【題材だいざいとテーマ】STAND BY ME ドラえもん２は賛否さんぴ両論りょうろん？何なにが悪わるい？評価ひょうかや評判ひょうばんから考かんがえる。

2020年ねん12月28日にち2021年ねん9月がつ27日にち

　STAND BY ME ドラえもん２に、痛烈つうれつな批評ひひょうがあったと話題わだいになりました。

宇多うた丸まる、『STAND BY ME ドラえもん２』を語かたる！【映画えいが評ひょう書がき起おこし】

　この批評ひひょう、読よむだけでもとても面白おもしろくて。2014年ねんの一いち作さく目めを認みとめたくはないけども、しずかちゃんとの結婚けっこんを翌日よくじつに控ひかえた青年せいねんのび太たが、少年しょうねんのび太たからドラえもんと会あうか？と聞きかれたときに、「ドラえもんは、君きみの……僕ぼくの子供こどもの頃ころの友達ともだちだから」と返かえす場面ばめんを、ドラえもんから自立じりつしていると評価ひょうかしたりと、相手あいての作品さくひんをよく観みた上うえで批評ひひょうしているのが、良よいですね。

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続編ぞくへんの弊害へいがい

　STAND BY ME ドラえもん２が賛否さんぴ両論りょうろんなのは、続編ぞくへんの弊害へいがいだと思おもいます。

　ある層そうは、「ドラえもんとは、のび太たがドラえもんにとひみつ道具どうぐに助たすけられながらも学まなび、しずかちゃんと結婚けっこんできるような大人おとなに成長せいちょうするストーリー」だと考かんがえます。
　ドラえもんは小学生しょうがくせいの読よむ雑誌ざっしに連載れんさいされていました。教育きょういく的てきな要素ようそが含ふくまれているべきだと考かんがえる層そうは、一定いってい数すういるでしょう。（でなければ子供こどもに見みせたくないですね）

　ですがそういった成長せいちょう物語ものがたりは、実みのところSTAND BY ME ドラえもん１で完結かんけつしています。ここが、続編ぞくへんの弊害へいがいですね。

　STAND BY ME ドラえもん２は、しずかちゃんと結婚けっこんしたいという目標もくひょうを叶かなえた後のちの、のび太たのストーリーです。監督かんとくの出だした結論けつろんは、のび太たは「そのままでいい」。のび太たが幸しあわせになれば、しずかちゃんも幸しあわせになるという価値かち観かんのもとでストーリーは進すすみます。さらに、その後うしろには、結婚けっこん相手あいてをみてみたいというおばあちゃんの夢ゆめを叶かなえたいという、のび太たの目標もくひょうがあります。

　続編ぞくへんであることを理解りかいした観客かんきゃくからは、「前作ぜんさくでドラえもんから自立じりつしたのに巻まき戻もどってるじゃないか」と言いわれるかもしれません。けれど続編ぞくへんを作つくるということは……そういうものです。何なにかキャラクターに課題かだいを与あたえる必要ひつようがあります。

　アナと雪ゆきの女王じょおう２だって、蛇足だそくだと言いわれたことがあります。１でアナに感情かんじょう移入いにゅうしていた人ひとは、２を受うけ付つけない……そんな作品さくひんでした。（２はエルサの課題かだいを解決かいけつする話はなしでしたからね）《映画えいが感想かんそう》アナと雪ゆきの女王じょおう２キャラクターを増ふやさず続編ぞくへんをつくった好例こうれい

　以上いじょうから、STAND BY ME ドラえもん２に対たいする批判ひはんの２ふたつは、①続編ぞくへんであることを理解りかいしていない人ひとからの的外まとはずれの批判ひはん、または②続編ぞくへんなのに前作ぜんさくの成長せいちょうを台無だいなしにしている……という批判ひはんでしょう。

親しん世代せだいと現役げんえき世代せだいの価値かち観かんの総意そういもある

　ややこしいのは、STAND BY ME ドラえもん２でおばあちゃんがフォーカスされたこと。

　おばあちゃんがのび太たのお嫁よめさんが見みてみたいと願ねがった点てんが、物語ものがたりの核かくとなっていて。そのために大人おとなのび太たが、未来みらいに戻もどったと思おもえました。

　けれど、のび太たの幸しあわせって、家族かぞくの夢ゆめ（おばあちゃんの夢ゆめ）を叶かなえること？　家族かぞくの夢ゆめじゃなくて自分じぶんの夢ゆめを叶かなえるストーリーが見みたいね？と感かんじる層そうがいること。（親おや世代せだいの理想りそうを子供こども世代せだいに押おし付つけないで、という人ひとが一定いってい数すういるはず）

　また、しずかちゃんが、のび太たのダメなところを全部ぜんぶ受うけ入いれるって……しずかの人権じんけん無視むししてない？女性じょせいはダメ男おとこの奴隷どれいじゃないよ？と感かんじる層そうがいることです。

　この層そうは、そもそもSTAND BY ME ドラえもん２のターゲットから外はずれています。STAND BY ME ドラえもん２は、保守ほしゅ的てきな家族かぞく観かんを持もつ方々かたがたに、感動かんどうをおすそ分わけする作品さくひんだからです。だけど、自分じぶん向むけの作品さくひんじゃないとしても、映画えいがを見みに行いったら、違和感いわかんをレビューやTwitterに書かきたくなりますね。だから賛否さんぴ両論りょうろんがネットにあふれてしまいます。

　以上いじょうから、STAND BY ME ドラえもん２に対たいする批判ひはんの３みっつ目めは、③保守ほしゅ的てきな価値かち観かんを受うけ付つけない人ひとからの批判ひはんです。

STAND BY ME ドラえもん２はどうすれば良よかったのか？

①続編ぞくへんであることを理解りかいしていない人ひとからの的外まとはずれの批判ひはん
②続編ぞくへんなのに前作ぜんさくの成長せいちょうを台無だいなしにしているという批判ひはん
③保守ほしゅ的てきな価値かち観かんを受うけ付つけない人ひとからの批判ひはん

　大おおきな３みっつの批判ひはんがあると書かきました。①は前作ぜんさくを見みるよう促うながせなかったマーケティングの失敗しっぱい。②はストーリーづくりの無理むりと受うけ入いれてもらうしか無ない……ですが、問題もんだいは③です。

　ドラえもんは、日本にっぽんの普遍ふへん的てきな作品さくひんです。誰だれもが自分じぶんでも楽たのしめると思おもって、自分じぶんに向むけて作つくられた作品さくひんだと思おもって、映画えいがを見みに行いくでしょう。ですが……表現ひょうげんされたのは保守ほしゅ的てきなテーマでした。

　その点てんで、監督かんとくが表現ひょうげんしたかったであろう（保守ほしゅ的てきな）価値かち観かんを描えがくには、ドラえもんは不適切ふてきせつだったと言いえます。※サザエさんでやれば、きっとよかった。

　また、宇多うた丸まるさんの批評ひひょうでも書かかれていますが、監督かんとくは「要ようは、そもそもその作つくり手しゅとしての志こころざしが、二に次じ創作そうさくっぽい人ひとっていうか。で、よく言いえば原作げんさくとかモチーフに対たいして、その山崎やまざき貴たか流りゅうの解釈かいしゃくというのを毎回まいかいしている、とも言いえる」。

　題材だいざいを上手うまくくみあわせて、自分じぶんの表現ひょうげんしたいものを表現ひょうげんする監督かんとくなのでしょう。ですがそれでは、原作げんさくを好すきな人ひとへ向むけた作品さくひんにはなりません。あくまでも、監督かんとくの思想しそうに共感きょうかんする人ひと向むけの作品さくひんとなります。

流行はやりの題材だいざいから、自分じぶんのテーマで創作そうさくする際さいの注意ちゅうい

　ここまで、STAND BY ME ドラえもん２の話はなしをしました。

　ですが、「題材だいざいを流用りゅうようして、自分じぶんの価値かち観かんで二に次じ創作そうさく的てきに創作そうさくする」ケースは、私わたしたちでも起おきえます。例たとえば追放ついほう系けいの題材だいざいを利用りようして、自分じぶんの価値かち観かんで保守ほしゅ的てきな（家族かぞくが大事だいじ、長男ちょうなんが家いえを継つぐ、男性だんせいが女性じょせいを守まもるなどの）テーマを描えがくとしましょう。

　このとき、題材だいざいは追放ついほう系けい……で流行りゅうこうに乗のっていますが、読者どくしゃに届とどくのはテーマです。
　そのテーマが読者どくしゃの望のぞむものでなければ、STAND BY ME ドラえもん２のように賛否さんぴ両論りょうろんが巻まき起おこります。

　つまり、小説しょうせつ家かになろうの流行りゅうこうを追おう際さいには、題材だいざいだけでなくそこに込こめられたテーマも学まなぶ必要ひつようがあります。焼やき畑ばた的てきに題材だいざいを取とり入いれて物語ものがたりを書かいても……テーマが流行りゅうこうを追おっていなければ、読者どくしゃに受うけ入いれられません。