デジタル大辞泉だいじせん 「混同こんどう」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご こん‐どう【混同こんどう】 [名な](スル)1 区別くべつしなければならないものを同一どういつのものとして扱あつかうこと。「公私こうしを混同こんどうする」2 まじり合あって一ひとつになること。「体面たいめんを全まっとうして改革かいかく家かの党とうに―せんと欲ほっする者ものもあり」〈福沢ふくさわ・文明ぶんめい論ろん之の概略がいりゃく〉3 相あい対立たいりつする二ふたつの法律ほうりつ的てき地位ちいが同どう一いち人にんに帰きすること。債権さいけんと債務さいむとが同どう一いち人にんに帰かえしたときなど、物権ぶっけん・債権さいけんの消滅しょうめつの原因げんいんとなる。[類語るいご]思おもい違ちがい・誤解ごかい・勘違かんちがい・心得違こころえちがい・曲解きょっかい・本末転倒ほんまつてんとう・取とり違ちがえる・しっちゃかめっちゃか・はちゃめちゃ・乱雑らんざつ・雑然ざつぜん・乱脈らんみゃく・紛然ふんぜん・紛紛ふんぷん・繚乱りょうらん・蕪雑ぶざつぶざつ・狼藉ろうぜき・卍巴まんじどもえまんじともえ・不ふ統一とういつ・ごっちゃ・ごちゃごちゃ・ごしゃごしゃ・ごじゃごじゃ・ごたごた・めちゃくちゃ・まぜこぜ・支離滅裂しりめつれつ・鼎かなえかなえの沸わくが如ごとし・上うえを下したへ・蜂はちの巣すをつついたよう・押おすな押おすな・押おし合あいへし合あい・混乱こんらん・錯綜さくそう・錯乱さくらん・混沌こんとん・錯雑さくざつ・交錯こうさく・混線こんせん・混交こんこう・混迷こんめい・ごた混こんぜ・ごちゃ混こんぜ・どさくさ・こんがらかる・紛まがえれる 出典しゅってん 小学館しょうがくかんデジタル大辞泉だいじせんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん 「混同こんどう」の意味いみ・読よみ・例文れいぶん・類語るいご こん‐どう【混同こんどう】 〘 名詞めいし 〙① まじって一ひとつになること。また、まぜて一ひとつにすること。混一こんいつ。[初出しょしゅつの実例じつれい]「晉すすむ朝ちょう澆季ぎょうき少すくな二に淳じゅん風ふう一いち、七なな子し超然ちょうぜん不ふ二に混同こんどう一いち」(出典しゅってん:田た氏し家集かしゅう(892頃ごろ)下した・題だい竹林ちくりん七なな賢けん図ず)[その他たの文献ぶんけん]〔左ひだり思おもえ‐魏ぎ都と賦ふ〕② 異ことなるものをまちがえて同一どういつのものと考かんがえること。ごったにして区別くべつしないこと。[初出しょしゅつの実例じつれい]「只ただ与あずか二に小人こども一いち混同こんどうしていよと云うんぞ」(出典しゅってん:四よん河かわ入海いりうみ(17C前まえ)一いち七なな)③ 民法みんぽうで、相あい対立たいりつする二ふたつの法律ほうりつ上じょうの地位ちい(たとえば債権さいけんと債務さいむ)が同どう一いち人にんに帰きすること。債権さいけん、物権ぶっけんを通つうじ、原則げんそくとして権利けんり関係かんけいは消滅しょうめつする。 出典しゅってん 精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてん精選せいせん版ばん 日本にっぽん国語こくご大だい辞典じてんについて 情報じょうほう | 凡例はんれい
日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ) 「混同こんどう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 混同こんどうこんどう 同一どういつの物ものにつき所有しょゆう権けんと他たの物権ぶっけんが同どう一いち人にんに帰かえしたときに、その物権ぶっけんが消滅しょうめつすることを混同こんどうという(民法みんぽう179条じょう1項こう本文ほんぶん)。たとえば、父ちちが所有しょゆうする土地とちについて子こが地上ちじょう権けんを有ゆうしていたところ、父ちちが死亡しぼうして前記ぜんきの子こが唯一ゆいいつの相続そうぞく人ひととなったときには、子こが土地とちの所有しょゆう権けんを取得しゅとくすることになるので、子こが自分じぶんの土地とちに地上ちじょう権けんをもち続つづけることは無意味むいみであるから、地上ちじょう権けんは消滅しょうめつする。しかし第三者だいさんしゃの権利けんりを害がいすることができないので、その物ものまたはその物権ぶっけんが第三者だいさんしゃの権利けんりの目的もくてきであるときは、この限かぎりでないとされる(同どう項こう但書ただしがき)。たとえば前記ぜんきの例れいで、土地とちや地上ちじょう権けんについて第三者だいさんしゃのために抵当ていとう権けんが設定せっていされているようなときである。所有しょゆう権けん以外いがいの物権ぶっけんおよびこれを目的もくてきとする他ほかの権利けんりが同どう一いち人にんに帰かえしたときは、その権利けんりは消滅しょうめつする。この場合ばあいにおいては前項ぜんこう但書ただしがきの規定きていを適用てきようする(同どう条じょう2項こう)。地上ちじょう権けんとこれを目的もくてきとする抵当ていとう権けんが同どう一いち人にんに帰かえしたようなときである。前ぜん2項こうの規定きていは占有せんゆう権けんには適用てきようしない(同どう条じょう3項こう)。債権さいけんについても混同こんどうによる消滅しょうめつが認みとめられる。すなわち、債権さいけんと債務さいむが同どう一いち人にんに帰かえしたときは、その債権さいけんは消滅しょうめつする(民法みんぽう520条じょう本文ほんぶん)。たとえば、子こに対たいして貸金かしきん債権さいけんを有ゆうする父ちちが死亡しぼうしたときには、その債権さいけんは子この相続そうぞく分ぶんの限度げんどで消滅しょうめつする。ただし、その債権さいけんが第三者だいさんしゃの権利けんりの目的もくてきであるときは、この限かぎりでない(同どう条じょう但書ただしがき)。前記ぜんきの貸金かしきん債権さいけん上じょうに質しつ権けんが設定せっていされていたようなときである。[川井かわい 健けん][参照さんしょう項目こうもく] | 債権さいけん・債務さいむ | 質しつ権けん | 所有しょゆう権けん | 抵当ていとう権けん | 物権ぶっけん 出典しゅってん 小学館しょうがくかん 日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)について 情報じょうほう | 凡例はんれい
改訂かいてい新版しんぱん 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん 「混同こんどう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 混同こんどう (こんどう)mergerKonfusion[ドイツ] 法律ほうりつ用語ようご。相あい対立たいりつする二ふたつの法律ほうりつ上じょうの地位ちいが同どう一いち人にんに帰きすること。私法しほう上じょうの関係かんけいにおいて物権ぶっけんあるいは債権さいけんの消滅しょうめつ原因げんいんの一ひとつとして意味いみをもつ。すなわち,同一どういつの物ものについて所有しょゆう権けんとその他たの物権ぶっけんが同どう一いち人にんに帰かえした場合ばあい,たとえば,A所有しょゆうの土地とちに地上ちじょう権けんを有ゆうし家屋かおくを建たてて住すんでいるBがAからその土地とち所有しょゆう権けんを譲ゆずり受うけるとか,抵当ていとう権けん者しゃBが相続そうぞくにより抵当ていとう目的もくてき物ぶつの所有しょゆう権けんを取得しゅとくしたなどの場合ばあい,Bにとって地上ちじょう権けん,抵当ていとう権けんを存続そんぞくさせる意味いみはなくなるから,法ほうは,このような地上ちじょう権けん,抵当ていとう権けんは所有しょゆう権けんとの混同こんどうにより消滅しょうめつするとしたのである(民法みんぽう179条じょう1項こう)。同様どうような関係かんけいは,債権さいけんと債務さいむが同どう一いち人にんに帰かえした場合ばあい,たとえば,家屋かおくの賃借ちんしゃく人じんが家主やぬしから家屋かおく所有しょゆう権けんを譲ゆずり受うけ賃貸ちんたい人じんの地位ちいを取得しゅとくしたとか,親おやから100万まん円えん借金しゃっきんしていたところ親おやが死亡しぼうしこの100万まん円えんの債権さいけんをそっくり相続そうぞくしたなどの場合ばあいにも生しょうじ,ここでは債権さいけんが消滅しょうめつするとされる(520条じょう)。以上いじょうのような混同こんどうによる物権ぶっけん,債権さいけんの消滅しょうめつの根拠こんきょは,混同こんどうした物権ぶっけんまたは債権さいけんの存続そんぞくが法的ほうてきに無意味むいみとみられるからにほかならない。したがって,逆ぎゃくに,その存続そんぞくに意味いみがある場合ばあいには,混同こんどうにより消滅しょうめつさせるべきではない。たとえば,さきにあげた,地上ちじょう権けんと所有しょゆう権けんの混同こんどうの例れいで地上ちじょう権けんが第三者だいさんしゃの抵当ていとう権けんの目的もくてきとなっている場合ばあいには,地上ちじょう権けん存続そんぞくにつき第三者だいさんしゃは利益りえきを有ゆうするから,混同こんどうによる地上ちじょう権けん消滅しょうめつは許ゆるされない。同様どうように抵当ていとう権けん者しゃBが抵当ていとう目的もくてき物ぶつの所有しょゆう権けんを取得しゅとくした例れいで,同どう一いち目的もくてき物ぶつに後こう順位じゅんいの抵当ていとう権けんが付着ふちゃくしている場合ばあい,Bの抵当ていとう権けんが先さき順位じゅんいとして存続そんぞくすることにつきBは利益りえきを有ゆうしているから,混同こんどうによる消滅しょうめつは生しょうじない(179条じょう1項こう但書ただしがき)。また,債権さいけん,債務さいむの混同こんどうにおいても同様どうようで,債権さいけんに権利けんり質しつが設定せっていされている場合ばあいなどは,債権さいけんは消滅しょうめつしないのである(520条じょう但書ただしがき)。執筆しっぴつ者しゃ:安永やすなが 正ただし昭あきら 出典しゅってん 株式会社かぶしきがいしゃ平凡社へいぼんしゃ「改訂かいてい新版しんぱん 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん」改訂かいてい新版しんぱん 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてんについて 情報じょうほう
普及ふきゅう版ばん 字じ通どおり 「混同こんどう」の読よみ・字形じけい・画数かくすう・意味いみ 【混同こんどう】こんどう 合一ごういつする。〔後こう漢書かんしょ、皇后こうごう紀き下か論ろん〕始はじめて光ひかり烈れつのをて、其その後のち竝ならびにを以もって配はいと爲なし、賢愚けんぐ優劣ゆうれつ、混同こんどうして貫ぬきを一いちにするに至いたる。字じ通どおり「混こん」の項目こうもくを見みる。 出典しゅってん 平凡社へいぼんしゃ「普及ふきゅう版ばん 字じ通どおり」普及ふきゅう版ばん 字じ通どおりについて 情報じょうほう
ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてん 「混同こんどう」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ 混同こんどうこんどうKonfusion; merger 民法みんぽう上じょうの用語ようごで,相あい対立たいりつする法律ほうりつ的てき地位ちいが同どう一いち人にんに帰属きぞくすることをいう。混同こんどうには物権ぶっけんの混同こんどう (民法みんぽう 245) と債権さいけんの混同こんどう (520条じょう) とがあるが,前者ぜんしゃは,たとえば地上ちじょう権けん者しゃが土地とちの所有しょゆう権けんを取得しゅとくした場合ばあいなどがこれにあたり,また後者こうしゃは,たとえば債権さいけん者しゃが債権さいけん上じょうの債権さいけん質しつ権けんを取得しゅとくした場合ばあいなどがこれにあたる。いずれの場合ばあいにも,これによって権利けんり (設しつらえ例れいでは地上ちじょう権けんまたは債権さいけん質しつ権けん) は消滅しょうめつする。混同こんどうが権利けんり消滅しょうめつ原因げんいんとなるのは,この場合ばあい,相あい対立たいりつする権利けんりの存続そんぞくを認みとめることが無意味むいみであり,不ふ必要ひつようだからである。 出典しゅってん ブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてんブリタニカ国際こくさい大だい百科ひゃっか事典じてん 小しょう項目こうもく事典じてんについて 情報じょうほう