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扇状地(センジョウチ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

扇状地せんじょうちみ)センジョウチ英語えいご表記ひょうき)alluvial fan

デジタル大辞泉だいじせん扇状地せんじょうち」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

せんじょう‐ち〔センジヤウ‐〕【扇状地せんじょうち

かわ山地さんちから平地ひらちながところにできた、扇形せんけい堆積たいせきたいせき地形ちけいかわ勾配こうばいこうばいきゅうちいさくなり、流水りゅうすい運搬うんぱんりょく急減きゅうげんするため、上流じょうりゅうからながれてきた砂礫されきされき堆積たいせきしてできる。沖積ちゅうせき扇状地せんじょうち
[類語るいご]しゅう砂州さす中州なかすデルタ三角州さんかくす干潟ひかた

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん扇状地せんじょうち」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

せんじょう‐ちセンジャウ‥扇状地せんじょうち

  1. 名詞めいし かわ山地さんちから平地ひらちながるとき、きゅう流速りゅうそくおとろえて、すな小石こいしなどが堆積たいせきしてしょうじた扇状せんじょう地形ちけい山地さんちからの出口でぐちおうぎいただき扇状地せんじょうち末端まったんおうぎはし中央ちゅうおうおうぎひさしという。かわりゅう網状もうじょうをなすことがおおく、また伏流ふくりゅうしてすえかわ水無川みずなしがわともなる。〔英和えいわ和英かずひで地学ちがく字彙じい(1914)〕

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)扇状地せんじょうち」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

扇状地せんじょうち
せんじょうち
alluvial fan

山地さんち丘陵きゅうりょう谷口たにぐち頂点ちょうてんとし、低地ていちかって扇状せんじょうひら河川かせんによってつくられた、はん円錐えんすい(えんすい)かたち砂礫されき(されき)の堆積たいせき(たいせき)地形ちけい乾燥かんそう地域ちいき山麓さんろく(さんろく)には、降雨こううのときだけ流出りゅうしゅつするかわりゅうがわかた侵食しんしょくによって、岩床がんしょううす砂礫されきおおわれ、形態けいたいてき扇状地せんじょうち侵食しんしょく地形ちけい発達はったつすることがある。これを岩石がんせき扇状地せんじょうちとよぶので、前者ぜんしゃ沖積ちゅうせきおうぎじょうとよぶこともある。ちいさな扇状地せんじょうち沖積ちゅうせきおうぎ(せん)、傾斜けいしゃきゅう扇状地せんじょうち沖積ちゅうせききり(すい)ともよばれる。

ことぶきまどかすすむわれ

扇状地せんじょうち成因せいいん分布ぶんぷ

せま谷間たにまからきゅう勾配こうばい(こうばい)のゆるひろ低地ていちると、かわりゅう周囲しゅうい氾濫はんらん(はんらん)してあさくなるので、河底かわぞこ摩擦まさつ抵抗ていこうおおけて、流速りゅうそくおそくなり運搬うんぱんりょくおとろえて、出水しゅっすい運搬うんぱんしてきたあらつぶ砂礫されきながれ沿いに堆積たいせきする。かわりゅう勾配こうばいきゅう方向ほうこうながれてんずるので、出水しゅっすいごとに谷口たにぐち中心ちゅうしんとして放射状ほうしゃじょう移動いどうし、堆積たいせきする砂礫されきかさなりって、谷口たにぐち頂点ちょうてんとするはん円錐えんすいがた堆積たいせき地形ちけい、すなわち扇状地せんじょうち形成けいせいする。扇状地せんじょうちおうぎよう(かなめ)にあたる頂点ちょうてんおうぎいただき中央ちゅうおうおうぎひさし末端まったんおうぎはしという。

 世界せかいてきにみると、扇状地せんじょうち赤道せきどう地方ちほうのぞ環太平洋かんたいへいようや、アルプス、ヒマラヤなどのかく造山つくりやまたい乾燥かんそう地域ちいきによく発達はったつしている。おおくは断層だんそうきょくたかしなどの地殻ちかく運動うんどうけた山地さんち周縁しゅうえん発達はったつしているが、山地さんちちゅうにも断層だんそう盆地ぼんち周囲しゅういおおく、また、しゅたにそそささえだに谷口たにぐち発達はったつをみることもある。一方いっぽうみやつこりく運動うんどう地域ちいき熱帯ねったい地域ちいき河川かせんには、扇状地せんじょうち発達はったつわるい。熱帯ねったいでは岩石がんせき化学かがくてき風化ふうかいちじるしく、つぶてができにくいことと関係かんけいがある。

ことぶきまどかすすむわれ

扇状地せんじょうちかわりゅう関係かんけい

扇状地せんじょうちおおきさは河川かせんうえ流域りゅういきひろさとせい関係かんけいしめすが、おおきな扇状地せんじょうちうえ流域りゅういきには、断層だんそう破砕はさいたい風化ふうか岩石がんせき露出ろしゅつする崩壊ほうかいなどが発達はったつすることがおおい。扇状地せんじょうち発達はったつには、(1)じょう流域りゅういき削剥さくはく(さくはく)や侵食しんしょくされやすい岩石がんせき地層ちそうがあって、多量たりょういわくず(がんせつ)を供給きょうきゅうする、(2)いわくず移動いどう運搬うんぱん都合つごうのよい急斜面きゅうしゃめんおおい、(3)うえとぼしく表面ひょうめん流出りゅうしゅつおおい、(4)豪雨ごうう頻度ひんどたかい、(5)谷口たにぐち河川かせん自由じゆう移動いどうできるひろ低地ていちけ、そこに堆積たいせきする砂礫されき排除はいじょされたり水没すいぼつしたりしない、ことなどが関係かんけいする。一般いっぱんおおきな河川かせんのつくる扇状地せんじょうちは、ちいさな河川かせんのつくる扇状地せんじょうちよりおおきい。

 扇状地せんじょうちめん傾斜けいしゃは、かわりゅう流速りゅうそく流量りゅうりょうと、運搬うんぱん物質ぶっしつつぶみち多少たしょうとに関係かんけいし、おうぎいただききゅうおうぎはしかってゆるくなる。その縦断じゅうだんめんがたは、かわりゅう運搬うんぱん能力のうりょく荷重かじゅう運搬うんぱんするに適当てきとうなうえに凹の曲線きょくせんしめす。扇状地せんじょうちめん勾配こうばい平均へいきん傾斜けいしゃ)は、うえ流域りゅういき面積めんせきおな場合ばあいうえ流域りゅういきだかおおきいほどきゅうで、ぎゃくだかおな場合ばあいには、流域りゅういき面積めんせきおおきいほどゆるやかな傾向けいこうしめす。また、山中さんちゅうたにがまだ幼年ようねん状態じょうたいにあって、平衡へいこう状態じょうたいたっしていない場合ばあいには、扇状地せんじょうちめん勾配こうばいたに縦断じゅうだんめんがたのそれよりもゆるやかで、山中さんちゅうたにたにそこ平野へいやをつくっているような場合ばあいには、その縦断じゅうだんめんがたよりもきゅうであることがおおい。ただし、扇状地せんじょうちめん勾配こうばいは、一般いっぱんおおきな扇状地せんじょうちほどゆるやかであることがおおい。

 扇状地せんじょうちから下流かりゅうがわ自然しぜん堤防ていぼうたい移行いこうするところでは、表面ひょうめん勾配こうばいきゅう減少げんしょうし、おうぎはし比較的ひかくてき明瞭めいりょう(めいりょう)にみとめられる場合ばあいおおい。これは、河川かせん堆積たいせきぶつつぶてからすなへのつぶみち変化へんか不連続ふれんぞくてきにおこり、扇状地せんじょうちつぶてからなるためである。

ことぶきまどかすすむわれ

扇状地せんじょうち堆積たいせきぶつ

扇状地せんじょうち堆積たいせきぶつは、淘汰とうた(とうた)のわるだいつぶてちゅうつぶて主体しゅたいで、すなシルト粘土ねんどなどは従属じゅうぞくてきである。つぶておうぎいただきあらつぶで、おうぎはしにいくにつれてほそつぶとなる。堆積たいせきぶつあつさはおうぎいただきよりむしろおうぎひさしあついことがおおい。

 扇状地せんじょうち河川かせん砂礫されきあついため、流水りゅうすい浸透しんとうして伏流ふくりゅうし、一般いっぱん水無川みずなしがわすえかわ状態じょうたいていする。扇状地せんじょうち水路すいろ通常つうじょうウォッシュwashとよばれている。おうぎいただきちかくの水路すいろ比較的ひかくてきふかまれているときは、おうぎいただきみぞとよばれる。扇状地せんじょうち河川かせん洪水こうずいとき多量たりょう粗大そだい砂礫されき運搬うんぱん堆積たいせきするから、河床かしょうあさ扇状地せんじょうちめんとほとんどとうだかである。したがって、洪水こうずいには流水りゅうすいが溢出(いっしゅつ)し、しばしばながれえることがおおい。堤防ていぼうもうけてながれ一定いっていたもつと、堆積たいせき堤防ていぼう内部ないぶのみでおこなわれ河床かしょうはしだいにたかくなり、天井川てんじょうがわしょうじてかえっておおきな水害すいがいまねくことがおおい。

 扇状地せんじょうち形成けいせいちゅうかわりゅう下刻げこく(かこく)が山麓さんろく(さんろく)の隆起りゅうきまさるときは、流水りゅうすい扇状地せんじょうちすすみ、堆積たいせきのもっともさかんなところおうぎはし移動いどうつづけ、下流かりゅう延長えんちょうする細長ほそなが扇状地せんじょうち形成けいせいされる。

ことぶきまどかすすむわれ

扇状地せんじょうち種類しゅるい

扇状地せんじょうち断層だんそう山麓さんろく前面ぜんめん発達はったつ山地さんちがわ隆起りゅうきするか、扇状地せんじょうちがわ沈降ちんこうすると、以前いぜん扇状地せんじょうちうえあたらしい扇状地せんじょうち鏡餅かがみもち(かがみもち)しきかさなり、東京とうきょう武蔵野むさしの(むさしの)台地だいち代表だいひょうされるようなじゅうしき扇状地せんじょうち形成けいせいされる。また、扇状地せんじょうち形成けいせいした河川かせん流量りゅうりょう増加ぞうかしたり、運搬うんぱん物質ぶっしつ減少げんしょうしたり、さらにかたぶけどう扇状地せんじょうちめん傾斜けいしゃきゅうになったり、隆起りゅうきしたりすると、扇状地せんじょうち河川かせんによってひらく析されてひらき扇状地せんじょうちとなる。岩手いわてけん南西なんせい胆沢いさわ(いさわ)かわ流域りゅういき扇状地せんじょうちがこれにあたる。扇状地せんじょうちひらけ析した河川かせんは、その下流かりゅうがわあたらしい扇状地せんじょうち形成けいせいすることがおおい。このような前後ぜんごつらなる新旧しんきゅう扇状地せんじょうち親子おやこ扇状地せんじょうちといい、長崎ながさきけん大村おおむら(おおむら)にみられる。じゅうしき扇状地せんじょうち親子おやこ扇状地せんじょうち合成ごうせい扇状地せんじょうちcomposite fanとよばれている。これにたいし、ふた以上いじょう扇状地せんじょうちよこ相接あいせっして山麓さんろくつらなるときは、これを合流ごうりゅう扇状地せんじょうちconfluent fanという。だい規模きぼ合流ごうりゅう扇状地せんじょうち山麓さんろく沖積ちゅうせき平野へいや形成けいせいし、山麓さんろく沖積ちゅうせきめんともよばれている。うえとぼしいはん乾燥かんそう乾燥かんそう地域ちいき断層だんそう山麓さんろくに、まれに不定期ふていきてき集中しゅうちゅう豪雨ごううると、バハダbahada(スペインではbajada)とよばれるだい規模きぼ合流ごうりゅう扇状地せんじょうち発達はったつをみることがおおい。

 扇状地せんじょうち伏流ふくりゅうすいおうぎはしいずみとなって湧出ゆうしゅつ(ゆうしゅつ)するので、ここに集落しゅうらくができ、付近ふきんには水田すいでんはやくから発達はったつしていることがおおい。おうぎいただき比較的ひかくてきみずやすく、集落しゅうらくはやくから発達はったつしていることがすくなくない。しかし、おうぎひさし地下水ちかすいふか開発かいはつおくれてなが原野げんやのまま放置ほうちされてきた。日本にっぽんでは、江戸えど時代じだい末期まっきから明治めいじにかけてようやく開発かいはつすすめられ、ワタはたけ、クワはたけ、チャはたけ、ムギはたけ果樹かじゅえんなどに利用りようされてきた。

ことぶきまどかすすむわれ


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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん扇状地せんじょうち」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

扇状地せんじょうち (せんじょうち)
alluvial fan

河谷こうだに谷口たにぐち頂点ちょうてんとして,河川かせんによって運搬うんぱんされた砂礫されき平地ひらちけてはん円錐えんすいがた堆積たいせきした地形ちけい扇状地せんじょうち頂点ちょうてんちか部分ぶぶんおうぎいただき中央ちゅうおうおうぎひさし末端まったんおうぎはしとよぶ。乾燥かんそう地域ちいき山麓さんろく扇状せんじょう発達はったつし,しゅとして浸食しんしょく作用さようによって形成けいせいされた岩石がんせき扇状地せんじょうち区別くべつする場合ばあいには,とく沖積ちゅうせき扇状地せんじょうちとよぶ。

扇状地せんじょうち形成けいせいされるためには,上流じょうりゅう地域ちいき地形ちけい地質ちしつ気候きこう植生しょくせいかんするしょ条件じょうけんと,形成けいせいされる場所ばしょ地形ちけい地質ちしつてき条件じょうけん重要じゅうよう意味いみつ。前者ぜんしゃ扇状地せんじょうち構成こうせいする砂礫されきとそれを運搬うんぱんする河川かせん性格せいかく関与かんよし,後者こうしゃ扇状地せんじょうちのひろがりと密接みっせつ関係かんけいっている。一般いっぱんに,上流じょうりゅう地域ちいき流域りゅういき面積めんせき起伏きふくおおきく,きゅうこうばい河川かせんあらつぶ砂礫されき多量たりょう下流かりゅうまで運搬うんぱんし,さらに,下流かりゅうがわひろ盆地ぼんち平野へいや存在そんざいする場合ばあいには扇状地せんじょうち良好りょうこう発達はったつする。

山地さんちきざ河谷こうだには,一般いっぱんきゅうこうばいで,たにはばせまく,洪水こうずいには水深すいしんふかくなるため砂礫されき運搬うんぱんりょくおおきい。ところが,山地さんちから平地ひらちると,たにそこ傾斜けいしゃきゅうげんじ,同時どうじみずながれがひろがって水深すいしんあさくなるため,河川かせん運搬うんぱんりょくちいさくなる。その結果けっか河川かせん平地ひらちたところでそれまで運搬うんぱんしてきた多量たりょう砂礫されき堆積たいせきし,河床かしょう次第しだい上昇じょうしょうして,りゅう不安定ふあんていになる。そのため,洪水こうずいにはよりひくところながれるりゅうをとり,そのりゅう沿いにあらたに砂礫されき堆積たいせきしはじめる。このようなかわどう変遷へんせんのくりがえしにより,りゅうたに出口でぐちから移動いどう可能かのう方向ほうこうへまんべんなくながれ,谷口たにぐち頂点ちょうてんとするはん円錐えんすいがた砂礫されき堆積たいせき地形ちけい形成けいせいされる。

扇状地せんじょうちおおきさは上流じょうりゅうからの運搬うんぱん砂礫されきりょう支配しはいされ,おおきな河川かせんのつくる扇状地せんじょうちおおきな平面へいめんがたをもつ傾向けいこうがあり,しょう河川かせんのものよりなる傾斜けいしゃである。また,堆積たいせきぶつ粒子りゅうしちいさいほどなる傾斜けいしゃとなる。扇状地せんじょうちのうち傾斜けいしゃのゆるやかなものを沖積ちゅうせきおうぎ傾斜けいしゃきゅうがけきりとのなかあいだてきなものを沖積ちゅうせききりalluvial cornとしょうすることがある。なお,扇状地せんじょうち縦断じゅうだんめんがたおうぎいただき最大さいだい傾斜けいしゃしめし,おうぎはしけてなる傾斜けいしゃとなる。扇状地せんじょうちじょうながれる河川かせん網状もうじょうりゅうをなし,地表ちひょうめんほろ地形ちけいは,網状もうじょう発達はったつするきゅうかわどうとそれらにはさまれて発達はったつする紡錘ぼうすいじょう砂礫されきうずたかあつまりによって構成こうせいされている。堆積たいせきぶつつぶて主体しゅたいとするが,流水りゅうすいによるふるいけの作用さようすくないためにつぶておおきさはそろっておらず,すな,シルト,粘土ねんどなどのほそつぶ堆積たいせきぶつ大小だいしょうさまざまなつぶてあいだじゅうてんしている。

扇状地せんじょうち断層だんそうきょくくだなどの地殻ちかく変動へんどうともなって発生はっせいするほか,流域りゅういきない生産せいさんされていた砂礫されき気候きこう変化へんかともな河川かせん流量りゅうりょう増大ぞうだいなどによって流出りゅうしゅつして形成けいせいされる場合ばあいもある。日本にっぽんのようにわか造山つくりやまたいぞくし,地殻ちかく変動へんどう活発かっぱつなところでは,盆地ぼんち平野へいや縁辺えんぺん顕著けんちょ断層だんそうがけ発達はったつすることがおおいため,扇状地せんじょうち数多かずおお分布ぶんぷする。とくに,山間さんかん盆地ぼんちでは,松本盆地まつもとぼんち甲府こうふ盆地ぼんちにおけるように,盆地ぼんちのほぼ全域ぜんいき扇状地せんじょうちぐんによってめられていることがおおい。また,乾燥かんそう地域ちいきはん乾燥かんそう地域ちいきでもいわくず生産せいさん活発かっぱつであり,降雨こうう豪雨ごううかたをとることがおおいため扇状地せんじょうち発達はったつ良好りょうこうである。

 地殻ちかく変動へんどう気候きこう変化へんか,さらには河川かせん浸食しんしょく基準きじゅんめんとなる海面かいめん変動へんどうなどによって,扇状地せんじょうち形成けいせい条件じょうけん変化へんかした場合ばあいには,たにによってきざまれたひらく扇状地せんじょうち扇状地せんじょうち前面ぜんめんあらたな扇状地せんじょうち形成けいせいされた合成ごうせい扇状地せんじょうちなどがつくられる。また,山地さんちから多数たすう河川かせんてくるときには,とな扇状地せんじょうち相接あいせっしてつらなり,合流ごうりゅう扇状地せんじょうちとよばれる一連いちれん扇状地せんじょうちぐんをつくる。日本にっぽんでは合流ごうりゅう扇状地せんじょうちひらき扇状地せんじょうちれいおおく,関東平野かんとうへいや武蔵野台むさしのだい東海とうかい地方ちほう三方原みかたはら磐田原いわたはらなどもふる扇状地せんじょうちひらけ析されて台地だいちしたひらく扇状地せんじょうちである。

扇状地せんじょうち砂礫されきによって構成こうせいされているため,河川かせんすい地下ちか浸透しんとうして伏流ふくりゅうすいとなり,扇状地せんじょうちながれる河川かせんおおくは水無川みずなしがわとなっている。とくに,おうぎひさしでは地下水ちかすいめんふかいため飲料いんりょうすい灌漑かんがい用水ようすいることが困難こんなんで,扇状地せんじょうちじょう集落しゅうらく立地りっちは,河川かせんすいやすいおうぎいただきか,地下水ちかすいめんあさくなってゆういずみ分布ぶんぷするおうぎはしかぎられる。扇状地せんじょうちでは,普通ふつうはたけのほか排水はいすい良好りょうこう土壌どじょう性質せいしつかして桑畑くわばたけ茶畑ちゃばた果樹かじゅえんなどがひらかれており,だい規模きぼ果樹かじゅ栽培さいばいれいとして,甲府盆地こうふぼんちのブドウ栽培さいばい長野ながの盆地ぼんちのリンゴ栽培さいばいがあげられる。また,黒部川くろべがわ扇状地せんじょうちなどでは灌漑かんがい施設しせつ普及ふきゅう客土かくどなどにより,水田すいでんがおこなわれてきた。扇状地せんじょうちながれる河川かせんおおくは不安定ふあんていで,いわゆるかわとなっている。水害すいがい危険きけんからまもるため,人々ひとびと堤防ていぼう建設けんせつするが,そのことはかわどう固定こてい意味いみし,土砂どしゃ堆積たいせきかわ道内どうない限定げんていされるようになる。その結果けっか周囲しゅういくらべて河床かしょういちじるしく上昇じょうしょうし,天井川てんじょうがわ形成けいせいされる。扇状地せんじょうちながれる河川かせんおおくは天井川てんじょうがわしており,愛媛えひめけん東予とうよながれる大明神だいみょうじんがわのように,かわした鉄道てつどうトンネルがとおるといったれいもある。
執筆しっぴつしゃ


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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん扇状地せんじょうち」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

扇状地せんじょうち
せんじょうち
alluvial fan

河川かせん山地さんちから平野へいやて,きゅう勾配こうばいがゆるくたにはばひろくなったところに,はこんできた砂礫されき堆積たいせきするために形成けいせいされるなる傾斜けいしゃ扇状せんじょう地形ちけいうえからおうぎいただきおうぎひさしおうぎはしけられる。堆積たいせきによりかわどうたかくなり洪水こうずい繰返くりかえしながら,そのりゅうえ,砂礫されき堆積たいせきしてていところめていく。おうぎいただきから等距離とうきょり地点ちてんおな高度こうどとなり,等高線とうこうせん同心円どうしんえんじょうとなる。日本にっぽんでは甲府こうふ松本まつもとなどの山間さんかん盆地ぼんちや,関東かんとう新潟にいがたなどのしょ平野へいや縁辺えんぺんなど,中部ちゅうぶ以北いほくおお分布ぶんぷする。近畿きんき甲府こうふなど,扇状地せんじょうち開墾かいこんふるくからおこなわれたところでは,かわどう固定こていはやく,砂礫されきかわ道内どうない集中しゅうちゅうてき堆積たいせき天井川てんじょうがわとなったものもおおい。流水りゅうすい透水とうすいせいおおきい砂礫されきちゅう浸透しんとうし,中小ちゅうしょう河川かせんではおうぎひさし付近ふきんすえかわとなることがおおく,浸透しんとうしたみずおうぎはしふたた湧出ゆうしゅつするため,ふるくからおうぎはし集落しゅうらく発達はったつした。

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百科ひゃっか事典じてんマイペディア扇状地せんじょうち」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

扇状地せんじょうち【せんじょうち】

急流きゅうりゅうせい河川かせん山地さんちから平野へいやへの出口でぐちつく扇形せんけい堆積たいせき地形ちけい河川かせん勾配こうばい(こうばい)の減少げんしょうやはんらんばら急激きゅうげき拡大かくだいのため流水りゅうすいいわくず(がんせつ)運搬うんぱんりょく急減きゅうげんするため粗大そだいつぶて(れき)を堆積たいせきして形成けいせいする。複数ふくすう河川かせんつく扇状地せんじょうち融合ゆうごう連続れんぞくしたものを合流ごうりゅう扇状地せんじょうち新旧しんきゅう形成けいせいことにする扇状地せんじょうちかさなりったものを合成ごうせい扇状地せんじょうちぶ。
関連かんれん項目こうもくおき積層せきそう

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