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西行桜 (地歌) - Wikisource コンテンツにスキップ

西行さいぎょうさくら (地歌じうた)

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九重ここのえここのへに、さきけどもはな八重桜やえざくら幾代いくよはるおもかさぬらん。しかるに。はな名高なだかきは。さきはつはないそぐなる近衛このえ殿どの糸桜いとざくらいとざくら見渡みわたせばやなぎさくらやなぎさくらをこきまぜて、はるにしき燦爛さんらんさんらんたり。千本せんぼんちもとさくらうえき、いろところする。千本せんぼんせんぼんはなもりはなざかり、雲路くもじうんろゆきのこるらん。毘沙門堂びしゃもんどうびしやもんどう花盛はなざかり、四天王してんのうしわうてん栄華えいがも、これには如何いかいかかちまさるべき。うえうへなる黒谷くろたにくろたに下河原しもかわらしもかはらむかし遍昭へんじょう僧正そうじょうへんぜうそうじやうの、浮世うきよいやいとひしはな頂山いただきやまくわちやうざんわしわし御山おんやまはないろれにしづるはやしまで、おもられてあいあはれなり。清水寺きよみずでらせいすゐじ地主じぬしじしゆはなまつふう音羽山おとはさんおとはやま。ここはまた嵐山あらしやまあらしやまつるたき津波つなみたきつなみまでも。はな大井おおいがわ井堰いせきゐぜきゆきやかかるらん。


  • 底本ていほん: 今井いまいどおりろう生田いくた山田やまだりょうりゅう そううたぜんかいちゅう武蔵野むさしの書院しょいん、1975ねん

この作品さくひんは1929ねん1がつ1にちよりまえ発行はっこうされ、かつ著作ちょさくしゃ没後ぼつご団体だんたい著作ちょさくぶつにあっては公表こうひょうまた創作そうさく)100ねん以上いじょう経過けいかしているため、すべてのくに地域ちいきパブリックドメイン状態じょうたいにあります。