新元しんもと史し/卷まき103

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新元しんもと史し 卷まき一いち百ひゃく三さん 志こころざし第だい七なな十じゅう

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刑法けいほう下か刑けい律りつ下か

卷まき一いち百ひゃく三さん·志こころざし第だい七なな十じゅう

　

　　○刑法けいほう下か 刑けい律りつ下か

　　△蒙こうむ古人こじん及僧道どう訊斷法ほう 赦令

　　刑けい律りつ之これ條じょう格かく，畫一かくいつ之の法ほう也。斷だん例れい，則のり因いん事ごと立法りっぽう，斷だん一事而爲一例者也，詔みことのり制せい，則のり不ふ依よ格かく例れい而裁之の，自じ上うえ者しゃ也。

　　中ちゅう統すべ二に年ねん，陝西せんせい四川行省乞就決邊方重刑，帝みかど不ふ許もと。

　　三さん年ねん，江漢こうかん大だい都と督とく史し權けん以趙百ひゃく戶こ挈衆逃，斬き之これ。詔みことのり：「自今じこん部ぶ曲きょく犯はん重罪じゅうざい，鞠きく同どう得とく實み，必先奏聞そうもん，然しか後ご置おけ於法。」

　　至いたり元もと二に年ねん，詔みことのり：「隨ずい路ろ私わたし商しょう，曾入南みなみ界かい者しゃ，首しゅ實じつ充たかし軍ぐん。」

　　五ご年ねん，田た禹坐妖言ようげん，敕減死し流りゅう之の遠方えんぽう。濟すみ南みなみ王おう保ほ和わ坐すわ妖言ようげん惑衆，敕誅首くび惡あく五ご人にん，餘よ勿論もちろん。是ぜ年ねん，詔みことのり遣や官かん審理しんり諸しょ路みち冤滯。正犯せいはん死罪しざい明白めいはく，各かく證あかし典てん刑けい，其雜犯はん死罪しざい以下いか量りょう斷だん遣や之これ。

　　七なな年ねん，尚書しょうしょ省しょう契ちぎり勘かん舊例きゅうれい，居きょ父母ちちはは喪も及夫喪も而嫁娶めと者しゃ，徒と三さん年ねん，各かく離はなれ之の，知ち而爲婚こん者しゃ，各かく減げん三さん等とう。今こん議ぎ得とく定立ていりつ格かく限げん，自じ至いたり元もと八年正月一日爲始已前，有居ありい父母ちちはは喪も、夫おっと喪も內婚娶めと者しゃ，准じゅん以婚書しょ爲ため定じょう，後ご犯はん者しゃ依よ法ほう斷罪だんざい聽離。

　　八はち年ねん，四川行省也速帶兒言：「比ひ因いん饑饉ききん，盜賊とうぞく滋しげる多た，宜むべ加か顯あらわ戮。」詔みことのり羣臣議ぎ之の。安やす童わらわ以爲強盜ごうとう偷竊，一いち皆みな處しょ死し，恐おそれ非ひ所しょ宜むべ；罪ざい至いたり死者ししゃ，仍依舊きゅう待命たいめい。從したがえ之これ。尚書しょうしょ省しょう臣しん言ごと：「在ざい先さき重じゅう囚しゅう待まち報むくい，直ちょく至いたり秋分しゅうぶん已やめ後ご施行しこう，每まい半年はんとし內多趲下淹住。議ぎ得とく以後いご重じゅう囚しゅう，經けい省しょう部ぶ推問，再さい交監察御史し覆審ふくしん，無む冤不待まち秋分しゅうぶん，逐旋施行しこう。」從したがえ之これ。是ぜ年ねん，敕有司し毋留獄ごく訟以致越訟，違たがえ者しゃ官民かんみん皆みな罪ざい之の。

　　十じゅう一いち年ねん，有司ゆうし斷だん死罪しざい十じゅう五ご人にん，詔みことのり加か審しん覆くつがえ，其十じゅう三さん人にん，因いん鬥毆殺人さつじん免めん死し充たかし軍ぐん，餘よ令れい再さい三審覆以聞。

　　十じゅう四よん年ねん，敕犯盜ぬすめ者しゃ皆みな處しょ死し，符ふ寶たから郎ろう董ただし文ぶん忠言ちゅうげん：「盜ぬすめ有ゆう強きょう、竊，贓有多少たしょう，似に難なん悉置重典しげのり。」帝みかど韙其言ごと，遽命止どめ之の。

　　十じゅう五ご年ねん，順德じゅんとく路ろ總そう管かん張ちょう文ぶん煥、太ふとし原はら府ふ達たち魯花赤あか太ふと不ふ花はな，以按察使發はつ其奸贓，遣や人ひと詣まい省しょう自首じしゅ，反はん以罪誣按察使。御ご史し臺だい臣しん奏そう，按察使し即そく有罪ゆうざい，亦また不ふ應おう因いん事ごと反はん告つげ，宜むべ待まち文ぶん煥等事ごと決けつ，方ぽう聽其訟。其後同どう知ち揚あげ州しゅう總そう管かん府ふ事ごと董ただし仲なか威たけし坐すわ贓罪，行ぎょう省はぶけ方かた按其事ごと，仲なか威たけし反はん誣行省しょう官かん以他事たじ。詔みことのり免めん仲なか威たけし官かん，沒ぼつ其產十じゅう之の三さん。二に事こと同どう，而科斷だん之の不ふ一いち如此。收おさむ括くく闌たけなわ遺のこ官かん也先闊闊帶たい等とう坐すわ易えき官かん馬ば闌たけなわ遺のこ人畜じんちく，敕免其罪，以諸路ろ官かん兼けん管かん收おさむ括くく闌たけなわ遺のこ，如官吏かんり隱匿いんとく及擅易えき馬匹ばひつ、私わたし配はい婦人ふじん者しゃ，沒ぼつ其家。

　　十じゅう六ろく年ねん，詔みことのり有ゆう官かん守もり不ふ勤つとむ於職者しゃ，勿論もちろん漢人かんど、回かい回かい皆みな論ろん死し，且沒其妻子こ。是ぜ時じ阿おもね合馬おうま用事ようじ，奸贓狼おおかみ籍せき，故こ勸すすむ帝みかど嚴刑げんけい竣法，以鉗士し大夫たいふ之の口くち焉。敕諸路ろ所しょ捕と盜ぬすめ，初犯しょはん贓多者しゃ死し，再犯さいはん髒少者しゃ從したがえ輕けい罪つみ論ろん。阿おもね合馬おうま言げん：「有ゆう盜ぬすめ以舊鈔易官かん庫こ新しん鈔百ひゃく四よん十じゅう錠じょう者しゃ。議ぎ者しゃ謂いい罪ざい不ふ應おう死し，盜とう者しゃ之の父ちち執と役やく臣しん家か，臣しん如徇議ぎ者しゃ之の言げん，寧やすし不ふ自じ畏かしこ。」詔みことのり論ろん死し。

　　十じゅう九きゅう年ねん，和かず禮あや和わ孫まご言ごと：「去年きょねん中山ちゅうざん府ふ奸民薛寶住じゅう爲ため匿名とくめい書しょ來らい上じょう，妄效東方とうほう朔ついたち事こと，欺妄胡えびす廷，希まれ凱官爵かんしゃく。」敕誅之の。又また言げん：「自今じこん應訴おうそ事ごと者しゃ，必須ひっす實み書しょ其事。赴省、臺たい陳ひね告つげ。敢以匿名とくめい書しょ告つげ事ごと，重じゅう者しゃ處しょ死し，輕けい者しゃ流りゅう遠方えんぽう，能のう發はつ其事者しゃ，給きゅう犯人はんにん妻子さいし，仍以鈔賞之の。」從したがえ之これ，耶律鑄い言げん：「前まえ奉たてまつ詔みことのり，殺人さつじん者しゃ死し，仍徵燒しょう埋うめ銀ぎん二に十じゅう兩りょう。後こう止とめ徵ちょう二に錠じょう，其事太ふとし輕けい。臣しん等とう議ぎ，依よ蒙こうむ古人こじん例れい，犯はん者しゃ沒ぼつ一いち女じょ入いれ仇かたき家か，無む女おんな者しゃ徵ちょう銀ぎん四よん錠じょう。」從したがえ之これ。是ぜ年ねん，王おう著ちょ、高こう和尚おしょう殺ころせ阿おもね合馬おうま，帝みかど震ふるえ怒いか，戮著等とう，並なみ殺ころせ樞密すうみつ副使ふくし張ちょう易えき，皆みな醢ひしお之の。其後，帝みかど悟さとる阿おもね合馬おうま之の奸，追おい論ろん其罪，剖棺戮屍，醢ひしお其二そのじ子こ，又また戮其第だい三さん子し，剝皮以徇。帝みかど欲ほし重じゅう懲奸吏，故こ用法ようほう特とく嚴げん。然しか剝皮及菹醢ひしお之の法ほう，唐とう、宋そう以來いらい所しょ未み有ゆう也。

　　二に十じゅう年ねん，禁きん雲南うんなん沒ぼつ人口じんこう爲ため奴やつ及黥其面者しゃ。舊制きゅうせい，雲南うんなん重じゅう囚しゅう，便宜べんぎ處決しょけつ。帝みかど恐おそれ濫及無辜むこ。敕今後こんご凡大辟罪，仍須待まち報ほう。刑部おさかべ尚書しょうしょ呈てい：「鞫問罪もんざい囚しゅう，笞むち、杖つえ、枷かせ、鎖くさり，凡諸獄ごく具ぐ，已やめ有ゆう聖旨せいし定じょう制せい。自じ阿おもね合馬おうま擅權以來いらい，專用せんよう酷吏こくり爲ため刑部おさかべ官かん，謂いい如刑部ぶ侍さむらい郎ろう王おう儀ただし獨どく號ごう慘むご刻こく，自じ創そう用よう繩なわ索さく法ほう，能のう以一索さく縛ばく囚しゅう，令れい其遍身み痛苦つうく，若わか復ふく稍やや重おも，四肢しし斷だん裂きれ。至いたり今いま刑部おさかべ稱しょう爲ため王おう侍さむらい郎ろう繩なわ索さく，非理ひり酷こく虐しいたげ，莫此爲ため甚。今こん參さん詳しょう內外官かん司し，推勘罪ざい囚しゅう獄ごく具ぐ，合ごう依よ定じょう制せい，不ふ得用とくよう王おう侍さむらい郎ろう繩なわ索さく。各かく處しょ推官司し獄ごく以至押獄禁きん卒そつ人じん等とう，皆みな當とう擇よ用よう循良，庶得政平まさへい訟理。」又また御ご史し臺だい準じゅん中なか丞すすむ崔ちぇ少しょう中ちゅう牒：「鞫獄之これ制せい，自じ有定ありさだ制せい。比ひ年ねん以來いらい，外そと路ろ官かん府ふ酷こく法ほう虐しいたげ人じん，有ゆう不ふ招承者しゃ，跪於瓷芒碎瓦之の上うえ，不ふ勝かち痛つう楚すわえ，人にん不能ふのう堪こらえ，罪つみ之の有無うむ，何なに求もとめ不ふ得とく。其餘法外ほうがい慘むご刻こく，又また不ふ止とめ此。今後こんご似に此鞫問とい之の慘むご，自じ內而外がい，通行つうこう禁斷きんだん。如有違犯いはん官吏かんり，重行しげき治ち罪ざい，似合にあい體たい國家こっか恤刑之の至いたり意い，去さ酷吏こくり婪虐之の餘よ風ふう，天下てんか幸甚こうじん。」中書ちゅうしょ省しょう並なみ照あきら驗けん施行しこう。

　　二に十じゅう二に年ねん，西川にしかわ趙ちょう和尚おしょう自稱じしょう宋そう福ぶく王おう后きさき，其定劉りゅう驢うさぎうま兒じ有ゆう三さん乳ちち，自じ以爲異こと，謀はかりごと不軌ふき，皆みな磔はりつけ之の。至いたり元もと四よん年ねん，刑部おさかべ議ぎ謀反ぼうほん者しゃ處しょ死し，家人かじん斷だん鷹たか房子ふさこ種田たねた，無む磔はりつけ裂きれ之の刑けい也。至いたり是則これのり奉たてまつ詔みことのり敕所降くだ云うん。

　　二に十じゅう八はち年ねん，敕江南こうなん重しげる囚しゅう，依よ舊制きゅうせい聞奏處決しょけつ。監かん察御史し言げん：「沙すな不ふ丁ひのと、納おさめ速そく敕丁滅めつ裏うら克かつ、王おう巨きょ濟ずみ、璉真珈、沙すな的てき、教化きょうか，皆みな桑くわ哥黨羽わ，受贓肆虐，使つかい江南えな之の民みん愁怨載路ろ，今いま或ある繫獄，或ある釋しゃく之の，此臣所しょ未み喻者。」帝みかど曰：「桑くわ哥已誅，滅めつ里さと納おさめ速そく剌丁下獄げごく，惟おもんみ沙すな不ふ丁ひのと，朕ちん姑しゅうと釋しゃく之の耳みみ。」其後，納おさめ速そく剌丁滅めつ裏うら以盜取と官民かんみん鈔十じゅう三さん萬まん錠じょう，忻都以徵理り逋負、迫さこ殺ころせ五ご百ひゃく二に十じゅう人にん，皆みな伏ふく誅。王おう巨きょ濟ずみ無む贓，帝みかど以與忻都同どう惡あく，並なみ誅之。中書ちゅうしょ省しょう臣しん言ごと：「妄人馮子振ふ嘗爲詩し諛桑哥，及桑哥敗，即そく告つげ撰せん桑くわ哥德政とくせい碑ひ者しゃ，引喻失當しっとう，乞治罪ざい。」帝みかど曰：「諸しょ臣しん何なん罪ざい，使つかい以諛桑くわ哥爲罪ざい，則のり在廷ざいてい諸しょ臣しん誰だれ不ふ譽ほまれ之これ者しゃ，朕ちん亦また嘗譽之の矣。」釋しゃく不問ふもん。

　　二に十じゅう九きゅう年ねん，懷ふところ孟はじめ路ろ河かわ內縣民けんみん劉りゅう蹺、搭蓋，小しょう薛大王おう掃裏，本ほん路ろ笑わらい薛同知ち笞むち劉りゅう蹺背一いち十じゅう七なな下か，身み死し。分ぶん司つかさ僉事趙ちょう朝ちょう列れつ牒肅政せい廉かど訪おとずれ司し，稱しょう：「嘗讀唐とう《貞さだ觀かん政せい要よう》所載しょさい，太ふとし宗そう閱銅人じん，見み人じん之の五臟ごぞう，皆みな繫於背せ，詔みことのり天下でんか勿鞭背せ。可か謂いい人君じんくん知ち愛あい民みん之の本ほん，爲ため萬まん世せい之の龜鑑きかん也。今こん朝廷ちょうてい用よう刑けい，自じ有定ありさだ制せい。有司ゆうし不ふ據よりどころ科か條じょう，輒因暴怒，濫用らんよう刑けい辟，將はた有罪ゆうざい之これ人にん，褫去衣服いふく，笞むち背せ考こう訊，往往おうおう致傷ちしょう人命じんめい，深ふか負ふ朝廷ちょうてい好生よしお之の德とく。若わか不ふ禁きん治ち，事こと關せき至いたる重じゅう。」中書ちゅうしょ省議しょうぎ準じゅん。禁きん治ち施行しこう。

　　元もと貞元さだもと年ねん，湖みずうみ州しゅう司つかさ獄ごく郭かく氾訴浙西廉かど訪おとずれ司し僉事張ちょう孝たかし思おもえ多た取と廩餼，孝こう思おもえ下か氾於獄ごく。行くだり臺だい令れい御ご史し楊仁往鞫，而江浙行省しょう平たいら章あきら政事せいじ鐵てつ木き而逮孝こう思おもえ至いたり省しょう訊問じんもん，又また令れい其屬官かん與あずか仁ひとし同どう鞫氾事ごと。仁ひとし不ふ從したがえ，行ぎょう臺だい以聞。詔みことのり省しょう、臺だい遣や官かん鞫問，既すんで引服，皆みな杖つえ之の。

　　二に年ねん，御ご史し臺だい臣しん言ごと：「官吏かんり受賕，初はつ訊辭服ふく，繼つぎ以審覆くつがえ，而有司し徇情，致令異い詞し者しゃ，乞加等とう論ろん罪ざい。」從したがえ之これ。詔みことのり諸人もろびと告つげ捕と盜ぬすめ者しゃ，強盜ごうとう一いち名めい質しつ鈔五十じゅう貫かん，竊盜せっとう半はん之の，應おう捕と者しゃ又また半はん之の，皆みな徵ちょう諸しょ犯人はんにん；無む可か徵ちょう者しゃ，官給かんきゅう之の。

　　大德だいとく元年がんねん，大だい都路みやこじ總そう管かん沙すな的てき坐すわ贓當罷やめ，帝みかど以故臣子しんし，特とく減げん其罪，俾還舊きゅう職しょく。崔ちぇ彧言不可ふか，帝みかど曰：「卿きょう與あずか中書ちゅうしょ省しょう臣しん戒之，若わか復ふく然しか，則のり置おけ之の死罪しざい矣。」是これ年ねん，溫州うんしゅう路ろ平ひら陽ひ州民しゅうみん陳ひね空そら崖がけ坐禪ざぜん說法せっぽう，旗はた號ごう僞にせ寫うつし羅ら平たいら國治くにはる正せい元年がんねん。敕陳空そら崖がけ及爲首くび諸しょ人並ひとなみ處しょ折おり，沒ぼつ其妻子さいし財產ざいさん。

　　四よん年ねん，前まえ行ぎょう省しょう參さん知ち政事せいじ張ちょう頤孫及其弟おとうと圭けい伏ふく誅於隆たかし興おき市し。初はつ，頤孫爲ため新しん滏富人じん胡えびす制せい機き養子ようし，後ご製せい機き生子おいご而卒，頤孫其利資し，與あずか弟おとうと圭けい謀殺ぼうさつ制せい機き子こ，賂まいない縣けん史し獲え免めん。其僕胡えびす宗むね訴主之の冤於官かん。敕誅頤孫兄弟きょうだい，還かえ其資於胡氏し。晉すすむ州しゅう達たち魯花赤あか捏こね克かつ伯はく詐稱さしょう母はは死し奔喪，給きゅう假かり，到いた解かい州しゅう迎むかえ其妻子こ。放ひ將はた捏こね克かつ伯はく罷職ひしょく斷罪だんざい，仍追離職りしょく月日つきひ俸還官かん。

　　五ご年ねん，敕軍士し殺人さつじん奸盜者しゃ，令れい軍ぐん、民みん官かん同どう鞫。中書ちゅうしょ省しょう臣しん言ごと：「舊制きゅうせい，京師けいし州しゅう縣けん捕と盜ぬすめ止とめ從兵じゅうへい馬司まつかさ，有司ゆうし不ふ與あずか，遂とげ致淹滯。自今じこん輕けい罪ざい乞令有司ゆうし決けつ遣や，重じゅう者しゃ從したがえ宗そう正ただし府ふ聽斷，庶不留とめ獄ごく，且民不ふ冤。」從したがえ之これ。御ご史し臺だい臣しん言ごと：「軍ぐん官かん元帥げんすい、百ひゃく戶こ、千戶せんど等とう子弟してい，承うけたまわ襲かさね承うけたまわ替かえ，就帶原ばら降くだ虎とら符ふ，比ひ之の民みん官かん優ゆう寵ちょう甚重。請今後こんご軍ぐん官かん但ただし犯おかせ一切不公不法罪名者，無む分ぶん輕重けいちょう，依よ十じゅう三さん等とう例れい。與あずか民みん官かん一體いったい科か斷だん。」從したがえ之これ。

　　五ご年ねん，河南かなん民みん殷いん醜みにく廝等詐稱さしょう神靈しんれい，扇おうぎ感かん人じん衆しゅ。殷いん醜みにく廝所及信從したがえ、知ち情じょう不ふ舉者，皆みな處しょ斬き，沒ぼつ其妻子こ。

　　六ろく年ねん，詔みことのり千せん戶こ、百戶等自軍中逃歸，先さき事ごと而逃者しゃ罪ざい死し，敗はい而後進こうしん者しゃ杖つえ之の，沒ぼつ其妻女おんな。又また軍ぐん官かん除じょ邊べ遠出とおで征せい外がい，其餘遇ぐう祖父母そふぼ、父母ちちはは喪も，依よ民みん官かん例れい立りつ限げん奔赴。

　　七なな年ねん，南みなみ劍けん路ろ達たち魯花赤あか忻都因いん事ごと受贓，又また挾はさみ仇かたき故殺こさつ原告げんこく人じん徐じょ仲なか言げん。忻都，阿おもね合馬おうま之の從したがえ子こ也。以遇郝，敕除名じょめい，永えい不ふ敘用，倍ばい徵ちょう燒しょう埋うめ銀ぎん。

　　九きゅう年ねん，河間こうま民みん王おう天下でんか奴やつ弒父，磁州民田みんだ聖きよし童わらわ弒母，並なみ磔はりつけ於市。吏部主事しゅじ賈廷瑞みず言ごと：「近年きんねん以來いらい，府ふ州しゅう司つかさ縣けん官かん失しつ其人，奉たてまつ法ほう不ふ虔けん，受成文せいぶん吏，舞まい弄ろう出入でいり，以資漁獵ぎょりょう。愚民ぐみん冒おかせ法ほう，小しょう有ゆう詞し訴，根ね連れん株かぶ累るい，動どう至いたり千せん百ひゃく，罪ざい無む輕重けいちょう，即そく入にゅう監禁かんきん，百ひゃく端はし擾害，不可ふか勝かち言ごと。若わか不ふ申さる明あかり制令せいれい，嚴いむ加か戒飭かいしょく，則のり吏弊不ふ除じょ。今後こんご除じょ奸盜詐僞さぎ杖つえ罪ざい以上いじょう罪狀ざいじょう明白めいはく，依よ例れい監禁かんきん，其餘自じ笞むち罪ざい以下いか雜ざつ犯罪はんざい名めい及根連れん證しょう幹みき之これ人にん，不ふ許もと似に前ぜん監かん收おさむ，止とめ令れい隨ずい衙待對たい。若わか果はて有ゆう逃避とうひ，根ね捉到官かん，比ひ本ほん犯はん斷だん決けつ。」刑部おさかべ議ぎ：「賈奉訓くん所しょ言げん事理じり蓋ぶた爲ため路ろ府ふ州しゅう縣けん官吏かんり不能ふのう奉職ほうしょく，至いたり有ゆう差さ池ち，若わか選せん材ざい得とく人じん，自然しぜん不ふ至いたり冤濫。以此參さん詳しょう小しょう民みん犯はん法ほう情じょう罪ざい，輕重けいちょう不一ふいつ，擬なずらえ合あい臨事詳しょう情じょう區處くしょ。如有違たがえ枉等事ごと，廉れん訪おとずれ司つかさ照あきら例れい糾之。」中書ちゅうしょ省しょう從したがえ刑部おさかべ議ぎ。

　　至大しだい二に年ねん，福建ふっけん廉かど訪おとずれ司し言げん：「古制こせい，一いち罪ざい先發せんぱつ，已やめ經けい論決ろんけつ，餘罪よざい後發こうはつ。其輕若わか等とう，則のり勿論もちろん重じゅう者しゃ，通計つうけい前ぜん罪つみ，以充後ご數すう。矧はぎ今いま所しょ犯はん贓罪分ぶん爲ため十じゅう二に章しょう，各かく有ゆう差等さとう，設しつらえ若わか一いち罪ざい先發せんぱつ，已やめ經けい斷だん罷やめ，餘罪よざい後發こうはつ，系けい在ざい被ひ斷だん日月じつげつ之の前ぜん，合ごう無む酌しゃく古ふる準じゅん今いま，其輕若わか等とう，則のり與あずか擬なずらえ免まぬかれ，比ひ前ぜん罪つみ重じゅう者しゃ，驗けん贓計其所剩あま杖つえ數すう決斷けつだん，準じゅん復ふく追つい贓免斷だん，依よ例れい黜降，似に爲ため情じょう法相ほうしょう應おう。」中書ちゅうしょ省しょう依よ刑部おさかべ議ぎ從したがえ之これ。是ぜ年ねん，武たけ昌あきら婦人ふじん劉りゅう氏し詣まい御ご史し臺だい訴三寶奴奪其所進亡宋玉璽一、金きむ椅子いす一いち、夜明よあけ珠たま二に。敕中書しょ省しょう臣しん及御史し中ちゅう丞すすむ冀德方かた、也可札さつ魯忽赤あか別べつ鐵てつ木き兒じ、中ちゅう政せい使し搠只等とう雜ざつ問とい。劉りゅう氏し稱たたえ故こ翟萬まん戶こ妻つま，三寶さんぼう奴やつ謫武昌あきら時じ，與あずか劉りゅう氏し往來おうらい。及三寶さんぼう奴やつ貴とうと，劉りゅう氏し以追逃婢至いたり京きょう，謁三寶さんぼう奴やつ於其家か，不ふ答こたえ。入にゅう其西廊ろう，見み榻上有ゆう逃婢所しょ竊寶鞍くら及其手縫てぬい錦にしき帕，以問三寶さんぼう奴やつ，又また不ふ答こたえ。忿恨而出，即そく求もとめ書狀しょじょう人じん喬たかし瑜爲狀じょう，因よし尹いん榮さかえ往見察院吏李節ぶし，入にゅう訴於臺だい。獄ごく具ぐ，以劉氏し爲ため妄。有ゆう旨むね軒のき喬たかし瑜，笞むち李り節たかし，杖つえ劉りゅう氏し及尹榮さかえ歸き之の原籍げんせき。

　　三さん年ねん，寧やすし王おう闊闊出で謀はかりごと爲ため不軌ふき，越えつ王おう禿かぶろ剌子阿おもね刺とげ納おさめ失しつ里さと許もと助すけ之の。事こと覺さとし，闊闊出で下獄げごく，賜たまもの其妻完かん者しゃ死し，竄阿剌納失しつ裏うら及其祖母そぼ母はは妻つま於伯鐵てつ木き兒じ所しょ。以畏兀兒僧そう鐵てつ裏うら等とう二に十じゅう四よん人にん同どう謀はかりごと，或ある知謀ちぼう不ふ首くび，並なみ磔はりつけ於市。

　　延のべ祐ゆう元年がんねん，晉すすむ寧やすし民みん侯こう喜き兒じ兄弟きょうだい五人並坐法當死。帝みかど惻然曰：「彼かれ一家不幸而有此事，其擇情じょう輕けい者しゃ一いち人にん杖つえ之の，俾養父母ちちはは，毋絕其祀。」三さん年ねん，敕：「大だい辟罪臨刑，敢有刲割者しゃ，以重罪ざい論ろん。凡鞫囚しゅう，非ひ強盜ごうとう，毋加酷刑こっけい。」

　　五ご年ねん，御ご史し臺だい臣しん言ごと：「諸しょ司つかさ近侍きんじ隔へだた越えつ中書ちゅうしょ省しょう聞奏者しゃ，請如舊制きゅうせい治ち罪ざい。」從したがえ之これ。六ろく年ねん，帝みかど御ご嘉よしみ禧殿，謂いい札さつ魯忽赤あか買かい閭曰：「札さつ魯忽赤あか人命じんめい所しょ繫。其詳閱獄辭じ。事こと無む大小だいしょう，必謀於同僚どうりょう。疑うたぐ不能ふのう決けつ者しゃ，與あずか省しょう臺だい臣しん集しゅう議ぎ以聞。」七なな年ねん，中書ちゅうしょ省しょう臣しん奏そう：「各かく處しょ合流ごうりゅう遼りょう陽ひ獄ごく囚しゅう，無む分ぶん輕重けいちょう，一概いちがい發はつ奴やつ兒じ干ひ地ち。而彼中ちゅう別べつ無む種たね養生ようじょう業ぎょう。歲とし用よう衣糧いりょう，重じゅう加か勞ろう費ひ。今いま肇はじめ州しゅう路ろ有ゆう屯田とんでん，擬なずらえ流りゅう囚しゅう照あきら依よ所しょ犯はん重じゅう者しゃ，發はつ奴やつ兒じ千せん地ち，輕けい者しゃ於肇州しゅう從したがえ宜よろし安置あんち，屯たむろ種しゅ自じ贍，似に爲ため便益べんえき。」從したがえ之これ。刑部おさかべ言げん：「方今ほうこん庶務しょむ，惟おもんみ刑けい爲重ためしげ，平ひらた反はん冤獄，乃居官かん者しゃ職しょく所しょ當爲とうい。比ひ因いん升ます等とう減資げんし之の路みち，於是僥倖ぎょうこう之の徒と不ふ計けい事理じり虛實きょじつ，欲よく圖ず升ます進しん。往往おうおう鍛きたえ鍊成獄ごく，反はん害がい無辜むこ。所在しょざい官かん司し，亦また不ふ詳しょう讞，取と具體ぐたい察公文こうぶん，諮はか申さる省しょう部ぶ定てい擬なずらえ。平ひらた反はん明白めいはく，固かた亦また有ゆう之の，然しか冒おかせ濫者十じゅう常つね八はち九きゅう。若わか不定ふてい擬なずらえ平ひら反はん通例つうれい，深ふか爲ため未み便びん。今後こんご內外官員かんいん，如能平のっぺい反はん重刑じゅうけい三さん名めい以上いじょう。量りょう升ます一等いっとう，犯はん流りゅう配はい五ご名めい者しゃ，擬なずらえ減げん一いち資し，名數めいすう不ふ及者，從したがえ優ゆう定てい奪だつ。其吏員いん事ごと不ふ幹みき己おのれ，而能平のっぺい反はん者しゃ，量りょう進しん一等いっとう遷調。其或冒おかせ濫不實ふじつ，罪つみ及保勘かん體たい察官司し，庶革僥倖ぎょうこう之の弊へい。」中書ちゅうしょ省議しょうぎ從したがえ之これ。

　　至いたり治ち元年がんねん，上うえ都と留守るす賀が伯はく顏がお坐すわ便服べんぷく迎むかえ詔みことのり棄市，籍せき其家。是ぜ時じ，鐵てつ木き迭兒復ふく相しょう，修おさむ舊怨きゅうえん。既すんで杖つえ殺ころせ楊朵兒じ只ただ、蕭しょう拜はい住じゅう，又また陷おちい賀が伯はく顏がお於死。終おわり元之もとゆき世よ，奸臣かんしん舞まい文法ぶんぽう以害正人まさと，鐵てつ木き迭兒兒じ一いち人にん而已。英えい宗むね執と法ほう嚴げん，參議さんぎ中書ちゅうしょ省しょう事ごと乞列監かん坐すわ鬻官，刑部おさかべ以法當とう杖つえ，皇太后こうたいごう命いのち笞むち之の，帝みかど曰：「不可ふか，法ほう者しゃ天下でんか之の公おおやけ，徇私而輕重之しげゆき，何なに以示天下でんか。」卒そつ工こう其罪。斡魯思おもえ訐其父母ちちはは，又また駙馬許もと納おさめ子こ速そく怯おびえ訐其父ちち謀叛ぼうほん，其母私わたし從したがえ人じん。帝みかど曰：「人ひと子こ事ごと親おや，有ゆう隱かくれ無む犯おかせ，今いま有ゆう過か不ふ諫，復ふく訐於官かん，豈あに人ひと子こ所しょ忍にん爲ため。」命いのち斬き之これ。真人しんじん蔡遁泰たい殺人さつじん論ろん死し，刑部おさかべ尚書しょうしょ不ふ答こたえ失しつ裏うら坐すわ受其金きん，範はん德とく鬱うつ坐すわ詭隨，俱杖免めん。

　　三さん年ねん，禁きん故殺こさつ子女しじょ誣平民へいみん者しゃ。四川行省平章政事趙世延，坐すわ其弟不ふ法事ほうじ繫獄待まち對たい，其弟逃匿，詔みことのり出で之の，仍著爲ため令れい，逃者百ひゃく日にち不出ふしゅつ，則のり釋しゃく待まち對たい者しゃ。八思吉思下獄，帝みかど謂いい左右さゆう曰：「法ほう者しゃ，祖宗そそう所しょ制せい，非ひ朕ちん所得しょとく私わたし也。八思吉思雖事朕久，今こん有罪ゆうざい，其論如法にょほう。」八はち月がつ，帝みかど遇ぐう弒於南みなみ坡。泰やすし定てい帝みかど即位そくい，討賊也先鐵てつ木き兒じ、完かん者しゃ、鎖くさり南みなみ、禿かぶろ滿まん等とう，皆みな伏ふく誅。又また遣や旭あさひ邁傑等とう誅鐵失しつ、失しつ禿かぶろ兒じ、赤あか斤きん鐵てつ木き兒じ於大おだい都と，並なみ戮其子孫しそん。監かん察御史し脫だつ脫だっ等とう言げん：「鐵てつ木き迭兒包藏ほうぞう禍か心こころ，離間りかん親藩しんぱん，使つかい先帝せんてい孤立こりつ，卒そつ罹かか大だい禍わざわい。其子鎖くさり南みなみ親おや與あずか逆ぎゃく謀はかりごと，乞正其父子ふし之の罪つみ。以快元元もともと之の心しん。又また月つき魯、禿かぶろ禿かぶろ哈、速はや敦あつし，皆みな鐵てつ失しつ之の黨とう，不ふ宜むべ寬ひろし宥なだめ。」於是鎖くさり南みなみ、月つき魯、禿かぶろ禿かぶろ哈、速はや敦あつし皆みな伏ふく誅。監かん察御史し許もと有ゆう壬みずのえ又また言げん：「蕭しょう拜はい住じゅう、楊朵兒じ只ただ、賀が伯はく顏がお，天下てんか皆みな知ち其無罪ざい。鐵てつ木き迭兒，盜とう弄ろう威い權けん，致之必死ひっし。御ご史觀しかん音おん保たもて、鎖くさり咬兒哈的迷失、李り謙けん亨とおる、成なり圭けい，雖以言げん事ごと忤旨，實じつ爲ため鐵てつ木き迭兒父子ふし所しょ媒なかだち孽。又また復ふく陰かげ庇ひさし逆賊ぎゃくぞく鐵てつ失しつ，使つかい先帝せんてい暴崩，皆みな鐵てつ木き迭兒爲之ためゆき張本ちょうほん也。近きん奉たてまつ旨むね，免めん其抄籍せき。竊謂刑けい賞しょう大だい節ふし，尤ゆう當とう得とく宜よろし，擬なずらえ合あい依よ舊きゅう斷だん沒ぼつ其諸子しょし家產かさん。先さき因いん事ごと發はつ。獲え免めん之の後のち，分ふん張ちょう別居べっきょ，足見たるみ預あずか爲ため三さん窟くつ之の計けい。合一ごういつ併籍沒ぼつ，仍將家か屬ぞく遷徙遠方えんぽう，以謝天下でんか。」從したがえ之これ。

　　泰たい定元さだもと年ねん，太ふとし尉じょう不ふ花はな、平たいら章あきら政事せいじ即そく烈れつ，坐すわ矯制以賓婦ふ古こ哈強配はい撒梯，被ひ鞫，詔みことのり以世祖そ舊臣きゅうしん，原はら其罪。

　　二に年ねん。息いき州民しゅうみん趙ちょう醜みにく廁、郭かく菩薩ぼさつ妖言ようげん彌勒みろく佛ふつ當とう有ゆう天下でんか，有司ゆうし以聞，命いのち宗そう正ただし府ふ、刑部おさかべ、樞密院すうみついん、御ご史し臺だい及河南かなん行ゆき省しょう官かん雜ざつ鞫之。郭かく菩薩ぼさつ伏ふく誅，杖つえ流りゅう其黨。

　　三さん年ねん，潮うしお州しゅう判官ほうがん錢ぜに珍ちん挑推官かん粱楫妻つま劉りゅう氏し，不ふ從したがえ，誣楫下獄げごく殺ころせ之これ。事こと覺さとし，珍ちん飲いん藥やく死し。詔みことのり戮其屍かばね。

　　天てん曆れき元年がんねん，中書ちゅうしょ省しょう臣しん言ごと：「凡有罪ざい者しゃ，既すんで籍せき其家資し，又また沒ぼっ其妻子さいし，非ひ古いにしえ者しゃ罪人ざいにん不ふ孥之意い。今後こんご請勿沒ぼつ人じん妻子さいし。」從したがえ之これ。太ふとし尉じょう不ふ花はな率りつ所部ところぶ到いた掠かすめ居きょ庸いさお以北いほく，盜とう入いれ其家殺ころせ之これ，興和こうわ路ろ當とう盜ぬすめ死罪しざい，刑部おさかべ議ぎ：「不ふ花はな不ふ道みち，衆しゅう所しょ聞知ぶんち，幸こう爲ため盜とう殺ころせ，而本路ろ隱かくれ其殘剽ひょうげ之これ罪ざい，獨どく以盜聞，於法不當ふとう。」中書ちゅうしょ省しょう臣しん以聞，帝みかど從したがえ其議。御ご史し臺だい臣しん言ごと：「也先捏こね將兵しょうへい擅殺官吏かんり，俘掠子女しじょ貨財。」詔みことのり刑部おさかべ鞫之，籍せき其家，杖つえ一いち百ひゃく七なな，流りゅう南みなみ寧やすし府ふ，後こう復ふく爲ため御ご史し所しょ劾，以不忠ふちゅう、不敬ふけい，伏ふく誅。

　　二に年ねん，中書ちゅうしょ省しょう巨きょ言ごと：「近きん籍せき沒ぼつ欽察家か，其子年ねん十じゅう六ろく，請令與あずか母はは同居どうきょ，仍請自今じこん以後いご有罪ゆうざい籍せき官かん犯はん手しゅ，他人たにん不ふ得とく陳ひね乞，亦また不ふ得とく沒ぼつ爲ため官かん奴やつ。」從したがえ之これ。陝西せんせい行ゆき臺だい御ご史し孔あな思おもえ迪すすむ言げん，「人倫じんりん之の中なか，夫婦ふうふ爲重ためしげ。比ひ見みる內外大臣だいじん得とく罪ざい就刑者しゃ，其妻子さいし即斷そくだん付づけ他人たにん，似に與國よこく朝あさ旌表之の意い不ふ符ふ，夫おっと亡ほろび終おわり制せい之の令れい相反あいはん。況きょう以失節ぶし之これ婦ふ，配はい有功ゆうこう之これ人にん，又また與あずか前ぜん賢けん所謂いわゆる娶めと失しつ節ぶし者しゃ以配，是ぜ已やめ失しつ節ぶし之の意い不同ふどう。今後こんご負まけ國こく之の臣籍しんせき沒ぼつ奴婢ぬひ財產ざいさん，不ふ必罪其妻子さいし，當とう典てん刑けい者しゃ則そく孥戮之の，不ふ必斷付づけ他人たにん。請著爲ため令れい。」從したがえ之これ。

　　至いたり順じゅん元年がんねん，樞くるる密使みっし言ごと：「征せい戍雲南みなみ軍ぐん士し逃歸にげかえ。法ほう當とう死し。」詔みことのり曰：「如臨陣じん而逃，死し宜むべ也。非ひ臨陣逃者，輒論死し，何なん視し人命じんめい之の易えき耶！其杖而流之の。」御ご史し臺だい臣しん言ごと：「內外官吏かんり令れい家か人受ひとうけ財ざい，以其幹みき名めい犯はん義よし，罪つみ止とめ四よん十じゅう七なな解任かいにん，貪むさぼ污着緣えん此犯法ほう愈いよいよ多おお。請依十じゅう二に章しょう，計けい贓多少たしょう論ろん罪ざい。」從したがえ之これ。御ご史し中本なかもと和尚おしょう坐すわ受婦人爲じんい賂まいない，遇ぐう赦原罪ざい。監かん察御史し言げん。「和尚おしょう所爲しょい貪むさぼ縱たて，有ゆう污臺綱つな，罪つみ雖見原ばら，理り宜よろし追つい奪だつ所ところ受制命いのち，禁錮きんこ終身しゅうしん。」從したがえ之これ。

　　二に年ねん，湖みずうみ廣こう參さん知ち政事せいじ徹てっ裏うら帖じょう木き兒じ與あずか速はや速そく、班はん丹に俱出怨言えんげん，鞫問得とく實み，刑部おさかべ議ぎ徹てっ裏うら帖じょう木き兒じ、班はん丹に杖つえ一いち百ひゃく七なな，速そく速そく處しょ死し。會かい赦，徹とおる裏うら帖じょう木き兒じ流りゅう廣東かんとん，班はん丹に流りゅう廣西ひろせ，速そく速そく徙海南みなみ。詔みことのり籍せき其家，速そく速そく禁錮きんこ終身しゅうしん。燕つばめ鐵てつ木き兒じ言げん：「安やす慶けい萬戶鎖住坐家人事繫獄，久ひさ未み款伏，宜むべ若わか無罪むざい，乞釋之の。」制せい可か。寧やすし國こく路ろ徑みち縣民けんみん張ちょう道みち殺人さつじん爲ため盜ぬすめ，弟おとうと吉きち從したがえ而不加か功こう，繫獄七なな年ねん不ふ決けつ，吉母よしも老ろう，無む他た子こ。中書ちゅうしょ省しょう以聞，敕免死し，杖つえ而釋之の。御ご史し臺だい臣しん言ごと：「儲もうか政せい使し撒兒不ふ花はな侍さむらい潛せん邸てい時じ，受馬七なな十じゅう九きゅう匹ひき，盜用とうよう官かん庫こ物ぶつ，天てん曆れき初はつ遇ぐう賊ぞく即そく逃，擅開城門じょうもん。度ど支ささえ卿きょう納おさめ哈出矯增制令せいれい，又また受諸王おう斡即七寶しっぽう帶たい一いち、鈔一百ひゃく六ろく十じゅう錠じょう。臣しん等とう議ぎ其罪，均ひとし宜むべ杖つえ一いち百ひゃく七なな，除名じょめい。」從したがえ之これ。只ただ裏うら哈荅兒じ坐すわ贓罪當流とうりゅう，以唐其勢舅しゅうと釋しゃく之の。安西あんざい王おう阿おもね難なん答こたえ之子ゆきこ月がつ魯帖木き兒じ，與あずか畏かしこ兀僧玉だま你達八はち的てき刺とげ板いた的てき、國師こくし必刺忒納失しつ裏うら沙すな津つ愛あい護持ごじ，謀はかりごと不軌ふき。事こと覺さとし，三さん人にん皆みな處しょ死し，仍籍其家，以必刺とげ忒納失しつ裏うら妻つま醜みにく醜みにく賜たまもの通どおり政せい副使ふくし伯はく藍あい。天てん曆れき初はつ，御ご史し臺だい臣しん屢請勿籍罪人ざいにん妻子さいし，著しる爲ため令れい矣。然しか未み幾いく，仍不依よ條じょう格かく。大抵たいてい文ぶん宗之むねゆき世よ，刑法けいほう畸輕畸重，皆みな出で燕つばめ鐵てつ木き兒じ之の意い，帝みかど亦また不ふ專決せんけつ也。

　　後こう至いたり元もと三さん年ねん，詔みことのり除じょ人命じんめい重おも事こと之の外そと，凡資賊ぞく等とう獄ごく，不ふ須五俟府官かん審しん，有司ゆうし依よ例れい決けつ之の。

　　六ろく年ねん，詔みことのり今後こんご有罪ゆうざい者しゃ。勿籍其妻女おんな以配人じん。

　　凡蒙古人こじん居きょ官かん犯はん法ほう，擇よ蒙こうむ古こ官かん斷だん之の，行ぎょう杖つえ亦また如之。四よん怯おびえ薛及諸王しょおう、駙馬投下とうか蒙こうむ古こ、色目いろめ人じん等とう，犯はん奸盜詐僞さぎ者しゃ，從したがえ太ぶと宗そう正ただし府ふ讞之。其蒙古人こじん相しょう犯はん者しゃ，婚姻こんいん、債さい負まけ、鬥毆、私わたし奸雜犯はん，不ふ繫官軍ぐん捕捉ほそく者しゃ，從したがえ本ほん奧おく魯歸斷だん。其餘干ひ礙人命いのち，強つよ竊盜せっとう賊ぞく，印しるし造づくり僞にせ鈔之類るい，即そく系けい管かん民みん官かん應おう捕と事理じり，令れい有司ゆうし約やく會かい奧おく魯官一いち同どう問とい之の。軍民ぐんみん相しょう干ひ之の詞し訟，管かん民みん官かん約やく會かい管かん軍ぐん官かん問とい之の，僧俗そうぞく相しょう干ひ之の詞し訟，管かん民みん官かん約やく會かい行ぎょう宣政のぶまさ院いん問とい之の。

　　至いたり元もと十じゅう二に年ねん，刑部おさかべ議ぎ準じゅん：「蒙こうむ古こ軍人ぐんじん自じ行くだり相しょう犯はん，若わか有ゆう蒙こうむ古こ奧おく魯員，合ごう與あずか京きょう兆ちょう、南京なんきん一體いったい施行しこう。如無管領かんりょう奧おく魯頭目め，止とめ從したがえ官かん司し訊斷。

　　九きゅう年ねん，中書ちゅうしょ省議しょうぎ準じゅん：「蒙こうむ古人こじん除じょ犯はん死罪しざい，監房かんぼう收おさむ禁きん，不ふ得とく一いち面めん拷掠外がい，據よりどころ真ま奸、真しん盜とう之の犯おかせ，達いたる魯火赤あか與あずか衆しゅう官かん人じん一同いちどう訊問じんもん得とく實み，去さ犯人はんにん繫腰合あい鉢はち散ち收おさむ，其餘雜ざつ犯はん輕けい罪ざい依よ理り對たい證しょう，不ふ得とく一いち面めん捉拿監かん收おさむ。」

　　三さん十じゅう年ねん，敕：「管かん民みん官かん、奧おく魯官、運うん司し並なみ投下とうか相關そうかん公事こうじ，管かん民みん官かん與あずか各かく管かん官かん司し約やく會かい，一同いちどう鞫問，如行移うつり三さん次じ不ふ到いた，止とめ從したがえ管かん民みん官かん依よ理り歸結きけつ。情じょう重じゅう者しゃ，申さる刑部おさかべ斷だん之の。」

　　大德だいとく五ご年ねん，敕軍士し系けい人じん奸盜者しゃ，令れい軍民ぐんみん官かん同どう鞫。中ちゅう統すべ二に年ねん，鳳おおとり翔しょう府ふ龍華りゅうげ寺僧じそう超ちょう道みち謀はかりごと作さく亂みだれ，遇ぐう赦，沒ぼつ其財羈管，京きょう兆僧司同謀蘇德全從軍自效。

　　大德だいとく六ろく年ねん，詔みことのり自今じこん僧官そうかん、僧そう人じん犯罪はんざい，御ご史し臺だい與あずか內外宣政のぶまさ院いん同どう鞫。宣政のぶまさ院いん徇情不ふ公おおやけ者しゃ，聽御史し臺だい治之はるゆき。

　　七なな年ねん，奉たてまつ使つかい宣撫せんぶ耶律希まれ尚なお、劉りゅう賡言：「平たいら陽よう僧そう察力微ほろ犯はん法ほう非ひ一いち，有司ゆうし憚はばか其豪強きょう，不ふ敢詰間あいだ，聞臣等とう至いたり，潛せん逃京師し。」中書ちゅうしょ省しょう臣しん言ごと，宜むべ捕と送おく其所，令れい省はぶけ、臺たい、宣政のぶまさ院いん遣や官かん雜ざつ治ち。從したがえ之これ。

　　八はち年ねん，詔みことのり：「凡僧奸盜殺人さつじん者しゃ，聽有司し專決せんけつ。」

　　延のべ祐ゆう六ろく年ねん，敕：「畏かしこ兀兒哈迷里人さとびと自じ行くだり相しょう犯はん，委ゆだね付づけ頭目とうもく訊斷，若わか與あずか百姓ひゃくしょう相しょう爭そう，委い頭目とうもく與あずか有司ゆうし官かん同どう鞫。」

　　七なな年ねん，敕：「回かい回かい諸色しょしき人じん等とう，結ゆい絕ぜっ不ふ得とく者しゃ，歸かえり有司ゆうし官かん訊斷。」

　　赦令，歷代れきだい所しょ同どう。獨どく以修佛事ぶつじ而釋重じゅう囚しゅう，則のり惟おもんみ蒙こうむ古こ有ゆう之の。

　　元もと貞元さだもと年ねん，用よう帝みかど師し奏かなで，釋しゃく大だい辟三さん人にん，杖つえ以下いか四よん十じゅう七なな人にん。二に年ねん，釋しゃく罪ざい囚しゅう二に十じゅう人にん。

　　六ろく年ねん四よん月がつ己おのれ丑うし朔ついたち，釋しゃく重しげる囚しゅう三さん十じゅう八はち，人にん給きゅう鈔一いち錠じょう。庚かのえ辰たつ，釋しゃく重しげる囚しゅう疑うたぐ重おも者しゃ。七なな年ねん，中書ちゅうしょ右みぎ丞すすむ答こたえ敕罕言ごと：「僧そう人じん修おさむ佛事ぶつじ畢，必釋重じゅう囚しゅう，有ゆう殺人さつじん及妻妾わらわ殺ころせ夫おっと者しゃ皆みな指名しめい釋しゃく之の。生者しょうじゃ苟免，死者ししゃ古こ冤。於福おふく何なん有ゆう？」帝みかど嘉納かのう之の，然しか九きゅう年ねん仍釋上じょう都と囚しゅう三さん人にん，不能ふのう盡つき用よう其言。

　　十じゅう一いち年ねん，武たけ宗はじめ即位そくい，帝みかど師し奏そう釋しゃく大だい辟囚三さん十じゅう人にん，杖つえ以下いか百ひゃく人にん。

　　至大しだい二に年ねん，以皇太后こうたいごう有ゆう疾やまし，釋しゃく大だい辟囚百ひゃく人にん。

　　皇すめらぎ慶けい三さん年ねん，以作佛事ぶつじ，釋しゃく囚徒しゅうと二に十じゅう九きゅう人にん。

　　延のべ祐ゆう元年がんねん，釋しゃく流りゅう以下いか罪つみ囚しゅう。三月さんがつ，以僧人じん作さく佛事ぶつじ，擇よ釋しゃく獄ごく囚しゅう，命中めいちゅう書しょ省しょう審しん察。六ろく年ねん，以天慶けい節ぶし，擇よ重おも囚しゅう一いち人にん。七なな月がつ，皇すめらぎ姊大長ちょう公主こうしゅ祥さち哥刺吉作よしづくり佛事ぶつじ，釋しゃく全ちょん寧やすし府ふ重じゅう囚しゅう二に十じゅう七なな人にん。敕按問もん全ちょん寧やすし有司ゆうし官かん，阿おもね從したがえ不法ふほう，仍追囚しゅう還かえ獄ごく，命いのち分ぶん簡奴兒じ干ひ及流囚しゅう罪ざい稍やや輕けい者しゃ屯田とんでん肇はじめ州しゅう。是ぜ年ねん，以作佛事ぶつじ，釋しゃく大だい辟囚七なな人にん，流りゅう以下いか六ろく人にん。

　　英えい宗むね即位そくい，拜はい住じゅう以受尊號そんごう，請釋獄ごく囚しゅう，不ふ允まこと。至いたり治ち二に年ねん，西にし僧そう灌頂，疾やまし請釋罪ざい囚しゅう，帝みかど曰：「釋しゃく囚しゅう祈いのり福ぶく，豈あに爲ため師し惜，朕ちん思おもえ惡人あくにん屢赦，反はん害がい善人ぜんにん，何なに福ぶく之の有ゆう？」不ふ允まこと。西にし僧そう爲ため奸利，假かり祈いのり福ぶく之の說せつ以釋重じゅう囚しゅう，元之もとゆき秕政ひせい也，獨どく英えい宗むね能のう斥之，然しか亦また連れん爲ため故事こじ。

　　三さん年ねん，敕都功こう侮あなど使つかい闊兒魯至京師けいし，釋しゃく大だい辟囚三さん十じゅう一いち人にん，杖つえ五ご十じゅう七なな以上いじょう六ろく十じゅう九きゅう人にん。

　　泰たい定元さだもと年ねん，釋しゃく笞むち罪ざい以爲兩りょう宮みや祈いのり福ぶく。三さん年ねん，以帝師し修おさむ佛事ぶつじ，釋しゃく重しげる囚しゅう三さん人にん。

　　至いたり順じゅん二に年ねん，作さく佛事ぶつじ，釋しゃく在京ざいきょう囚しゅう死罪しざい者しゃ十じゅう人にん，杖つえ罪ざい四よん十じゅう七なな人にん，三さん年ねん，以作佛事ぶつじ，釋しゃく御ご史し臺所だいどころ囚しゅう定てい興きょう劉りゅう縣けん尹いん及刑部ぶ囚しゅう二に十じゅう六ろく人にん。