セクシュアル・マイノリティをめぐる意識いしきの変容へんようと施策しさくに関かんする研究けんきゅう

基盤きばん研究けんきゅう(A)

河口かわぐち 和也かずや  広島修道大学ひろしましゅうどうだいがく, 人文学部じんぶんがくぶ, 教授きょうじゅ (10351983)

43,030千せん円えん (直接ちょくせつ経費けいひ: 33,100千せん円えん、間接かんせつ経費けいひ: 9,930千せん円えん)

2000年代ねんだいになり、日本にっぽん社会しゃかいの様々さまざまな領域りょういきでSOGIに関かかわる取とり組くみが見みられるようになったが、同時どうじに性的せいてきマイノリティ当事とうじ者しゃの生いきづらさも明あかるみに出でるようになり、その置おかれた現在げんざいの社会しゃかい環境かんきょうの実態じったいを把握はあくすることが困難こんなんになっている。本ほん研究けんきゅうでは、社会しゃかい環境かんきょうをとらえる有用ゆうような方法ほうほうとして、性的せいてきマイノリティについての意識いしき、つまりSOGIに関かんする社会しゃかい意識いしき（以下いかSOGI意識いしき）に注目ちゅうもくする。
こうした認識にんしきのもと、本ほん研究けんきゅうチームの前科ぜんか研けん『日本にっぽんにおけるクイア・スタディーズの構築こうちく』において、2015年ねん3月がつに全国ぜんこくSOGI意識いしき調査ちょうさ、翌年よくねん4月がつに自治体じちたいSOGI施策しさく調査ちょうさを実施じっしした。その結果けっか、性的せいてきマイノリティに対たいし肯定こうてい的てきな意識いしきをもつのは男性だんせいより女性じょせい、高齢こうれい者しゃより若者わかもの、性的せいてきマイノリティが近ちかい関係かんけいにある場合ばあい（子供こども、きょうだい）よりは遠とおい関係かんけいにある場合ばあい（同僚どうりょう、隣人りんじん）であることなどを示しめすことができた。これらの研究けんきゅうから課題かだいとして本ほん研究けんきゅうでは以下いかの課題かだいに挑いどむこととした。①2015年ねん意識いしき調査ちょうさによって、2015年ねん時点じてんでの全国ぜんこくでのSOGI意識いしきを明あきらかにしたが、社会しゃかい的てきな変化へんかに伴ともなう長期ちょうき的てきなモニターの必要ひつよう性せい、②個々人ここじんのSOGI意識いしき変容へんようにおける因果いんが関係かんけいである。
本ほん研究けんきゅうでは、SOGI意識いしきの経年けいねん変化へんかを知しるために、他たでも類るいを見みないパネルデータの蓄積ちくせきを試こころみる。パネル調査ちょうさは同一どういつの人ひとに対たいし一定いってい期間きかんを置おいた後のちに同おなじ調査ちょうさを繰くり返かえすため、各かく調査ちょうさ間あいだに生しょうじた個々人ここじんの変化へんかから、因果いんが関係かんけいを特定とくていすることができる。
実じつ査にあたっては、2019年ねんに実施じっしした「第だい2回かい　男女だんじょのあり方かたと社会しゃかい意識いしきに関かんする調査ちょうさ」の回答かいとう者しゃのなかで「第だい3回かい調査ちょうさ」に協力きょうりょくしてもよいと回答かいとうした人ひとに調査ちょうさ票ひょうを郵送ゆうそうし、その回答かいとうを郵送ゆうそうで返送へんそうしてもらうというものである。第だい2回かい調査ちょうさのときに調査ちょうさ協力きょうりょくしてもよいとした回答かいとう者しゃは1610名めいであり、このたびの第だい3回かい調査ちょうさでは回収かいしゅう率りつを80％とすると、回収かいしゅう数すうは1288通つうとなることが見込みこまれる。

現在げんざいまでの達成たっせい度ど (区分くぶん)

3: やや遅おくれている

理由りゆう

2019年ねん6月がつから7月がつにかけて性的せいてきマイノリティに関かんする全国ぜんこく意識いしき調査ちょうさを実施じっしし、有効ゆうこう回答かいとう数すう2632票ひょうをデータとして得えた。2020年ねん11月には、回収かいしゅうデータを分析ぶんせきし、調査ちょうさ結果けっか報告ほうこく会かいをzoomにより行いった。その後ごは、自治体じちたいに対たいする悉皆しっかい調査ちょうさおよび面接めんせつき取きとり調査ちょうさの準備じゅんびを進すすめていたが、新型しんがたコロナの影響えいきょうにより、悉皆しっかい調査ちょうさは断念だんねんし、新型しんがたコロナの収束しゅうそく期きに規模きぼを縮小しゅくしょうして面接めんせつ調査ちょうさを行おこなうこととした。その代替だいたい策さくとして、新型しんがたコロナの影響えいきょうにより一時いちじ断念だんねんをしたパネル調査ちょうさ計画けいかくを再考さいこうし、2022年度ねんど内ないに実施じっしすることとし、2023年ねん3月がつまでにパネル調査ちょうさを実施じっしした。

2023年ねん3月がつには、パネル調査ちょうさのデータ収集しゅうしゅうまでは終了しゅうりょうしており、2023年ねん4月がつ以降いこう、データ入力にゅうりょく、データ解析かいせきを順次じゅんじ行いっていく。また、同時どうじに規模きぼを縮小しゅくしょうする形かたちで、自治体じちたいの面接めんせつき取きとり調査ちょうさを実施じっしし、自治体じちたい関連かんれんのデータを収集しゅうしゅうする。意識いしき調査ちょうさおよび自治体じちたい調査ちょうさのデータを取とりまとめたのちに、2023年ねん9月がつを目途もくとにパネル調査ちょうさ報告ほうこく会かいおよび自治体じちたい調査ちょうさ報告ほうこく会かいを合あわせて開催かいさいする予定よていである。その後ご、パネル調査ちょうさと自治体じちたい調査ちょうさの報告ほうこく書しょを作成さくせいし、2024年ねん3月がつに本科ほんか研けん研究けんきゅう全体ぜんたいの成果せいかの取とりまとめを行おこなう。