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Yeo

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

yeoロシアインディーゲームスタジオ。また、スタジオ主催しゅさいしゃVadim Gilyazetdinov別称べっしょうでもある[1][2]

概要がいよう

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作風さくふうは、「アウトローな存在そんざいをテーマに、かれらの暴力ぼうりょくせいだけでなくアウトローゆえ哀愁あいしゅう空虚くうきょさにも焦点しょうてんて、それを緻密ちみつな2Dドットもちいて文学ぶんがくてきえがく」とひょうされている[3]。『くにおくんシリーズ』の影響えいきょうつよけた[2]、1980-1990年代ねんだいふうのドットのゲームを発表はっぴょうしている[4]。スタッフのおおくはロシアじんであるが、1さくThe friends of Ringo Ishikawa』、3さくFading Afternoon』は日本にっぽん舞台ぶたいとなっている。ゲーム設計せっけいにはきたせらけいはん影響えいきょうけている[5]

yeoという名前なまえは、Vadimがレースゲームでこう得点とくてん達成たっせいしたさいおもいついて入力にゅうりょくして以来いらい使用しようしている[6]。Vadimは中学生ちゅうがくせいとき漫画まんがえがくようになり、映画えいが監督かんとくあこがれて「directed by yeo」とサインをつけていた。その名残なごりから、ゲームの冒頭ぼうとうには「by yeo」と表示ひょうじされる[2]

20さい未満みまんである1さく主人公しゅじんこうふくめ、発表はっぴょうされている3作品さくひんすべての主人公しゅじんこう喫煙きつえんしゃであり、プレイヤーのきなとき煙草たばこわせることができる。これは、Vadimとその親族しんぞくすべてが子供こどもころからの喫煙きつえんしゃであるため。Vadimは煙草たばこを「うつくしい」とかん愛好あいこうしていたが、31さいむすめをもうけてから禁煙きんえんしている[5]

作品さくひん

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The friends of Ringo Ishikawa (2018ねん5がつ17にち。Steam、Nintendo Switch、Xbox One)
1980年代ねんだい日本にっぽん舞台ぶたいに、高校こうこう3年生ねんせいあきむかえた不良ふりょう少年しょうねん石河いしかわりんわれとその友人ゆうじんたちをえが青春せいしゅんRPG。
Arrest of a stone Buddha (2020ねん2がつ27にち。Steam、Nintendo Switch、Xbox One)
1976ねん11月のフランスを舞台ぶたいにした、不眠症ふみんしょうころによるノンストップシューティングアクション。
Fading Afternoon (2020ねん9がつ15にち。Steam)
1980年代ねんだい大阪おおさかふう舞台ぶたいで、10年間ねんかん服役ふくえきえた初老しょろうヤクザ・丸山まるやま誠二せいじざまえがくRPG。

スタッフ

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Vadim Gilyazetdinov(yeo)
監督かんとく脚本きゃくほん、プログラム。
Artem Belov(Wedmak2)
背景はいけいアーティスト。
Nikolay Gilyazetdinov
2さくまでのキャラクターアーティスト。3さくでのアニメーションコンサルタント、作曲さっきょく、ギター演奏えんそう
Ueda M.
1さくのキービジュアル、翻訳ほんやく校正こうせい。3さくのキャラクターアーティスト、キービジュアル。

経歴けいれき

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オリジナルゲームの制作せいさくまで

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Vadimは1981ねんモスクワまれた[4]子供こどもころに、いえ不良ふりょう少年しょうねんたちが突然とつぜんやってきておびえていたところ、ゲームデータが違法いほうにコピーされたカートリッジをわたされ、そのなかにあった『ダウンタウン熱血ねっけつ物語ものがたり』に熱中ねっちゅうするようになった[4][2]翻訳ほんやく日本語にほんごゲームを、ストーリーのわからないままプレイし、主人公しゅじんこうの「くにおくん」をヤクザだとおもっていたという[2]。『熱血ねっけつ格闘かくとう伝説でんせつ』や『忍者にんじゃりゅうけんでん』や『ファイナルファンタジーVII』や『ゼノギアス』や『シェンムー』など、すうおおくの日本にっぽんせいゲームをプレイした[2][4]かれちちソ連それん初期しょききょく真空しんくうしゅであり、幼少ようしょうころからちち空手からてならい、カンフー映画えいが忍者にんじゃ映画えいが東洋とうよう文化ぶんか魅了みりょうされてそだった[7]

あるとき、Vadimが学校がっこうからかえると、自宅じたく玄関げんかんちちまみれでたおれていた。ちち強盗ごうとう集団しゅうだんおそわれ、そのうち一人ひとりかえちにして気絶きぜつさせるも、ものにナイフでりつけられた。いのち別状べつじょうはなかったが、以降いこうちち左手ひだりてこぶしをつくることができなくなった。このエピソードは、のち制作せいさくされたゲームないにも反映はんえいされている[4]

Vadimは少年しょうねんについて「きるのに簡単かんたん時代じだい場所ばしょではなかった」とべている。よく喧嘩けんかをしたが、相手あいてあごくだいて警察けいさつ沙汰ざたになって以来いらい喧嘩けんかけるようになった。15さいときにキックボクシングに熱中ねっちゅうしたが、あし病気びょうき怪我けがによりめ、ボクシングに転向てんこうした。その時期じきに、不正ふせいにコピーしたゲームデータをりさばくという商売しょうばい大金たいきんかせいでいた。違法いほうであるが、「人生じんせい最高さいこうときだった。自由じゆう友情ゆうじょう感覚かんかく、すべてのみちひらかれていて、達成たっせいできないことはなにもなかった」という全能ぜんのうかんがあったという[4]。また、ギャンブル中毒ちゅうどくでもあった[6]

大人おとなになってからVadimは、化学かがく博士はかせごう取得しゅとく、モスクワのIT Government Departmentにつとめるようになった[4]。ロシアじんけの『くにおくん』ファンサイトを制作せいさくし、テクノスジャパン素材そざい使つかった小規模しょうきぼ創作そうさくゲームを制作せいさくするようになった[2]。ストーリーは悲劇ひげきてきになりがちで、ある作品さくひんは「くにおくんが20ねんぶりに故郷こきょうかえるが、わかひとたちはもうくにおくんのことをおぼえておらず、くにおくんは一文いちぶんしで、もう人生じんせい上手うまくいかない」というストーリーだった[7]。よりだい規模きぼなゲームを制作せいさくしようとかんがえ、『Friends of Riki Samejima』[注釈ちゅうしゃく 1]という、『The friends of Ringo Ishikawa』の前身ぜんしんとなるタイトルをつけていた[2]

ファンサイトをげてから3ねん、Vadimは既存きそん素材そざい使つかわない完全かんぜんオリジナルのゲームを開発かいはつしようとおもった[2]。2006ねんGame Makerもちいてスクリプトをはじめたが、まどから侵入しんにゅうしてきたものにパソコンを破壊はかいされ、すべてのデータがえた[4]

『The friends of Ringo Ishikawa』発表はっぴょうまで

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VadimはGameMaker Studioでプログラムをむようになり、ゲームグラフィックのために1年間ねんかん練習れんしゅうをしたが挫折ざせつした[4]。グラフィックアーティストをさがしたが、ロシアのゲーム開発かいはつしゃけフォーラムでは、コンセプトや舞台ぶたいが「クソ」であると酷評こくひょうけ、応募おうぼがなかった[2]一人ひとりで50まい背景はいけいえがけるひともとめていたが、「一人ひとりえがけるはずがない」ともフォーラムでわれた[1]。しかし、webじょうでWedmak2と名乗なのっている、建築けんちくでピクセルアーティストのArtem Belovが名乗なのりをげ、かれ背景はいけい手掛てがけるようになり、Artemは一人ひとりで50まい背景はいけい制作せいさくした[2][1]。『The friends of Ringo Ishikawa』の物語ものがたりはよりかなしくんだものになる予定よていであったが、Artemが「善良ぜんりょう純粋じゅんすいひと」であるために、Vadimは悲劇ひげきせい抑制よくせいした[4]

つぎに、キャラクターアニメーションをえがくアーティストをさがしたが、難航なんこうつからないまま2ヶ月かげつ経過けいかした。Vadimのゲーム制作せいさく両親りょうしん応援おうえんしていたが、Vadimが希望きぼううしなっているのをて、当時とうじ58さいだったちちのNikolayは、いちからピクセルアートをまなんでキャラクターをえがくと名乗なのた。Vadimは様々さまざま格闘技かくとうぎ精通せいつうしており、アクションをえんじて撮影さつえいし、その動画どうがをもとにNikolayが制作せいさくした。Nikolayは2ねんかけて1000まいのアニメーションをえがいた[1][2]

Vadimはゲームに集中しゅうちゅうするため、製作せいさく途中とちゅう会社かいしゃめた[2]ちたいのであればリスクを背負しょわなければならない、というおもいがあった[4]つまはいいがおはしなかったが、応援おうえんしてくれたという[6]

2018ねん5がつ17にちに『The friends of Ringo Ishikawa』は発売はつばいされた。評論ひょうろんでは、「残酷ざんこく現実げんじつしつぶされそうな若者わかものの、選択せんたくミスとおおきすぎる犠牲ぎせいえが物語ものがたり」「不良ふりょう美学びがくとノスタルジー」[8]、「おおくのひとが 10 だい直面ちょくめんする実存じつぞんてき危機きき」をえがいている[9]、とかたられた。

Artemの手掛てがける背景はいけいイラストは「日本にっぽんちいさなまち描写びょうしゃがリアルにかんじられる」「細部さいぶへのこだわりはおどろくべきもの」とひょうされたが、Artemに来日らいにち経験けいけんはない。Artemはアメリカにつよ期待きたいなついて訪米ほうべいした経験けいけんがあるが、「わたしあきらかにそこにぞくしていないこと、そして自分じぶん外国がいこくじんであることをすぐに理解りかいしました」とのことで、おなおもいをあじわいたくないためにえて日本にっぽんかないでいる[7]

『Arrest of a stone Buddha』発表はっぴょうまで

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Vadimは前作ぜんさく発表はっぴょうからすぐに、銃撃じゅうげきせんのシステムをつくり、ゲームプレイを補完ほかんするものとしてストーリーを、つぎにコンセプトをつくげた[10]

前作ぜんさくでは椅子いすすわるアニメーションが1コマであったが、つぎさくではアニメーションをやし6コマかけた。Vadimの長年ながねんゆめであった「ピクセルアートでコートを着脱ちゃくだつする」という表現ひょうげん実装じっそうされ、完成かんせいまでにNikolayはイラストを400まいなおした[10]

不良ふりょう少年しょうねん友情ゆうじょうえが前作ぜんさくが、プレイヤーの選択せんたくとおして変化へんかする人間にんげん関係かんけいや、身体しんたい能力のうりょく格闘かくとう技術ぎじゅつのレベルアップ機能きのうそなえているのにたいし、つぎさくの『Arrest of a stone Buddha』は「社会しゃかいてき孤立こりつしているプロのころ」をえがくために、能動のうどうてきだれかと交流こうりゅうすることはできず、レベルアップ機能きのう削除さくじょされた[5]

2020ねん2がつ27にち発売はつばい、「前作ぜんさくから一転いってんして、『Arrest of a stone Buddha』では青春せいしゅん成長せいちょうとは程遠ほどとお寒々さむざむしさ、空虚くうきょさでハードな世界せかいえがかれています」「空虚くうきょ日々ひび鮮烈せんれつたたかい」「たたかっているあいだしかなま実感じっかんできない主人公しゅじんこうと、たたかっているあいだだけがたのしいプレイヤーがかさなる設計せっけい」とひょうされた[11]

『Fading Afternoon』発表はっぴょうまで

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Vadimは『The friends of Ringo Ishikawa』のSteamフォーラムで、ファンの日本人にっぽんじんアーティストUeda M.とい、彼女かのじょともに『The Concrete Sutra』というゲームの制作せいさくんだ。しかし計画けいかく頓挫とんざし、その作品さくひん漫画まんが発表はっぴょうするだけでわった[12]

その、ヤクザを題材だいざいとしたゲームを制作せいさくすることになり、Uedaがキャラクターアニメーションを担当たんとうした。Vadimは、これまでキャラクターを手掛てがけていたNikolayに、Uedaと共同きょうどう作業さぎょうをしてほしいとおもっていたが、NikolayはUedaのペースやクオリティにいつくのは困難こんなんだとして、「ゲームを最高さいこうのものにしてほしいというおもい」からいてUedaにすべてをゆだねた。Nikolayは一部いちぶのBGMの作曲さっきょくやギター演奏えんそうなど、べつ部分ぶぶん開発かいはつたずさわった[12]

Uedaは主人公しゅじんこうのアニメーションを4700まい、それ以外いがいのキャラクターを4000まいえがいた。Artemは背景はいけいを80まい以上いじょうえがいた[13]

2021ねん7がつ7にち、『Fading Afternoon』の制作せいさく発表はっぴょうされ[14]、2023ねん9がつ15にち発売はつばいされた[3]。1さくのエンディングが1つ、2さくのエンディングが2つであるのにたいし、ほんさく多数たすう分岐ぶんきがあり、20時間じかん以上いじょうプレイしてもif展開てんかいわりがえない作品さくひんだとひょうされた[3]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ Riki Samejimaとは、『くにおくん』の登場とうじょう人物じんぶつである鮫島さめしまつとむのことである。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d THE TEAM”. 2023ねん10がつ9にち閲覧えつらん 公式こうしきサイトスタッフ紹介しょうかい
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 高校生こうこうせい不良ふりょうACT『The friends of Ringo Ishikawa』「キャラをえがひとつからなかったとき名乗なのたのは58さいちちでした」【注目ちゅうもくインディーミニ問答もんどう” (2018ねん5がつ19にち). 2023ねん10がつ9にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c 『Fading Afternoon』レビュー。昔気質むかしかたぎなヤクザの“ざまさま”をえがくアクションアドベンチャー、いくらあそんでそこえないつくみに圧倒あっとうされてしまう” (2023ねん10がつ12にち). 2023ねん10がつ15にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c d e f g h i j k The Incredible Real-Life Story Behind The Friends of Ringo Ishikawa” (2019ねん5がつ30にち). 2023ねん10がつ13にち閲覧えつらん
  5. ^ a b c How an existential beat ’em up is reworking open-world gameplay” (2021ねん4がつ21にち). 2023ねん10がつ13にち閲覧えつらん
  6. ^ a b c TALKTIMELIVE.COM EXCLUSIVE with YEO” (2021ねん11月23にち). 2023ねん10がつ13にち閲覧えつらん
  7. ^ a b c The Friends of Ringo Ishikawa is a free-form 2D brawler with a unique sense of melancholy / And an equally unique back story” (2019ねん6がつ19にち). 2023ねん10がつ13にち閲覧えつらん
  8. ^ 『The friends of Ringo Ishikawa』友情ゆうじょうくだり、ツッパリ時代じだい終焉しゅうえんむかえる” (2018ねん6がつ4にち). 2023ねん10がつ13にち閲覧えつらん
  9. ^ Review: The Friends of Ringo Ishikawa (Nintendo Switch)” (2019ねん4がつ). 2023ねん10がつ13にち閲覧えつらん
  10. ^ a b ころACT『Arrest of a stone Buddha』「コートのにこだわり、ちちには400まいえがなおしてもらいました」【注目ちゅうもくインディーミニ問答もんどう” (2020ねん3がつ5にち). 2023ねん10がつ13にち閲覧えつらん
  11. ^ 次々つぎつぎ死体したいやまきずころACT『Arrest of a stone Buddha』空虚くうきょ日々ひび鮮烈せんれつたたかいのさきこたえはあるのか?―映画えいがてき空気くうき目立めだつ『Ringo Ishikawa』作者さくしゃ新作しんさくばくそくプレイレポ】” (2020ねん2がつ9にち). 2023ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  12. ^ a b かたちえていまつづく、ゲームづくりにまつわる60をぎたちちとのきずな中年ちゅうねんヤクザアクションADV『Fading Afternoon』【開発かいはつしゃインタビュー】” (2023ねん8がつ27にち). 2023ねん10がつ13にち閲覧えつらん
  13. ^ FAQ”. 2023ねん10がつ13にち閲覧えつらん - 公式こうしきサイトの『Fading Afternoon』についてのFAQページ
  14. ^ ヤクザとして日々ひびおくる2DドットADV『Fading Afternoon』発表はっぴょう。『The friends of Ringo Ishikawa』開発元かいはつもと新作しんさく” (2021ねん7がつ7にち). 2023ねん10がつ13にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク

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