デジタル大辞泉だいじせん 「大日だいにち」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご だいにち【大日だいにち】 《「たいにち」とも》「大日如来だいにちにょらい」の略りゃく。 出典しゅってん 小学館しょうがくかんデジタル大辞泉だいじせんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん 「大日だいにち」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご だい‐にち【大日だいにち】 [ 1 ] ( 「たいにち」とも ) 「だいにちにょらい(大日如来だいにちにょらい)」の略りゃく。[初出しょしゅつの実例じつれい]「深ふか修おさむ観察かんさつ得とく原げん底そこ、大日だいにち円えん々万徳まんとく周しゅう」(出典しゅってん:性せい霊れい集しゅう‐一いち〇(1079)詠えい十じゅう喩たとえ詩し・詠えい如夢喩たとえ)[ 2 ] 〘 名詞めいし 〙 大おおきな太陽たいよう。大おおきく見みえる太陽たいよう。[初出しょしゅつの実例じつれい]「目めをひらきてありがたきかなやくれなゐの大日だいにち(ダイニチ)われに近ちかづきのぼる」(出典しゅってん:あらたま(1921)〈斎藤さいとう茂吉しげよし〉一心いっしん敬礼けいれい) 出典しゅってん 精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
改訂かいてい新版しんぱん 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん 「大日だいにち」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 大日だいにち (だいにち) 密教みっきょうの中心ちゅうしん本尊ほんぞんで如来にょらいの一ひとつ。サンスクリット名めいマハーバイローチャナMahāvairocanaの訳わけで,摩ま訶毘盧遮那るしゃな(まかびるしやな)と音訳おんやくし,単たんに毘盧遮那仏びるしゃなぶつともいう。その智慧ちえの光明こうみょうがあまねく一切いっさいに及および,慈悲じひの活動かつどうが永遠えいえん不滅ふめつとされ,密教みっきょうの体系たいけいではすべての諸しょ仏ふつ諸しょ菩薩ぼさつはこの如来にょらいより出生しゅっしょうしたとされる。《大日だいにち経けい》に説とく胎蔵大日如来だいにちにょらいと,《金きむ剛つよし頂いただき経けい》に説とく金剛こんごう界かい大日如来だいにちにょらいの2種しゅがあり,両りょう経けいが展開てんかいする説せつに基もとづいた,いわゆる両りょう界さかい曼荼羅まんだらの中心ちゅうしんに位置いちする。すなわち胎蔵曼荼羅まんだらでは中台ちゅうたい八はち葉よう院いんの中心ちゅうしんに,金剛こんごう界かい曼荼羅まんだらでは成なり身み会かい(じようじんえ)や一印いちじるし会かい(いちいんえ)等とうの中心ちゅうしんに描えがかれる。形かたち姿すがたは如来にょらい中ちゅうにあっては異例いれいの菩薩ぼさつ形がたをとるが,両者りょうしゃに若干じゃっかんの相違そういがある。まず金剛こんごう界かい大日如来だいにちにょらいは,肉にく身みは白しろ肉色にくいろで智さとし拳こぶし印しるしを結むすび,蓮華座ざ上じょうに結跏趺坐けっかふざ(けつかふざ)し,頭部とうぶには五ご仏ふつ宝冠ほうかんを戴いただく。一方いっぽう,胎蔵大日如来だいにちにょらいの肉にく身みは黄金おうごん色しょくで法界ほうかい定てい印しるしを結むすび,同おなじく蓮華座ざ上じょうに結跏趺坐けっかふざし,頭部とうぶには五ご仏ふつ宝冠ほうかんを戴いただく。両りょう界さかい曼荼羅まんだらを代表だいひょうするものとして金きむ胎一いち組くみの大日如来だいにちにょらい,もしくはどちらか一方いっぽうの大日如来だいにちにょらいを単独たんどくで造みやつこ顕あらわすることも行おこなわれた。 インドのオリッサ地方ちほうや西にしチベットのラダック地方ちほうには,金きむ胎の大日如来だいにちにょらいの遺品いひんが報告ほうこくされているが,中国ちゅうごくでの現存げんそん例れいはきわめて少すくない。日本にっぽんでは空海くうかいによる正規せいきの密教みっきょうの導入どうにゅう以来いらい,その中心ちゅうしん本尊ほんぞんとして造みやつこ顕あらわされた。空海くうかいの構想こうそうになる高野山こうのやま金剛峯寺こんごうぶじは大塔おおとうに胎蔵大日だいにちを,多宝塔たほうとうには金剛こんごう界かい大日だいにちを安置あんちした。また下くだって1132年ねん(長なが承うけたまわ1)に供養くようされた法成寺ほうじょうじ東西とうざい両りょう塔とうにおいては,西にし塔とうに金剛こんごう界かい大日だいにち,東ひがし塔とうに胎蔵大日だいにちを安置あんちしたと伝つたえる(《中ちゅう右記うき》)。比叡山ひえいざん延暦寺えんりゃくじ講堂こうどうには824年ねん(天てん長ちょう1)胎蔵大日だいにちが安置あんちされた(《山門さんもん堂舎どうしゃ記き》)。この間あいだ,京都きょうとの東寺とうじ講堂こうどう,神護かんご寺てら講堂こうどう,勧修寺かんしゅうじ多宝塔たほうとうをはじめ密教みっきょう寺院じいんの講堂こうどう,多宝塔たほうとう,大日だいにち堂どうなどにおいては,金剛こんごう界かい大日だいにちもしくは胎蔵大日だいにちが造立ぞうりゅう安置あんちされた。現存げんそんする遺品いひんとしては平安へいあん時代じだいに金剛こんごう界かい大日だいにちの作例さくれいが多おおい。すなわち金剛峯寺こんごうぶじ西にし塔とう,大津おおつ石山寺いしやまでら,奈良ならの唐招提寺とうしょうだいじ,円えん成なり(えんじよう)寺てら(運慶うんけい作さく)などが著名ちょめいであり,胎蔵大日だいにちとしては滋賀しが県けん長浜ながはま市しの旧きゅう高月たかつき町まちの向むかい源はじめ寺てら,京都きょうと広隆寺こうりゅうじなどの像ぞうがある。さらに京都きょうと安あん祥さち寺てらや吉野よしの大日寺だいにちじには金剛こんごう界かいの五ご仏ふつ,すなわち五智ごち如来にょらいを一いち組くみのものとして安置あんちする。両りょう界さかい曼荼羅まんだら中ちゅうの大日如来だいにちにょらいを別べつにすれば,大日如来だいにちにょらいを描えがいた絵画かいが作品さくひんとしては,文献ぶんけん上じょうたとえば《神護かんご寺てら略記りゃっき》天てん長ちょう4年ねん(827)に大日だいにち一印いちじるし曼荼羅まんだら一いち鋪しきを図絵ずえした記事きじがあるものの,現存げんそん遺品いひんでは平安へいあん時代じだいにさかのぼる根津ねづ美術館びじゅつかん本ほんのほかは,鎌倉かまくら時代じだい以降いこうの作品さくひんである。金剛峯寺こんごうぶじ本ほん,兵庫ひょうご武藤むとう家か本ほん,さらに大日だいにち金輪かなわ像ぞうとして醍醐寺だいごじの2本ほん,東京とうきょう国立こくりつ博物館はくぶつかん本ほんなどがある。執筆しっぴつ者しゃ:百ひゃく橋きょう 明穂あきほ 出典しゅってん 株式会社かぶしきがいしゃ平凡社へいぼんしゃ「改訂かいてい新版しんぱん 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん」改訂かいてい新版しんぱん 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてんについて 情報じょうほう
世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん(旧版きゅうばん)内うちの大日だいにちの言及げんきゅう 【密教みっきょう】より …第だい1の雑ざつ密みつとは,世界せかいの女性じょせい原理げんり的てき霊力れいりょくをそれと同どう置おけされた呪文じゅもん,術語じゅつごでいう真言しんごん(しんごん)(マントラ),明あきら呪のろい(みようじゆ)(ビディヤーvidyā),陀羅尼だらに(だらに)(ダーラニー)等とうの誦持によってコントロールし,各種かくしゅの目的もくてき(治ち痛つう,息災そくさい,財ざい福ぶくの獲得かくとくなど)を達たっしようとするものである。純じゅん密みつとは《大だい日経にっけい(だいにちきよう)》と《金きむ剛つよし頂いただき経けい(こんごうちようきよう)》のいわゆる両部りょうぶ大だい経けいを指さすが,前者ぜんしゃは大乗だいじょう仏教ぶっきょう,ことに《華厳経けごんきょう》が説とくところの世界せかい観かん,すなわち,世界せかいを宇宙うちゅう的てきな仏ふつビルシャナ(毘盧遮那仏びるしゃなぶつ)の内実ないじつとみる,あるいは普ひろし賢けん(ふげん)の衆生しゅじょう利益りえきの行くだりのマンダラ(余あますところなき総体そうたいの意い)とみる世界せかい観かんを図絵ずえマンダラとして表現ひょうげんし,儀礼ぎれい的てきにその世界せかいに参入さんにゅうしようとするもので,高踏こうとう的てきな大乗だいじょう仏教ぶっきょうをシンボリズムによって巧妙こうみょうに補完ほかんしたものとなっている。《金きむ剛つよし頂いただき経けい》はシンボリスティックに表現ひょうげんされた仏ふつの世界せかいを人間にんげんの世界せかいの外側そとがわに実在じつざい的てきに措定そていし,〈象徴しょうちょうされるものと象徴しょうちょうそれ自体じたいは同一どういつである〉というその瑜伽ゆが(ヨーガ。… 【密教みっきょう美術びじゅつ】より …仏教ぶっきょうが,バラモン教ばらもんきょうを摂取せっしゅしたヒンドゥー教きょうの隆盛りゅうせいに対応たいおうするため,これらと妥協だきょうし,回生かいせいを計はかろうとしたところに密教みっきょう学がくは確立かくりつされた。やがて大日如来だいにちにょらい(大日だいにち)を中心ちゅうしんに,釈尊しゃくそんの禁止きんしした呪のろいや印しるし契ちぎり,壇だんを設もうける修法しゅほうを取とり入いれ,バラモン教ばらもんきょう・ヒンドゥー教きょうの諸しょ神かみを多量たりょうに包摂ほうせつした。 密教みっきょうのアジア諸国しょこくへの伝播でんぱにはいくつかの道みちがあった。… ※「大日だいにち」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつの一部いちぶを掲載けいさいしています。 出典しゅってん|株式会社かぶしきがいしゃ平凡社へいぼんしゃ「世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん(旧版きゅうばん)」