第だい三さん紀きにおける植物しょくぶつの生態せいたい/1

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La Nature - Revue des sciences, N° 183 à 208, 1877 (p. 1-4).

第だい三さん紀きにおける植物しょくぶつの生態せいたい 予備よび的てきな概念がいねん

植物しょくぶつ学者がくしゃと古こ生物せいぶつ学者がくしゃは、半はん世紀せいきにわたって、しかし特とくにこの20年間ねんかん、かつて様々さまざまな時代じだいに地球ちきゅうの表面ひょうめんを覆おおっていた植生しょくせいの要素ようそを再さい構築こうちくしようと試こころみてきた、それは植物しょくぶつ学者がくしゃ-古こ生物せいぶつ学者がくしゃが、地殻ちかくが形成けいせいされたときに地球ちきゅう表面ひょうめんを覆おおっていた植生しょくせいの要素ようそを再さい構築こうちくするために、半はん世紀せいき、しかし特とくにここ20年間ねんかん、試こころみてきたことである。この最後さいごの表現ひょうげんは、わが国くにの栄光えいこうの一人ひとりであるアドルフ・ブロンニャールの初期しょきの研究けんきゅうから拝借はいしゃくしたもので、彼かれの死しは、彼かれがフランスで創設そうせつした化石かせき植物しょくぶつ学がくによって最近さいきん嘆なげかれた。^[1].水みずが堆積たいせき物ぶつやその中なかに保存ほぞんされている植物しょくぶつの主おもな移動いどう手段しゅだんであったため、足跡あしあとの化石かせきは、ある種しゅのラグーンや河口かこうの底そこで発見はっけんされることが多おおかった。その海岸かいがんは、植物しょくぶつの発達はったつに有利ゆうりであると同時どうじに、粘土ねんど、泥どろ、細こまかい砂すなが加くわわっており、これらの植物しょくぶつが葉はや花はな、実み、茎くきの一部いちぶを簡単かんたんに落おとして、残骸ざんがいとして積つみ重かさなることができる場所ばしょだった。このような保存ほぞん状態じょうたいを、洪水こうずいや突然とつぜんの大だい災害さいがい、暴力ぼうりょく的てきで普遍ふへん的てきな破壊はかいに帰きする考かんがえは、植物しょくぶつ化石かせきがより詳細しょうさいに調査ちょうさされるにつれて放棄ほうきされました。それは、無煙炭むえんたん、石炭せきたん、褐炭かったんといった土壌どじょうから採掘さいくつされる燃料ねんりょうが、広大こうだいな湿地しっち帯たいに植物しょくぶつの炭化たんかした残骸ざんがいがゆっくりと蓄積ちくせきされることによって、我々われわれの泥炭でいたんと同おなじように生成せいせいされたからにほかならない。つまり、炭層たんそうが豊富ほうふな場所ばしょには、かつて水生すいせい植物しょくぶつが生息せいそくするラグーンがあり、水生すいせい植物しょくぶつの発達はったつに適てきした条件じょうけんが長ながく続つづき、水生すいせい植物しょくぶつが分解ぶんかいした残骸ざんがいが水底みなそこに蓄積ちくせきされたと考かんがえることができる。これらの残ざん渣は、水みずの存在そんざいによって促進そくしんされるよく知しられた化学かがく作用さようによって、多おおかれ少すくなかれ厚あつい燃料ねんりょうの床ゆかに変換へんかんされた。このような堆積たいせき物ぶつは、生いきている植物しょくぶつや最近さいきん分離ぶんりした植物しょくぶつを覆おおい、保存ほぞんの手段しゅだんを提供ていきょうすることで、破壊はかいから救すくうことができるのである。

このような地形ちけいや鉱床こうしょうは、最もっとも豊ゆたかであるというだけでなく、実用じつようを見据みすえた探検たんけんや研究けんきゅうが行おこなわれていたため、他たよりも早はやく注目ちゅうもくされたのは至極しごく当然とうぜんである。このように、炭鉱たんこう地帯ちたいやそこに生育せいいくする多おおくの不思議ふしぎな植物しょくぶつが知しられ、研究けんきゅうされるようになったのは、かなり昔むかしのことで、最近さいきんの鉱床こうしょうの種たねはまだ無視むしされたり、重要じゅうようでないと軽視けいしされたりしていたのである。

地球ちきゅうとそこに住すむ生物せいぶつの歴史れきしは、途方とほうもない古代こだいにさかのぼる。 このような年譜ねんぷの連続れんぞくでは、世紀せいきは何なん千せん、何なん十じゅう万まんと数かぞえることができる。植生しょくせいは時代じだいを通つうじてゆっくりと徐々じょじょに変化へんかし、少すこしずつ豊ゆたかになり完成かんせいしてきた。その一方いっぽうで、連続れんぞくした時代じだいの膨大ぼうだいな時間じかんが展開てんかいする一方いっぽうで、自みずからを完成かんせいする際さいにもともと持もっていた種類しゅるいの一部いちぶを失うしなってきた。植物しょくぶつは、原始時代げんしじだいよりも複雑ふくざつで多様たようになったが、長ながい間あいだ、単純たんじゅんな構造こうぞうで、壮大そうだいな体格たいかくを持もち、独創どくそう的てきな外観がいかんを持もち、装飾そうしょく品ひんとして機能きのうしていた植物しょくぶつの大半たいはんは、もはや含ふくまれていない；その子孫しそんは、少すくなくとも生いきた自然しぜんの中なかでそれらを表現ひょうげんするものは、謙虚けんきょで従属じゅうぞく的てきな草くさに過すぎなくなった。あるいは、まだいくつかの例れいを見みつけたとしても、それらは例外れいがいや特異とくい点てんに過すぎず、組織そしき的てきに完璧かんぺきで、より頑健がんけんな気質きしつを備そなえ、すべての面めんで以前いぜんの植物しょくぶつよりも要求ようきゅうが少すくない現代げんだいの植物しょくぶつの群むれの中なかに紛まぎれ込こんでいる。

クリプトガムと裸子植物らししょくぶつ、スギナ、シダ、レピドデンドロン、シギラリア、そして最近さいきんでは石炭せきたん紀きのコルダイについて、また二に次じ的てきな時代じだいのソテツ、コニファー、シダについて、しばしば述のべてきた。しかし、ヨーロッパは比較的ひかくてき温暖おんだんな気候きこうを保たもち、長ながい間あいだ、北緯ほくい55度どまでヤシの木きがあったため、現在げんざいのような姿すがたにはほど遠とおかった。

短みじかい記事きじで、すべてを語かたったり説明せつめいしたりすることはできない。事実じじつの収穫しゅうかくは膨大ぼうだいであるため、剪定せんていし、選択せんたくしなければならないのである。読者どくしゃの皆みなさんは、私わたしが語かたることの中なかに、思おもいもよらない特徴とくちょうや、驚おどろかされるような詳細しょうさい、大胆だいたんな科学かがくの先駆せんく者しゃたちがほとんど目めにすることのなかった現象げんしょうを必かならず見みつけることだろう。これは、化石かせき植物しょくぶつ学がくが不変ふへんの枠組わくぐみの中なかに閉とじ込こめられるどころか、日々ひび拡大かくだいし、変容へんようしていくからである。その様相ようそうはさまざまで、視野しやは広ひろがり、視野しやは乖離かいりし、さらに遠とおくのものを発見はっけんして、少すこし後ごに逃にげ出だす運命うんめいにある。この移動いどうする科学かがくは、哲学てつがく者しゃヘーゲルの「永遠えいえんの成なり行ゆき」に従したがい、作つくられる過程かていにある。しかし、それを止とめようとせず、一緒いっしょに旅たびをしながら、その進歩しんぽに関心かんしんを持もつ人ひとは、その順序じゅんじょと範囲はんいを要約ようやくすることができる。多おおくのことに触ふれることがいかに難むずかしいかを知しりながら、また専門せんもん的てきになりすぎないようにしながら、私わたしはこれをやってみたいと思おもっている。詳細しょうさいな説明せつめいを避さけたい気持きもちもあるが、私わたしは順番じゅんばんに話はなしを進すすめ、詳細しょうさいに入はいる前まえに問題もんだいの条件じょうけんを示しめさなければならない。- これから入はいる第だい三さん紀きは、第だい二に紀きの最後さいごの段階だんかいである白はく亜紀あきを引ひき継ついだものである。ジュラ山脈さんみゃくはライアスとウーライトの2つに分わけられ、それ自体じたいがいくつかのレベルに細分さいぶん化かされている。白亜はくあ系けいも段階だんかい的てきに細分さいぶん化かされているが、ここでは言及げんきゅうしないし、言及げんきゅうしても無意味むいみであることを付言ふげんしておく。私わたしたちは、人生じんせいの歩あゆみをたどり、その姿すがたを描写びょうしゃすることだけに着手ちゃくしゅするのであるから、これらのレベルや地形ちけいという名称めいしょうにあまり絶対ぜったい的てきな意味いみを持もたせてはならない。実際じっさいには、これらは地球ちきゅうの歴史れきしにおける章あきらであり、時ときには幸福こうふくで、時ときには狭せまく体系たいけい的てきな天才てんさいである人間にんげんによって、多おおかれ少すくなかれ巧たくみに限定げんていされた期間きかんであり、人間にんげんは区切くぎりや分割ぶんかつ線せん、始はじまりと終おわりを必要ひつようとする；一方いっぽう、人間にんげんの外側そとがわ、無限むげんの視線しせんの下もとで、自然しぜんは自由じゆうに、不ふ等間隔とうかんかくで、妨さまたげられることなく歩あるき、その仕事しごとを続つづけ、無謀むぼうにも乗のり出だした複数ふくすうの道みちの迷宮めいきゅうに生命せいめいを押おしやり、部分ぶぶん的てきな破局はきょくをゲーム化かし、常つねに目めの前まえを絶たえ間まなく逃にげていく、しかし疲つかれることなく永遠えいえんに引ひき寄よせられる終おわりに向むかって前進ぜんしんしている。

よく見みると、明確めいかくに定義ていぎされた段階だんかいや、始はじまりや終おわりの年齢ねんれいがあるわけではなく、生いき物ものがいて、その外側そとがわに物理ぶつり現象げんしょうがある。前者ぜんしゃは後者こうしゃに影響えいきょうされ、状況じょうきょうに応おうじて前進ぜんしんしたり後退こうたいしたり、互たがいに争あらそい、排除はいじょし合あい、結むすびつき、あらゆる好都合こうつごうな出来事できごとを利用りようし、私わたしたちの想像そうぞうを超こえる割合わりあいで変化へんかし、あるいはほとんど変化へんかせずに全ぜん期間きかんを通過つうかしていく。やがて、そのうちのいくつかは屈服くっぷくし、永遠えいえんに姿すがたを消けす。しかし、彼かれらの外側そとがわでは、空そら、気候きこう、物理ぶつり的てき作用さよう物質ぶっしつ、土壌どじょう、大陸たいりく、海うみは、すべて変化へんかし、変化へんかし、自みずからを修正しゅうせいする。それは間違まちがいなく、ある一般いっぱん法則ほうそくの影響えいきょう下かにあり、その秘密ひみつは、いずれ我々われわれが把握はあくすることも不可能ふかのうではない。

第だい三さん紀き以前いぜんは、長ながい間あいだ貧弱ひんじゃくで単調たんちょうだった植物しょくぶつ界かいが、時ときに力強ちからづよくもあったが、被子植物ひししょくぶつの双そう子葉しよう類るいが加くわわることで完成かんせいし、それと並ならんで、長ながい間あいだ弱よわく従属じゅうぞく的てきだった単たん子葉しよう類るいも、割合わりあいは少すくないが成長せいちょうした。この偉大いだいなエポックの始はじまりは、気候きこうは非常ひじょうに暖あたたかいというよりむしろ温和おんわで、冬ふゆはまだゼロかほとんどゼロであった。ヨーロッパ大陸たいりくは、現在げんざいよりもっとへこんでいたが、ヨーロッパはすでにかなりの大おおきさの大陸たいりくであった。現在げんざい、ヨーロッパ大陸たいりくの背骨せぼねとなっている大だい連鎖れんさは存在そんざいしないか、あるいはほとんど重要じゅうようではない高たかさしか形成けいせいしていない。第だい三さん紀きが始はじまって間あいだもなく、アルプス山脈あるぷすさんみゃくとピレネー山脈さんみゃくの境界きょうかい線せん上じょうに、海うみが沈降ちんこうし、小島こじまを残のこして前進ぜんしんしたことは確たしかである。

第だい三さん紀きのヨーロッパは、海うみが何なん度ども何なん度ども貫通かんつうしただけでなく、海うみのように位置いちが変化へんかする湖みずうみで覆おおわれており、そのために正確せいかくな地図ちずを描えがくことが難むずかしい、湖みずうみの多おおくは同時どうじに存在そんざいしないので、しばしば起おこる振動しんどうの中なかで、湖みずうみの底そこが持もち上あげられて、海うみや別べつの湖みずうみの海岸かいがん線せんや乾かわいた土地とちとして機能きのうし、それまで出現しゅつげんしていた地面じめんの場所ばしょを占しめるようになった。このような蝶番ちょうつがいのような振動しんどう運動うんどうは、地質ちしつ学者がくしゃによく知しられている。第だい三さん紀きの湖みずうみについては、植物しょくぶつ化石かせきは、この蝶番ちょうつがいと、凝灰岩ぎょうかいがんやコンクリート石灰岩せっかいがん、火山灰かざんばいやシネライト、水路すいろによって堆積たいせきしたさまざまなシルトによって、第だい三さん紀きの一連いちれんの地層ちそうを構成こうせいする各層かくそうや段階だんかいの植物しょくぶつ化石かせきを保存ほぞんすることができたのである。その結果けっか、植生しょくせいがどのような段階だんかいを経へてきたかを年代ねんだい順じゅんに復元ふくげんすることができ、各層かくそうに現代げんだいヨーロッパで見みられる植物しょくぶつの痕跡こんせきを見みつけることができた。しかし、私わたしたちの知識ちしきは、偶然ぐうぜんに手てにした部分ぶぶん的てきな資料しりょうに基もとづいているという意味いみで、不ふ均一きんいつで不完全ふかんぜんなものであり、その資料しりょうは、明白めいはくな理由りゆうもなく、時ときには驚おどろくほど大量たいりょうにありながら、ほとんど絶対ぜったい的てきに不足ふそくしているため、驚おどろく権利けんりはないものの、絶望ぜつぼうするのに十分じゅうぶんである。

長ながい間あいだ、この断続だんぞく的てきな不足ふそくの真しんの原因げんいんも真しんの意味いみも調査ちょうさされなかった。種たねを採取さいしゅして記録きろくし、記述きじゅつすることはあっても、その種たねが存在そんざいすること自体じたいに意味いみを見出みいだすことはなかった。時ときには、化石かせきの足跡あしあとは過去かこを正確せいかくに反映はんえいし、植物しょくぶつ相しょうの貧弱ひんじゃくさや標本ひょうほんの少すくなさは現代げんだいの植生しょくせいの希少きしょう性せいを示しめしていると考かんがえるようなシステム的てきな考かんがえ方かたもあった。また、化石かせき植物しょくぶつ相しょうが国土こくど全体ぜんたいを覆おおっていた植物しょくぶつ群ぐんについて教おしえてくれるのであり、その国くにには、化石かせきが観察かんさつされた種しゅと並ならぶ他ほかの多おおくの種たねが存在そんざいしなかったということも、証拠しょうこもなく、確信かくしん犯はん的てきに受うけ入いれられてきた。このような推論すいろんは、必然ひつぜん的てきに多おおくの誤あやまった評価ひょうかをもたらすことになるが、将来しょうらいの研究けんきゅうと発見はっけんによって徐々じょじょに修正しゅうせいされていくだろう。これから述のべる内容ないようでは、私わたしは全まったく異ことなるアプローチと方法ほうほうを採用さいようします。とりわけ、私わたしは発見はっけんをより具体ぐたい的てきにし、化石かせき植物しょくぶつが産出さんしゅつするさまざまな堆積たいせき物ぶつに、それらが持もつ真しんの意味いみ、すなわち、局所きょくしょ的てきで限定げんていされた植物しょくぶつ種しゅの多おおくの集あつまりを表あらわすという意味いみを適用てきようすることに努つとめ、その人相にんそうと範囲はんいを、あらゆる誇張こちょうした傾向けいこうを排はいして定義ていぎしなければならないのである。

植生しょくせいの変化へんかという観点かんてんだけから見みると、第だい三さん紀きは全体ぜんたいとして次つぎの5つの区分くぶんまたは第だい二に期きに分わけられる。^[2]暁あかつき新しん世よ、始はじめ新しん世よ、漸やや新しん世よ、中新ちゅうしん世よ、鮮新世よというように、最もっとも古ふるいものから順じゅんに。しかし、結局けっきょくのところ、これらの移動いどうする段階だんかいは、どんなに明確めいかくに定義ていぎされていないとしても、第だい三さん紀きを進行しんこうするヨーロッパで植物しょくぶつの自然しぜんがたどった道みちを示しめす段階だんかいなのである。植物しょくぶつ自然しぜんは、あらゆる種類しゅるいの波乱はらんを経験けいけんすることなく、また少すこしずつ変化へんかすることなく、この長ながい歩あゆみを終おえたわけではありません；そして、ある時点じてんから、徐々じょじょに寒さむくなり、均一きんいつでなくなる気温きおんの影響えいきょうを受うけて、ヨーロッパの植生しょくせいは、その最もっとも貴重きちょうな要素ようそを徐々じょじょに剥奪はくだつされ、その存在そんざいは、最もっとも豊ゆたかな南みなみの国々くにぐにを羨うらやむものではなくなった；北部ほくぶの寒冷かんれいな温帯おんたいの気候きこう条件じょうけんに適てきした種たねが生息せいそくし、南部なんぶはそれほど荒廃こうはいしていないが、破壊はかいを免まぬかれた種たねがあちこちに残のこっており、いくつかの場所ばしょに避難ひなんして、とっくに変かわってしまったが、それでも目撃もくげき者しゃだったという状態じょうたいの記憶きおくを、その持続じぞくによって証明しょうめいしている。

今いま述のべた5つの時代じだいは、それぞれの限界げんかいの正確せいかくさには欠かけるものの、それでも独特どくとくの人相にんそうを持もち、ヨーロッパの土壌どじょうの特別とくべつな構成こうせいと結むすびついている。しかし、第だい三紀みき地形ちけいは全体ぜんたいとして非常ひじょうに長命ちょうめいであるため、陸りくと海うみの分布ぶんぷが各かく時代じだいで安定あんていしていると考かんがえるのは不正確ふせいかくであることを付つけ加くわえておかなければならない；暁あかつき新しん世よ、中新ちゅうしん世よ、鮮新世よにおいて、海うみは何なん度どもその底そこや位置いちを変かえ、湖底こていは海うみ盆ぼんに、その逆ぎゃくもまた同おなじ場所ばしょで行おこなわれたが、これらの変動へんどうは、それ自体じたいで考かんがえると非常ひじょうに大おおきなものであり、現代げんだいの植生しょくせいに、それが起おこった正確せいかくな時期じきに対応たいおうする別べつの時代じだいを設定せっていすることを正当せいとう化かするほど大おおきな乱みだれは引ひき起おこさなかった。このように、中新ちゅうしん世よにおいて、スイスはまず湖みずうみに覆おおわれ（アキタニアン期き）、次つぎにモラッセの海うみに侵おかされ（モラッセ期きまたはヘルヴェティア期き）、その一部いちぶが後退こうたいして新あたらしい湖底こていができた（ウニニアン期き）のである。

このような変動へんどうは南みなみフランスにも見みられるが、中新ちゅうしん世よの植生しょくせいは十分じゅうぶんな統一とういつ性せいを保たもち、その人相にんそうの特徴とくちょうもこの時代じだいを通つうじて十分じゅうぶんに持続じぞく的てきで均一きんいつであるため、分割ぶんかつする利点りてんや深刻しんこくな理由りゆうはないだろう。原始げんし熱ねつは、時間じかんの経過けいかと、宇宙うちゅう的てき秩序ちつじょと思おもわれる現象げんしょうの結果けっか、絶たえず低下ていかする傾向けいこうにあり、その真しんの原因げんいんはまだ解明かいめいされていない。しかし、もし私わたしが問題もんだいの核心かくしんに迫せまり、本筋ほんすじに立たち返かえろうとしないならば、私わたしの考察こうさつは際限さいげんなく続つづき、多おおくの細部さいぶを追おって思考しこうがさまようことになるであろう。したがって、私わたしはそれらを見直みなおし、少すくなくともわずかな概要がいようを示しめすことを試こころみる。

ガストン・デ・サポルタ研究所けんきゅうじょ特派とくは員いん

- 近日きんじつ公開こうかい予定よてい-

脚注きゃくちゅう

1. 4年ねん目め1876年ねん前期ぜんき、337頁ぺーじを参照さんしょう
2. Schimper, Traité de pal. vég., vol. III, pp. 680 ff