぎのPDFの標準ひょうじゅん改訂かいていばんであるISO 32000-2にふくめるようISOにフィードバックしている。

PAdESは、ETSI電子でんし署名しょめい基盤きばん技術ぎじゅつ委員いいんかい(TC ESI)により作成さくせいされ、欧州おうしゅう連合れんごうひろ認識にんしきされ、ひとむことができる文書ぶんしょふくまないアプリケーションにてきした、の2つの電子でんし署名しょめいであるCAdESXAdES概念がいねん補足ほそくするものである。

すべてのETSI標準ひょうじゅん同様どうように、PAdES、CAdESおよびXAdESの標準ひょうじゅん仕様しようETSI ダウンロードページから入手にゅうしゅできる。

電子でんし署名しょめいは、論理ろんりてきてられるか、契約けいやく文書ぶんしょとうによりてられた、あたえられたひとひもづき特定とくていされる識別しきべつ情報じょうほうもちいて、手書てが署名しょめい同等どうとう拘束こうそくりょくちながら、ある文書ぶんしょ署名しょめいするかみ必要ひつようとしない方法ほうほうである。これは署名しょめいしゃ認証にんしょうするのに使つかえると同時どうじに、署名しょめいおこなわれたいかなる変更へんこう発見はっけんすることができる。電子でんし署名しょめい電子でんし商取引しょうとりひき、とりわけインターネットじょうでの取引とりひきにおいて需要じゅよう要素ようそであることが認識にんしきされている。電子でんし署名しょめい技術ぎじゅつ利用りよう可能かのうせいすで電子でんしビジネスや電子でんし政府せいふ重要じゅうよう構成こうせい要素ようそとなっている。

PDF文書ぶんしょについては、手書てがきのインクによる署名しょめいかみ文書ぶんしょ必要ひつよう部分ぶぶんとなるのとおなじように、完全かんぜん署名しょめいふくむPDFファイルが単純たんじゅん電子でんしファイルとして、コピー、保存ほぞんおよび配布はいふできるように、署名しょめいデータは直接ちょくせつ署名しょめいされたPDF文書ぶんしょなかまれる。PDFの署名しょめいにはフォームフィールドのように、かみ文書ぶんしょにあるような視覚しかく表現ひょうげんふくまれている。PAdESの重要じゅうよう利点りてんは、ひろ利用りよう可能かのうなPDFソフトウェアによりひろ配布はいふできるということにある。開発かいはつやカスタマイズや特別とくべつなソフトウェアは必要ひつようとしない。

PAdES標準ひょうじゅん (ETSI TS 102 778) (2009ねん7がつ~2016ねん3がつ)

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PAdESのETSI技術ぎじゅつ仕様しようは5つのパートにより構成こうせいされる:

  • パート1: PAdES 概要がいよう -- PAdESのフレームワークをしめ文書ぶんしょ
  • パート2: PAdES Basic -- ISO 32000-1にもとづくプロファイル
  • パート3: PAdES Enhanced -- PAdES-BESおよびPAdES-EPESにかんする規定きてい
  • パート4: PAdES Long Term -- PAdESの長期ちょうき検証けんしょう(LTV)プロファイル
  • パート5: PAdES for XML Content -- PDFにふくまれるXML文書ぶんしょへのXAdES署名しょめいのプロファイル

PAdES標準ひょうじゅん (ETSI EN 319 142) (2016ねん4がつ~)

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eIDAS の技術ぎじゅつ体系たいけいのうち電子でんし署名しょめい(ESI: Electronic Signatures and Infrastructures)を記述きじゅつした ETSI TR 119 100 にCAdES, XAdES, PAdES の総論そうろんがある。

  • ETSI TR 119 000 Technical Report -

Electronic Signatures and Infrastructures (ESI); The framework for standardization of signatures: overview (本書ほんしょ4.3.2 にESIの文書ぶんしょ体系たいけい掲載けいさいされている。)[1]

  • ETSI TR 119 100 Technical Report - Electronic Signatures and Infrastructures (ESI); Guidance on the use of standards for

signature creation and validation[2]

PAdESのは3つのパート(Part 1,2 はEN(欧州おうしゅう規格きかく)、Part 3はTS(技術ぎじゅつ仕様しよう))により構成こうせいされる:

  • ETSI EN 319 142-1[3]: PAdES Building blocks and PAdES baseline signatures -- PAdESの構成こうせいとベースライン署名しょめいについて。ベースラインとは相互そうご運用うんようせい最大限さいだいげんにするために使用しようできるオプションを最小限さいしょうげんにしたもの。
  • ETSI EN 319 142-2[4]: PAdES Additional PAdES signature profiles --その署名しょめいプロファイルについて。

およびTSとしてPart 3が存在そんざいする。

  • ETSI TS 119 142-3[5]: PAdES Document Time-stamp digital signatures (PAdES-DTS) -- 文書ぶんしょがある時点じてん存在そんざいかいざんされていないことを証明しょうめいするタイムスタンプにかんする規定きていほんプロファイルでは文書ぶんしょのある時点じてんでの存在そんざいのみを保証ほしょうし、署名しょめいしゃについての保証ほしょう提供ていきょうしない。

ETSI EN 319 142-1 では以下いか署名しょめいレベルを定義ていぎしている。

  • B-B level 短期たんきてき利用りよう目的もくてき電子でんし署名しょめい
  • B-T level B-Bにタイムスタンプ認証にんしょうきょくのトークンをくわえ、文書ぶんしょがある時点じてん存在そんざいしたことを証明しょうめいできる。
  • B-LT level B-Tにくわえ、証明しょうめいきょく存在そんざいしなくなっても文書ぶんしょ検証けんしょうできるよう、署名しょめい当時とうじ証明しょうめいしょ上位じょうい証明しょうめいしょ失効しっこうデータをすべて格納かくのうする。
  • B-LTA level B-LTにタイムスタンプ認証にんしょうきょくのドキュメントタイムスタンプをくわえたもの。長期ちょうき保存ほぞんもっとてきした形式けいしき

ETSI EN 319 142-2 では以下いか署名しょめいプロファイルを定義ていぎしている。

  • PAdES-E-BES level
  • PAdES-E-EPES level
  • PAdES-E-LTV level


PAdESの標準ひょうじゅんETSIダウンロードページより無償むしょう入手にゅうしゅできる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ [1]Technical Report - Electronic Signatures and Infrastructures (ESI); The framework for standardization of signatures: overview
  2. ^ [2]Technical Report - Electronic Signatures and Infrastructures (ESI); Guidance on the use of standards for signature creation and validation
  3. ^ http://www.etsi.org/deliver/etsi_en/319100_319199/31914201/01.01.01_60/en_31914201v010101p.pdf
  4. ^ http://www.etsi.org/deliver/etsi_en/319100_319199/31914202/01.01.01_60/en_31914202v010101p.pdf
  5. ^ http://www.etsi.org/deliver/etsi_ts/119100_119199/11914203/01.01.01_60/ts_11914203v010101p.pdf

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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  • [3] ETSI作業さぎょう項目こうもく:TS 101 778 PAdES 策定さくてい
  • ISO 32000-1:2008 - ISOにおけるPDFの標準ひょうじゅん仕様しよう
  • Pades署名しょめい ETSI Pades
  • [4] Network Security Forum 2015 電子でんし署名しょめいかかわる標準ひょうじゅん最新さいしん動向どうこう 佐藤さとう雅史まさし(JNSA電子でんし署名しょめいWG サブリーダー / セコム株式会社かぶしきがいしゃ IS研究所けんきゅうじょ 2015ねん1がつ20日はつか)