新元しんもと史し/卷まき085

卷まき八はち十じゅう四よん ◄

新元しんもと史し 卷まき八はち十じゅう五ご 志こころざし第だい五ご十じゅう二に

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禮れい五ご

卷まき八はち十じゅう五ご·志こころざし第だい五ご十じゅう二に

　

　　○禮れい五ご

　　△宗廟そうびょう下か

　　親おや祀まつ時とき享とおる儀ぎ，其目有ゆう八はち：

　　一いち曰齋戒さいかい。前まえ祀まつ七なな日にち，皇帝こうてい散ち齋とき四よん日にち於別殿どの，治ち事ごと如故，不ふ作樂さくら，停とま奏そう刑けい名めい事ごと，不ふ行刑ぎょうけい罰ばつ。致齋三さん日にち，惟おもんみ專心せんしん祀まつ事こと，其二そのじ日にち於大おだい明あきら殿どの，一いち日にち於大おだい次じ。致齋前まえ一いち日にち，尚なお舍監しゃかん設しつらえ御ご幄於大明だいめい殿どの酉とり序じょ，東向こちむき。致齋之の日にち質しつ明あきら，諸しょ衛まもる勒所部ぶ屯たむろ列れつ。晝ひる漏も下しも一刻いっこく，通事つうじ舍人とねり引侍享とおる執事しつじ文武ぶんぶ四よん品ひん以上いじょう官かん，俱公服ふく詣まい別殿べつでん奉迎ほうげい。二に刻こく，侍さむらい中ちゅう版ばん奏請そうせい中ちゅう嚴いむ，皇帝こうてい服ふく通どおり天てん冠かんむり、絳紗袍ほう。三さん刻こく，侍さむらい中ちゅう版ばん奏そう外がい辦，皇帝こうてい結ゆい佩出別殿べつでん，乘じょう輿こし，華はな蓋ぶた傘かさ扇おうぎ侍さむらい衛まもる如常儀ぎ，奉たてまつ引至大明だいめい殿御とのご幄，東向こちむき坐すわ，侍臣じしん夾侍きょうじ如常。一刻いっこく頃ごろ，侍さむらい中前ちゅうぜん跪奏言げん請降就齋，俯伏興きょう。皇帝こうてい降くだ座ざ入室にゅうしつ，侍さむらい享とおる執事しつじ官かん各かく還かえ所司しょし，宿衛しゅくえい者しゃ如常。凡應祀まつ官かん受誓戒於中書ちゅうしょ省しょう。散ち齋とき四よん日にち，致齋三さん日にち。光ひかり錄ろく卿きょう鑑かん取と明水あけみ、火ひ。火ひ以供爨，水みず以實尊みこと。

　　二に曰陳設しつらえ。祀まつ前ぜん三さん日にち，尚なお舍監しゃかん陳ひね大だい次じ於西神門ごうど外道げどう北きた，南みなみ向むこう。設しつらえ小しょう次つぎ於西階かい西にし，東向こちむき。設しつらえ版ばん位い於西神門ごうど內，橫よこ街がい南みなみ，東向こちむき。設しつらえ飲いん福ぶく位い於太室しつ尊みこと彝つね所しょ，稍やや東ひがし，西向にしむき。設しつらえ黃道こうどう茵しとね褥しとね於大おだい次じ前まえ，至いたり西にし神門ごうど，至いたり小しょう次じ版ばん位い西階にししな及殿門もん之の外そと。設しつらえ御ご洗あらい位い於御版ばん位い東ひがし，稍やや北きた，北向きたむき。設しつらえ亞あ終おわり獻けんじ位い於西神門ごうど內御版ばん位い稍やや南みなみ。東向こちむき，以北いほく爲ため上じょう，簠洗在ざい其東北とうほく。設しつらえ亞あ終おわり獻けんじ飲いん福ぶく位い於御飲いん福ぶく位い後ご稍やや南みなみ，西向にしむき。陳ひね設しつらえ八寶黃羅案於西階西，隨ずい地ち之の宜むべ。設しつらえ享とおる官かん宮みや縣けん樂らく、省しょう牲位，諸しょ執事しつじ公卿くぎょう御ご史し位い，並なみ如常儀ぎ。殿上てんじょう下か及各室しつ，設しつらえ簠、簋、籩、豆まめ、樽たる、罍、彝つね、斝等器き，並なみ如常儀ぎ。

　　三曰車駕出宮。祀まつ前ぜん一いち日にち，所司しょし備法駕が鹵簿ろぼ於崇天てん門外もんがい。太ふと僕ぼく卿きょう率りつ其屬備玉輅於大明だいめい門外もんがい。千牛將軍執刀於輅前，北向きたむき。其日質しつ明あきら，諸しょ侍さむらい享とおる執事しつじ官かん，先さき詣まい太ふと廟祀びょうし所しょ。諸しょ侍臣じしん直衛なおえ及導駕が官かん於致齋ひとし殿どの前まえ，左右さゆう分ぶん班はん立りつ。通事つうじ舍人とねり引侍中ちゅう跪奏請そうせい中ちゅう嚴いむ，俯伏興きょう。皇帝こうてい服ふく通どおり天てん冠かんむり、絳紗袍ほう。少すくな頃ころ，侍さむらい中ちゅう版ばん奏そう外がい辦，皇帝こうてい出で齋とき室しつ，即そく御座ぎょざ。羣臣起居ききょ訖，尚なお輦進輿こし，侍さむらい中ちゅう奏請そうせい皇帝こうてい升ます輿こし。皇帝こうてい升ます輿こし，華はな蓋ぶた傘かさ扇おうぎ侍さむらい衛まもる如常儀ぎ。導しるべ駕が官かん前ぜん導しるべ至いたり大明だいめい門外もんがい，侍さむらい中ちゅう進すすむ當とう輿こし前まえ，跪奏請そうせい皇帝こうてい降くだ輿こし升ます輅。皇帝こうてい升ます輅，太ふと僕ぼく執と御ご，導しるべ駕が官かん分ぶん左右さゆう步ふ導しるべ。門下もんか侍さむらい郎ろう進すすむ當とう輅前，跪奏請そうせい車しゃ駕が進發しんぱつ。車くるま駕が動どう。稱しょう警蹕けいひつ，千牛將軍夾而趨至崇天門外，門下もんか侍さむらい郎ろう跪奏請そうせい車しゃ駕が少しょう駐ちゅう，敕衆官かん上馬かみうま。侍さむらい中ちゅう承うけたまわ旨むね退すさ，稱しょう曰『制せい可か』。門下もんか侍さむらい郎ろう退すさ，傳つて制せい稱しょう衆しゅ官かん上馬かみうま。贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて敕衆官かん上馬かみうま。上馬かみうま訖，門下もんか侍さむらい郎ろう奏請そうせい敕車右みぎ升ます，侍さむらい中前ちゅうぜん承うけたまわ製せい，退すさ稱しょう曰：「制せい可か」。千牛將軍升訖，門下もんか侍さむらい郎ろう奏請そうせい車しゃ駕が進發しんぱつ。車くるま駕が動どう，秒びょう警蹕けいひつ。符ふ寶たから郎ろう奉たてまつ八寶與殿中監部從在黃鉞幾，教きょう坊ぼう樂たのし前ぜん引，鼓吹こすい不ふ振作しんさく。將はた至いたり太ふとし廟びょう，禮れい直じき官かん引諸侍さむらい享とおる執事しつじ官かん於廟門外もんがい，在ざい左右さゆう立りつ班はん，奉迎ほうげい駕が至いたり廟びょう門もん，回かい輅南向むこう。將軍しょうぐん降くだ立たて於輅左ひだり，侍さむらい中ちゅう於輅前まえ奉たてまつ稱しょう侍さむらい中ちゅう臣しん某ぼう請皇帝こうてい降くだ輅，步ふ入にゅう廟びょう門もん。皇帝こうてい降くだ輅導駕が官かん前まえ導みちびけ，皇帝こうてい步ふ入にゅう廟びょう門もん稍やや西にし。侍さむらい中ちゅう奏請そうせい皇帝こうてい升ます輿こし，尚なお輦奉輿こし，華はな蓋ぶた傘かさ扇おうぎ如常儀ぎ。皇帝こうてい乘じょう輿こし至大しだい次じ，侍さむらい中ちゅう奏請そうせい皇帝こうてい降くだ輿こし入にゅう就大次じ。皇帝こうてい入にゅう就次，簾すだれ降くだ，宿衛しゅくえい如式。尚なお食しょく進しん膳ぜん如儀。禮儀れいぎ使し以祝版ばん奏そう御ご署しょ訖，奉たてまつ出で，太ふとし廟びょう令れい受之，各かく奠於坫，置おけ各室かくしつ祝しゅく桑上くわかみ。通事つうじ舍人とねり承うけたまわ舍しゃ旨むね，敕衆官かん各かく還かえ齋とき次じ。

　　四よん曰省牲器。祀まつ前ぜん一いち日にち未ひつじ後ご三さん刻こく，廩犧令れい丞すすむ、太ふとし官かん令れい丞すすむ、太ふとし祝しゅく以牲蹴位い。禮れい直じき官かん引太常つね卿きょう、光ひかり錄ろく卿きょう丞すすむ、監かん祭禮さいれい等とう官かん就位しゅうい。禮れい直じき官かん請太常つね、監かん祭さい、監かん禮れい由よし東ひがし神門ごうど北きた偏へん門もん大だい，升ます自じ東ひがし階かい。每まい位い視し滌祭器き，司つかさ樽だる彝つね舉冪曰：「潔きよし」。俱畢，降くだ自じ東ひがし階かい。由よし東ひがし神門ごうど北きた諞門出かどで，復位ふくい，立たて定じょう。禮れい直じき官かん稍やや前ぜん曰：「請省牲」，引太常つね卿きょう視し牲，退すさ復位ふくい。次つぎ引廩犧令出で班はん，巡じゅん牲一匝，西向にしむき折おり身み曰：「充たかし」。諸しょ太ふとし祝しゅく巡じゅん牲一匝，上うえ一員出班西向折身曰：「腯。」畢，俱復位ふくい。蒙こうむ古こ巫祝ふしゅく致詞訖，禮れい直じき官かん稍やや前ぜん曰：「請詣省しょう饌位」，引太常つね卿きょう、光ひかり錄ろく卿きょう，監かん祭さい、監かん禮れい、光ひかり祿ろく丞すすむ、大官たいかん令れい丞すすむ詣まい省しょう饌位，東西とうざい相しょう向こう立たて定じょう，以北いほく爲ため上じょう。禮れい直じき官かん引太常つね卿きょう詣まい饌殿內省饌。視し饌訖，禮れい直じき官かん引太常つね卿きょう且齋所しょ。次つぎ引廩棲公丞すすむ、諸しょ太ふとし祝しゅく以次牽牲詣廚，授大官かん令れい。次つぎ引光祿ろく卿きょう丞すすむ、監かん祭さい、監かん禮れい詣まい廚省鼎かなえ鑊，梘滌溉訖，各かく還かえ齋とき所しょ。太たい官かん令れい帥そち宰おさむ人じん以鸞刀がたな割わり牲，祝しゅく史し各かく取と毛け血ち，每まい位い共ども實じつ一いち豆まめ，以肝洗あらい於鬱鬯及取□□，每まい位い共ども實じつ一いち豆まめ，置おけ於各位い。饌室內，庖人烹牲。

　　五ご曰晨裸はだか。祀まつ日ひ醜みにく前まえ五ご刻こく，諸しょ享とおる陪位官かん各かく服ふく其服。光ひかり祿ろく卿きょう、良りょう醞令、太ふとし官かん令れい人じん，實じつ籩、豆まめ，簠、簋、尊みこと、罍，各かく如常儀ぎ。太ふと樂らく令れい率りつ工こう人じん二に舞まい，以次入いれ。奉たてまつ禮れい郎ろう贊さん者しゃ先入せんにゅう就位しゅうい。禮れい直じき官かん引御史し，博士はかせ及執事しつじ者しゃ以次各かく入いれ就位しゅうい，並なみ如常儀ぎ。禮れい直じき官かん引司徒と以下いか官かん升ます殿どの，分ふん香が設しつらえ酒しゅ，如常儀ぎ。禮れい直じき官かん引徒常つね官かん、御ご史し、博士はかせ升ます殿どの，視し陳ひね設しつらえ，就位しゅうい。復ふく與太よた廟びょう令れい、太ふとし祝しゅく、宮みや闈令升ます殿どの。太ふとし祝しゅく出で帝みかど主ぬし，宮みや闈令出後いずご主ぬし訖，御ご史し及以上じょう升ます殿どの官かん於當陛近西にし，北向きたむき立りつ。奉たてまつ禮れい於殿上じょう贊さん神主かんぬし訖，奉たてまつ禮れい曰：「再拜さいはい」，贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて，諸しょ官かん及執事しつじ者しゃ皆みな再拜さいはい，各かく就位しゅうい。禮れい直じき官かん引亞終おわり獻けんじ等とう官かん，由ゆかり南みなみ神しん門東もんとう偏へん門もん入いれ，就位しゅうい，立たて定じょう。禮れい直じき官かん贊さん「有司ゆうし謹具，請行事ぎょうじ。」協きょう律郎りつろう俯伏興きょう，舉麾興きょう，工こう鼓こ柷，宮みや縣けん樂らく作さく《思おもえ成之しげゆき曲きょく》，以黃鐘がね爲ため宮みや，大呂おおろ爲ため角かく，太ふと簇むらが爲ため徵ちょう，應おう鐘がね爲ため羽わ，作さく文武ぶんぶ九きゅう成なり止どめ。樂らく奏そう將はた終おわり，通事つうじ舍人とねり引侍中ちゅう版ばん奏請そうせい中ちゅう嚴げん。皇帝こうてい服ふく袞冕，坐すわ少すくな頃ころ，禮れい直じき官かん引博士はかせ，博士はかせ引禮儀れいぎ使し，對立たいりつ於大おだい次じ門外もんがい，當とう門もん北向きたむき。侍さむらい中ちゅう奏そう外がい辦，禮儀れいぎ使し跪奏請そうせい皇帝こうてい行ぎょう禮れい，俯伏興きょう，簾すだれ卷まき。符ふ寶たから郎ろう奉たてまつ寶たから陳ひね於陛之の西にし黃き羅ら案あん上じょう。皇帝こうてい出で大だい次つぎ，博士はかせ、禮儀れいぎ使し前まえ導みちびけ，華はな蓋ぶた傘かさ扇おうぎ如儀，大禮たいれい使し後ご從したがえ。至いたり西にし神しん門外もんがい，殿中でんちゅう監かん跪進鎮圭，皇帝こうてい執と圭けい，華はな蓋ぶた傘かさ扇おうぎ停とま於門外がい，近きん侍從じじゅう入門にゅうもん。協きょう律郎りつろう跪俯伏ふく興きょう，舉麾，工こう鼓こ祝しゅく，官かん縣けん《頎成之の樂らく》作さく。至いたり版ばん位い東向こちむき，協きょう律郎りつろう偃麾，工こう戛敔，樂らく止どめ。引禮官かん分ぶん左右さゆう侍立じりつ，禮儀れいぎ使し前ぜん奏請そうせい再拜さいはい，皇帝こうてい再拜さいはい。奉たてまつ禮れい曰：「衆しゅう官かん再拜さいはい」，贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて，凡在位ざいい者しゃ皆みな再拜さいはい。禮儀れいぎ使し奏そう詰つめ皇帝こうてい詣まい盥たらい洗あらい位い，宮みや縣けん作樂さくら，至いたり洗あらい位い，樂らく止どめ。內侍跪取匜，興きょう，沃水。又また內侍跪取盤ばん，興きょう，承うけたまわ水みず。禮儀れいぎ使し奏請そうせい搢鎮圭けい，皇帝こうてい搢圭，盥たらい手しゅ訖，內侍跪取巾はば於篚，興きょう，以進，帨手訖，皇帝こうてい詣まい爵洗位い，奉たてまつ瓚官以瓚跪進，皇帝こうてい受瓚，內侍奉たてまつ匜沃水すい。又また內侍跪，奉たてまつ盤ばん承うけたまわ水みず，洗あらい瓚訖，內侍奉たてまつ巾はば以進，皇帝こうてい拭ぬぐえ瓚訖，內侍奠盤匜，又また奠巾於篚，奉たてまつ瓚官肫受瓚。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と鎮圭，前ぜん導しるべ皇帝こうてい升ます殿どの，宮みや縣けん樂らく作さく，至いたり西階にししな下か，樂らく止どめ。皇帝こうてい升ます自じ西階にししな，登とう歌か樂らく作さく，禮儀れいぎ使し前ぜん導しるべ皇帝こうてい詣まい太ふと祖そ樽だる彝つね所しょ，東向こちむき立りつ，樂らく止どめ。奉たてまつ瓚官以瓚蒞鬯，司つかさ樽だる者しゃ舉冪，侍さむらい中ちゅう詭酌鬱うつ鬯訖，禮儀れいぎ使し前ぜん導しるべ。入いれ詣まい太ふと祖神そしん座ざ前まえ，北向きたむき立りつ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい搢鎮圭けい跪，奉たてまつ瓚官西向にしむき立りつ，以瓚跪進。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と瓚、以鬯裸はだか地ち，皇帝こうてい執と瓚以鬯裸地ち，以瓚授奉瓚官。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と鎮圭、俯伏興きょう。皇帝こうてい俯伏興きょう，禮儀れいぎ使し前ぜん導出どうしゅつ戶外こがい褥しとね位い。禮儀れいぎ使し奏請そうせい再拜さいはい。皇帝こうてい再拜さいはい訖，禮儀れいぎ使し前まえ導みちびけ詣まい每まい二に室しつ以下いか，裸はだか鬯並如上じょじょう儀ぎ。裸はだか訖，禮儀れいぎ使し請還版ばん位い。登とう砍作樂らく，皇帝こうてい降くだ自じ西階にししな，樂らく止どめ。宮みや縣けん樂らく作さく，至いたり版ばん位い東向こちむき立りつ，樂らく止どめ。禮儀れいぎ便びん奏請そうせい還かえ小しょう次つぎ，前ぜん導しるべ皇帝こうてい行ぎょう，宮みや縣けん樂らく作さく。將はた至いたり小しょう次じ，禮儀れいぎ使し奏請そうせい釋しゃく鎮圭，殷いん中ちゅう監かん跪受。皇帝こうてい入いれ小しょう次じ，簾すだれ降くだ，樂らく止どめ。

　　六ろく曰進饌。皇帝こうてい裸はだか將はた畢，光ひかり祿ろく卿きょう詣まい饌殿視し饌，復位ふくい。大官たいかん令れい率りつ齋とき郎ろう詣まい饌幕，以牲體たい設しつらえ於盤，各かく對たい舉以行ぎょう，自じ南みなみ神門ごうど入いれ。司つかさ徒と出迎でむかえ饌，宮みや具ぐ樂らく作さく，奏そう無む射い宮みや《嘉よしみ成之しげゆき曲きょく》。札さつ直じき官かん引司徒と、齋とき郎ろう奉たてまつ饌升自じ太ふとし階かい，由ゆかり正門せいもん入いれ。諸しょ太ふとし祝しゅく迎むかえ於階上じょう，各かく跪尊於神座ざ前まえ。齋とき郎ろう執と笏しゃく俯伏興きょう，遍へん奠訖，樂らく止どめ。禮れい直じき官かん引司徒と、大官たいかん令れい率りつ齋とき郎ろう降くだ自じ東ひがし階かい，各かく復位ふくい。饌之升ます殿どの也，太ふとし官かん丞すすむ率りつ七祀齋郎奉饌，以序跪於七なな祀まつ神座かんざ前まえ，退すさ從したがえ殿上てんじょう齋とき郎ろう以次復位ふくい。諸しょ太ふとし官かん令れい率りつ割わり牲官詣まい各室かくしつ，進しん割わり牲體盟めい俎上そじょう，皆みな退すさ。

　　七なな曰酌袱。禮れい直じき官かん於殿上じょう贊さん太ふとし祝しゅく立りつ茅ちがや苴，禮儀れいぎ使し奏請そうせい詣まい盥たらい洗あらい位い。簾すだれ卷まき，出で次じ，宮みや縣けん樂らく作さく，殿中でんちゅう監かん跪進鎮圭，皇帝こうてい執と鎮圭至いたり盥たらい洗あらい位い，樂らく止どめ。北向きたむき立りつ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい搢鎮圭けい，執事しつじ者しゃ跪取搢，興きょう。沃水。又また跪取盤ばん，承うけたまわ水みず。禮儀れいぎ使し奏そう訂てい皇帝こうてい盥たらい手しゅ，執事しつじ者しゃ詵取巾はば於篚，興きょう，進しん。帨手訖，禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と鎮圭，請詣爵洗位い，北向きたむき立りつ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい搢鎮圭けい，奉たてまつ爵官以爵跪進。皇帝こうてい受爵，執事しつじ者しゃ奉たてまつ搢沃水すい。奉たてまつ血ち承うけたまわ水みず。皇帝こうてい洗あらい爵訖，執事しつじ者しゃ奉たてまつ巾はば跪進。皇帝こうてい拭ぬぐえ爵，執事しつじ者しゃ奠盤匜，又また奠巾於篚，奉たてまつ爵官受爵。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と鎮圭，升ます殿どの。宮みや縣けん樂らく作さく，至いたり西階にししな下か，樂らく止どめ。升ます自じ西にし階かい。登とう歌か樂らく作さく，禮儀れいぎ使し前まえ導みちびけ詣まい太ふと祖そ室しつ樽だる彝つね所しょ，東向こちむき立りつ，樂らく止どめ。禮儀れいぎ使し奏そう諳搢鎮圭執と爵，奉たてまつ爵官以爵跪進。皇帝こうてい受爵，司つかさ尊者そんじゃ舉幕，良りょう醞令跪酌犧樽之の泛齊，以爵授執事しつじ者しゃ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と鎮圭，皇帝こうてい執と圭けい，入にゅう詣まい太ふと祖神そしん位い前まえ，北向きたむき立りつ。宮みや縣けん樂らく作さく，奏そう《開成かいせい之の曲きょく》。禮儀れいぎ使し跪奏請搢鎮圭跪，又また奏請そうせい三さん上うえ香が。三上みかみ香かおり訖，奉たてまつ爵官以爵授進酒しゅ官かん，進しん酒さけ官かん東向こちむき以爵跪進。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と爵，三祭酒於茅苴，以虛爵授進しん酒さけ官かん，進しん酒さけ官かん以投奉たてまつ爵官，奉たてまつ爵官退すさ立たて尊みこと彝つね所しょ。進すすむ酒さけ官かん進取しんしゅ酒しゅ案あん上所かみところ奠玉爵馬潼，東向こちむき跪進，禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と爵祭馬ば潼。祭まつり訖，以虛爵授進しん酒さけ官かん，進しん酒さけ官かん進しん奠神案あん上じょう，退すさ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と圭けい，俯伏興きょう，司つかさ徒と搢笏於俎前まえ，奉たてまつ牲西向こう以進。禮儀れいぎ使し奏請そうせい搢鎮圭けい，皇帝こうてい搢鎮圭けい，俯受牲盤，北向きたむき跪奠神かみ案あん上じょう。寨古祝しゅく史し致辭訖，禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と鎮圭興きょう，前ぜん導出どうしゅつ戶外こがい褥しとね位い，北向きたむき立りつ，樂らく止どめ。舉祝官かん搢笏跪，對たい舉祝版ばん，讀祝官かん北向きたむき跪，讀祝文ぶん訖，俯伏興きょう，舉祝官かん奠祝版ばん訖，先さき詣まい次つぎ室しつ。禮儀れいぎ便びん奏請そうせい再拜さいはい。拜はい訖，禮儀れいぎ使し前まえ導みちびけ詣まい各かく窒，各かく奏そう本ほん室しつ之の樂らく。其酌獻けんじ、進すすむ牲、祭まつり馬ば潼，並なみ如第一いち室しつ之の儀ぎ。既すんで畢，禮儀れいぎ便びん奏請そうせい詣まい飲いん福ぶく位い。登とう歌か樂らく作さく，至いたり位い，西向にしむき立りつ，樂らく止どめ。登とう歌か《釐成之の樂らく》作さく，禮れい直じき官かん引司徒と立りつ於飲福ぶく位い惻，太ふとし祝しゅく以爵酌しゃく上じょう尊みこと飲いん福ぶく酒しゅ，合ごう置おけ一いち爵，以奉侍さむらい中ちゅう。侍さむらい中ちゅう受爵，奉たてまつ以立。禮儀れいぎ使し奏請そうせい皇帝こうてい再拜さいはい。拜はい訖，奏請そうせい搢鎮圭けい跪。侍さむらい中ちゅう東向こちむき以爵跪進，禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と爵，三さん祭さい酒しゅ，又また奏請そうせい啐酒。啐酒訖，以爵授侍中ちゅう。禮儀れいぎ使し奏請そうせい受胙，太ふとし祝しゅく以黍稷きび飯めし籩授司し徒と，司つかさ徒と東向こちむき跪進。皇帝こうてい受，以授左右さゆう。太ふとし祝しゅく又また以胙內俎跪授司し徒と，司つかさ徒と跪進。皇帝こうてい受，以授左右さゆう。禮れい直じき官かん引司徒と退すさ立だて。侍さむらい中ちゅう再さい以爵酒しゅ跪進，禮儀れいぎ使し奏請そうせい皇帝こうてい受爵飲いん福ぶく。飲いん福ぶく訖，侍さむらい申受もうしうけ虛きょ爵，興きょう，以授大祝だいしゅく。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と鎮圭，俯伏興きょう，又また奏請そうせい再拜さいはい。拜はい訖，樂らく止どめ。禮儀れいぎ使し前まえ導みちびけ還かえ版ばん位い，登とう歌か樂らく作さく，降くだ自じ西階にししな，樂らく止どめ。宮みや縣けん樂らく作さく，至いたり位い樂らく止どめ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい還かえ小しょう次つぎ。宮みや縣けん樂らく作さく。將はた至いたり小しょう次じ，禮儀れいぎ使し奏請そうせい釋しゃく鎮圭，殿中でんちゅう監かん跪受。入いれ小しょう次じ，簾すだれ降くだ，樂らく止どめ。文ぶん舞まえ退ずさ，武たけ舞まい進すすむ。先さき是ぜ皇帝こうてい酌しゃく獻けんじ訖，將はた至いたり小しょう次じ，禮れい直じき官かん引亞獻けんじ官かん詣まい盥たらい洗あらい位い。盥たらい洗あらい訖，升ます自じ阼階，酌しゃく獻けんじ並なみ如常儀ぎ。酌しゃく獻けんじ訖，禮れい直じき官かん引亞獻けんじ官かん詣まい東ひがし序じょ，西向にしむき立りつ。諸しょ太ふとし祝しゅく各かく以酌罍福酒しゅ，合ごう置おけ一いち爵，一太祝捧爵進亞獻之左，北向きたむき立りつ。亞あ獻けんじ再拜さいはい受爵，跪祭酒しゅ，遂とげ啐飲。太ふとし祝ほうり進すすむ受爵，退すさ，復ふく於坫上じょう。亞あ獻けんじ興きょう再拜さいはい，禮れい直じき官かん引亞獻けんじ官かん降くだ復位ふくい。終おわり獻けんじ如亞獻けんじ之の儀ぎ。初はつ終おわり獻けんじ既すんで升ます，禮れい直じき官かん引七祀獻官各詣盥洗位，搢笏盥たらい執と訖，執と笏しゃく詣まい神位しんい，搢笏跪執爵，三さん祭さい酒しゅ，奠爵執笏しゃく，俯伏興きょう，再拜さいはい訖，諧次位い，如上じょじょう儀ぎ。終おわり獻けんじ畢，贊さん者しゃ唱「太ふとし祝ほうり徹とおる籩豆」。諸しょ太ふとし祝ほうり進すすむ徹とおる籩豆，登とう歌か《豐成とよしげ之の樂らく》作さく，卒そつ徹てっ樂らく止どめ。奉たてまつ禮れい曰：「賜たまもの胙」。贊さん者しゃ唱「衆しゅう官かん再拜さいはい」，在位ざいい者しゃ皆みな再拜さいはい。禮儀れいぎ使し奏そう請詣版ばん位い。簾すだれ卷まき，出で次じ，殿中でんちゅう監かん跪進鎮圭。皇帝こうてい執と圭けい行ぎょう，宮みや縣けん樂らく作さく，至いたり位い樂らく止どめ。送おく神かみ《保ほ成之しげゆき樂らく》作さく，一成いっせい止とめ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい皇帝こうてい再拜さいはい，贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて，凡在位ざいい者しゃ皆みな再拜さいはい。禮儀れいぎ使し前奏ぜんそう禮れい畢，前ぜん導しるべ皇帝こうてい還かえ大だい次つぎ。官かん縣けん《昌あきら寧やすし之の樂らく》作さく，出で門もん樂らく止どめ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい釋しゃく鎮圭，殿中でんちゅう監かん跪受，華はな益えき傘かさ扇おうぎ引導いんどう如常儀ぎ。入にゅう大だい次つぎ，簾すだれ降くだ。禮れい直じき官かん引太常つね卿きょう、御ご史し、太ふとし廟びょう令れい、太ふとし祝しゅく、宮みや闈令升ます殿どの納おさめ神主かんぬし，降くだ就拜位い，奉たてまつ禮讚らいさん升ます納おさめ神主かんぬし訖，再拜さいはい，御ご史し以下いか諸しょ執事しつじ者しゃ皆みな再拜さいはい，以次出で。禮れい宜むべ官かん各かく引享官かん以次出で，太ふと樂らく令れい率りつ工こう人じん二に舞まい以次出で，太ふとし廟びょう令れい闔戶以降いこう乃退。祝しゅく冊さつ藏ぞう於櫃。

　　八曰車駕還宮。皇帝こうてい既すんで還かえ大だい次つぎ，侍さむらい中ちゅう奏請そうせい解かい嚴げん。皇すめらぎ帝釋たいしゃく袞冕，停とま大だい次つぎ。萬まん刻こく頃ごろ，尚なお食しょく進しん膳ぜん。所司しょし備法駕が鹵簿ろぼ，與あずか侍さむらい祀まつ官かん序じょ立りつ於太廟びょう櫺星門外もんがい，以北いほく爲ため上じょう。侍さむらい中ちゅう版ばん奏請そうせい中ちゅう嚴いむ，皇帝こうてい改あらため服ふく通どおり天てん冠かんむり、絳紗袍ほう。少すくな頃ころ，侍さむらい中ちゅう版ばん奏そう皇帝こうてい出で次じ升ます輿こし，導しるべ駕が官かん前まえ導みちびけ，華はな蓋ぶた傘かさ扇おうぎ如儀。至いたり廟びょう門外もんがい，太ふと僕ぼく卿きょう率りつ其屬進しん金きん輅如式しき。侍さむらい中前ちゅうぜん奏請そうせい皇帝こうてい降くだ輿こし升ます輅。升ます輅訖，大だい僕ぼく卿きょう、門下もんか侍さむらい即そく奏請そうせい車しゃ駕が進發しんぱつ，俯伏興きょう，退すさ。車くるま駕が動どう，稱しょう警蹕けいひつ。至いたり櫺星門外もんがい。門下もんか侍さむらい郎ろう奏請そうせい車しゃ駕が權けん停とま，敕衆官かん上馬かみうま。侍さむらい中ちゅう承うけたまわ旨むね退すさ稱しょう曰：「制せい可か。」門下もんか侍さむらい郎ろう退すさ傳つて制せい，贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて。衆しゅう官かん上馬かみうま畢，門下もんか侍さむらい郎ろう奏請そうせい敕車右みぎ升ます。侍さむらい中ちゅう承うけたまわ旨むね退すさ稱しょう「制せい可か。」千牛將軍升訖，導しるべ駕が官かん分ぶん左右さゆう前まえ導みちびけ，門下もんか侍さむらい郎ろう奏請そうせい車しゃ駕が進發しんぱつ。車くるま駕が動どう，稱しょう警蹕けいひつ。符ふ寶たから郎ろう奉たてまつ八寶與殿中監從，教きょう坊ぼう樂らく鼓吹こすい振作しんさく。駕が至いたり崇たかし天てん門もん外垣とのがき櫺星門外もんがい，門下もんか侍さむらい郎ろう奏請そうせい車しゃ駕が權けん停とま，敕衆官かん下馬げば。贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて，衆しゅう官かん下馬げば。車くるま駕が動どう，衆しゅう官かん前ぜん引入內石橋きょう，與儀よぎ仗倒卷まき而北，駐ちゅう立だて。駕が入にゅう崇たかし天てん門もん，至いたり大明だいめい門外もんがい降くだ駕が。升ます輿こし以入。駕が既すんで入いれ，通事つうじ舍人とねり承うけたまわ旨むね敕衆官かん皆みな退すさ，宿衛しゅくえい官かん率りつ衛士えじ宿衛しゅくえい如式。

　　親しん謝儀しゃぎ，其目有ゆう八はち：

　　一いち曰齋戒さいかい。前ぜん享とおる三さん日にち，皇帝こうてい散ち齋とき二に日にち於別殿どの，致齋一いち日にち於大おだい次じ。應おう享とおる官員かんいん受誓戒於中書ちゅうしょ省しょう，如常儀ぎ。

　　二に曰陳設しつらえ，如前親おや祀まつ儀ぎ。

　　三曰車駕出宮。前ぜん享とおる一いち日にち，所司しょし備儀從したがえ、內外仗，與あずか應おう享とおる之これ官かん兩行りょうこう序じょ立りつ於崇天てん門外もんがい，太ふと僕ぼく卿きょう控ひかえ御ご馬立うまたて於大おだい明あきら門外もんがい，諸しょ侍臣じしん及導駕が官かん二に十じゅう四よん人にん，俱於齋ひとし殿どの前ぜん左右さゆう分ぶん班はん立りつ侯こう。通事つうじ舍人とねり引侍中ちゅう跪奏請そうせい中ちゅう嚴いむ，俯伏興きょう。少すくな頃ころ，侍さむらい中ちゅう版ばん奏そう外がい辦，皇帝こうてい即そく御座ぎょざ。四品以上應享執事官起居訖，侍さむらい中ちゅう奏請そうせい升ます輿こし。皇すめらぎ帶出たいしゅつ齋とき段だん，降くだ自じ正せい階かい，乘じょう輿こし，華はな蓋ぶた傘かさ扇おうぎ如常儀ぎ。導しるべ駕が官かん前ぜん導しるべ至いたり大明だいめい門外もんがい，侍さむらい中ちゅう進すすむ當とう輿こし前まえ，奏請そうせい降くだ輿こし，乘馬じょうば訖，導しるべ駕が官かん分ぶん左右さゆう步ふ導しるべ。門下もんか侍さむらい郎ろう跪奏請そうせい進發しんぱつ，俯伏興きょう，前ぜん稱しょう警蹕けいひつ。至いたり崇たかし天てん門もん，門下もんか侍さむらい郎ろう奏請そうせい權けん停とま，敕衆官かん上馬かみうま。侍さむらい中ちゅう承うけたまわ旨むね退すさ，稱しょう制せい可か，門下もんか侍さむらい郎ろう退すさ傳つて制せい，稱しょう衆しゅ官かん上馬かみうま。贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて。衆しゅう官かん出で櫺墾門外もんがい，上馬かみうま訖，門下もんか侍さむらい郎ろう奏請そうせい進發しんぱつ，前ぜん稱しょう警蹕けいひつ，華はな盜ぬすめ傘かさ扇おうぎ儀ただし仗與衆しゅ官かん左右さゆう前ぜん引，教きょう坊ぼう樂らく鼓吹こすい不ふ振作しんさく。至いたり太ふとし廟びょう櫺星門外もんがい，紅べに橋きょう南みなみ，贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて衆しゅ官かん下馬げば。下馬げば訖，自じ卑而尊みこと與儀よぎ仗倒卷まき而北，兩行りょうこう駐ちゅう立りつ。駕が至いたり廟びょう門もん，侍さむらい中ちゅう奏請そうせい皇帝こうてい下馬げば，步ふ入にゅう廟びょう門もん。入にゅう廟びょう門もん訖，侍さむらい中ちゅう奏請そうせい升ます輿こし，尚なお輦奉輿こし，華はな蓋ぶた傘かさ扇おうぎ如常儀ぎ。導しるべ駕が官かん前ぜん導しるべ。皇帝こうてい乘じょう輿こし至大しだい次じ前まえ，侍さむらい中ちゅう奏請そうせい降くだ輿こし，皇帝こうてい降くだ輿こし入にゅう就位しゅうい，簾すだれ降くだ，侍さむらい衛まもる如式。尚なお食しょく進しん膳ぜん，如常儀ぎ。禮儀れいぎ使し似に祝しゅく冊さつ奏そう御ご署しょ訖，奉たてまつ出で，太ふとし廟びょう令れい受之，各かく其於坫，置おけ各室かくしつ祝しゅく案あん上じょう。通事つうじ舍人とねり承うけたまわ旨むね，敕衆官かん各かく還かえ齋とき次じ。

　　四よん曰省牲器，風前ふうぜん親おや祀まつ儀ぎ。

　　五ご曰晨裸はだか。享とおる日び醜みにく前まえ五ご刻こく，光ひかり祿ろく卿きょう、良りょう醞令、大官たいかん令れい入いれ實じつ籩、豆まめ、簠、簋、樽たる、罍，各かく如常儀ぎ。太ふと樂らく令れい率りつ工こう人じん二に舞まい，以次入にゅう就位しゅうい。禮れい直じき官かん引御史し及執事しつじ者しゃ以次人じん就位しゅうい。禮れい直じき官かん引太常つね卿きょう、御ご史し升ます殿どの點てん視し陳ひね設しつらえ，退すさ復位ふくい。禮れい直じき官かん引司徒と等とう官かん詣まい各室かくしつ，分ふん香が設しつらえ酒しゅ如常儀ぎ。禮れい直じき官かん復ふく引太常つね卿きょう及御史し、太ふとし廟びょう令れい、太ふとし祝しゅく、宮みや闈令升ます殿どの，奉たてまつ出で帝みかど后きさき神主かんぬし訖，各かく退すさ降ぶ就拜位い，立たて定じょう。奉たてまつ禮れい於殿上じょう贊さん奉たてまつ神主かんぬし訖，奉たてまつ禮讚らいさん曰：「再拜さいはい」，贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて，御ご史し以下いか皆みな再拜さいはい訖，各かく就位しゅうい。禮れい直じき官かん引攝太ふとし尉じょう由よし南みなみ神しん門東もんとう偏へん門もん入にゅう就位しゅうい，立たて定じょう。協きょう律郎りつろう跪俯伏ふく，舉麾興きょう，工こう鼓こ祝しゅく，宮みや縣けん樂らく作さく《思おもえ成之しげゆき曲きょく》以黃鐘がね爲ため宮みや，大呂おおろ爲ため角かく，大だい簇むらが爲ため徵ちょう，應おう鐘がね爲ため羽わ，作文さくぶん舞まい九きゅう成なり止どめ。太ふとし尉じょう以下いか皆みな再拜さいはい訖，禮れい直じき官かん引太尉じょう詣まい盥たらい洗あらい位い，宮みや縣けん樂らく作さく《肅寧之の曲きょく》，至いたり位い樂らく止やめ，北向きたむき立りつ，搢笏、盥たらい手しゅ、悅えつ手しゅ，執と笏しゃく詣まい爵洗位い，北向きたむき立りつ，搢笏、洗あらい瓚、拭ぬぐえ瓚，以瓚授執事しつじ者しゃ。執と笏しゃく升ます殿どの。宮みや縣けん樂らく作さく，至いたり阼階下か，樂らく止どめ。升ます自じ阼階，登とう歌か樂らく作さく，詣まい太ふと祖そ尊みこと彝つね所しょ，西向にしむき立りつ，樂らく止どめ。執と葵あおい者しゃ以瓚奉大尉たいい，太ふとし尉じょう搢笏執と瓚。司つかさ樽だる者しゃ舉冪酌しゃく鬱うつ鬯訖，大尉たいい以瓚授執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく詣まい太ふと祖神そしん位い，搢笏跪。三上みかみ香かおり。執事しつじ者しゃ以瓚奉太ふとし尉じょう，太ふとし尉じょう執と瓚以鬯裸地ち訖，以虛瓚授執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく俯伏興きょう，退出たいしゅつ戶外こがい，北向きたむき再拜さいはい訖，次じ詣まい各室かくしつ，並なみ如上じょじょう儀ぎ。禮れい華はな，降くだ自じ阼階，復位ふくい。

　　六ろく曰進饌。太ふとし尉じょう裸はだか將はた畢，進しん饌如前ぜん儀ぎ。

　　七なな曰酌獻けんじ。太ふとし尉じょう既すんで升ます裸はだか，禮れい直じき官かん引博士はかせ，博士はかせ引禮儀れいぎ使し至大しだい次じ前まえ，北向きたむき立りつ。通事つうじ舍人とねり引侍中ちゅう詣まい大だい次つぎ前まえ，版はん奏請そうせい中ちゅう嚴いむ，皇帝こうてい服ふく袞冕。坐すわ少すくな頃ころ，侍さむらい中ちゅう奏そう外がい辦，禮儀れいぎ使し跪奏請そうせい皇帝こうてい行ぎょう禮れい，俯伏興きょう。簾すだれ卷まき出いずる次じ，禮儀れいぎ使し前ぜん導しるべ至いたり西にし神門ごうど，華はな蓋ぶた傘かさ審しん停とま於門外がい，近きん侍從じじゅう入いれ，大禮たいれい使し後ご從したがえ。殿中でんちゅう監かん跪進鎮圭，皇帝こうてい執と圭けい入門にゅうもん，協きょう律郎りつろう跪，俯伏興きょう，舉麾，宮みや縣けん《順じゅん成之しげゆき樂らく》作さく，至いたり版ばん位い東向こちむき立りつ，樂らく止どめ。引禮官かん分ぶん左右さゆう侍立じりつ，禮儀れいぎ使し蕒詁裏うら帝みかど再拜さいはい。奉たてまつ禮れい曰：「衆しゅう官かん再拜さいはい」，負まけ者しゃ承うけたまわ傳つて，凡在位ざいい皆みな再拜さいはい。禮儀れいぎ使し奏請そうせい皇帝こうてい詣まい盥たらい洗あらい位い，宮みや縣けん樂らく作さく，至いたり位い樂らく止どめ。內侍跪取匜，興きょう，沃水，又また內侍跪取盤ばん，承うけたまわ水みず。禮儀れいぎ使し奏請そうせい搢鎮圭けい，皇帝こうてい搢圭盥たらい手しゅ。內侍跪取巾はば於篚，興きょう，進しん。帨手訖，奉たてまつ爵官以爵跪進。皇帝こうてい受爵，內侍奉たてまつ匜沃水すい，又また內侍奉たてまつ盤ばん承うけたまわ水みず。皇帝こうてい洗あらい爵訖內，內侍奉たてまつ巾はば跪進。裏うら帝みかど拭ぬぐえ爵訖，內侍奠盤匜，又また奠巾於篚，奉たてまつ爵官受爵。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と鎮圭，導しるべ升ます殿どの，宮みや縣けん樂らく作さく，至いたり西階にししな下か樂らく止どめ。升ます自じ西階にししな登とう歌か樂らく作さく。禮儀れいぎ使し前まえ導みちびけ詣まい太ふと祖そ室しつ樽だる彝つね所しょ，東向こちむき立りつ，樂らく止どめ。宮みや縣けん樂らく作さく，奏そう《開成かいせい之の曲きょく》，奉たてまつ爵官以爵蒞樽，執事しつじ者しゃ舉冪，侍さむらい中ちゅう跪酌犧樽之の泛齊，以爵授執事しつじ者しゃ。禮儀れいぎ使し前まえ導みちびけ，入にゅう詣まい太ふと祖神そしん位い前まえ，北向きたむき立りつ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい搢鎮圭けい，跪，又また奏請そうせい三さん上うえ香が。上うえ香が訖，奉たてまつ爵官以爵授進酒しゅ官かん，進しん酒さけ官かん東向こちむき以爵跪進，禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と詩し祭さい酒しゅ。執と爵三祭酒於茅苴訖，以虛爵授進しん酒さけ官かん，進しん酒さけ官かん受爵以授奉爵官，退すさ立たて樽たる彝つね所しょ。進すすむ酒さけ官かん進しん徹とおる神かみ案あん上所かみところ奠玉爵馬潼，東向こちむき跪進，禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と爵祭馬ば潼。祭まつり訖，以虛爵授進しん酒さけ官かん，進しん酒さけ官かん進しん奠神案あん上じょう訖，退すさ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と圭けい。俯伏興きょう，司つかさ徒と搢笏跪俎前まえ，舉牲盤ばん西向にしむき以進。禮儀れいぎ使し奏請そうせい搢鎮圭けい，皇帝こうてい搢圭，俯受牲盤，北向きたむき跪，奠神案あん上じょう訖，禮儀れいぎ使し奏そう詰つめ執と圭けい興きょう，前ぜん導出どうしゅつ戶外こがい褥しとね位い，北向きたむき立りつ，樂らく止どめ。舉祝官かん搢笏跪，對たい舉祝版ばん。讀祝官かん北向きたむき跪，讀祝文ぶん訖，俯伏興きょう。舉祝官かん奠祝版ばん訖，先さき詣まい次つぎ室しつ。次つぎ蒙こうむ古こ祝しゅく史し詣まい室しつ前ぜん致辭訖，禮儀れいぎ使し奏請そうせい再拜さいはい。拜はい訖，禮れい代だい使し前まえ導みちびけ詣まい各室かくしつ，奏そう各室かくしつ之の樂らく。其酌獻けんじ、進すすむ牲體、祭まつり馬ば潼，並なみ如第一いち室しつ之の儀ぎ。既すんで畢，禮儀れいぎ便びん安やす請詣飲いん福ぶく位い。登とう歌か樂らく作さく，至いたり位い，西向にしむき立りつ，樂らく止どめ。宮みや縣けん《釐成之の樂らく》作さく，禮れい直じき官かん引司徒と立りつ於飲福ぶく位い惻，太ふとし祝しゅく以爵酌しゃく上うえ樽だる福ぶく酒しゅ，合ごう置おけ一いち爵，以奉侍さむらい中ちゅう，侍さむらい中ちゅう受爵奉以立。禮儀れいぎ使し奏請そうせい皇帝こうてい再拜さいはい。拜はい訖，奏そう搢鎮圭けい跪，侍さむらい中ちゅう以爵跪進。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と爵三祭さい酒しゅ，又また奏請そうせい啐酒。啐訖，以爵授侍中ちゅう。禮儀れいぎ使し奏請そうせい受胙，太ふとし祝しゅく黍きび稷きび飯めし籩授司し徒と，司つかさ徒と東向こちむき跪進，皇帝こうてい受，以授左右さゆう。太ふとし祝しゅく又また以胙肉にく俎まないた跪授司し徒と，司つかさ徒と跪進，皇帝こうてい受，以授左右さゆう，禮れい直じき官かん引司徒と退すさ立だて。侍さむらい中ちゅう再さい以爵酒しゅ跪進，禮儀れいぎ使し奏請そうせい皇帝こうてい受爵，飲いん福ぶく酒しゅ訖，侍さむらい中ちゅう受虛爵興，以授太ふとし祝しゅく。禮儀れいぎ使し奏請そうせい執と鎮圭，俯伏興きょう，又また奏請そうせい再拜さいはい。拜はい訖，樂らく止どめ。禮儀れいぎ使し前まえ導みちびけ還かえ版ばん位い。登とう歌か樂らく作さく，降くだ自じ西階にししな，樂らく止どめ。宮みや縣けん樂らく作さく，至いたり位い樂らく止どめ。奉たてまつ禮れい於殿上じょう唱大祝ほうり徹とおる籩豆。宮みや縣けん《豐ゆたか寧やすし之の樂らく》作さく，卒そつ徹てっ，樂らく止どめ。奉たてまつ禮れい曰：「賜たまもの胙」，贊さん者しゃ唱，衆しゅう官かん再拜さいはい，在位ざいい者しゃ皆みな再拜さいはい，送おく神樂かぐら作さく《保ほ成之しげゆき曲きょく》作さく一成いっせい，止とめ。禮儀れいぎ使し奏そう主ぬし皇帝こうてい再拜さいはい，贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて，在位ざいい者しゃ皆みな再拜さいはい。拜はい訖，禮儀れいぎ使し前奏ぜんそう禮れい畢，皇帝こうてい還かえ大だい次つぎ。宮みや縣けん《昌あきら寧やすし之の樂らく》作さく，出で門もん，樂らく止どめ。禮儀れいぎ使し奏請そうせい釋しゃく鎮圭，殿中でんちゅう監かん跪受，華はな蓋ぶた傘かさ扇おうぎ如常儀ぎ。入いれ次じ，簾すだれ降くだ。禮れい直じき官かん引大常つね刀かたな、御ご史し、太ふとし廟びょう令れい、太ふとし祝しゅく、宮みや闈令升ます殿どの納おさめ神主かんぬし訖，各かく降くだ就位しゅうい。贊さん者しゃ於殿上じょう唱升納おさめ神主かんぬし訖，奉たてまつ禮れい曰：「再拜さいはい」，御ご史し以下いか諸しょ執事しつじ者しゃ皆みな再拜さいはい訖，以次出で。通事つうじ舍人とねり禮あや直ちょく官かん各かく引享官かん以次出で，太ふと樂らく令れい率りつ工こう人じん二に舞まい以次出で，太ふとし廟びょう令れい闔戶訖降乃返。祝しゅく版ばん藏ぞう於櫃。

　　八曰車駕還官。皇帝こうてい既すんで還かえ大だい次つぎ，侍さむらい中ちゅう奏請そうせい解かい嚴げん。皇すめらぎ帝釋たいしゃく袞冕，停とま大だい次つぎ。五ご刻こく頃ごろ，尚なお食しょく進しん膳ぜん，如常儀ぎ。所司しょし備儀從したがえ、內外仗，與あずか從したがえ祀まつ諸しょ執事しつじ官かん兩行りょうこう序じょ立りつ於太廟びょう櫺星門外もんがい。侍さむらい中ちゅう版ばん奏そう外がい辦，皇帝こうてい出で次じ升ます輿こし，導しるべ駕が官かん前まえ導みちびけ，華はな蓋ぶた傘かさ扇おうぎ如常儀ぎ。至いたり廟びょう門もん，太ふと僕ぼく卿きょう進すすむ御馬おんま，侍さむらい中ちゅう奉たてまつ請皇帝こうてい降くだ輿こし乘馬じょうば。乘じょう以訖，門下もんか侍さむらい郎ろう奏請そうせい進發しんぱつ，俯伏興きょう退すさ，前ぜん稱しょう警蹕けいひつ。至いたり櫺墾門外もんがい，門下もんか侍さむらい即そく奏請そうせい權けん停とま，敕衆官かん上馬かみうま。侍さむらい中ちゅう承うけたまわ旨むね返かえし稱しょう曰：「制せい可か」，門下もんか侍さむらい郎ろう退すさ傳つて制せい，贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて，衆しゅう官かん上馬かみうま畢，導しるべ駕が官かん及華益えき傘かさ扇おうぎ分ぶん左右さゆう前まえ導みちびけ，稱しょう警蹕けいひつ，教きょう坊ぼう樂らく鼓吹こすい振作しんさく。至いたり崇たかし天てん門もん櫺星門外もんがい，門下もんか侍さむらい郎ろう奏請そうせい權けん停とま，敕衆官かん下馬げば。贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて，衆しゅう官かん下馬げば訖，左右さゆう前ぜん引入內石橋きょう北きた，與儀よぎ仗倒卷まき而北，駐ちゅう立だて。駕が入にゅう祟たたり天てん門もん，至いたり大明だいめい門外もんがい降くだ馬うま，升しょう輿こし以入。駕が既すんで入いれ，通事つうじ舍人とねり承うけたまわ旨むね敕衆官かん皆みな退すさ，宿衛しゅくえい官かん率りつ衛士えじ宿衛しゅくえい如式。

　　攝と祀まつ儀ぎ，其目有ゆう九きゅう：

　　一いち曰齋戒さいかい。享とおる前ぜん三さん日にち，三獻官以下凡與祭員，皆みな公おおやけ服ふく受誓戒於中書ちゅうしょ省しょう。是ぜ日び質しつ明あきら，有司ゆうし設しつらえ金きん椅於省しょう庭にわ，一人執紅羅傘立於其左。奉たてまつ禮れい郎ろう率りつ儀ぎ鸞局陳ひね設しつらえ版ばん位い，獻けんじ官かん諸しょ執事しつじ位い，俱藉以席，乃加紫むらさき綾あや褥しとね。設しつらえ初はつ獻けんじ太ぶと尉じょう位い於省階かい少しょう西にし，南みなみ向こう；大禮たいれい使し位い於其東ひがし，少しょう南みなみ，西向にしむき；監かん祭さい御ご使つかい位い二に，於通道どう之の西にし，東向こちむき；監かん禮れい博士はかせ位い二に，於通道どう之の西にし，東向こちむき；俱北上ほくじょう。設しつらえ司し徒と亞あ終おわり獻けんじ位い於其南みなみ，北向きたむき，西上にしがみ。次つぎ助じょ奠七祀獻官，次じ太ふとし常つね卿きょう、光ひかり祿ろく卿きょう、光ひかり祿ろく丞すすむ、讀祝官かん、太ふとし官かん令れい、良りょう醞令、廩犧令れい、司つかさ樽だる彝つね、舉祝官かん、太ふとし官かん承うけたまわ、廩犧丞すすむ、奉たてまつ爵官、奉たてまつ瓚官、盥たらい爵官二に、巾はば篚官、蒙こうむ古こ太ふとし祝しゅく、巫祝ふしゅく、點てん視し儀ぎ衛まもる、清道きよみち官かん及與祭さい官かん，依よ呂りょ級きゅう陳ひね設しつらえ，皆みな異こと位い重行しげき。太ふとし廟びょう令れい、太ふと樂らく令れい、郊杜令れい、太ふとし祝しゅく位い於通道どう之の西にし，北向きたむき，東上とうじょう。太ふとし廟びょう丞すすむ、太ふと樂らく丞すすむ、郊杜丞すすむ、奉たてまつ禮れい郎ろう、協きょう律郎りつろう、司つかさ天生あもう位い於通道どう之の東ひがし，北向きたむき，西上にしがみ。齋とき郎ろう位い於其後ご。贊さん者しゃ引行事ぎょうじ等とう官かん，各かく就位しゅうい，立たて定じょう。次つぎ引初獻けんじ官立かんりつ定じょう。禮れい直じき官かん搢笏，讀誓文せいもん曰：「某ぼう年とし某ぼう月がつ某ぼう日び，享とおる於太廟びょう，各かく揚あげ其職，其或不敬ふけい，國有こくゆう常つね刑けい。」散ち齋とき二に日にち宿やど於正寢ね，致齋一いち日にち宿やど於祠所しょ。散ち齋とき日び治ち事ごと如故，不ふ弔ちょう喪も問とい病びょう，不ふ作樂さくら，不ふ判はん署しょ刑けい殺ころせ文字もじ，不ふ決けつ罰ばつ罪人ざいにん，不ふ與あずか穢けがれ惡事あくじ。致齋日び惟おもんみ享とおる事ごと得とく行ぎょう。餘よ悉禁，凡與享とおる之これ官かん，己おのれ齋とき而闕者しゃ。通つう攝と行事ぎょうじ。七品以下官先退，餘あまり官かん再拜さいはい。禮れい直じき官かん贊さん「鞠きく躬」，「拜はい」，「興きょう」，「拜はい」，「興きょう」，「平身へいしん」，「禮れい畢」。守まもり廟びょう兵衛ひょうえ與太よた樂らく工こう人じん，俱清齋とき一いち宿しゅく。赴祝所しょ之の曰，官給かんきゅう酒しゅ饌。

　　二に曰陳設しつらえ。享とおる前ぜん二に日にち。所司しょし設しつらえ兵衛ひょうえ於廟門もん，禁斷きんだん行人こうじん。儀ぎ鸞局設しつらえ幄幔於饌殿どの，所司しょし設しつらえ三獻官以下行事執亨官次於齋房之所。前ぜん一いち日にち，太ふと樂らく令れい率りつ其屬設しつらえ宮みや縣けん之の樂らく於庭中ちゅう。東方とうほう、西方にしかた磬かおる徹とおる起おこり北きた，鍾徹次じ之の。南方なんぽう、北方ほっぽう。磬かおる徹とおる起おこり西にし，鍾徹次じ之の。設しつらえ十じゅう二徹鍾於編縣之間。各かく依よ辰たつ位い，樹き建けん鼓こ於四隅すみ。置おけ祝しゅく敔於北きた縣けん之の內。柷一在ざい道東どうとう，敔一在ざい道みち西にし。路みち鼓こ一いち在ざい柷之東南とうなん，晉すすむ鼓こ一いち在ざい其後，又また路みち鼓こ一いち在ざい柷西南せいなん。諸しょ工こう人じん各かく於其後ご。東方とうほう、西方せいほう，以北いほく爲ため上じょう。南方なんぽう、北方ほっぽう，以西いせい爲ため上じょう。文ぶん舞まい在ざい北きた，武たけ舞まい在ざい南みなみ，立たて舞まい表ひょう於酇綴つづり之の間あいだ。又また設しつらえ登とう歌か之の樂らく於殿上前うわまえ楹間。玉たま磬かおる一徹いってつ在ざい西にし，金きむ鐘一しょういち蘆あし在ざい東ひがし，敔一在金鐘北稍西，敔一在玉磬北稍東。搏栿二に，一いち在ざい敔北。一いち在ざい柷北，東西とうざい相しょう向むこう。歌うた工こう次じ之の，餘よ工こう各位かくい於縣後ご。其匏竹ちく者しゃ立たて於階間あいだ，重行しげき北向きたむき，相對そうたい爲ため首くび。

　　享とおる前ぜん一いち日にち，太ふとし廟びょう令れい率りつ其屬掃除そうじ庭にわ之の內外。樞密院すうみついん軍ぐん官かん一員いちいん。率りつ軍人ぐんじん劃降除草じょそう穢けがれ，平ひら冶道路ろ。又また設しつらえ七祀鐐柴於廟門之外。又また於室鋪しき設しつらえ神位しんい於北牖下，當とう戶と南みなみ向むこう。每まい位くらい設しつらえ黼黼一いち，紫むらさき綾あや厚あつ褥しとね一いち，薄うす褥しとね一いち，莞ふとい席せき一いち，繅席二に，虎とら皮がわ次席じせき二に。時とき暄則用よう桃枝ももえ竹ちく蓆むしろ，幾いく在ざい筵むしろ上じょう。又また設しつらえ三獻官拜跪褥位二，一いち在室ざいしつ內，一いち在室ざいしつ外がい。學士がくし院いん定てい撰せん祝しゅく冊さつ訖，書しょ祝しゅく官かん於饌幕まく具ぐ公おおやけ服ふく書しょ祝しゅく訖，請初獻けんじ官署かんしょ御名ぎょめい訖，以授太ふとし廟びょう令れい。又また設しつらえ祝しゅく案あん於室戶外こがい之の右みぎ。又また設しつらえ三獻官位於殿下橫街之南，稍やや西にし，東向こちむき。亞あ獻けんじ終おわり獻けんじ位い稍やや卻，助じょ奠七祀獻官又於其南。書しょ祝しゅく官かん、讀祝官かん、舉祝官かん、太ふとし廟びょう令れい、太ふとし官かん令れい、良りょう醞令、廩犧令れい、太ふとし廟びょう丞すすむ、太ふとし官かん丞すすむ位い，又また於其南みなみ。司つかさ撙彝、奉たてまつ瓚官、奉たてまつ爵官、盥たらい洗あらい巾はば篚、爵洗巾はば篚、蒙こうむ古こ太ふとし祝しゅく、蒙こうむ古こ巫祝ふしゅく、太ふとし祝しゅく、宮みや闈令及七祀司樽彝、盥たらい洗あらい巾はば篚，以次而南。又また設しつらえ齋とき郎ろう位い於其後ご。每まい等とう異こと位い，重行しげゆき，東向こちむき，北上ほくじょう。又また設しつらえ大禮たいれい使し於南神しん門東もんとう偏へん門もん稍やや北きた，北向きたむき。又また設しつらえ司し徒と、太ふとし常つね卿きょう等位とうい於橫街がい之の南みなみ，稍やや東ひがし，西向にしむき，與あずか亞あ終おわり獻けんじ相對そうたい，司つかさ徒と位い在ざい北きた，太ふとし常つね卿きょう稍やや。太ふと常つね同どう知ち、光ひかり祿ろく卿きょう、僉院、同どう僉、院いん判ばん、光ひかり祿ろく丞すすむ、拱衛使し，以次而南。設しつらえ監かん祭さい御ご史し位い二に、監かん禮れい博士はかせ位い二に於橫街がい之の北きた，西向にしむき，以北いほく爲ため上じょう。又また設しつらえ協きょう律郎りつろう位い在ざい宮みや縣けん樂らく蘆あし西北せいほく，東向こちむき，大だい樂らく丞すすむ在ざい樂らく蘆あし之の間あいだ。又また設しつらえ大だい樂らく令れい、協きょう律郎りつろう位い於登歌か樂らく蘆あし之の間あいだ。又また設しつらえ牲榜於東おひがし神しん門外もんがい，南みなみ向むこう。設しつらえ太ぶと常つね卿きょう位い於牲位い南みなみ向むこう。監かん祭さい御ご史し位い在ざい太ふとし常つね卿きょう之の左ひだり，太ふとし官かん令れい次じ之の，光ひかり祿ろく丞すすむ、大官たいかん丞すすむ又また次つぎ之の，廩犧令れい位い在ざい牲西南せいなん，廩犧丞すすむ稍やや卻，俱北向きたむき，以右爲ため上じょう。又また設しつらえ諸しょ太ふとし祝しゅく位い於牲東ひがし，西向にしむき，以北いほく爲ため上じょう。又また設しつらえ蒙こうむ古こ巫祝ふしゅく位い於牲東南とうなん，北向きたむき。又また設しつらえ首くび饌位於省饌殿前まえ，太ふとし常つね卿きょう、光ひかり祿ろく卿きょう、光ひかり祿ろく丞すすむ、太ふとし官かん令れい位い於東おひがし，西向にしむき；監かん祭さい、監かん禮れい位い於西，東向こちむき；皆みな北上ほくじょう。太ふとし廟びょう令れい陳ひね祝しゅく版ばん於室右みぎ之の祝しゅく案あん，又また率りつ祠祭しさい局きょく設しつらえ籩、豆まめ、蘆あし、簋。每まい室しつ左ひだり十じゅう又また二に籩，右みぎ十じゅう又また二に豆まめ，俱爲四よん行ぎょう。登とう三さん在ざい籩豆之の間あいだ，鉶三さん次じ之の，蘆あし二に、簋二又また二に次じ之の，蘆あし左ひだり簋右，俎まないた七なな在ざい蘆あし簋之南みなみ，香こう案あん一いち次じ之の，沙すな池いけ又次またじ之これ。又また設しつらえ每ごと室しつ樽だる罍於通どおり廊ろう，斝彝、黃き彝つね各かく一いち，春はる夏なつ用よう雞彝、烏がらす彝つね、犧樽二に、象ぞう樽だる二に，秋冬あきふゆ用よう著ちょ樽だる、壺つぼ樽だる、著ちょ樽だる二に、山やま罍二，以次在ざい本ほん室しつ南みなみ之の左ひだり，皆みな加か勺しゃく冪べき。爲ため酌しゃく樽だる所しょ，北向きたむき，西上にしがみ。彝つね有ゆう舟ふね坫冪。又また設しつらえ壺つぼ樽だる二に、太ふとし樽だる二に、山やま罍四，在ざい殿下でんか階かい間あいだ，俱北向きたむき。望もち室戶むろと之の左ひだり，皆みな有ゆう坫加冪べき，設しつらえ而不酌しゃく。凡祭器き，皆みな藉以席せき。又また設しつらえ七祀位於橫街之南道東，西向にしむき，以北いほく爲ため上じょう。席せき皆みな以莞。設しつらえ神かみ版ばん位い，各かく於座首くび。又また設しつらえ祭器さいき，每まい位い左ひだり二に籩，右みぎ二に豆まめ，蘆あし一いち、簋一在ざい籩豆間あいだ，俎まないた一いち在ざい籩前，爵坫一いち次じ之の，壺つぼ尊みこと二に在ざい神位しんい之の西にし，東向こちむき，以北いほく爲ため上じょう，皆みな有ゆう坫勺冪べき。又また設しつらえ三獻さんこん盥たらい洗あらい、爵洗在ざい通つう街がい之の西にし，橫よこ街がい之の南みなみ，北向きたむき。罍在洗あらい西にし加か勺しゃく，篚在冼東，皆實みなみ以巾。爵洗仍實以瓚，爵加盤ばん坫，執と罍篚者しゃ各位かくい於後。又また設しつらえ七祀獻官盥洗位於七祀神位前，稍やや北きた。罍在洗あらい西にし，篚在洗あらい東ひがし，實じつ以巾。又また實じつ爵於坫。執と罍篚者しゃ各位かくい於後。

　　三さん日にち習儀。享とおる前ぜん二に日にち，三獻以下諸執事官員赴太廟習儀。次つぎ日び早はや，各かく具ぐ公おおやけ服ふく乘馬じょうば赴東華はな門もん，迎接げいせつ御ご香こう至いたり廟びょう省しょう牲。

　　四よん曰迎香が。享とおる前ぜん一いち日にち，有司ゆうし告諭こくゆ坊ぼう市し，灑掃經けい行ぎょう衢路，只ただ備香案あん。享とおる前ぜん一いち日にち質しつ明あきら，三獻官以下及諸事官，各かく具ぐ公おおやけ服ふく，六品以下官皆借紫服，詣まい崇たかし天てん門下もんか。太ふと常つね禮儀れいぎ院いん官かん一員いちいん奉たてまつ御ご香こう。一員いちいん奉たてまつ酒さけ，二員奉馬潼，自じ內出。監かん祭さい、監かん禮れい奉たてまつ禮れい郎ろう、太ふとし祝しゅく分ぶん兩りょう班はん前ぜん導しるべ。控ひかえ鶴づる五ご人にん，一人ひとり執と傘かさ，從者じゅうしゃ四よん人にん，執と儀仗ぎじょう在ざい前まえ行ぎょう。至いたり大明だいめい門もん，由正よしまさ門出かどで，教きょう坊ぼう大だい樂らく作さく。至いたり崇たかし天てん門外もんがい，奉たてまつ香こう、酒さけ、馬うま潼者安置あんち於輿，導しるべ引如前まえ。行くだり至いたり外がい坦ひろし櫺星門外もんがい。百官ひゃっかん上馬かみうま，分ふん兩りょう班はん行ぎょう於儀仗之外がい，清道きよみち官かん行ぎょう於儀衛まもる之これ先さき，兵馬へいば司し之の兵へい夾道次じ之の，金きむ鼓こ又また次つぎ之の，京きょう尹いん儀ただし從したがえ又また次つぎ之の，教きょう坊ぼう大だい樂らく爲ため一いち隊たい次じ之の。控ひかえ鶴づる帨手各かく服ふく其服，執と儀仗ぎじょう左右さゆう成なり列れつ次じ之の，拱衛使し居きょ其中。儀ぎ鳳おおとり司つかさ細ほそ樂らく又次またじ之これ。太ふと常つね卿きょう與あずか博士はかせ、御ご史し導しるべ於輿前まえ，獻けんじ官かん、司つかさ徒と、大禮たいれい使し、助じょ奠官從したがえ入にゅう至いたり殿下でんか，獻けんじ官かん奉たてまつ香こう、酒さけ、馬うま潼升自じ東ひがし階かい，入にゅう殿しんがり內通郎ろう正せい位い安置あんち。禮れい直じき官かん引獻官かん降くだ自じ東ひがし階かい，由ゆかり東ひがし神門ごうど北きた偏へん門出かどで，釋しゃく服ふく。

　　五ご曰省器き，見み親おや祀まつ儀ぎ。

　　六ろく曰尺裸はだか。祀まつ曰醜前まえ五ご刻こく，太ふとし常つね卿きょう、光ひかり祿ろく卿きょう、太ふとし廟びょう令れい率りつ其屬設しつらえ燭しょく於神位い，遂とげ同どう三獻さんこん官かん、司つかさ徒と、大禮たいれい使し等とう每ごと室しつ一いち人にん，分ふん設しつらえ御ご香こう酒しゅ醴，以金玉だま爵斝，酌しゃく馬ば衝、葡萄ぶどう尚なお醞酒奠於神かみ案あん。又また陳ひね籩豆之の實み。籩四よん行ぎょう，以右爲ため上じょう。第だい一いち行ぎょう魚ぎょ鱐在前まえ，糗餌、粉こな餈次之の。第だい二に行ぎょう，乾いぬい撩在前まえ，幹みき棗なつめ、形かたち鹽しお次じ之の。第だい三さん行ぎょう。鹿しか脯在前まえ，榛はしばみ實み、幹みき桃もも次じ之の。第だい四よん行ぎょう，菱ひし在ざい前まえ，茨いばら、慄次之の。豆まめ四よん行ぎょう，以左爲ため上じょう。第だい一いち行ぎょう，芹せり菹在前まえ，筍たけのこ菹、葵あおい薀次之の。第だい二に行ぎょう，菁菹在ざい前まえ，韭にら菹、米べい參さん食しょく次じ之の。第だい三さん行ぎょう，魚さかな醢ひしお在ざい前まえ，免めん醢ひしお、豚ぶた拍はく次じ之の。第だい四よん行ぎょう，鹿しか臡前，簠醢、糝食次じ之の。簠實以稻梁はり，簋實以黍稷きび，登のぼり實みのる以太羹あつもの，鉶實以和羹あつもの，樽たる彝つね、斝彝實じつ以明水すい。黃き彝つね實じつ以鬱鬯，犧樽實じつ以泛齊ひとし。象ぞう樣さま實じつ以醴齊ひとし，著ちょ樽だる實じつ以盎齊ひとし，山やま罍實以三酒しゅ，壺つぼ樽だる實じつ以醍齊ひとし，太ふとし樽だる實じつ以沈齊ひとし。凡齊之の上うえ樽だる實じつ以明水すい，酒さけ之の上うえ樽だる實じつ以原酒しゅ，其酒齊ひとし以上いじょう醞代之の。又また實じつ七なな祀まつ之これ祭器さいき，每まい位い左ひだり二に籩。慄在前まえ，鹿しか脯次之の。右みぎ二に豆まめ，菁菹在ざい前まえ，鹿しか臡次之の。簠實以黍，簋實以稷，壺つぼ尊とうと實じつ以醍齊ひとし，其酒齊ひとし亦また以上いじょう醞代之の。陳ひね設しつらえ訖，獻けんじ官かん以下いか行事ぎょうじ執事しつじ官かん，各かく服ふく其服，會かい於齊おさい醞班廳ちょう。禮れい直じき官かん引太常つね卿きょう、監かん祭さい、監かん禮れい太ふとし廟びょう令れい、太ふとし祝しゅく、宮みや闈令、諸しょ執事しつじ官かん、齋とき郎ろう，自じ南みなみ神しん門東もんとう偏へん門もん入にゅう就位しゅうい，東西とうざい相しょう向こう立たて定じょう。候こう監かん祭さい、監かん禮れい按殿之の上下じょうげ，徹とおる去さ蓋ぶた冪べき，糾察不ふ如儀者しゃ，退すさ復位ふくい。禮れい直じき官かん引太常つね卿きょう、監かん祭さい、監かん禮れい、太ふとし廟びょう令れい、太ふとし祝しゅく、宮みや闈令升ます自じ東ひがし階かい，詣まい太ふと祖そ室しつ。蒙こうむ古こ太ふとし祝しゅく起おこり帝みかど主神しゅしん冪べき，宮みや闈令起おこり後ご主神しゅしん冪べき。次つぎ詣まい每まい室しつ，並なみ如常儀ぎ畢，禮れい直じき官かん引太常つね卿きょう以下いか諸しょ執事しつじ官かん，當とう橫よこ街がい間あいだ，重行しげゆき，以西いせい爲ため上じょう，北向きたむき立りつ定じょう。奉たてまつ禮れい郎ろう贊さん曰：「奉たてまつ神主かんぬし訖，再拜さいはい。」禮れい直ちょく承うけたまわ傳つて，太ふとし常つね卿きょう以下いか皆みな再拜さいはい訖，奉たてまつ禮れい郎ろう又また贊さん曰：「各かく就位しゅうい。」禮れい直じき官かん引諸執事しつじ官かん各かく就位しゅうい，次じ引太官かん率りつ齋とき郎ろう由よし南みなみ神しん門東もんとう偏へん門もん以次出で。贊さん者しゃ引三獻さんこん官かん、司つかさ徒と大禮たいれい使し、七なな祀まつ獻けんじ官かん、諸しょ行事ぎょうじ官かん，由ゆかり南みなみ神しん門東もんとう偏へん門もん入いれ，各かく就位しゅうい，立たて定じょう。禮れい直じき官かん進しん於初獻けんじ官かん之の左ひだり，贊さん曰：「有司ゆうし謹具，請行事ぎょうじ」，退すさ復位ふくい。協きょう律郎りつろう跪，俯伏興きょう，舉麾，興きょう，工こう鼓こ祝しゅく，宮みや縣けん樂らく奏そう《思おもえ成之しげゆき曲きょく》九きゅう成なり，文ぶん舞まい九きゅう變へん。奉たてまつ禮れい郎ろう贊さん再拜さいはい，在位ざいい者しゃ皆みな再拜さいはい。奉たてまつ禮れい又また贊さん諸しょ執事しつじ者しゃ各かく就位しゅうい，禮れい直じき官かん引奉瓚、奉たてまつ爵、盥たらい爵、洗あらい巾はば篚執事しつじ官かん各かく就位しゅうい，立たて定じょう。禮れい直じき官かん引初獻けんじ官かん詣まい盥たらい洗あらい位い，宮みや縣けん樂らく作さく無む射い宮みや《肅寧之の曲きょく》，至いたり位い北向きたむき立りつ定じょう。搢笏、盥たらい手しゅ、執と手て，執と笏しゃく詣まい爵洗位い，至いたり位い北向きたむき立りつ定じょう。搢笏、執と瓚、洗あらい瓚、拭ぬぐえ瓚，以瓚授執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく，樂らく止どめ。登とう歌か樂らく作さく，奏そう夾鍾宮みや《肅寧之の曲きょく》，升ます自じ東ひがし階かい，樂らく止どめ。詣まい太ふと祖そ酌しゃく樽だる所しょ，西向にしむき立りつ，搢笏，執事しつじ者しゃ以瓚授初獻けんじ官かん，執と瓚。司つかさ樽だる彝つね跪舉冪べき，良りょう醞令跪酌黃き彝つね鬱うつ冪べき，初はつ獻けんじ以瓚授執事しつじ者しゃ。執と笏しゃく詣まい太ふと祖神そしん位い前まえ，北向きたむき立りつ，搢笏跪，三上みかみ香かおり。執事しつじ者しゃ以瓚授初獻けんじ，初はつ獻けんじ執と瓚以鬯灌於沙池ち，以瓚授執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく，俯伏興きょう，出で室しつ戶外こがい，北向きたむき立りつ。再拜さいはい訖，詣まい每まい室しつ裸はだか鬯如上じょう儀ぎ。俱畢，禮れい直じき官かん引初獻けんじ降ぶ自じ東ひがし階かい，登とう歌か樂らく作さく，奏そう夾鍾宮みや《肅寧之の曲きょく》。復位ふくい，樂らく止どめ。

　　七なな曰饋食しょく。初はつ獻けんじ既すんで裸はだか，如前進ぜんしん饌儀。

　　八はち曰酌獻けんじ。大祝だいしゅく立りつ茅ちがや苴於盤ばん。禮れい直じき官かん引初獻けんじ詣まい盥たらい洗あらい位い，宮みや縣けん樂らく作さく，奏そう無む射い宮みや《肅寧之の曲きょく》，至いたり位い北向きたむき立りつ，搢笏、盥たらい手しゅ、帨手，執と笏しゃく詣まい爵洗位い。至いたり位い，搢笏、執と爵、洗あらい爵、拭ぬぐえ爵。以爵授執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく，樂らく止どめ。登とう歌か樂らく作さく，奏そう夾鍾宮みや《肅寧之の曲きょく》，升ます自じ東ひがし階かい，樂らく止どめ。詣まい太ふと祖そ酒樽さかだる所しょ，西向にしむき立りつ，搢笏執と爵。司つかさ樽だる彝つね搢笏跪舉冪べき，良りょう醞令措笏跪酌犧樽之の泛齊，以爵執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく。宮みや縣けん樂らく作さく，奏そう無む射い宮みや《開成かいせい之の曲きょく》，詣まい太ふと祖神そしん座ざ前まえ，北向きたむき立りつ，稍やや前まえ，搢笏堍，三上みかみ香かおり。執と爵，三祭酒於茅苴，以爵授執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく，俯伏興きょう，平たいら立りつ。請出室しつ出戶でと外がい，北向きたむき立りつ，樂らく止やめ，俟讀祝しゅく。舉祝官かん搢笏跪，對たい舉祝版ばん，讀祝官かん跪讀祝しゅく文ぶん。讀訖，舉祝官かん奠祝版ばん於案，執と笏しゃく興きょう，讀祝官かん俯伏興きょう。禮れい直じき官かん贊さん再拜さいはい訖，次じ詣まい每まい室しつ，酌しゃく獻けんじ如上じょじょう儀ぎ，各かく奏そう本ほん室しつ之の樂らく。獻けんじ畢，宮みや縣けん樂らく止どめ。降くだ自じ東ひがし階かい，登とう歌か樂らく作さく，奏そう夾鍾宮みや《肅寧之の曲きょく》。初はつ獻けんじ復位ふくい，立たて定じょう。文ぶん舞まえ退ずさ，武たけ舞まい進すすむ，宮みや縣けん樂らく作さく，奏そう無む射い官かん《肅寧之の曲きょく》。舞まい者しゃ立たて定じょう，樂らく止どめ。禮れい直じき官かん引亞獻けんじ詣まい盥たらい洗あらい位い。至いたり位い北向きたむき立りつ，搢笏、執と爵、洗あらい爵、拭ぬぐえ爵。以爵授執事しつじ者しゃ。升ます自じ東ひがし階かい，詣まい太ふと祖そ酌しゃく樽だる所しょ，西向にしむき立りつ，搢笏，執と爵。司つかさ樽だる彝つね搢跪舉冪，良りょう醞令搢笏跪酌象ぞう樽だる之の醴齊，以爵授執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく。宮みや縣けん樂らく作さく，奏そう無む射い宮みや《肅寧之の曲きょく》。詣まい太ふと祖神そしん座ざ前まえ。北向きたむき立りつ，稍やや前まえ，搢笏跪，三上みかみ香かおり，執と爵，三祭酒於茅苴，以爵授執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく俯伏興きょう，平たいら立りつ，請出室しつ戶外こがい，北向きたむき立りつ。再拜さいはい訖，次じ詣まい每まい室しつ，酌しゃく歌か並なみ如上じょじょう儀ぎ。獻けんじ畢，樂らく止どめ。降くだ自じ東ひがし階かい，復位ふくい立りつ定じょう。禮れい直じき官かん引終獻けんじ，如亞獻けんじ之の儀ぎ，唯ただ酌しゃく若わか樽だる之の盎齊。禮れい畢，降くだ復位ふくい。初はつ終おわり獻けんじ將行まさゆき，贊さん者しゃ引七祀獻官詣盥洗位，搢笏、盥たらい手しゅ、帨手訖，執と笏しゃく詣まい酒樽さかだる所しょ，搢笏、執と爵、酌しゃく酒しゅ，以爵授執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく詣まい首位しゅい神座かんざ前まえ，東向こちむき立りつ，稍やや前まえ，搢笏跪執爵，三さん祭さい酒しゅ於沙池ち，奠爵於案，執と笏しゃく俯伏興きょう。少しょう退すさ立たて，再拜さいはい訖，每まい位い並なみ如上じょじょう儀ぎ。俱畢，七祀獻官俟終獻官降復位，立たて定じょう。

　　九きゅう曰祭馬ば衝。終おわり獻けんじ酌しゃく獻けんじ將はた畢，禮れい直じき官かん分引ぶびき初はつ獻けんじ亞あ獻けんじ官かん、司つかさ徒と、大禮たいれい使し、助じょ奠官、七なな祀まつ獻けんじ官かん、太ふとし常つね卿きょう、監かん祭さい、監かん禮れい、太ふとし廟びょう令れい丞すすむ、蒙こうむ古こ庖人、巫祝ふしゅく等とう升ます殿どの。每まい室しつ獻けんじ官かん一員各立於戶外，太ふとし常つね悶もだえ、監かん祭さい、監かん禮れい以下いか立たて於其後ご。禮れい直じき官かん引獻宵よい詣まい神座かんざ前まえ，蒙こうむ古こ庖人割わり牲體以授獻けんじ官かん。獻けんじ官かん搢笏跪樽於帝主神しゅしん位い前まえ，次じ奠於後ご主神しゅしん位い前ぜん訖，出で笏しゃく退すさ就拜位い，搢笏跪。太ふとし廟びょう令れい取と案あん上じょう先さき設しつらえ金玉きんぎょく爵斝馬ば衝、葡萄ぶどう尚なお醞酒，以次授獻官かん，獻けんじ官かん皆みな祭さい於沙池ち。蒙こうむ古こ巫祝ふしゅく致辭訖，宮みや縣けん樂らく作さく同どう進すすむ饌之曲きょく。初はつ獻けんじ出で笏しゃく就拜興きょう，請出室しつ戶外こがい，北向きたむき立りつ。俟衆獻けんじ官かん畢立，禮れい直ちょく官かん通どおり贊さん曰：「拜はい」，「興きょう「，凡四拜はい。監かん祭さい、監かん禮れい以下いか從したがえ拜はい。皆みな作さく本朝ほんちょう跪禮。拜はい訖，退すさ，登とう歌か樂らく作さく，降くだ階かい，樂らく止どめ。太ふとし祝ほうり徹とおる籩、豆まめ，登とう歌か樂らく作さく，奏そう夾鍾宮みや《豐ゆたか寧やすし之これ曲きょく》。奉たてまつ禮讚らいさん賜たまもの胙，贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて，衆しゅう官かん再拜さいはい興きょう。送おく神樂かぐら作さく，奏そう黃き鐘がね宮みや《保ほ成之しげゆき曲きょく》一成いっせい而止。太ふとし祝しゅく各かく奉たてまつ每まい室しつ祝しゅく版ばん，降くだ自じ太ふとし階かい望もち瘞位，禮れい直じき官かん引三獻けんじ、司つかさ徒と、大禮たいれい使し、助じょ奠、七なな祀まつ獻けんじ官かん、太ふとし常つね卿きょう、光ひかり祿ろく卿きょう、監かん祭さい、監かん禮れい視し燔祝版ばん，至いたり位い坎北南みなみ向こう跪，以祝版ばん奠於柴しば，就拜興きょう。俟半燎，禮れい宜むべ官かん贊さん「可か瘞。」禮れい直じき官かん引三獻以下及諸執事者、齋とき郎等ろうどう，由ゆかり南みなみ神しん門東もんとう偏へん門出かどで至いたり揖位，圓えん揖。樂らく工こう二舞以次從出。三獻さんこん之の出で也，禮れい直じき官かん分引ぶびき太ふと常つね卿きょう、太ふとし廟びょう令れい、監かん祭さい、監かん禮れい，蒙こうむ古こ太ふとし祝しゅく、宮みや闈令及各室しつ太ふとし祝しゅく，升ます自じ東ひがし階かい，詣まい太ふと祖神そしん座ざ前まえ，升ます納おさめ神主かんぬし，每まい室しつ如儀。俱畢，降くだ自じ東ひがし階かい，至いたり橫よこ街がい南みなみ，北向きたむき西上にしかみ立りつ定じょう。奉たてまつ禮讚らいさん曰：「升ます納おさめ神主かんぬし訖，再拜さいはい」，贊さん者しゃ承うけたまわ傳つて，再拜さいはい訖。以次出で。禮れい畢，三獻さんこん官かん、司つかさ徒と、大禮たいれい使し、太ふとし常つね禮儀れいぎ院いん使し、光ひかり祿ろく卿きょう等とう官かん，奉たてまつ胙進於闕庭にわ。駕が幸こう上うえ都と，則のり以驛赴奉進しん。

　　攝と行あるき告つげ謝儀しゃぎ：告つげ前まえ三さん日にち，三獻官以下諸執事官，各かく具ぐ公おおやけ服ふく赴中書しょ省しょう受誓戒。告つげ前まえ一いち日にち未み正せい一刻いっこく，省しょう牲器。至いたり期き質しつ明あきら，三獻官以下諸執事者各服法服，禮れい直じき官かん引太常つね卿きょう、監かん祭さい、御ご史し、監かん禮れい博士はかせ、五令諸執事官先入就位。禮れい直じき官かん引監祭さい、監かん禮れい點てん視し陳ひね設しつらえ畢，復位ふくい。禮れい直じき官かん引太常つね卿きょう、監かん祭さい、監かん禮れい、太ふとし廟びょう令れい、太ふとし祝しゅく、宮みや闈令奉遷ほうせん各室かくしつ神主かんぬし訖，降くだ自じ橫よこ街がい，北向きたむき立りつ定じょう。奉たてまつ禮れい郎ろう贊さん「再拜さいはい。」在位ざいい官かん皆みな再拜さいはい訖，奉たてまつ禮れい郎ろう贊さん「各かく就位しゅうい。」訖，太ふとし官かん令れい、齋とき郎ろう出で。禮れい直じき官かん引三獻けんじ、司つかさ徒と、光ひかり祿ろく卿きょう、捧ささげ瓚，、爵盥、爵洗官かん人じん就位しゅうい，立たて定じょう。禮れい直じき官かん贊さん「有司ゆうし謹具，請行事ぎょうじ，。」降くだ神樂かぐら作さく，九きゅう成なり止どめ。奉たてまつ禮れい郎ろう贊さん「再拜さいはい」，三獻さんこん以下いか再拜さいはい訖，秦はた禮あや郎ろう贊さん「諸しょ執事しつじ者しゃ各かく就位しゅうい」，立たて定じょう。禮れい直じき官かん引初獻けんじ詣まい盥たらい洗あらい位い，盥たらい手しゅ，詣まい爵洗位い，洗あらい瓚。詣まい第だい一室いっしつ酒樽さかだる所しょ，酌しゃく鬱うつ鬯。諧神座ざ前まえ，北向きたむき跪，搢笏三上みかみ香かおり，奠幣執と瓚。以鬯灌於沙すな池ち，執と笏しゃく俯伏興きょう。出だし室しつ戶外こがい，再拜さいはい訖，次じ詣まい各室かくしつ，並なみ如上じょじょう儀ぎ。俱畢，降くだ復位ふくい。司つかさ徒と率りつ齋とき郎ろう進しん饌，如常儀ぎ。奠畢，降くだ復位ふくい。禮れい直じき官かん引初獻けんじ詣まい盥たらい洗あらい位い，盥たらい手しゅ，詣まい爵洗位い，洗あらい爵。詣まい第だい一室いっしつ酒樽さかだる所しょ，酌しゃく酒しゅ。詣まい神座かんざ前まえ，北向きたむき搢笏跪，三上みかみ香かおり，執と爵三祭酒於茅苴，以爵授執事しつじ者しゃ，執と笏しゃく俯伏興きょう，出で室しつ戶外こがい，北向きたむき立りつ。俟讀祝しゅく官かん讀祝文ぶん訖，再拜さいはい。詣まい每まい室しつ，並なみ如上じょじょう儀ぎ。俱畢。降くだ復位ふくい。禮れい直じき官かん引亞獻けんじ官かん盥たらい手しゅ、洗あらい爵、酌しゃく獻けんじ，並なみ如初獻けんじ儀ぎ。惟おもんみ不ふ讀祝。俱畢，降くだ復位ふくい。禮れい直じき官かん引終獻けんじ，並なみ如亞獻けんじ儀ぎ。俱畢，復位ふくい。太ふとし祝しゅく籩、豆まめ，奉たてまつ禮れい郎ろう贊さん賜たまもの胙，衆しゅう官かん再拜さいはい。在位ざいい官かん皆みな再拜さいはい訖，禮れい直じき官かん引三獻さんこん官かん、司つかさ徒と、太ふとし常つね卿きょう、盥たらい祭さい、監かん禮れい視し焚祝版ばん幣帛へいはく，禮れい直ちょく贊さん「可か瘞」。禮れい畢，太ふとし常つね卿きょう、監かん祭さい、監かん禮れい升ます納おさめ神主かんぬし訖，樽たる自じ橫よこ階かい。奉たてまつ禮れい郎ろう贊さん再拜さいはい，在位ざいい官かん皆みな再拜さいはい訖，退すさ。

　　薦こも新しん儀ぎ：至いたり曰質明あきら，太ふとし常つね禮儀れいぎ院いん官かん屬ぞく赴廟所しょ，皆みな公おおやけ服ふく俟於次じ。太ふとし廟びょう令れい卒そつ其屬升ます殿どの，開ひらき室戶むろと，不出ふしゅつ神主かんぬし，設しつらえ籩豆俎まないた、酒さけ醴、馬うま潼及室戶むろと內外褥しとね位い。又また設しつらえ盥たらい洗あらい位い於階下か，少しょう東ひがし，西向にしむき。奉たてまつ禮れい郎ろう牢ろう儀ぎ鸞局設しつらえ席せき褥しとね版ばん位い於橫街がい南みなみ，又また設しつらえ盥たらい盆ぼん巾はば帨二に所しょ於齊おさい班はん幕まく前まえ。心こころ與あずか祭事さいじ官かん皆みな盥たらい手しゅ訖，太ふとし常つね官かん詣まい神かみ廚點祝しゅく神饌しんせん。執事しつじ者しゃ奉たてまつ所ところ薦こも饌物，各かく陳ひね饌幕內。太ふと常つね官かん以下いか人ひと就位しゅうい，東西とうざい重行しげき，北向きたむき立りつ定じょう。禮れい直じき官かん贊さん「皆みな再拜さいはい」，「鞠きく。」「躬」，「拜はい」，「興きょう」，「拜はい」，「興きょう」，「平たいら立りつ」，「各かく就位しゅうい」。禮れい直じき官かん引太常つね次官じかん一員いちいん，率りつ執事しつじ者しゃ出で詣まい饌所，奉たてまつ饌入自じ正門せいもん，升ます自じ太ふとし階かい，奠各室しつ神位しんい前まえ。執事しつじ者しゃ進しん時じ食くえ，院いん官かん搢笏受而奠之。禮れい直じき官かん引太常つね禮儀れいぎ使し詣まい盥たらい洗あらい位い，盥たらい手しゅ、帨手。升ます殿どの詣まい第だい一室いっしつ神位しんい前まえ，搢笏，執事しつじ者しゃ注ちゅう酒さけ於杯，三さん祭さい酒しゅ，又また注ちゅう馬うま潼於杯はい，亦また三さん祭さい之の。奠杯於案。出で笏しゃく，就拜興きょう，出で室しつ戶外こがい，北向きたむき立りつ，再拜さいはい。每まい室しつ俱畢，降くだ復位ふくい，執事しつじ者しゃ皆みな降くだ。禮れい直じき官かん贊さん「再拜さいはい」，「鞠きく躬」，「拜はい」。「興きょう。」「拜はい」，「興きょう」，「平たいら立りつ」。餘よ官かん率りつ執事しつじ者しゃ升ます徹てっ饌，出いずる殿どの闔戶。禮れい直じき官かん引太常つね官かん以下いか俱出東ひがし神しん門外もんがい，圓えん揖。

　　國くに俗ぞく，每歲まいさい太ふとし廟びょう四よん祭さい，用よう司し禋監官かん一員いちいん，名めい蒙こうむ古こ巫祝ふしゅく。當とう省しょう牲時，法服ほうふく，同どう三獻さんこん官かん升ます殿どの，詣まい戶室とむろ告つげ腯，還かえ至いたり牲所，以國語ご呼よび累るい朝あさ帝みかど后きさき名めい諱いみな而告之の。明あきら旦だん，三獻さんこん禮れい畢，獻けんじ官かん、御ご史し、太ふとし常つね卿きょう、博士はかせ紅べに升ます殿どの，分ふん詣まい各室かくしつ。蒙こうむ古こ博はく兒じ赤あか跪割牲，太ふと僕ぼく卿きょう以朱漆うるし盂奏馬ば乳ちち酌しゃく奠。巫祝ふしゅく以國語ご告つげ神しん訖，太ふとし祝しゅく奉祝ほうしゅく幣ぬさ詣まい燎位，獻けんじ官かん以下いか復ふく版ばん位い載の拜はい，禮れい畢。

　　每歲まいさい，九きゅう九きゅう內及十じゅう二に月がつ十じゅう六ろく日にち以後いご，於嬈飯めし院いん中ちゅう，用よう馬ば一いち、羊ひつじ三さん、馬うま潼、酒さけ醴、紅べに織お金きむ幣ぬさ及裏絹きぬ各かく三さん匹ひき，命いのち蒙こうむ古いにしえ達たち官かん一員いちいん，偕蒙古こ巫みこ覡，掘ほ地ち爲ため坎以燎肉，仍以酒しゅ醴、馬うま潼雜燒しょう之の。巫みこ覡以國語こくご呼よび累るい朝あさ御名ぎょめい而祭焉。

　　神かみ御殿ごてん，舊稱きゅうしょう影かげ堂どう。所ところ奉たてまつ祖宗そそう御ご容よう，皆みな紋もん綺あやぎぬ局きょく織お錦にしき爲之ためゆき。大德だいとく十じゅう二に年ねん，敕丞相しょう脫だつ脫だっ、平たいら章あきら禿かぶろ堅けん帖じょう木き兒じ：「成なり宗及そうきゅう貞さだ慈靜懿皇后こうごう御影みかげ，依よ大だい天壽てんじゅ萬寧寺內御容織之。南みなみ木き罕太子たいし及妃，晉すすむ王おう及妃，依よ帳とばり殿どの內小影かげ織お之これ。」延のべ祐ゆう七なな年ねん，敕平章あきら伯はく帖じょう木き兒じ，進しん巧たくみ工こう及偉傳でん神かみ李り肖あやか巖いわお。依よ世よ祖そ御ご容よう之これ制せい，畫かく仁ひとし宗及そうきゅう莊そう懿慈聖せい皇后こうごう，高こう九きゅう尺しゃく五ご寸すん，闊八はち尺しゃく。至いたり治ち三さん年ねん太ふとし傅でん朵歹、左ひだり丞すすむ善生よしき、院いん使し明あきら理り董ただし阿おもね進呈しんてい太皇太后たいこうたいこう、英えい宗むね御ご容よう，令れい畫が畢，復ふく織お之これ。天てん曆れき二に年ねん，敕平章あきら董ただし阿おもね、同どう知ち儲もうか政せい院いん阿木あぎ腹はら：「朕ちん令れい畫が後ご妣、皇后こうごう御ご容よう，可か令れい諸色しょしき府ふ達たち魯花赤あか阿おもね咱、杜もり總そう管かん、蔡總管かん、李り肖あやか巖いわお提ひさげ調ちょう速そく畫が之の。」其繪畫かいが用よう物ぶつ：土ど粉こ五ご斤きん，明あきら膠にかわ五ご斤きん，回かい回かい青あお八はち兩りょう，回かい回かい胭脂八はち兩りょう，回かい回かい胡麻ごま一いち斤きん，心こころ紅べに三さん斤きん，泥どろ金きん一いち兩りょう二に錢せん，黃き子こ紅べに一いち斤きん，官かん粉こ三さん斤きん，紫むらさき八はち兩りょう，雞子五ご十じゅう枚まい，生石いくし青あお十じゅう一いち斤きん，鴉からす青あお暗くら花はな綻ほころび絲いと八はち十じゅう尺しゃく，五色ごしき絨八はち兩りょう，大だい紅べに銷紅朽くち花はな羅ら四よん十じゅう尺しゃく，紅絹もみ四よん十じゅう尺しゃく，紫むらさき梅花ばいか羅ら七なな尺しゃく，紫檀したん軸じく一いち，椴とどまつ木き額がく條じょう一いち，白銀はくぎん六ろく兩りょう。

　　影かげ堂どう所在しょざい：世よ祖そ帝みかど后きさき，大だい聖壽せいじゅ萬まん安寺あてら，裕ひろし宗そう帝みかど后きさき亦また在ざい焉。順じゅん宗むね帝みかど后きさき，大だい普ふ慶寺けいじ，仁ひとし宗そう帝みかど后きさき亦また在ざい焉。成なり宗むね帝みかど后きさき，大だい天壽てんじゅ萬まん寧やすし寺てら。武たけ宗及そうきゅう二に後ご，大だい崇たかし恩おん福元ふくもと寺てら，爲ため東西とうざい二に殿どの。明あきら宗そう帝みかど后きさき，大だい天てん源げん延のべ聖せい寺てら。英えい宗むね帝みかど后きさき，大だい永福寺えいふくじ。也可皇后こうごう，大だい護國ごこく仁王におう寺てら。泰やすし定てい帝みかど敕：奉たてまつ北きた安王やすおう塑像そぞう於高梁はり寺てら，即そく護國ごこく仁王におう寺てら也。至いたり元もと七なな年ねん建けん，大德だいとく五年奉安昭睿順聖皇后御容，故ゆえ以北いほく安王やすおう袝祀焉。世よ祖そ、武たけ宗はじめ影かげ堂どう，皆みな藏玉くらだま冊さつ十じゅう有ゆう二に牒，玉たま寶たから一いち鈕ぼたん。仁じん宗むね影かげ堂どう，藏ぞう皇太子こうたいし玉だま冊さつ十じゅう有ゆう二に牒，皇后こうごう玉だま冊さつ十じゅう有ゆう二に牒，玉たま寶たから一いち鈕ぼたん。英えい宗むね影かげ堂どう，藏ぞう皇帝こうてい玉だま冊さつ十じゅう有ゆう二に膚はだ，玉たま寶たから一いち鈕ぼたん，皇太子こうたいし玉だま冊さつ十じゅう有ゆう二に牒。凡帝后きさき冊さつ、寶たから，以匣匱金鎖くさり鑰藏於太廟びょう，此其分ぶん置おけ者しゃ。

　　其祭器き，則のり黃金おうごん並なみ斝盤孟はじめ之の屬ぞく以十數すう，黃金おうごん塗ぬり銀ぎん香盒こうごう碗わん碟之屬ぞく以百數すう，銀ぎん壺つぼ釜がま杯はい匜之屬ぞく稱しょう是ぜ。玉たま器き、水晶すいしょう、瑪瑙めのう之の器うつわ爲ため數すう不同ふどう，有ゆう玻璃はり瓶びん、琥珀こはく勺しゃく。世よ祖そ影かげ堂どう真珠しんじゅ簾すだれ，又また皆みな有ゆう珊瑚樹さんごじゅ、碧あお甸子山やま之の屬ぞく。

　　其祭之の曰：常つね祭さい每月まいつき初はつ一いち日にち、初はつ八はち日にち、十じゅう五ご日にち、二に十じゅう三さん日にち，節ふし祭さい元日がんじつ、清明せいめい、蕤賓、重陽ちょうよう、冬至とうじ、忌辰きしん。基もと祭さい物ぶつ，常つね祭さい以蔬果はて，節せつ祭さい忌辰きしん用よう牲。祭まつり官かん便服べんぷく，行ぎょう三獻さんこん禮れい。加か薦こも用よう羊ひつじ羔、炙あぶ魚さかな、饅頭まんじゅう、■〈飠其〉子こ、西域せいいき湯ゆ餅もち、園えん米まい粥かゆ、沙すな糖とう飯めし羹あつもの。

　　泰たい定じょう二に年ねん，亦また作さく顯宗けんそう影かげ堂どう於大おだい天てん源げん延のべ聖せい寺てら，天てん曆れき元年がんねん廢はい。舊きゅう有ゆう崇たかし福ぶく、殊こと祥二しょうじ院いん，奉たてまつ影かげ堂どう祀まつ事こと，乃改泰たい禧院。二に年ねん，又また改あらため爲ため太ふとし禧宗禋院，秩二に品ひん。既すんで而，復ふく以祖宗そそう所しょ御殿ごてん殿どの尚なお稱たたえ影かげ堂どう，更さら號ごう神かみ御ご。殿しんがり皆みな制せい名めい以冠之の：世よ祖そ曰元壽ことぶき，昭あきら睿順聖せい皇后こうごう曰睿壽ことぶき，南みなみ必皇后こうごう曰懿壽ことぶき，裕ひろし宗そう曰明壽ことぶき，成なり宗むね日び廣こう壽ことぶき，順じゅん宗むね曰衍壽ことぶき，武たけ宗はじめ日にち仁じん壽ことぶき，文獻ぶんけん昭あきら聖せい皇后こうごう曰昭壽ことぶき，仁ひとし宗そう曰文壽ことぶき，英えい宗むね日び宜むべ壽ことぶき，明あきら宗そう曰景壽ことぶき。且命學士がくし擬なずらえ其麩祀まつ儀ぎ注ちゅう，今こん闕。

　　又また有ゆう玉だま華はな宮みや孝たかし思おもえ殿でん在ざい真ま定じょう。世よ祖そ中ちゅう統すべ二に年ねん七なな月がつ，命いのち道士どうし王おう追つい歸き於真定じょう，建たて道みち觀かん，賜たまもの名めい玉だま華はな宮みや。以忌日び享とおる祀まつ太ふと上皇じょうこう、皇太后こうたいごう御ご容よう。本ほん路ろ宵よい吏祭奠，太ふとし常つね博士はかせ按《宋そう會かい要よう》定てい其儀。所司しょし前期ぜんき置おけ辦茶飯めし、香こう果はて。質しつ明あきら，禮れい直じき官かん、引獻官かん與あずか陪位官かん以下いか，並なみ公おおやけ服ふく入にゅう廟びょう庭にわ，西向にしむき立りつ。俱再拜さいはい訖，引獻官かん詣まい殿しんがり正せい階下かいか再拜さいはい，升ます階かい至いたり案あん前ぜん褥しとね位い，三上みかみ香かおり，三さん奠酒訖，就拜興きょう。又また再拜さいはい訖，引獻官かん復位ふくい，與あずか陪位官かん以下いか俱再拜さいはい，退すさ。仁じん宗むね皇すめらぎ慶けい二に年ねん秋あき八はち月がつ庚かのえ辰たつ，命いのち大だい司つかさ徒と田でん忠良ただよし詣まい真ま定てい致祭，依よ歲とし例れい給きゅう御ご香こう酒しゅ並なみ犧牲ぎせい物ぶつ錢ぜに中ちゅう統すべ鈔一百ひゃく錠じょう。延のべ祐ゆう四よん年ねん，始はじめ用よう登とう歌か樂らく，行ぎょう三獻さんこん禮れい。舊きゅう志こころざし云うん：皇すめらぎ慶けい二に年ねん。彼此ひし牴牾もどき，未み詳しょう孰是。

　　七なな年ねん，太ふとし常つね博士はかせ言ごと：「原はら廟びょう之これ制せい隆たかし古こ未聞みもん。謹案：尚書しょうしょ黷於祭祀さいし，時じ謂いい弗どる欽春秋しゅんじゅう之の義よし，父ちち不ふ祭まつり於支庶，君きみ不ふ祭まつり於臣僕ぼく之これ家か。聖せい朝あさ建立こんりゅう七なな廟びょう，崇たかし奉たてまつ孝こう享とおる，可か謂いい至いたり矣。而睿宗むね皇帝こうてい神しん御ご別べつ在ざい真ま定じょう路ろ玉だま華はな宮みや，竅維有功ゆうこう德とく於天下か者しゃ，莫如太ふとし祖そ、世よ祖そ。太ふとし祖そ不ふ聞有原げん廟びょう。世よ祖神そしん御ご奉安ほうあん大だい聖壽せいじゅ萬まん安寺あてら，歲さい時差じさ官かん，以家人じん禮れい祭さい供きょう，不用ふよう太ふと常つね禮樂れいがく。今こん玉たま華はな宮原みやはら廟びょう列れつ在ざい郡ぐん國こく，又また非ひ隆たかし興きょう降誕こうたん之の地ち，主おも者しゃ以臣僕ぼく之の賤，供奉ぐぶ御ご容よう，非禮ひれい之の甚。伏ふく望もち稽前漢かん故事こじ，致隆太ふとし廟びょう。玉たま華はな宮みや照あきら京師けいし諸しょ寺てら影かげ堂どう例れい，只ただ命いのち有司ゆうし以時祭さい供きょう。罷やめ遣や太ふと常つね禮樂れいがく，非ひ獨どく聖せい胡えびす得とく典禮てんれい之の正ただし，抑そもそも且有司し無む褻け瀆之煩はん，禮れい官かん免めん失禮しつれい之の責せめ矣。」議ぎ上じょう，帝みかど從したがえ之これ，敕歲時じ本ほん處しょ依よ舊きゅう禮れい致祭。

　　其太祖そ、太ふとし宗そう、睿宗御ご容よう在ざい翰林かんりん者しゃ，至いたり元もと十じゅう五ご年ねん十じゅう一いち月がつ，命いのち承うけたまわ旨むね和かず禮あや霍孫寫うつし太ふとし祖そ御ご容よう。十じゅう六ろく年ねん二に月がつ，覆くつがえ命いのち寫うつし太ふとし上皇じょうこう御ご容よう，與太よた宗そう舊きゅう御ご容よう，俱置翰林院かんりんいん，院いん官かん香が秋あき致祭，二に十じゅう四よん年ねん二に月がつ，翰林院かんりんいん言げん舊きゅう院いん屋や敝，新院しんいん屋や才ざい六ろく間あいだ，三朝御容宜於太常寺安奉，後ご仍遷新院しんいん。至大しだい四よん年ねん，翰林院かんりんいん移うつり署しょ舊きゅう尚書しょうしょ省しょう，有ゆう旨むね月がつ祭さい。中書ちゅうしょ平たいら章あきら完かん澤さわ等ひとし言げん：「祭祀さいし非ひ小事しょうじ，太ふとし廟びょう歲とし一いち祭さい，執事しつじ諸しょ臣しん受戒じゅかい誓ちかい三さん日にち乃行事ぎょうじ，今こん此輕易けいい非ひ宜よろし。舊きゅう置おけ翰林院かんりんいん御ご容よう，春秋しゅんじゅう二に祭さい，不ふ必增益ぞうえき。」從したがえ之これ。至いたり治ち三さん年ねん，遷置普あまね慶寺けいじ，祀まつ禮れい廢はい。泰たい定じょう二に年ねん八はち月がつ，中書ちゅうしょ省しょう臣しん言げん當とう祭さい如故。乃命承うけたまわ旨むね翰赤齎香酒しゅ至大しだい都と。同省どうしょう臣しん祭さい於寺。四よん年ねん，造影ぞうえい堂どう於石佛寺ぶつじ，未み及遷。至いたり順じゅん元年がんねん七なな月がつ，即そく普あまね慶寺けいじ祭さい如故事こじ。二に年ねん，復ふく祀まつ於翰林りん國史こくし院いん。後こう至いたり元もと六ろく年ねん，翰林院かんりんいん言ごと：「三朝御容祭所甚隘，兼けん歲とし久屋ひさや漏も，於石佛寺ぶつじ新しん影かげ堂どう春安はるやす爲ため宜よろし。」中書ちゅうしょ省しょう臣しん奏そう：「此世祖そ定じょう制せい，當とう仍其舊きゅう。「從したがえ之これ。