新元しんもと史し/卷まき128

卷まき一いち百ひゃく二に十じゅう七なな ◄

新元しんもと史し 卷まき一いち百ひゃく二に十じゅう八はち 列傳れつでん第だい二に十じゅう五ご

► 卷まき一いち百ひゃく二に十じゅう九きゅう

亦また魯該 阿おもね勒赤 忽ゆるがせ難なん 迭該 古いにしえ出で古いにしえ兒じ 木き勒合勒忽 布ぬの拉ひしげ忽ゆるがせ兒じ 汪ひろし古こ兒こ者しゃ歹 朵豁勒忽 哈剌察兒 闊闊搠思豁兒豁孫 蒙こうむ古こ兀兒 客きゃく帖じょう 木き格かく 速そく亦また客きゃく禿かぶろ 種しゅ索さく 輕けい吉きち牙きば歹 塔とう亦また兒こ 阿兒あご孩合撒兒 八剌扯兒必 八剌斡羅納兒台　掌てのひら吉きち帖じょう木き兒じ 蔑格禿かぶろ 合あい答こたえ安やす 薛亦兀兒 也客捏こね兀鄰 朵歹 晃あきら答こたえ豁兒 速そく客きゃく孩 晃あきら孩 合ごう兒じ忽ゆるがせ答こたえ 別べつ都と溫ゆたか 赤あか歹 朵兒伯はく多た黑くろ申さる 附ふ朵羅阿おもね歹等十じゅう又また七なな人にん

卷まき一いち百ひゃく二に十じゅう八はち·列傳れつでん第だい二に十じゅう五ご

　

　　亦また魯該 阿おもね勒赤 忽ゆるがせ難なん 迭該 古いにしえ出で古いにしえ兒じ 木き勒合勒忽 布ぬの拉ひしげ忽ゆるがせ兒じ 汪ひろし古こ兒こ者しゃ歹 朵豁勒忽 哈剌察兒 闊闊搠思豁兒豁孫 蒙こうむ古こ兀兒 客きゃく帖じょう 木き格かく 速そく亦また客きゃく禿かぶろ 種しゅ索さく 輕けい吉きち牙きば歹 塔とう亦また兒こ 阿兒あご孩合撒兒 八剌扯兒必 八剌斡羅納兒臺　掌てのひら吉きち帖じょう木き兒じ 蔑格禿かぶろ 合あい答こたえ安やす 薛亦兀兒 也客捏こね兀鄰 朵歹 晃あきら答こたえ豁兒 速そく客きゃく孩 晃あきら孩 閤ごう兒じ忽ゆるがせ答こたえ 別べつ都と溫ゆたか 赤あか歹 朵兒伯はく多た黑くろ申さる 附ふ朵羅阿おもね歹等十じゅう又また七なな人にん

　　亦また魯該，雪ゆき泥どろ惕氏，與あずか迭該同どう爲ため太ふと宗そう傅でん。太ふとし祖そ臨崩，稱しょう爲ため忠直ただなお，受顧命いのち輔翼太ふと宗そう，又また護まもる太ふとし祖そ梓あずさ宮北みやきた還かえ。弟おとうと阿おもね勒赤，亦また授千せん戶こ，管かん護衛ごえい散ち班はん。

　　忽ゆるがせ難なん，格かく泥どろ格かく思おもえ氏し，授朮赤あか下か萬まん戶こ。太ふとし祖そ嘗謂博はく爾なんじ術じゅつ、木き華はな黎はじむ曰：「忽ゆるがせ難なん夜よる爲雄ためお狼おおかみ，白日はくじつ爲ため鳥とり鴉からす。」其見重じゅう於帝如此。

　　迭該，別べつ速そく氏し。初はつ爲ため太ふとし祖そ牧羊ぼくよう。及既位い，授千せん戶こ，使つかい收集しゅうしゅう無む戶籍こせき之の部ぶ衆しゅ。弟おとうと古いにしえ出で古いにしえ兒じ，太ふとし祖そ車しゃ工こう也，與あずか木き勒合勒忽同どう管かん一いち千せん戶こ。木き勒合勒忽，札さつ答こたえ剌氏，掌てのひら牧まき養よう有功ゆうこう。古こ出で古こ兒こ雙そう管かん御膳ごぜん，及告老ろう以布拉ひしげ忽ゆるがせ兒じ代だい這，布ぬの拉ひしげ忽ゆるがせ兒じ擢行軍ぐん萬まん戶こ，以汪古いにしえ兒じ代だい之の。

　　汪ひろし殲，乞顏氏し，與あずか其父蒙こうむ格かく禿かぶろ俱事太ふとし祖そ。汪ひろし古こ兒こ管かん御膳ごぜん，又また稱たたえ海うみ薩特，乃蠻語ご也，譯わけ爲ため管かん酒樽さかだる事ごと。太ふとし祖そ即位そくい，授千せん戶こ，使つかい收集しゅうしゅう伯はく牙きば兀部衆しゅ。

　　者しゃ歹，忙せわし忽ゆるがせ特とく氏し。太ふとし祖そ去さ札木ふだぎ合あい，者しゃ歹與弟おとうと朵豁勒忽追從ついしょう之の。或ある云うん，者しゃ歹父有ゆう二に兄あに，欲よく歸かえり泰やすし亦また兀赤，弟おとうと不ふ從したがえ，二に兄あに殺ころせ之これ。有ゆう巴ともえ而忽人じん抱だき其嬰兒じ匿羊毛ようもう車しゃ中ちゅう，其兄剌以槍やり不ふ中なか。後ご又また匿飯釜中かまなか。迨太祖そ平たいら泰やすし亦また兀赤，乃以此子來らい歸き即そく者しゃ歹。太ふとし祖そ使し帶たい糾弓箭きゅうせん，與あずか合ごう赤あか溫あつし、多た豁勒忽ゆるがせ、斡哥來き同どう侍さむらい左右さゆう。太ふとし祖そ滅めつ塔とう塔とう兒じ，其部人じん閤ごう兒じ吉きち逸はぐれ去ざ，乞食こじき於訶額がく倫りん太ふとし后きさき。時とき拖雷方かた幼よう，閤ごう兒じ吉きち抽刀斫之，爲ため博はく爾なんじ術じゅつ妻つま阿おもね勒塔泥どろ所しょ掣，刀かたな墮。者しゃ歹與者しゃ勒蔑在外ざいがい宰おさむ牛うし，聞之入いれ，殺ころせ合あい吉きち兒じ。論功ろんこう，阿おもね勒塔泥どろ第だい一いち，者しゃ歹、者もの勒蔑次じ之の。太ふとし祖そ既すんで位い，授者歹拖雷かみなり下か千せん戶こ。朵豁勒忽，亦また授千せん戶こ，管かん護衛ごえい散ち班はん。太ふとし宗むね二に年ねん，朵豁勒忽與あずか金かね人じん戰せん失しつ利り，太ふとし宗そう以私憾殺之の。後こう語ご皇すめらぎ兄けい察合臺だい曰：「吾われ有ゆう四よん過か，其一則樣忠義之朵豁勒忽也。」

　　哈剌察兒，巴ともえ魯剌思氏し。父ちち速そく忽ゆるがせ薛禪。太ふとし祖そ去さ札木ふだぎ合あい，速そく忽ゆるがせ薛禪率りつ其子從したがえ之これ。太ふとし祖そ即位そくい，授哈剌察兒じ察合臺下だいか千せん戶こ。木き華はな黎はじむ伐き金きむ，遣や使つかい告つげ捷とし，太ふとし祖そ申さる拇指ぼし獎之。木き華はな黎はじむ大だい說せつ，問もん使者ししゃ：「獲え拇指ぼし之の獎者凡幾人じん？」對たい以博爾なんじ術じゅつ、博ひろし爾なんじ忽ゆるがせ、忽ゆるがせ必來、赤あか老ろう溫あつし、哈剌察兒、者もの歹、乞失裏うら黑くろ、巴ともえ歹。博ひろし爾なんじ術じゅつ等とう以力戰りきせん，乞失裏うら黑くろ、巴ともえ歹以告つげ王おう罕陰謀いんぼう，惟おもんみ哈剌察兒、者もの歹事佚。

　　闊闊搠思，巴ともえ鄰氏。與あずか迭該、兀孫老人ろうじん同どう爲ため朮うけら赤あか千せん戶こ。太ふとし祖そ以察合ごう臺だい性せい剛つよし，改あらため使し闊闊搠思輔導ほどう之の。太ふとし祖そ議ぎ立りつ嗣，察合臺だい詬朮赤あか，爲ため闊闊搠思所しょ斥，事こと具ぐ《朮うけら赤あか傳でん》。又また朮うけら赤あか傅でん豁兒豁孫、蒙こうむ古こ兀兒、客きゃく帖じょう，察合臺だい傅でん木き格かく，氏族しぞく均ひとし佚。

　　種たね索さく，那な牙きば勒氏；輕けい吉きち牙きば歹，斡勒忽ゆるがせ訥兀惕氏；亦また從したがえ太ぶと祖そ者しゃ，俱授千せん戶こ。

　　答こたえ亦また兒こ，氏族しぞく佚。太ふとし祖そ自じ訛なまり脫だつ喇兒攻おさむ布ぬの哈爾，答とう亦また兒こ爲ため前ぜん鋒ほこさき將はた，招降奴やつ爾なんじ城じょう。

　　阿兒あご孩合撒兒，札さつ剌亦兒じ氏し，薛扯朵抹黑くろ之子ゆきこ，與あずか弟おとうと八剌扯兒必同事太祖。阿兒あご孩管護衛ごえい散ち班はん，所領しょりょう皆みな勇敢ゆうかん之の士し，臨敵常つね爲ため前ぜん鋒ほこさき。金きむ中ちゅう都と降くだ，太ふとし祖そ使し阿兒あご孩與忽ゆるがせ都と虎とら、汪ひろし古こ兒こ至いたり中なか都と，檢視けんし府ふ藏ぞう。守まもり藏ぞう吏獻金きん帛，忽ゆるがせ都と虎とら不ふ受，阿兒あご孩、汪ひろし古こ兒こ受之，爲ため太ふとし祖そ所しょ責せめ。

　　八はち剌，從したがえ太ぶと祖そ征せい西域せいいき，與あずか朵兒伯はく多た黑くろ申さる追おい札さつ拉ひしげ哀あい丁ちょう入にゅう印度いんど，攻おさむ拔壁遏城，掠かすめ拉ひしげ火ひ耳みみ壁かべ薩烏爾なんじ蔑裏克かつ甫はじめ爾しか諸しょ而城而返。八剌嘗問太祖：「上うえ神武じんむ如是にょぜ，其先有ゆう兆ちょう應おう否ひ？」太ふとし祖そ曰：「朕ちん未み即位そくい之の先さき，獨どく出で，遇ぐう六ろく騎き攢射，朕ちん無む一いち傷きず。朕ちん殺ころせ此六ろく人にん，並なみ獲え其馬而返。所謂いわゆる兆ちょう應おう者しゃ，如此而已。」又また有ゆう八剌斡羅納兒臺，與あずか札さつ剌兒氏し八はち剌同名めい，故こ綴つづり氏し以別之の，亦また授千せん戶こ。

　　掌てのひら吉きち，氏族しぞく佚。憲けん宗むね即位そくい，坐すわ誘さそえ諸王しょおう爲ため亂みだれ，伏ふく誅。

　　帖じょう木き兒じ，氏族しぞく佚。定宗さだむね崩くずし，諸王しょおう會議かいぎ，帖じょう木き兒じ爲ため和わ林はやし總そう管かん，定宗さだむね皇后こうごう使し帖じょう木き兒じ蒞會。

　　蔑格禿ちび，氏族しぞく佚。太ふとし宗むね即位そくい，使つかい綽兒馬ば罕征西域せいいき，以蔑格かく禿ちび與あずか斡豁禿かぶろ兒じ爲ため大軍たいぐん後援こうえん。

　　合ごう答こたえ安やす，塔とう兒じ忽ゆるがせ惕氏。父ちち答こたえ勒都兒じ罕，故こ又また稱しょう合あい答こたえ安やす答こたえ勒都兒じ罕，以別於同名めい都と，太ふとし祖そ稱しょう汗あせ，與あずか汪ひろし古いにしえ兒じ、薛赤兀兒同どう爲ため保ほ兀兒赤あか。

　　薛赤兀兒，豁羅剌思氏し，後ご與あずか曷思麥むぎ裏うら同どう爲ため必闍赤あか。

　　也客捏こね兀鄰，氏族しぞく佚。太ふとし祖そ選せん護衛ごえい萬まん人にん，命いのち也客捏こね兀鄰等とう十じゅう人にん分ぶん領りょう之の，稱しょう爲ため也客諾だく延のべ。太ふとし祖そ征せい西域せいいき，從したがえ拖雷攻おさむ拔賽兒じ奴やつ城じょう。

　　朵歹，那な牙きば兀。太ふとし祖そ稱しょう汗あせ，命いのち朵歹總そう管かん家人かじん，及即位そくい，管かん護衛ごえい散ち班はん。太ふとし祖そ伐き乃蠻，朵歹請設疑うたぐ兵へい於阿里さと客きゃく豁兒之の地ち，夜よる令れい各かく燃もえ五ご炬，以張兵へい勢ぜい，太ふとし祖そ從したがえ之これ。事こと具ぐ《乃蠻傳でん》。

　　晃あきら答こたえ豁兒，晃あきら豁壇氏し，與あずか其子速そく客きゃく該俱事ごと太ふとし祖そ。太ふとし祖そ稱しょう汗あせ，遺のこ速はや客きゃく該與答こたえ該告於王罕。太ふとし祖そ敗はい王おう罕，還かえ至いたり統すべ格かく黎はじむ河かわ，又また遣や速はや客きゃく該與阿兒あご孩致命いのち王おう罕，責せめ之の。後こう晃あきら答こたえ豁兒從したがえ太ぶと祖そ征せい西域せいいき，與あずか晃あきら孩、綽兒馬ば罕俱爲ため火ひ兒じ赤あか。晃あきら孩，氏族しぞく佚。

　　閤ごう兒じ忽ゆるがせ答こたえ，沼ぬま列れつ氏し。太ふとし祖そ將はた襲かさね王おう罕，遣や閤ごう兒じ忽ゆるがせ答こたえ與あずか者しゃ勒蔑之の弟おとうと察兀兒じ罕爲哈薩兒じ使者ししゃ，僞にせ請降於王罕，事こと具ぐ《王おう罕傳》。

　　別べつ都と溫ゆたか，朵兒別べつ氏し。太ふとし祖そ嫌いや其性拗こじれ，忽ゆるがせ必來言げん於太祖そ，始はじめ於忽必來同どう爲ため千せん戶こ。

　　赤あか歹，宏ひろし吉よし剌氏。初はつ爲ため阿おもね勒赤牧人ぼくじん。王おう罕與札木ふだぎ合あい襲かさね太ふとし祖そ，赤あか歹在卯う溫ゆたか都と山やま牧まき馬ば，見み塵ちり起おこり有ゆう急きゅう兵へい，走はし告つげ太ふとし祖そ，事こと具ぐ《王おう罕傳》。太ふとし祖そ即位そくい，授管護衛ごえい幹みき戶ど。

　　朵兒伯はく多た黑くろ申さる，朵兒別べつ臺だい氏し。太ふとし祖そ即位そくい，授千せん戶こ。博はく兒じ忽ゆるがせ徵ちょう禿かぶろ馬ば惕戰歿せんぼつ，太ふとし祖そ使し朵兒伯はく多た黑くろ申さる討之，從したがえ剌安不ふ合ごう之の地ち，潛せん師し襲かさね之の，槎山通どおり道どう，徑みち據よりどころ山やま巔，俯視禿かぶろ馬ば惕全部ぶ，書しょ得とく虛實きょじつ，遂とげ虜とりこ其部衆しゅ而返。後ご又また從したがえ太ぶと祖そ征せい西域せいいき，與八よはち剌追札さつ拉ひしげ哀あい丁ひのと。

　　太ふとし祖そ功臣こうしん，見み於《祕史ひし》者しゃ，或ある自じ有ゆう傳でん或ある附ふ傳でん。其餘無む事實じじつ及氏族ぞく並なみ佚者，凡十又また七なな人にん，附つけ著ちょ左ひだり方かた：

　　朵羅阿おもね歹，氏族しぞく佚。

　　馬うま剌勒，氏族しぞく佚。

　　兀都臺だい，氏族しぞく佚。

　　忽ゆるがせ兒じ察兒思おもえ，氏族しぞく佚。

　　翁おう吉よし闌たけなわ，氏族しぞく佚。

　　抹羅合あい，氏族しぞく佚。

　　餘よ魯罕，氏族しぞく佚。

　　闊闊，氏族しぞく佚。

　　朵裏不ふ合ごう，氏族しぞく佚。

　　亦また都合つごう歹，氏族しぞく佚。

　　塔とう馬ば赤あか，氏族しぞく佚。

　　合ごう兀闌，氏族しぞく佚。

　　倒たおせ溫あつし，氏族しぞく佚。

　　禿かぶろ亦また迭格兒じ，氏族しぞく佚。

　　者しゃ迭兒，氏族しぞく佚。

　　斡剌兒じ駙馬，氏族しぞく佚。

　　忽ゆるがせ里さと勒，氏族しぞく佚。