新元しんもと史し/卷まき090

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新元しんもと史し 卷まき九きゅう十じゅう·志こころざし第だい五ご十じゅう七なな

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第だい五ご十じゅう七なな 禮れい十じゅう

　　○禮れい十じゅう

　　△冊立さくりつ皇后こうごう 冊立さくりつ皇太子こうたいし 品ひん官かん以下いか婚禮こんれい 禡牙祭さい旗鼓きこ 大喪たいそう 品ひん官かん丁ちょう憂ゆう品ひん官かん以下いか喪も禮れい 品ひん官かん以下いか墓はか田でん之これ制せい

　　冊立さくりつ皇后こうごう之の禮れい。前期ぜんき二に日にち，儀ぎ鸞司設しつらえ發はつ冊さつ寶たから案あん於大おだい明あきら殿どの御座ぎょざ葡稍西にし，設しつらえ發はつ寶たから案あん稍やや東ひがし，掌てのひら謁設香が案あん於皇后こうごう殿どの前まえ。設しつらえ冊さつ案あん於殿內座榻前稍やや西にし，寶たから案あん稍やや東ひがし，設しつらえ受冊案あん於座榻上稍やや西にし，設しつらえ受寶案あん於稍東ひがし。侍さむらい儀ぎ司し設しつらえ板いた位い，冊さつ使し副ふく位い於廷中ちゅう，北面ほくめん，冊さつ官位かんい於右，寶たから官位かんい於左，禮儀れいぎ使し位い於冊案あん前まえ，主しゅ節ふし位い於太尉じょう左ひだり。皇后こうごう殿どの廷亦如之。

　　至いたり期き大だい昕，引贊敘太尉じょう以下いか於闕廷，各かく公おおやけ服ふく。侍さむらい儀ぎ使し、禮儀れいぎ使し、引冊使し、引冊、奉たてまつ冊さつ、舉冊、讀冊、捧ささげ冊さつ官かん，由月ゆづき華はな門もん入いれ。侍さむらい儀ぎ使し、禮儀れいぎ使し、引冊副ふく，引寶、奉たてまつ寶たから、舉寶、讀寶、捧ささげ寶たから官かん，由ゆかり日精にっせい門人もんじん。至いたり露ろ階下かいか，依よ板いた位い立りつ。侍さむらい儀ぎ使し捧ささげ牙きば牌ぱい入にゅう至いたり寢殿しんでん前まえ。跪報外がい辦。內持入にゅう奏そう，出で傳でん制せい曰：「可か」，侍さむらい儀ぎ使し俯伏興きょう。皇帝こうてい出で閣かく升ます輦，鳴な鞭むち三さん。侍さむらい儀ぎ使し引導いんどう從したがえ導しるべ皇帝こうてい入にゅう大明だいめい殿どの、升ます御座ぎょざ。鳴な鞭むち三さん。

　　司つかさ晨報時じ雞唱畢，尚なお引引殿どの前ぜん班はん入にゅう起居ききょ位い，起居ききょ、贊さん拜はい、舞まい蹈、山やま呼よび，如儀。宣せん贊さん唱曰：「各かく恭きょう事ごと」。引贊引冊使し以下いか入にゅう就位しゅうい，掌てのひら儀ぎ舍人とねり引承奉たてまつ班はん都と知ち、侍さむらい儀ぎ使し、禮儀れいぎ使し、主しゅ節ふし、捧ささげ冊さつ、捧ささげ寶たから官かん，升ます自じ左ひだり階かい，由ゆかり南東なんとう門もん入いれ，至いたり御座ぎょざ前まえ，分ふん左右さゆう相しょう向こう立だて。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「禮儀れいぎ使し稍やや前ぜん跪」，曰：「大尉たいい以下いか皆みな跪」。禮儀れいぎ使し跪奏請そうせい進發しんぱつ皇后こうごう冊さつ寶たから。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「就拜」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」，曰：「太ふとし尉じょう以下いか皆みな興きょう」，曰：「復位ふくい」。掌てのひら儀ぎ贊さん：「內謁者しゃ稍やや前まえ」，曰：「搢笏」，曰：「捧ささげ冊さつ寶たから跪進皇帝こうてい，。」曰：「以冊寶たから授捧冊さつ寶たから官かん，。」捧ささげ冊さつ寶たから官かん跪受，興きょう。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「主しゅ節ふし官かん搢笏持じ節ぶし」，禮儀れいぎ使し引節導しるべ冊さつ寶たから由正よしまさ門出かどで，至いたり露ろ階かい，南みなみ向こう立だて。禮儀れいぎ使し稱しょう有ゆう制せい，承うけたまわ奉たてまつ班はん都と知ち唱曰：「太ふとし尉じょう以下いか皆みな再拜さいはい」，通つう贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。禮儀れいぎ使し宣せん制せい曰：「命いのち太ふとし尉じょう某ぼう等とう持じ節ぶし授皇后こうごう冊さつ寶たから」，通つう贊さん贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい，。」曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。降くだ至いたり露ろ階下かいか，依よ次じ就位しゅうい。掌てのひら儀ぎ唱曰：「以冊寶たから置おけ於案」，曰：「出で笏しゃく」，曰：「復位ふくい」。方かた輿こし舁以行ぎょう，樂らく作さく。侍さむらい儀ぎ使し、禮儀れいぎ使し引大尉たいい及冊寶たから官かん。奉たてまつ隨ずい至いたり皇后こうごう宮みや庭にわ奠案，樂らく止どめ。掌てのひら儀ぎ唱曰：「俸冊寶たから官かん稍やや前まえ，搢笏」。捧ささげ冊さつ寶たから使し、太ふとし尉じょう以下いか奉たてまつ隨ずい由正よしまさ階かい隮，至いたり案あん前まえ。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「以冊寶たから置おけ於案」，曰：「出で笏しゃく」，曰：「復位ふくい」。侍さむらい儀ぎ使し秸前跪報外がい辦，內侍入にゅう啓けい，出で傳でん旨むね曰：「可か」，侍さむらい儀ぎ使し俯伏興きょう。

　　皇后こうごう出で閣かく，詣まい褥しとね位い，太ふとし尉じょう稱しょう制せい遣や臣しん某ぼう等とう恭きょう授皇后こうごう冊さつ寶たから。內侍贊さん禮れい曰：「跪」，掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「太ふとし尉じょう以下いか皆みな跪」。內侍贊さん皇后こうごう曰：「上うえ香が」，曰：「上うえ香が」，曰：「三上みかみ香かおり」，曰：「拜はい」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「大尉たいい以下いか皆みな興きょう。」皇后こうごう升ます殿どの，立たて於座榻前。承うけたまわ奉たてまつ班はん都と知ち唱曰：「太ふとし尉じょう以下いか進すすむ冊さつ寶たから」，掌てのひら儀ぎ唱曰：「捧ささげ冊さつ寶たから官かん稍やや前まえ，搢笏」。捧ささげ冊さつ寶たから由正よしまさ門かど至いたる殿どの內。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「以冊寶たから跪至於案」，曰：「捧ささげ冊さつ寶たから官かん出で笏しゃく，興きょう，復位ふくい」，曰：「太ふとし尉じょう以下いか皆みな跪」，曰：「舉冊官かん興きょう，至いたり案あん前ぜん跪」，曰：「搢笏，取と冊さつ於匣，置おけ於盤，封ふう舉」，曰：「讀冊官かん興きょう。至いたり案あん前ぜん跪」，曰：「讀冊」。讀冊官かん稱しょう臣しん某ぼう謹讀冊さつ，讀畢，納おさめ冊さつ於匣。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「出で笏しゃく，舉寶官かん興きょう，至いたり案あん前ぜん跪，搢笏，取と寶たから於盝，對たい舉」，曰：「讀寶官かん興きょう，至いたり案あん前ぜん跪，。」曰：「讀寶」。讀寶官かん稱しょう臣しん某ぼう謹讀寶たから。讀畢，納おさめ寶たから於盝。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「出で笏しゃく」，曰：「太ふとし尉じょう以下いか皆みな就拜」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。捧ささげ冊さつ寶たから官かん以冊寶たから授太尉じょう，太ふとし尉じょう以授掌てのひら謁，掌てのひら謁以冊さつ寶たから置おけ於受冊さつ寶たから案あん。掌てのひら儀ぎ唱曰：「太ふとし尉じょう以下いか跪」，曰：「衆しゅう官かん皆みな跪」，太ふとし尉じょう致祝辭しゅくじ曰：「冊さつ寶たから禮あや畢，伏ふく願ねがい皇后こうごう與あずか天てん同どう算さん」。司つかさ徒と應おう曰：「如所祝しゅく」。就拜，興きょう，平身へいしん。太ふとし尉じょう進しん酒しゅ，樂らく作さく。皇后こうごう飲いん畢，樂らく止どめ。禮儀れいぎ使し引節引主節ぶし由よし正門せいもん以出。侍さむらい儀ぎ使し引太尉じょう以下いか，由ゆかり左門さもん至いたり階下かいか，北きた面立おもだち。承うけたまわ奉たてまつ班はん都と知ち唱日、太ふとし尉じょう以下いか皆みな再拜さいはい」，通つう贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「平たいら立りつ」。侍さむらい儀ぎ使し引太尉じょう以下いか還かえ詣まい皇帝こうてい御座ぎょざ前まえ。跪奏曰：「奉たてまつ制せい授皇后こうごう冊さつ寶たから，謹以禮れい畢」。就拜，興きょう，由ゆかり左ひだり門出かどで，降くだ詣まい旁つくり折おり位い。

　　侍さむらい儀ぎ使し引導いんどう從したがえ導しるべ皇后こうごう詣まい大だい明あきら殿どの前ぜん謝恩しゃおん，掌てのひら謾贊曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」。侍さむらい儀ぎ使し分ぶん退すさ，掌てのひら謁導皇后こうごう升ます御座ぎょざ。典てん引引丞相じょうしょう以下いか入にゅう起居ききょ位い，起居ききょ贊さん拜はい如儀。侍さむらい儀ぎ使し詣まい右みぎ丞相じょうしょう前ぜん請雙酒しゅ，雙そう引升殿どの，至いたり宇下褥しとね位い立りつ。侍さむらい儀ぎ使し分ぶん左右さゆう北向きたむき立りつ，俟前行ぎょう色しょく曲きょく將はた半はん，舞まい旋列定じょう，通つう贊さん唱曰：「分ぶん班はん」。樂らく作さく。侍さむらい儀ぎ使し引右丞相じょうしょう由よし南東なんとう門もん入いれ，宣せん徽使奉たてまつ隨ずい至いたり御ご榻前，右みぎ丞相じょうしょう跪，宣せん徽使立りつ於東おひがし南みなみ。曲きょく終おわり，右みぎ丞相じょうしょう祝しゅく讚たたえ曰：「冊さつ寶たから禮あや畢，臣しん等とう不ふ勝かち慶けい抃，同上どうじょう皇帝こうてい、皇后こうごう萬まん萬まん歲さい壽ことぶき」。宣せん徽使應おう曰：「如所祝しゅく」。右みぎ丞相じょうしょう俯伏興きょう，退すさ詣まい進すすむ酒さけ位い。進すすむ酒しゅ。進すすむ表ひょう章あきら禮物れいもつ、贊さん拜はい、僧そう道賀どうが獻けんじ、大だい宴うたげ殿上てんじょう，並なみ如元正儀まさき。宴うたげ畢。鳴な鞭むち三さん。侍さむらい儀ぎ使し導しるべ駕が，引進使し導しるべ後ご。還かえ寢殿しんでん，如來にょらい儀ぎ。凡后妃ひ妊にん身み將はた及月辰たつ，則のり移うつり居きょ於外氈帳。若わか誕皇子おうじ，則のり賜たまもの百官以金銀採段，謂いい之の撒答海うみ。

　　冊立さくりつ皇太子こうたいし之の禮れい。前期ぜんき三さん日にち，右みぎ丞相じょうしょう率りつ百僚至金玉局冊寶案前，舍人とねり贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」。曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。曰：「班はん首くび稍やや前まえ」，曰：「跪」，曰：「在位ざいい官かん皆みな跪」，曰：「搢笏」，曰：「上うえ香が」，曰：「上うえ香が」，曰：「三上みかみ香かおり」，曰：「出で笏しゃく」，曰：「就拜」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」。曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。侍さむらい儀ぎ使し、舍人とねり分引ぶびき羣臣。儀ぎ衛まもる音樂おんがく導しるべ至いたり中書ちゅうしょ省しょう，正せい位い安置あんち。

　　前期ぜんき二に日にち，儀ぎ鸞司設しつらえ發はつ冊さつ案あん於大おだい明あきら殿どの御座ぎょざ西にし，發はつ寶たから案あん於東おひがし。典てん寶たから官設かんせつ香が案あん於太子たいし殿どの前ぜん階上かいじょう，設しつらえ冊さつ案あん於西，寶たから案あん於東おひがし；又また設しつらえ受冊案あん於殿內座榻之西にし，受寶案あん於東おひがし。侍さむらい儀ぎ司し設しつらえ板いた位い，太ふとし尉じょう、冊さつ使し副ふく位い於大おだい明あきら殿どの廷，太ふとし尉じょう位い居中きょちゅう，冊さつ官位かんい於右，寶たから官位かんい於左，禮儀れいぎ使し位い於前。主しゅ節ふし官位かんい於太尉じょう之の左ひだり。太子たいし殿どの廷亦如之，樂らく位い佈置亦また如之。右みぎ丞相じょうしょう率りつ百ひゃく傣朝服ふく，至いたり中書ちゅうしょ省しょう冊さつ寶たから案あん前まえ，敘立定じょう。舍人とねり贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。曰：「班はん首くび稍やや前まえ」，曰：「跪」，曰：「搢」，曰：「在位ざいい官かん皆みな跪」。曰：「上うえ香が」，曰：「上うえ香が」，曰：「三上みかみ香かおり，曰：「出で笏しゃく」。曰：「就拜」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。舍人とねり分引ぶびき羣臣，儀ぎ衛まもる導しるべ從したがえ，音樂おんがく傘かさ扇おうぎ，導しるべ至いたり闕前。控ひかえ鶴づる奠案。方かた舁官舁之，由ゆかり中道ちゅうどう入にゅう崇たかし天てん門もん，冊さつ使し以下いか奉たてまつ隨ずい至いたり露ろ階下かいか。方かた輿こし官かん盟めい冊さつ案あん於西，寶たから案あん於東おひがし，分ふん退すさ立たて於兩廡。冊さつ使し副ふく北面ほくめん，引冊官かん、舉冊官かん、讀冊官かん、捧ささげ冊さつ官位かんい於冊案あん西にし，東向こちむき。引寶官かん、舉寶官かん、讀寶官かん、捧ささげ寶たから官位かんい於寶案あん東ひがし，西向にしむき。掌てのひら儀ぎ舍しゃ入にゅう贊さん曰：「捧ささげ冊さつ官かん稍やや前まえ」，曰：「搢笏」，曰：「捧ささげ冊さつ」。又また贊さん曰：「捧ささげ寶たから官かん稍やや前まえ」，曰：「搢笏」，曰：「捧ささげ寶たから」。侍さむらい儀ぎ使し、引進使し、引冊官かん、引寶官かん前ぜん導しるべ。捧ささげ冊さつ寶たから官かん次じ之の，冊さつ使し副ふく以下いか奉たてまつ隨ずい升ます大明だいめい殿どの午うま階かい，由ゆかり正門せいもん入いれ，至いたり進發しんぱつ冊さつ寶たから案あん前まえ，冊さつ使し副ふく北きた面立おもだち。引冊寶たから、引寶官かん、舉冊官かん、舉寶官かん以下いか，分ふん左右さゆう夾冊寶たから案あん立りつ。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「以冊寶たから置おけ於案」，曰：「出で笏しゃく」，曰：「復位ふくい」，侍さむらい儀ぎ使し引奉冊さつ使し以下いか由よし左ひだり門出かどで，百ひゃく辟趨退。

　　至いたり期き大だい昕，引贊引冊使し以下いか，皆みな公おおやけ服ふく，敘位於闕廷。侍さむらい儀ぎ使し導しるべ從したがえ皇帝こうてい出で閣かく，鳴な鞭むち三さん，升しょう大明だいめい殿どの，登とう御座ぎょざ。尚なお引引段だん前ぜん班はん入にゅう起居ききょ位い，起居ききょ贊さん拜はい如儀，宣せん贊さん唱曰：「各かく恭きょう事ごと」。引贊引冊使し以下いか入にゅう就位しゅうい，掌てのひら儀ぎ舍人とねり引承奉たてまつ班はん都と知ち，侍さむらい儀ぎ使し，禮儀れいぎ使し，主しゅ節郎せつお、捧ささげ冊さつ揍寶官かん，升ます自じ左ひだり階かい，由ゆかり左門さもん入いれ，至いたり御座ぎょざ前まえ，分ふん左右さゆう立りつ，掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「禮儀れいぎ使し稍やや前まえ」，曰：「跪」，曰：「衆しゅう官かん皆みな跪」。禮儀れいぎ使し奉たてまつ請發皇太子こうたいし冊さつ寶たから，掌てのひら儀ぎ唱曰：「就拜」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」，曰：「衆しゅう官かん皆みな興きょう」，曰：「復位ふくい」。曰：「內誨者しゃ稍やや前まえ」，曰：「搢笏」，曰：「捧ささげ冊さつ寶たから跪進皇帝こうてい」，曰：「以冊寶たから授捧冊さつ寶たから官かん」，捧ささげ冊さつ寶たから官かん跪受，興きょう。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「主しゅ節郎せつお晉すすむ笏しゃく持じ節ぶし」，禮儀れいぎ使し引節導しるべ冊さつ寶たから由ゆかり正門せいもん以出，至いたり露ろ階かい南みなみ向こう立だて。禮儀れいぎ使し稱しょう有ゆう制せい，承うけたまわ奉たてまつ班はん都と知ち唱曰：「太ふとし尉じょう以下いか皆みな再拜さいはい」，掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。禮儀れいぎ使し宣せん制せい曰：「上うえ命いのち太ふとし尉じょう等とう持じ節ぶし授皇太子たいし冊さつ寶たから」，贊さん儀ぎ贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。禮儀れいぎ使し引節導しるべ冊さつ寶たから，降くだ至いたり露ろ階下かいか，依よ次じ就位しゅうい。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「以冊寶たから貿於案あん」，曰：「出で笏しゃく」，曰：「復位ふくい」。方ほう與あずか舁以行ぎょう，樂らく作さく。侍さむらい儀ぎ使し、禮儀れいぎ使し、主しゅ節ふし前ぜん導しるべ，冊さつ使し以下いか奉たてまつ隨ずい由正よしまさ門出かどで。至いたり闕前，方ぽう舁奠案あん，控ひかえ鶴づる舁以行ぎょう。至いたり皇太子こうたいし殿どの廷，控ひかえ鶴づる莫案，方ぽう輿こし以行。入にゅう至いたり露ろ階下かいか奠案，方ぽう輿こし退すさ，樂らく止どめ。冊さつ使し以下いか以次立りつ，掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「捧ささげ冊さつ寶たから官かん稍やや前まえ，搢笏。捧ささげ冊さつ寶たから。」侍さむらい儀ぎ使し引節，主しゅ節ふし導しるべ冊さつ寶たから以行，冊さつ使し以下いか由正よしまさ階かい臍ほぞ，節せつ立りつ於香案あん之の西にし。拳こぶし儀ぎ贊さん曰：「捧ささげ冊さつ寶たから官かん跪，以冊寶たから置おけ於案」，曰：「出で笏しゃく」，曰：「興きょう」，曰：「就位しゅうい」。右みぎ庶子しょし跪報外がい備，內侍入にゅう啓けい，出で傳でん旨むね曰：「可か」，右みぎ庶子しょし俯伏興きょう。

　　皇太子こうたいし出で閣かく，立たて於香案あん前まえ，掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「皇太子こうたいし跪」，曰：「上うえ香が」，曰：「上うえ香が」，曰：「三上みかみ香かおり」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」。太ふとし尉じょう前ぜん稱しょう制せい遣や臣しん某ぼう等とう恭きょう授皇太子たいし冊さつ寶たから，復位ふくい。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「皇太子こうたいし拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」。請皇太子こうたいし詣まい褥しとね位い，南みなみ向こう立だて。曰：「皇太子こうたいし跪」，曰：「諸しょ執事しつじ官かん皆みな跪」，曰：「舉冊官かん興きょう，至いたり案あん前まえ」，曰：「跪」，曰：「讀冊」。讀寶，曰：「納おさめ冊さつ於匣」，曰：「出で笏しゃく」。掌てのひら儀ぎ唱曰：「舉寶官かん興きょう，至いたり案あん前まえ」，曰：「跪」，曰：「讀寶」。讀畢，曰：「納おさめ寶たから於盎」，曰：「出で笏しゃく」，曰：「舉冊寶たから官かん、讀冊寶たから官かん皆みな興きょう，復位ふくい」。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「太ふとし尉じょう進しん授冊寶たから」，侍さむらい儀ぎ使し引太尉じょう、司つかさ徒と至いたり冊さつ寶たから案あん肋あばら，搢笏，以冊寶たから跪進。皇太子こうたいし恭きょう受，以授左右さゆう庶子しょし，左右さゆう庶子しょし搢笏跪受。掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「皇太子こうたいし興きょう，冊さつ使し以下いか皆みな興きょう。」，右みぎ庶子しょし捧ささげ冊さつ，左ひだり庶子しょし捧ささげ寶たから，導しるべ皇太子こうたいし入いれ殿どの。右みぎ庶子しょし奠冊於授冊さつ案あん，左ひだり庶子しょし奠寶於受寶たから案あん。引節引主節ぶし立たて於殿西北せいほく，引贊引太尉じょう以下いか降くだ階かい復位ふくい，北向きたむき立りつ。承うけたまわ奉たてまつ班はん都と知ち唱曰：「太ふとし尉じょう以下いか皆みな再拜さいはい」，掌てのひら儀ぎ贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。樂らく作さく。侍さむらい儀ぎ使し詣まい太ふと尉じょう前ぜん請進酒しゅ，太ふとし尉じょう入にゅう至いたる殿どの內，進しん酒しゅ畢，降くだ復位ふくい。樂らく止どめ。

　　侍さむらい儀ぎ使し、禮儀れいぎ使し、主しゅ節ふし導みちびけ太ぶと尉じょう以下いか還かえ詣まい大だい明あきら殿どの御座ぎょざ前まえ，跪奏曰：「奉たてまつ制せい授皇太子たいし冊さつ寶たから，謹以禮れい畢」。俯伏興きょう，降くだ詣まい位くらい。侍さむらい儀ぎ使し、左右さゆう庶子しょし導しるべ皇太子こうたいし詣まい大だい明あきら殿どの御座ぎょざ前ぜん謝恩しゃおん，右みぎ庶子しょし贊さん曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」。曰：「興きょう。」進しん酒しゅ。又また贊さん曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」。降くだ殿しんがり，還かえ府ふ。

　　侍さむらい儀ぎ使し詣まい右みぎ丞相じょうしょう前ぜん請進酒しゅ，雙そう引升殿どの，至いたり宇下褥しとね位い立りつ，侍さむらい儀ぎ使し分ぶん左右さゆう，北向きたむき立りつ。俟前行ぎょう色しょく曲きょく將はた半はん，舞まい旋列定じょう。通つう贊さん唱曰：「分ぶん班はん」。樂らく作さく。侍さむらい儀ぎ使し、右みぎ丞相じょうしょう由よし南東なんとう門もん入いれ，宣せん徽使奉たてまつ隨ずい至いたり御ご榻前。右みぎ丞相じょうしょう跪，宣せん徽使立りつ於東おひがし南みなみ。曲きょく終おわり。右みぎ丞相じょうしょう祝しゅく讚たたえ曰：「皇太子こうたいし冊さつ寶たから禮あや畢，臣しん等とう不ふ勝かち慶けい抃，同上どうじょう皇帝こうてい、皇后こうごう萬まん萬まん歲さい壽ことぶき」。宣せん徽使應おう曰：「如所祝しゅく」。右みぎ丞相じょうしょう俯伏興きょう，退すさ詣まい進すすむ酒さけ位い。進すすむ酒しゅ、進すすむ表ひょう章あきら禮物れいもつ、贊さん拜はい，如元正儀まさき。駕が興きょう，鳴な鞭むち三さん。侍さむらい儀ぎ使し導しるべ駕が還かえ寢殿しんでん，如來にょらい儀ぎ。

　　皇太子こうたいし還かえ府ふ，升ます殿どの。典てん引引羣臣入にゅう就起居ききょ位い，通つう班はん自じ班はん西行さいぎょう至いたり中道ちゅうどう，唱曰：「具ぐ官かん某ぼう以下いか起居ききょ」，典てん引贊曰：「鞠きく躬」，曰：「平身へいしん」。進すすむ就拜位い，宣せん贊さん唱曰：「拜はい」，通つう贊さん贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。侍さむらい儀ぎ使し詣まい班はん首くび前ぜん請進酒しゅ，雙そう引由左ひだり階かい至いたり殿宇でんう下か褥しとね位い立りつ，侍さむらい儀ぎ分ぶん左右さゆう，北向きたむき立りつ。俊しゅん初はつ行くだり色しょく曲きょく將はた半はん，舞まい旋列定じょう，通つう贊さん唱曰：「分ぶん班はん」。班はん首くび入いれ自じ左門さもん，右みぎ庶子しょし隨ずい至いたり座ざ前まえ。班はん首くび跪，右みぎ庶子しょし立りつ於東おひがし甫はじめ。俟曲終おわり，班はん首くび致祝詞のりと曰：「冊さつ寶たから禮あや畢，願ねがい上じょう殿下でんか千秋せんしゅう之の壽ことぶき」。右みぎ庶子しょし應おう曰：「如所祝しゅく」。班はん首くび俯伏興きょう，退すさ至いたり進しん酒さけ位い，搢笏，捧ささげ觴，北向きたむき立りつ，右みぎ庶子しょし退すさ復位ふくい。俟舞旋至露ろ階かい，樂らく舞まい至いたり第だい四よん拍はく，班はん首くび進しん酒しゅ。宣せん贊さん唱曰：「文武ぶんぶ百ひゃく僚皆再拜さいはい」，通つう贊さん贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「平身へいしん」。班はん首くび自じ東ひがし門出かどで，復位ふくい。樂らく止どめ。通つう贊さん唱曰：「合ごう班はん」。中書ちゅうしょ押進箋及禮物れいもつ案あん至いたり橫よこ階下かいか，進しん請箋官かん由よし左ひだり階かい臍ほぞ，進しん讀禮物ぶつ官かん至いたり階下かいか。俟進讀箋官かん至いたり宇下，先さき讀箋目め，次じ讀箋。讀畢，俯伏興きょう，降くだ至いたり階下かいか。進すすむ讀禮物ぶつ官かん升ます階かい，至いたり宇下，跪讀禮物れいもつ狀じょう畢，俯伏興きょう，退すさ，同どう讀箋官かん至いたり橫よこ階かい，隨ずい箋案西行さいぎょう，至いたり右みぎ廡下，禮物れいもつ案あん東ひがし行ぎょう，至いたり左ひだり廡下，各かく付づけ所司しょし。宣せん贊さん唱曰：「拜はい」，通つう贊さん贊さん曰：「鞠きく躬」，曰：「拜はい」，曰：「興きょう」，曰：「拜はい」。曰：「興きょう」，曰：「平たいら立りつ」。右みぎ庶子しょし導しるべ皇太子こうたいし還かえ閣かく。

　　品しな官かん以下いか婚姻こんいん之の禮れい。至いたり元もと八はち年ねん，禮れい部ぶ議ぎ準なずらえ，條件じょうけん凡七：一いち曰議婚こん，身み及主婚こん者しゃ無期むき以上いじょう喪服もふく，及可成婚せいこん。先さき使し媒なかだち氏し通言つうげん，女おんな氏し許もと之の，然しか後納こうのう采さい。二に曰納采のうさい，系けい今いま之の下しも定てい也。主人しゅじん具ぐ書しょ夙興奉たてまつ以告祠堂しどう。人ひと之の大だい倫りん，於禮爲重ためしげ，宜むべ告つげ廟びょう而後行ぎょう，示しめせ不ふ忘祖也。使つかい子弟してい爲ため使者ししゃ，如女氏し主人しゅじん出で見み，使者ししゃ奉書ほうしょ以告於伺堂どう，出で以復書しょ授使者しゃ，遂とげ禮れい之の。使者ししゃ覆くつがえ命いのち，婚こん主ぬし告つげ於祠堂どう，或ある婚こん主ぬし親おや往納采のうさい者しゃ昕。三さん曰納幣ぬさ，系けい今いま之の下財げざい也。具ぐ書しょ遣や使つかい如女氏し授書，女おんな氏し復ふく書しょ，禮れい賓まろうど使者ししゃ覆くつがえ命いのち如納采のうさい儀ぎ。已やめ定てい筵むしろ會かい，以男家か爲ため主ぬし，會かい請女氏し諸しょ親おや爲ため客きゃく，先入せんにゅう坐すわ。男おとこ家か至いたり門外もんがい陳列ちんれつ幣物へいもつ，令れい媒なかだち氏し通報つうほう女おんな氏し主人しゅじん，出で門もん迎接げいせつ相しょう揖。俟女氏し先人せんじん男おとこ家か，以次隨ずい幣ぬさ而入，舉酒請納幣ぬさ。飲酒いんしゅ受幣訖，女おんな氏し主人しゅじん回禮かいれい。婚家こんか飲酒いんしゅ畢，主人しゅじん待まち客きゃく如常禮れい，許婚きょこん氏し女子じょし出で見み。四よん曰親迎むかえ。前期ぜんき一いち日にち，女おんな氏し使し人じん張ちょう陳ひね婚こん室しつ、質しつ明あきら，婿むこ家か設しつらえ位い於室中ちゅう，女おんな家か設しつらえ次じ於外，主人しゅじん告つげ於祠堂どう，遂とげ醮其子こ，而命之の親おや迎むかえ。婿むこ出で乘馬じょうば至いたり女おんな家か，俟於次じ。女おんな家か主人しゅじん告つげ於祠堂どう，遂とげ醮其女おんな，而命之の。主人しゅじん出迎でむかえ婿むこ入にゅう納おさめ雁かり，姻家奉たてまつ女じょ登とう車しゃ，婿むこ乘馬じょうば先行せんこう，歸き車しゃ至いたり，導しるべ婦ふ以入。婿むこ、婦ふ交拜，就飲食いんしょく畢，婿むこ出で復ふく入にゅう脫だっ服ふく，獨どく出で主人しゅじん禮讚らいさん。五曰婦見舅姑。明日あした夙興，婦ふ見み舅しゅうと姑しゅうと，次じ見み諸しょ尊みこと長者ちょうじゃ。若わか婦ふ家か，則のり饋於舅しゅうと姑しゅうと，舅しゅうと姑しゅうと享とおる之これ。六ろく曰廟見み。三日みっか，主人しゅじん以婦見み於祠堂どう。七なな曰，婿むこ見み婦ふ之の父母ちちはは，受婿拜禮はいれい。次つぎ見み婦ふ黨とう，諸もろ婦ふ親おや家か禮れい婿むこ如常儀ぎ。若わか召贅之の家いえ，仍依時じ俗ぞく現行げんこう之の禮れい。

　　蒙こうむ古こ軍ぐん禮れい之の僅見者しゃ。憲けん宗むね二に年ねん七なな月がつ，命いのち皇すめらぎ弟おとうと忽ゆるがせ必烈徵ちょう大だい理り，諸王しょおう禡牙西行さいぎょう。七なな年ねん六ろく月がつ，謁太祖そ行宮あんぐう，祭まつり旗鼓きこ。八はち年ねん十じゅう一いち月がつ，令れい皇すめらぎ弟おとうと忽ゆるがせ必烈禡牙於開平かいへい西北せいほく。其禡牙きば之の禮れい與あずか扶旗鼓こ之の禮れい，均ひとし末まつ聞。遼りょう景けい宗將むねのぶ伐き宋そう，命いのち巫みこ者しゃ祠ほこら兵へい神かみ及祭旗鼓きこ。益えき遼りょう金きん舊きゅう嗣，蒙こうむ古こ襲かさね而用之の。

　　凡帝后きさき有ゆう疾やまし度たび危殆きたい，不可ふか愈いよいよ，則のり移うつり居きょ於外氈帳房ぼう。有ゆう不ふ諱いみな，則のり就濱礆其中ちゅう。葬そう後ご，每日まいにち用よう羊ひつじ二に次じ燒飯やきめし以爲祭さい，至いたり四よん十じゅう九きゅう日にち而後已やめ。其帳房ぼう則そく以頒賜たまもの近臣きんしん雲くも。

　　宮みや車しゃ晏駕，棺かん用よう香が楠木くすのき，中分なかぶん爲ため二に，刳く肖あやか人形にんぎょう，其廣狹こうきょう長短ちょうたん，僅至容よう身み而巳。殮用貉むじな皮がわ襖ふすま、皮かわ帽ぼう，其靴襪、繫腰、盒鉢，俱用白粉おしろい皮がわ爲之ためゆき。殉以金きん壺つぼ瓶びん二に，盞一，碗わん碟匙箸ばし各かく一いち。殮訖，用よう黃金おうごん爲ため箍たが四よん條じょう以束之の。乘じょう輿こし用よう白しろ氈青緣えん納おさめ失しつ失しつ爲ため簾すだれ，覆くつがえ棺かん亦また以納失しつ失しつ爲之ためゆき。前まえ行ぎょう，用もちい蒙こうむ古こ巫みこ媼おうな一いち人にん，衣ころも新しん衣ころも，騎馬きば，牽馬一いち匹ひき，以黃金きん飾かざり鞍くら轡くつわ，籠かご以納失しつ失しつ，謂いい之の金きむ靈れい馬ば。日ひ三さん次じ，用よう羊ひつじ奠祭。至いたり所しょ葬そう陵りょう寢ね，取と開ひらき穴あな時じ所しょ起おこり之の土成どなり塊かたまり，依よ次じ排列はいれつ之の。棺かん既すんで下か，復ふく依よ次じ掩覆之の。有餘ゆうよ土ど，則のり遠どお置おけ他所よそ，送おく葬そう官かん三さん員いん，居きょ五ご里さと外がい，日にち一いち次じ，澆飯祭さい之の，三さん年ねん然しか後こう返かえし。

　　品しな官かん丁ちょう憂ゆう。蒙こうむ古こ及色目め人じん不ふ行くだり三さん年ねん之の喪も，漢人かんど南みなみ人じん則行のりゆき之の，大德だいとく八はち年ねん，詔みことのり：「三さん年ねん之の喪も，古今ここん通どおり制せい，除じょ應おう當とう怯おびえ薛人員いん、征せい戍軍官かん外がい，其餘官吏かんり，父母ちちはは喪も亡ほろび，丁ちょう憂ゆう終おわり制せい，方ぽう許もと敘仕，奪だつ情じょう起おこり復ふく者しゃ不ふ拘かかわ此例。」九きゅう年ねん，中書ちゅうしょ省しょう奏かなで，聽從ちょうじゅう官吏かんり丁ちょう優ゆう。至大しだい四よん年ねん，詔みことのり：「官吏かんり並なみ許もと終おわり制せい，以厚風俗ふうぞく。朝廷ちょうてい奪だつ情じょう起おこり復ふく，蒙こうむ古こ、色目いろめ人じん、管かん軍ぐん官かん不ふ拘かかわ此例。」延のべ祐ゆう五ご年ねん，監かん察御史し許もと有ゆう壬みずのえ言ごと：「聖きよし朝ちょう以孝治ち天下でんか，考こう稽典禮てんれい、除じょ蒙こうむ古こ、色目いろめ各かく從したがえ本ほん俗ぞく，其餘居きょ官かん著ちょ爲ため丁ちょう憂ゆう之これ制せい，將はた以美教化きょうか、厚あつ人倫じんりん，爲ため治之はるゆき要よう道也みちや。所謂いわゆる奪だつ情じょう起おこり復ふく者しゃ，蓋ぶた有ゆう道德どうとく可か以範世よ，謀はかりごと猷可以經國こく，天心てんしん簡畀，人望じんぼう素もと服ふく，又また邊あたり臣しん、宿將しゅくしょう可か任にん重じゅう寄よせ，似に此必用よう之これ人にん，謂いい之の起おこり復ふく，誰だれ曰不然しか，其或碌碌ろくろく凡庸ぼんよう如馮翼つばさ霄，才さい無な過か於常人じん，行ぎょう每ごと乖於清きよし議ぎ，徒と以諛佞檢邪よこしま，亦また覆くつがえ冒おかせ膺起父ちち，實じつ砧きぬた風教ふうきょう，宜むべ明白めいはく奏聞そうもん。除のぞき上所かみところ知識ちしき必用ひつよう之これ人にん，取と自じ聖ひじり裁さい，其餘人員じんいん，並なみ遵舊制せい。」時じ不肖ふしょう者しゃ多た假借かしゃく起おこり復ふく，以圖榮進えいしん，故こ有ゆう壬みずのえ育そだて之これ。寧やすし國こく萬まん戶こ府ふ言ごと：「本ほん府知事ふちじ孫まご顯あらわ，父母ちちはは俱沒，系けい遷轉之これ員いん，與あずか軍ぐん官かん不同ふどう，理り合ごう丁ちょう憂ゆう。」監かん察御史し言げん：「切きり恐おそれ其餘管かん軍ぐん衙門首領しゅりょう官かん，亦また有ゆう似に此託爲ため軍ぐん職しょく，不ふ得とく丁ちょう憂ゆう者しゃ，傷きず風ふう敗はい俗ぞく，深ふか爲ため不便ふべん。宜むべ遍あまね行ぎょう照會しょうかい，如有違犯いはん，斷罪だんざい降くだ敘。」刑部おさかべ議ぎ從したがえ之これ。至いたり正せい初はつ，監かん察御史し烏がらす古こ孫まご良りょう幀，以國俗ぞく父母ちちはは死し無む憂ゆう制せい，又また父ちち死し則のり妻つま從したがえ母はは，兄弟きょうだい死し則のり收おさむ其妻，上うえ言ごと：「綱つな常つね皆みな出で於天，而不可變かへん。議ぎ法ほう之の吏乃言げん國人くにびと不ふ拘かかわ此例，諸國しょこく人じん各かく從したがえ本ほん俗ぞく。是ぜ漢人かんど、南みなみ人じん當とう守もり綱つな常つね，國人くにびと、諸國しょこく人じん不ふ必守綱つな常つね也。名めい曰優之の，實則さねつね陷おちい之これ。外そと若わか尊みこと之の，內實侮あなど之これ。推其本心ほんしん，所以ゆえん待まち國人くにびと者しゃ，不ふ若わか漢人かんど、南みなみ人じん之の厚あつ也。請下禮れい官かん、有司ゆうし，及右科か進士しんし在朝ざいちょう者しゃ會議かいぎ。自じ天子てんし至いたり於庶人じん，皆みな從したがえ禮れい制せい，以成列聖れっせい未み遑之典てん，明あかり萬まん世せい不易ふえき之の道みち。」奏上そうじょう，不ふ報ほう。

　　品しな官かん以下いか喪も禮れい。至いたり元もと七なな年ねん，中書ちゅうしょ省議しょうぎ：「民間みんかん殯葬，除じょ紙し錢ぜに外がい，紙し糊のり房子ふさこ、金錢きんせん、人馬じんば並なみ彩いろどり帛、衣服いふく、帳とばり幕まく等とう物ぶつ，應おう截日盡つき行くだり禁斷きんだん。」從したがえ之これ。二に十じゅう一いち年ねん，定てい品しな官かん遇ぐう有ゆう婚こん喪も，止とめ依よ品しな秩，合ごう得とく儀ぎ從したがえ送迎そうげい外がい，禁斷きんだん。無官むかん百姓ひゃくしょう人じん等とう，不ふ得とく僭越せんえつ。至大しだい三さん年ねん，皇太子こうたいし令旨れいし，禁教きんきょう坊ぼう司し樂人がくじん送おく殯。

　　延のべ祐ゆう元年がんねん，江南こうなん行こう臺だい御ご史し王おう奉たてまつ訓くん言ごと：「伏ふく以父母ちちはは之の喪も三さん年ねん，天下てんか之の通つう喪も也。死し斂葬祭さい，笑わらい不ふ有禮ありのり。禮れい日び：『披髮徒跣かちはだし，居きょ於倚廬いおり，寢ね苫とま枕まくら塊かたまり，哭泣於時。歠粥朝あさ一いち溢米，夕ゆう一いち溢米。『又また曰：『始はじめ死し如有窮きゅう，既すんで殯瞿瞿如，有ゆう求もとめ而弗得え，既すんで葬そう皇すめらぎ皇すめらぎ如，有ゆう塑而弗どる至いたり。』經けい曰：『食しょく旨むね不ふ甘あま，聞樂不ふ樂らく齒ぱ。』此孝子こうし哀あい感かん之の情じょう。『既すんで斂既葬そう，祭まつり以其時じ。期き而小祥さち，又また期き大だい祥さち，三さん年ねん禪ぜん祭さい，霜しも露ろ既すんで降くだ，春雨はるさめ既すんで濡，悽愴せいそう怵惕，如將見み之これ。』此孝子こうし終身しゅうしん所しょ不ふ忘，豈あに拘かかわ於三さん年ねん哉。去さ古ふる日ひ遠とお，風俗ふうぞく日び薄うす。近年きんねん以來いらい，江こう甫はじめ尤ゆう甚。父母ちちはは之の喪も，小しょう斂未畢，茹葷飲酒いんしゅ，略ほぼ無む顧忌。至いたり於送殯，管絃かんげん歌舞かぶ，導しるべ引靈柩れいきゅう，焚葬之の際さい，張ちょう筵むしろ排はい晏，不ふ醉よい不ふ已やめ。泣血未み乾ひ，享樂きょうらく如此。昊ひろし天てん之の報むくい，其安在ざい哉！興きょう言及げんきゅう此。誠まこと可か哀あい憫。請今後こんご除じょ蒙こうむ古こ、色目いろめ合從がっしょう本ほん俗ぞく，其餘人じん等とう居きょ喪も送おく殯，不ふ得とく飲食いんしょく動どう樂らく。違たがえ者しゃ諸人もろびと首くび告つげ得とく實み，示しめせ衆しゅ斷罪だんざい，所しょ在官ざいかん司し申さる禁きん不ふ禁きん者しゃ，罪つみ亦また如之。不ふ惟おもんみ人じん子こ有ゆう所しょ懲勸，抑そもそも亦また風俗ふうぞく少しょう復ふく淳じゅん古いにしえ。「中書ちゅうしょ省議しょうぎ從したがえ之これ。

　　延のべ祐ゆう二に年ねん，定てい喪服もふく各かく從したがえ本ほん俗ぞく。禮れい部ぶ議ぎ，方今ほうこん喪服もふく未み有定ありさだ制せい，除じょ蒙こうむ古こ、色目いろめ人じん各かく從したがえ本ほん俗ぞく，其餘依よ鄉さと俗ぞく，以麻布あざぶ爲之ためゆき。江こう淮習俗しゅうぞく，有ゆう戴布襆頭、布ぬの袍ほう爲ため禮者れいしゃ，禁きん之の。

　　喪も禮れい圖ず

　　品しな官かん以下いか墓はか田でん之これ制せい。一品いっぴん，地ち九きゅう十じゅう步ほ。二に品ひん，八はち十じゅう步ほ。三品みしな，七なな十じゅう步ほ。四よん品ひん，六ろく十じゅう步ほ。五ご品ひん，五ご十じゅう步ほ。六ろく品ひん，四よん十じゅう步ほ，七なな品ひん以下いか，二に十じゅう步ほ，庶人，九きゅう步ほ。庶人墓ぼ田た，四面しめん距心各かく九きゅう步ほ，四圍しい相しょう距共十じゅう八はち步ほ。至いたり元もと八はち年ねん，禁きん墓ぼ上じょう不ふ得とく造づくり房ぼう舍しゃ。至大しだい元年がんねん，袁州路ろ錄ろく事ごと司つかさ照あきら略りゃく案あん牘塗全ぜん周しゅう呈てい：「江南こうなん流俗りゅうぞく以侈靡爲孝こう。凡有喪も葬そう，大だい其棺槨，厚あつ其農衾ふすま，廣こう其宅兆ちょう，備存珍寶ちんぽう之の器物きぶつ，亦また有ゆう將しょう寶たから鈔藉屍かばね斂利，習以成なり風ふう，非ひ惟おもんみ顯あらわ失しつ古制こせい，於法似に亦また未み合ごう。每まい見み厚あつ葬そう之の家いえ，不ふ發掘はっくつ於不肖ふしょう子孫しそん，則のり開鑿かいさく於強防ぼう盜賊とうぞく。令れい死者ししゃ暴露ばくろ骸骨がいこつ，良りょう可か痛つう憫。擬なずらえ請嚴爲ため禁きん治ち，今後こんご喪家そうか，除じょ衣ころも衾ふすま棺かん槨依禮れい舉葬外がい，不ふ許もと輒用金銀きんぎん、寶たから玉たま、器うつわ玩裝殮。違たがえ者しゃ，以不孝ふこう論ろん。」中書ちゅうしょ省議しょうぎ從したがえ之これ，泰たい定じょう二に年ねん，山東さんとう追つい廉かど訪おとずれ使し許もと師し敬けい，請頒族ぞく葬そう制せい，禁きん用よう陰陽いんよう相しょう地ち邪說じゃせつ。時とき同どう知ち密みつ州しゅう事ごと揚あげ仲なか益えき撰せん《周しゅう制せい國民こくみん族ぞく葬そう昭あきら穆きよし圖ず》，師し敬けい韙其言ごと，奏請そうせい頒行天下でんか焉。