目付めつけ（読よみ）メツケ

（1）室町むろまち時代じだい，侍さむらい所しょ所司代しょしだいの下したにあって，京きょう中ちゅうの盗賊とうぞくなどの動静どうせいを探さぐった者ものを称しょうした。1451年ねん（宝徳ほうとく3）当時とうじ侍さむらい所しょ頭あたま人じん（とうにん）であった京極きょうごく持もち清きよしが召めし使つかう目付めつけ某ぼうを，管領かんりょう畠山はたけやま持国もちくにの被官ひかんが持もち清きよしに通報つうほうせずに誅殺ちゅうさつしたので，持もち清きよしが怒おこって畠山はたけやま亭ていに押おし寄よせようとした事件じけんがある。彼かれらは小しょう舎人とねり（こどねり），下部かぶ（しもべ）などとは別べつで，侍さむらい所しょ頭あたま人じんあるいはその被官ひかんである所司代しょしだいの私的してき被官ひかんであった。持もち清きよしの被官ひかん多賀たが高こう忠ただしが所司代しょしだいのとき（1466ころか）目付めつけであったという骨ほね皮がわ左衛門さえもん道元どうげん（道源どうげん）なる者ものは，応仁おうにんの乱らんに際さいして東ひがし軍ぐんの細川ほそかわ勝元かつもとに金品きんぴんをもって誘さそわれ，手勢てぜい300人にんで稲荷山いなりやまに陣取じんどって西にし軍ぐんの糧道りょうどうを断たとうとしたが，西にし軍ぐんの勢いきおいに攻せめられて〈所々しょしょノ悪党あくとう・物もの取と（ものとり）共きょうナリケレバ〉（《応仁おうにん別記べっき》）散ちり散ぢりに逃にげ失うせ，道元どうげんも女装じょそうして逃にげるところを山名やまな勢ぜいの〈河原かわはらノ者しゃ〉に討うち取とられたという。これでみると，江戸えど時代じだいの目明めあかしに類るいする存在そんざいであったらしい。
執筆しっぴつ者しゃ：村尾むらお 元忠もとただ（2）江戸えど幕府ばくふの職制しょくせい。慶長けいちょう・元和げんな期き（1596-1624）より置おかれ，人数にんずうははじめ十じゅう数すう名めいから二に十じゅう数すう名めいに及およんだが，1732年ねん（享とおる保ほ17）以降いこう10人にんに固定こていされ，十じゅう人にん目付めつけと称しょうされた。若年寄わかどしよりに属ぞくして江戸えど城内きうち外そとの査察ささつ，非常時ひじょうじの差配さはい，殿中でんちゅう礼法れいほうの指揮しき，評定ひょうじょう所しょ立合たちあえ，万まん石せき以下いか急きゅう養子ようしの判はん元もと見届みとどけなどの職務しょくむを務つとめた。常時じょうじ，本番ほんばん・加か番ばん2人にんの目付めつけが城内じょうないに宿直しゅくちょくし，非常ひじょうに備そなえた。1723年ねん制定せいていの役やく高だかは1000石せき。同名どうめいの職しょくは諸しょ藩はんにも置おかれた。
執筆しっぴつ者しゃ：松尾まつお 美恵子みえこ