下関しものせき（読よみ）シモノセキ

山口やまぐち県けん西端せいたんの市し。2005年ねん2月がつ旧きゅう下関しものせき市しと菊川きくかわ（きくがわ），豊浦とようら（とようら），豊田とよだ（とよた），豊北とよきた（ほうほく）の4町まちが合体がったいして成立せいりつした。人口じんこう28万まん0947（2010）。

菊川きくかわ

下関しものせき市し中部ちゅうぶの旧きゅう町まち。旧きゅう豊浦とようら郡ぐん所属しょぞく。人口じんこう8203（2000）。北境きたざかいに長門ながと一いちの高峰たかみね華山かざん（713m）がそびえる。中央ちゅうおう部ぶに田部たなべ盆地ぼんちがあり，南みなみ流りゅうする木屋こや（こや）川かわに田部たぶ川がわが合流ごうりゅうして旧きゅう豊浦とようら郡ぐんの穀倉こくそう地帯ちたいを形成けいせいしている。合流ごうりゅう点てんにある中心ちゅうしん集落しゅうらくの田部たなべは萩はぎと下関しものせきを結むすぶ赤間あかま関せき街道かいどうの市場いちば町まちとして発達はったつした。灌漑かんがい用水路ようすいろ網もうをめぐらした田部たなべ盆地ぼんちでは，米作べいさくを中心ちゅうしんに施設しせつ園芸えんげいによるメロンの栽培さいばい，酪農らくのう，養鶏ようけい，養蜂ようほうが行おこなわれる。農業のうぎょう用ようの歌うた野川のがわダムと下関しものせき市しに工業こうぎょう用水ようすいと上水じょうすいを供給きょうきゅうする湯ゆの原げんダムがある。法輪寺ほうりんじにある虚空蔵菩薩こくうぞうぼさつは農耕のうこうの仏ふつとして地元じもとの信仰しんこうを集あつめている。
執筆しっぴつ者しゃ：清水しみず 康かん厚あつし

下関しものせき

下関しものせき市し南部なんぶの旧きゅう市し。関門海峡かんもんかいきょうをへだてて北九州きたきゅうしゅう市しと相対そうたいする海陸かいりく交通こうつうの要地ようち。1889年ねん市制しせい。人口じんこう25万まん2389（2000）。当初とうしょ，赤あか間あいだ関せき（あかまがせき）市しと称しょうし，県内けんない最初さいしょの市しであったが，1902年ねん下関しものせき市しと改称かいしょうした。響ひびき（ひびき）灘なだ沿岸えんがんの綾羅木あやらぎ（あやらぎ）川下かわしも流りゅうには弥生やよい時代じだいの綾羅木あやらぎ郷きょう遺跡いせきや前方後円墳ぜんぽうこうえんふん仁じん馬山まやま（じんばやま）古墳こふんをはじめ多おおくの遺跡いせきがあり，古代こだい条じょう里さと制せいの遺構いこうも残のこっている。長門ながと国府こくふは内海うちうみ側がわの長ちょう府ふにおかれ，中世ちゅうせいにもここに長門ながと警固けいご所しょがあった。関門海峡かんもんかいきょうは平安へいあん時代じだい末まつの壇ノ浦だんのうらの戦せんや幕末ばくまつの長州ちょうしゅう藩はんによる外国がいこく艦隊かんたい砲撃ほうげきの舞台ぶたいであり，この海峡かいきょうに臨のぞむ港町みなとちょう赤あか間あいだ関せきは，近世きんせいを通つうじて長崎ながさきと並ならぶ商港しょうこうとして栄さかえた。明治めいじ以降いこうは大陸たいりく貿易ぼうえき，遠洋えんよう漁業ぎょぎょうの基地きちとなり，北九州きたきゅうしゅう工業こうぎょう地帯ちたいの一環いっかんとして諸しょ工業こうぎょうが興おこり，急速きゅうそくな都市とし的てき発展はってんを遂とげた。JR山陽本線さんようほんせん，国道こくどう，山陽新幹線さんようしんかんせんがいずれも海底かいていトンネルで関門海峡かんもんかいきょうを通過つうかし，1973年ねんには中国ちゅうごく自動車じどうしゃ道どう（2001年ねん山陽自動車道さんようじどうしゃどう宇部うべ下関しものせき線せんと接続せつぞく）も関門かんもん橋きょうによって九州きゅうしゅうと結むすばれたため，下関しものせきの交通こうつう都市とし的てき機能きのうは弱よわまったが，韓国かんこく釜山ぷさんとの間あいだに関せき釜がま（かんぷ）フェリーが就航しゅうこうするなど新あらたな役割やくわりをになっている。彦島ひこじま・安岡やすおか・王おう喜きでは野菜やさい・花卉かきを中心ちゅうしんに近郊きんこう農業のうぎょうが発達はったつしており，工業こうぎょうは彦島ひこしまと長ちょう府ふを中心ちゅうしんに食品しょくひん，化学かがく，金属きんぞく，造船ぞうせん業ぎょうなどが盛さかん。下関しものせき漁港ぎょこうは底引網そこびきあみ漁業ぎょぎょうの根拠地こんきょちとして知しられ，フグ（水みず揚あげ全国ぜんこくの80%），ウニ，かまぼこ類るいの特産とくさんがある。瀬戸内海せとないかい国立こくりつ公園こうえんの西端せいたん部ぶに含ふくまれ，多彩たさいな観光かんこう資源しげんをもつが，関門海峡かんもんかいきょうを見下みおろす火ノ山ひのやま公園こうえんからの景観けいかんは特とくに優すぐれている。住吉すみよし神社じんじゃ，赤間あかま神宮じんぐう，功こう山寺やまでらなどのすぐれた史跡しせきのほか，旧きゅう英国えいこく領事館りょうじかんや水族館すいぞくかん，高たかさ143mの海峡かいきょうゆめタワーもある。響灘ひびきなだ沿岸えんがんの垢田あかだ海岸かいがん沖おきに人工じんこう島とう〈ひびっくらんど〉（現げん，〈長州ちょうしゅう出島でじま〉）が建設けんせつされた。
執筆しっぴつ者しゃ：三浦みうら 肇はじめ

豊浦とようら

下関しものせき市し西部せいぶの旧きゅう町まち。旧きゅう豊浦とようら郡ぐん所属しょぞく。人口じんこう2万まん0499（2000）。響灘ひびきなだに面めんし，東部とうぶは中生代ちゅうせいだいの山地さんち，中央ちゅうおう部ぶが低ひくい花はなコウ岩がんの丘陵きゅうりょうと沖積ちゅうせき地ちからなる。南西なんせい部ぶの平地ひらちは農業のうぎょう地域ちいきであるが，水みずが乏とぼしいため多おおくの溜池ためいけがつくられている。響灘ひびきなだ沿岸えんがんには宇賀うが（うか），小串おぐし（こぐし），川棚かわたな，涌田（わいた），室津むろつの漁村ぎょそんがある。町まちの中心ちゅうしんは役場やくばのある山陰本線さんいんほんせん川棚温泉かわたなおんせん駅前えきまえで，付近ふきんに川棚温泉かわたなおんせんがある。青山あおやま丘陵きゅうりょうに旧石器時代きゅうせっきじだいの磯上いそがみ遺跡いせき，中ノ浜なかのはまに弥生やよい時代じだい前期ぜんきの埋葬まいそう遺跡いせきがあり，青井あおい古墳こふん群ぐん，甲山こうざん古墳こふん群ぐんなど古墳こふんも多おおい。小串おぐしのエヒメアヤメ自生じせい南限なんげん地帯ちたい，川棚かわたなのクスの森もり，大だい吼ほえ谷たに蝙蝠かわほり洞ほら（おおごうやこうもりどう）は天然記念物てんねんきねんぶつ，安養寺あんようじの阿弥陀如来あみだにょらい座像ざぞうは重要じゅうよう文化財ぶんかざいに指定していされている。

豊田とよだ

下関しものせき市し北東ほくとう部ぶの旧きゅう町まち。旧きゅう豊浦とようら郡ぐん所属しょぞく。人口じんこう6882（2000）。南東なんとう部ぶを瀬戸内海せとないかいに注そそぐ木屋川こやがわが南みなみ流ながし，北部ほくぶは日本海にほんかいに注そそぐ粟野川あわのがわ流域りゅういきを占しめる。中心ちゅうしん地ちの西市さいちは木屋川こやがわの沖積ちゅうせき平野へいやに開あけた市場いちば町まちで，古代こだいから中世ちゅうせいにかけて豪族ごうぞく豊田とよだ氏しの本拠地ほんきょちであった。山口やまぐちと響灘ひびきなだ沿岸えんがんを結むすぶ肥こえ中ちゅう街道かいどう，山陽さんようと山陰やまかげを結むすぶ赤あか間あいだ関せき街道かいどうが交差こうさする地ちで，近世きんせいには宿場しゅくば町まちとしても栄さかえた。農林のうりん業ぎょうが中心ちゅうしんで，梨なし，イチゴの栽培さいばい，酪農らくのう，養鶏ようけいが行おこなわれる。町まちの南西なんせい部ぶと北東ほくとう部ぶは豊田とよだ県立けんりつ自然しぜん公園こうえんに指定していされ，西にしの高こう野山のやまといわれる神上かみあげ寺てらのある華はな（げ）山さんや狗いぬ留とめ孫まご（くるそん）山やま（名な），石柱せきちゅう渓けい（天てん・名めい）や木屋川こやがわゲンジボタル発生はっせい地ち（天てん）がある。

豊北とよきた

下関しものせき市し北西ほくせい部ぶの旧きゅう町まち。旧きゅう豊浦とようら郡ぐん所属しょぞく。人口じんこう1万まん3124（2000）。北きたは日本海にほんかい，西にしは響灘ひびきなだに面めんし，海士ヶ瀬戸あまがせと（あまがせと）をはさんで角かく（つの）島しまがある。町まちの東部とうぶを粟野川あわのがわが北きた流ながし，谷たに底そこ平野へいやが開あける。中心ちゅうしん地ちの滝部たきべは古ふるくからの市場いちば町まちで，近世きんせいから第だい2次じ大戦たいせん前まえまで牛馬ぎゅうば市しや農のう漁村ぎょそんの労働ろうどう力りょくを斡旋あっせんする奉公ほうこう市しが開ひらかれていた。農のう漁業ぎょぎょうが主しゅ産業さんぎょうで，ミカン，梨なし，イチゴの栽培さいばい，酪農らくのう，養鶏ようけいが行おこなわれる。漁業ぎょぎょうはイワシ，ブリ，イカ漁りょうなどが中心ちゅうしんで，水産すいさん加工かこうも行おこなわれる。弥生やよい時代じだいの集団しゅうだん墓地ぼち土井どいヶ浜はま遺跡いせき（史ふみ）や恩おん徳とく寺てらの結むすびイブキ（天てん），壁島かべしまウ渡来とらい地ち（天てん）があり，角島つのしまや屈曲くっきょくに富とむ海岸かいがん線せんは西長にしおさ門もん県立けんりつ自然しぜん公園こうえんに指定していされている。JR山陰本線さんいんほんせんが通つうじる。
執筆しっぴつ者しゃ：清水しみず 康かん厚あつし

中国ちゅうごく，雲南うんなん省しょう西部せいぶの市し，大だい理りペー（白しろ）族ぞく自治じち州しゅうの主しゅ都と，洱海（じかい）南岸なんがんにある州しゅうの経済けいざい・文化ぶんかの中心ちゅうしん。漢かんの武たけ帝みかどは洱海地域ちいきに葉は楡にれ（ようゆ）県けんを設置せっち，8世紀せいき南みなみ詔みことのりが支配しはいし，太ふとし和わ城じょうを築きずいた。城しろの南北なんぼくに竜りゅう尾関おぜき，竜りゅう首くび関せきを設置せっち，それぞれ下関しものせき，上関かみのせきと別称べっしょうされた。10世紀せいきには大だい理り国くにをへ，下関しものせきの地域ちいきは元もと以降いこう太ふと和かず県けんとして発展はってんした。1913年ねん大だい理り県けんに改称かいしょう，51年ねん鳳おおとり儀ただし県けんをあわせ下関しものせき市しとした。一時いちじ大だい理り市しと称しょうしたが，62年ねん再ふたたび下関しものせき市しとなった。
執筆しっぴつ者しゃ：駒井こまい 正一しょういち