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磁石(ジシャク)とは? 意味や使い方 - コトバンク

磁石じしゃくみ)ジシャク英語えいご表記ひょうき)magnet

翻訳ほんやくmagnet

デジタル大辞泉だいじせん磁石じしゃく」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

じ‐しゃく【磁石じしゃく

てつきつける磁力じりょくをもつ物体ぶったいまたは装置そうち永久えいきゅう磁石じしゃく電磁石でんじしゃくなど。
地磁気ちじきかんじて南北なんぼく性質せいしつ利用りようした方位ほうい測定そくてい磁気じきコンパス磁気じき羅針盤らしんばん
天然てんねんさんする磁力じりょくをもつ鉱石こうせきおも磁鉄鉱じてっこう。じせき。
[類語るいご]マグネット電磁石でんじしゃく永久えいきゅう磁石じしゃく

じしゃく【磁石じしゃく

狂言きょうげん遠江とおとうみとおとうみぼうが、大津おおつ松本まつもと人買ひとかいにだまされそうになってげるが、人買ひとかいが太刀たちいていかけてくるので、自分じぶん磁石じしゃくせいだとのって太刀たちげる。

じ‐せき【磁石じしゃく

じしゃく(磁石じしゃく

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん磁石じしゃく」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

じ‐しゃく【磁石じしゃく

  1. ( 「しゃく」は「いし」の呉音ごおん )
  2. [ 1 ] 名詞めいし
    1. 磁力じりょくをもつ天然てんねん鉱石こうせきおも磁鉄鉱じてっこうおよびあか磁鉄鉱じてっこう。じせき。
      1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「やしなえを翹(のぞ)み、財物ざいぶつむさぼること、磁石じしゃく鉄山てつざんきょしててつうそ(す)ふよりもぎ」(出典しゅってん日本にっぽん霊異れいい(810‐824)じょう)
      2. 観音かんのんをば磁石じしゃく(ジシャク)にてつくり」(出典しゅってん仮名かめい草子ぞうし智恵ちえかん(1660))
      3. [その文献ぶんけん]〔曹植‐矯志
    2. 磁気じきコンパス磁気じき羅針盤らしんばん俗称ぞくしょう磁石じしゃくゆびきたせい指南しなんせい)を利用りようした方位ほうい測定そくていで、航海こうかいようとしてはすくなくとも中世ちゅうせい後期こうき使つかわれはじめ、近世きんせいではひろ普及ふきゅうして、日本にっぽん独自どくじ考案こうあんぎゃくはり(うらばり)重用じゅうようされた。磁石じしゃくばん磁針じしん磁石じしゃくはり指南しなんはり
      1. 磁石<b>[ <ruby><rb>一</rb><rt>いち</rt></ruby> ]</b><b>②</b>〈<ruby><rb>和漢</rb><rt>わかん</rt></ruby><ruby><rb>船用</rb><rt>せんよう</rt></ruby><ruby><rb>集</rb><rt>しゅう</rt></ruby>〉
        磁石じしゃく[ いち ]和漢わかん船用せんようしゅう
      2. [初出しょしゅつ実例じつれい]「磁石じしゃく(ジシャク)きたみなみをさすも、てんつよし(きびし)く旋るなまたるゆえに」(出典しゅってんかずらんてんせつ(1795))
    3. 磁気じきびていて、そのためてつをひきつける性質せいしつをもつ物体ぶったい外部がいぶ磁場じばたすけなしに磁気じきびている永久えいきゅう磁石じしゃくと、外部がいぶ磁場じばによってはじめて磁気じきをもつ一時いちじ磁石じしゃく分類ぶんるいできる。両者りょうしゃともつよ磁性じせいたいぞくし、前者ぜんしゃ磁気じきてきかたい(ハード)といい、後者こうしゃ磁気じきてきやわらかい(ソフト)という。これらの特性とくせい残留ざんりゅう磁化じか磁力じりょくとで表記ひょうきされる。マグネット。磁器じき
      1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「てつのせんくづをろうとなし、もちいひ、磁石じしゃく(ジシャク)をもっててつ(かなけ)を吸ひげさする」(出典しゅってん歌舞伎かぶき毛抜けぬき(1742))
    4. 磁場じばしょうずる装置そうち永久えいきゅう磁石じしゃく電磁石でんじしゃくちょう伝導でんどう磁石じしゃくなど。
  3. [ 2 ] 狂言きょうげんかくりゅう上京じょうきょう途中とちゅう人買ひとかいにられそうになったおとこ太刀たちっていかけてくる人買ひとかいに、自分じぶん磁石じしゃくせいだと名乗なの太刀だちをのみこもうといっておどかし、太刀たちうばう。「天正てんしょう狂言きょうげんほん」では「ぎしゃく」という。

じ‐せき【磁石じしゃく

  1. 名詞めいしじしゃく(磁石じしゃく
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「磁石じしゃく(ジセキ)てつを吸ふは」(出典しゅってん開化かいか問答もんどう(1874‐75)〈小川おがわためはつ)

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)磁石じしゃく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

磁石じしゃく磁力じりょくをもつ物体ぶったい
じしゃく
magnet

てつける磁力じりょくをもつ物体ぶったいのこと。工業こうぎょうてきにつくられるつよ磁石じしゃく永久えいきゅう磁石じしゃくというが、一般いっぱんにはたん磁石じしゃくとよぶことがおおい。ふるくからられた天然てんねん磁石じしゃく磁鉄鉱じてっこうおもとする岩石がんせきだが、いままでの永久えいきゅう磁石じしゃくてつ合金ごうきんであったから、「磁石じしゃく」というより中国語ちゅうごくごの「磁鉄」のほうがとしては適切てきせつではなかったろうか。しかし最近さいきん永久えいきゅう磁石じしゃく生産せいさんではバリウムフェライト酸化さんかぶつ磁石じしゃくがもっともおおくなり、ふたたび「磁石じしゃく」とよぶにふさわしい時代じだいとなった。

 じゅんてつ磁力じりょくよわく、磁石じしゃくとはいいがたい物質ぶっしつであるが、外側そとがわにコイルをいて電流でんりゅうとおすと、電流でんりゅうながれているあいだだけつよ磁力じりょくしめす。これを永久えいきゅう磁石じしゃくたいして一時いちじ磁石じしゃくづけ、この構造こうぞうぶつ電磁石でんじしゃくという。さらになかじゅんてつってコイルだけにしても、電流でんりゅうとおすと一時いちじ磁石じしゃくのようにはたらくので、これも磁石じしゃくということがある。超電導ちょうでんどうコイルもちいた超電導ちょうでんどう磁石じしゃくはこのれいである。

 永久えいきゅう磁石じしゃく用途ようとによっていろいろのかたちにつくられ、磁針じしんぼう磁石じしゃく円柱えんちゅう磁石じしゃく、Uかたち馬蹄ばてい(ばてい)かたち磁石じしゃくなどとよばれる。磁針じしん地磁気ちじきかんじて南北なんぼくをさすことはよくられており、きたをさすはりさきは(ゆび北極ほっきょくまたはNごく反対はんたいがわは(ゆび南極なんきょくまたはSきょくづけられた。NきょくにはNと刻印こくいんされるか、あかいろなどがってある。この磁気じきコンパスもたん磁石じしゃくといわれることがおおい。そしてひろ意味いみでは、磁石じしゃくになりうるもの、すなわちつよ磁性じせい物質ぶっしつすべてをぞく磁石じしゃくとよぶことがある。

太田おおためぐみづくり

磁界じかい磁気じきモーメント

磁石じしゃくのそばにかれた鉄片てっぺん磁石じしゃくけられる。このように磁力じりょくける空間くうかん磁界じかいまたは磁場じば(じば)とよぶ。磁石じしゃく磁界じかいしょうずるといいかえてもよい。磁界じかいのようすをみるためによく使つかわれるのはてつ模様もようである。磁石じしゃくうえしろ厚紙あつがみをのせ、うえからてつ一様いちよう散布さんぷすると、磁力じりょくせん模様もようあらわれる。ちいさな磁針じしんをのせると、この磁力じりょくせん沿った方向ほうこうをさす。ここでNきょくのさすきを磁界じかい方向ほうこうさだめる。これは磁石じしゃくのNきょくからてSきょくはいきである。

 てつ磁石じしゃくりょうはし付近ふきんにもっともつよけられる。磁力じりょく集中しゅうちゅうしているようにみえるこの場所ばしょを、磁極じきょくという。磁極じきょくにはNとSの2種類しゅるいしかなく、同名どうめいきょくどうしは反発はんぱつし、異名いみょうきょく吸引きゅういんしあう。2きょくあいだちから距離きょりの2じょう反比例はんぴれいし、磁極じきょくつよさに比例ひれいするクーロンの法則ほうそくしたがう。磁極じきょくつよさと2きょくあいだ距離きょりとのせき磁気じきモーメント定義ていぎする。磁極じきょくひとしいつよさのNとSとがかならず1ついになっているので、磁極じきょくつよさよりも磁気じきモーメントのほうが本質ほんしつてき物理ぶつりりょうであるとかんがえられている。磁気じきモーメントはそのきもかんがえて、SからNへかうベクトルあらわす。ふたつの磁気じきモーメントあいだちから計算けいさんすると、距離きょりの4じょう反比例はんぴれいしている。これは2磁石じしゃくあいだ吸引きゅういんりょくがごく接近せっきんしているときはつよく、はなれれば急速きゅうそくよわまることの理由りゆうである。またきょくってたがいに磁極じきょくし、全体ぜんたい合成ごうせいモーメントをちいさくするように位置いちしたがる。コイルに電流でんりゅうとおすと一時いちじ磁石じしゃくとしてはたらくとべたが、円形えんけいながれる電流でんりゅう磁気じきモーメントを発生はっせいし、したがってえん電流でんりゅう磁石じしゃくとはおな性質せいしつをもつ。この同等どうとうせい磁気じき本質ほんしつにかかわる重要じゅうよう関係かんけいである。

太田おおためぐみづくり

磁石じしゃく内部ないぶ構造こうぞう

磁石じしゃく分割ぶんかつしてみよう。フェライト磁石じしゃくはすぐれるから、この実験じっけんてきしている。破片はへんはそれぞれが磁石じしゃくになる。粉末ふんまつにまでしてもみなちいさな磁石じしゃくになる。実験じっけんはここまでだが、分割ぶんかつさき原子げんしである。磁気じきがくでは個々ここ原子げんし磁気じきモーメントをもつ原子げんし磁石じしゃくであって、それらがモーメントの方向ほうこうをそろえて整列せいれつしているとかんがえている。このような性質せいしつてつぞく原子げんし希土類きどるい金属きんぞく原子げんしなど特別とくべつのグループの原子げんしのもつ特性とくせいで、これら特別とくべつ原子げんしふく物質ぶっしつだけがつよ磁性じせいたいとなることができる。さらにミクロなはなしでは、原子げんし磁石じしゃく原因げんいんしゅとして原子げんしちゅう電子でんし自転じてん(スピン)にともな磁気じきモーメントである。電子でんし自転じてん電荷でんか円運動えんうんどうすなわちえん電流でんりゅうであるとかんがえれば、磁気じきモーメントをもつことが理解りかいされよう。つよ磁性じせい体内たいないはこのようにはじめから磁石じしゃくとなっており、これを自発じはつ磁化じかという。

 しかし、それではなぜじゅんてつなどは普通ふつう磁石じしゃくにみえないのだろうか。それは内部ないぶ自然しぜんこまかな領域りょういき磁区じく)にかれ、かく磁区じく磁気じきモーメントはたがいにうように配置はいちするため、全体ぜんたいとしては磁気じきモーメントがないからである。これを消磁しょうじ状態じょうたいという。磁界じかいちゅうはいると、磁界じかい反対はんたいきの磁区じく磁界じかい方向ほうこうかたちきをえ、全体ぜんたいとしての磁気じきモーメントがしょうずる。これを磁化じかするという。磁界じかいつよくてぜん磁区じく磁界じかい方向ほうこうき、したがって全体ぜんたい1個いっこ磁石じしゃくとなった状態じょうたい飽和ほうわ磁化じかである。鉄片てっぺん磁石じしゃく吸引きゅういんされる現象げんしょうは、磁石じしゃくのつくる磁界じかいによって鉄片てっぺん磁化じかし、ふたつの磁石じしゃくちからおよぼしっているのだと説明せつめいされる。磁石じしゃくからとおはなせば鉄片てっぺんはふたたびもと状態じょうたいもどり、磁気じきモーメントをほとんどうしなってしまう。

太田おおためぐみづくり

永久えいきゅう磁石じしゃく材料ざいりょう

このように磁化じか磁区じくかたち配置はいちきなどがわることによってすすむ。それがわりにくいような構造こうぞうのものは、一度いちど磁化じかすると磁界じかいをゼロにしてももともどらず磁気じきモーメントがのこる。この残留ざんりゅう磁化じかおおきいものが永久えいきゅう磁石じしゃくである。残留ざんりゅう磁化じかをゼロにするためにはぎゃくきに磁界じかいをかける。この磁界じかいおおきさが磁力じりょくとよばれるもので、これがおおきいほど安定あんてい永久えいきゅう磁石じしゃくである。永久えいきゅう磁石じしゃく材料ざいりょうにはこのような物質ぶっしつさがもとめられてきた。家庭かていではばり磁石じしゃくでこすって磁石じしゃくをつくるが、ばり炭素たんそこうで、じゅんてつくらべて磁力じりょくたかい。磁区じく形状けいじょう変化へんかしにくい構造こうぞうとして、磁石じしゃく微粒子びりゅうしあつまりのようにしかく微粒子びりゅうしひとつの磁区じくにしてしまう方法ほうほうがある。これで磁区じく形状けいじょう固定こていされて変化へんかできなくなり、磁化じか磁気じきモーメントの回転かいてんだけですす磁力じりょくおおきくなる。これは粉末ふんまつ磁石じしゃく原理げんりといわれ、今日きょう永久えいきゅう磁石じしゃく材料ざいりょうはすべて直接ちょくせつまたは間接かんせつてきにこの原理げんりによって製造せいぞうされている。

 これとはぎゃくに、一時いちじ磁石じしゃく磁性じせいたい(磁心)は、電流でんりゅうって磁界じかいがゼロとなったらただちに磁気じきモーメントをうしなってほしいわけで、磁力じりょくちいさく、磁化じかしやすい(つまり、とおる磁率がたかい)物質ぶっしつのぞましい。じゅんてつ、パーマロイ合金ごうきん、マンガン亜鉛あえんフェライトなどがそのれいである。また、残留ざんりゅう磁化じかをもったものを消磁しょうじしたいことがある。おおきな交番こうばん磁界じかいれ、磁界じかい徐々じょじょにゼロにする(交流こうりゅう消磁しょうじ方法ほうほうおこなわれる。磁気じきカードを電源でんげんトランスのうえいたりすると消磁しょうじされて記録きろく内容ないよううしなわれるのはこのためである。原子げんし磁石じしゃくねつ振動しんどうのために整列せいれつできなくなるまで高温こうおんにすれば、完全かんぜん消磁しょうじとなる。この温度おんどキュリー温度おんどという。しかしこのねつ消磁しょうじ実用じつようてきには利用りようしにくい。

太田おおためぐみづくり

磁石じしゃく利用りようのいろいろ

きわめておおくの利用りようほうがあるので、いくつかのれいをあげるにとどめる。

(1)磁石じしゃく吸引きゅういんりょく利用りようする。冷蔵庫れいぞうこのドアにゴム磁石じしゃく家具かぐとびらにフェライト磁石じしゃくをつけ、密閉みっぺいをよくする。事務じむしつのスチールばんには磁石じしゃく紙片しへんめられている。特急とっきゅう列車れっしゃ磁石じしゃく反発はんぱつりょくかしてはしらす磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどう計画けいかくもある。

(2)磁界じかい発生はっせいのための磁石じしゃくメーター発電はつでん、モーター、ピックアップ、スピーカー、電子でんしレンジなどおおくの電気でんき機器ききまれている。

(3)電磁石でんじしゃく電流でんりゅうおおきさで磁界じかいつよさをえることを利用りようしてすうトンもあるものから、すうグラムのブザーやリレー(継電器けいでんき)までつくられている。

(4)いち磁石じしゃくの磁心に利用りよう電源でんげんトランスがいちばんにつくが、高周波こうしゅうはよう各種かくしゅトランス、フィルター、アンテナ、レコーダーヘッドなど。

(5)磁気じき記録きろく媒体ばいたい残留ざんりゅう磁化じか変化へんか情報じょうほう記録きろくする磁気じきテープ、カード、切符きっぷ磁気じきディスクなどは、情報じょうほう時代じだい反映はんえいして年々ねんねん生産せいさん増大ぞうだいし、オーディオ・ビデオとう磁気じきテープの国内こくない生産せいさんがくは1990ねんにピークにたっした(やく32おく平方へいほうメートル)。金額きんがくベースでると、1985ねんやく4941おくえんでピークをむかえたが、以降いこう記録きろくメディアの多様たようにより漸減ぜんげん傾向けいこうである。

太田おおためぐみづくり

磁石じしゃく歴史れきし

磁石じしゃくてつけることはふるくからられていた。古代こだいギリシアでは怪力かいりきかみへラクレスのをつけ、磁石じしゃくを「ヘラクレスいし」とよんだといわれる。ローマのルクレティウスは『もの本質ほんしつについて』で磁石じしゃく反発はんぱつりょくれている。古代こだい中国ちゅうごくでははり方向ほうこうあたえるいしとしてもられていた。マグネット(磁石じしゃく)の語源ごげんは、天然てんねん磁石じしゃくである磁鉄鉱じてっこう産出さんしゅつとしてられたリディアマグネシア地方ちほう由来ゆらいするともいわれ、中国ちゅうごくでは磁石じしゃく引力いんりょく慈母じぼ子供こどもせるのに見立みたてて「慈石」ともいった。

 磁石じしゃく実用じつようてきもちいられることはほとんどなく、むしろものうごかす磁石じしゃくには霊魂れいこんがあるとしんじられたり、ニンニクによってそのちからうしなわれるとされ、呪術じゅじゅつ(じゅじゅつ)・秘術ひじゅつてきなものとされた。古代こだい中国ちゅうごくではうらないにもちいられ、やがて方位ほうい道具どうぐとして使つかわれはじめた。ひも(ひも)でつるした磁石じしゃくや、はら磁石じしゃくれた木製もくせい指南しなんぎょなどが記録きろくにある。これが11世紀せいきごろアラビアじんによってヨーロッパにつたわり羅針盤らしんばん(らしんばん)(コンパス)となる。

 磁石じしゃくかんする最初さいしょ実験じっけんてき研究けんきゅうペトルスペレグリヌスおこなった。1269ねんかれは、ふたつの磁極じきょく存在そんざい両極りょうきょくあいだ引力いんりょく斥力せきりょく(せきりょく)の関係かんけい磁石じしゃくつくかたなどをべたしょあらわした。

 中世ちゅうせいにおける商業しょうぎょう発達はったつ交易こうえき拡大かくだいとともに、航海こうかいもそれまでの沿岸えんがん航海こうかいから遠洋えんよう航海こうかいへと拡大かくだいし、あらたな航海こうかいほう天文てんもん航法こうほう必要ひつようとなった。羅針盤らしんばん重要じゅうよう役割やくわりたすが、水面すいめん磁針じしんかべた程度ていど初期しょきのものは補助ほじょてきなものであった。やがて改良かいりょう普及ふきゅうされるとともに、地磁気ちじきへんかく伏角ふっかく発見はっけんみちびき、磁石じしゃくかんする実験じっけんてき研究けんきゅううながした。

 1600ねんギルバートは『磁石じしゃくについて』をあらわした。かれ地球ちきゅう球形きゅうけい磁石じしゃくかんがえ、球状きゅうじょう磁石じしゃくをつくって実験じっけんおこなった。また摩擦まさつ電気でんき引力いんりょく磁石じしゃくのそれを区別くべつし、磁石じしゃく近代きんだい科学かがく対象たいしょうへとえた。ガリレイはギルバートの「よろいそう(がいそう)磁石じしゃく」の作用さよう研究けんきゅうし、金属きんぞくよろい(よろい)をかぶせたすうばい磁力じりょくつよ磁石じしゃくをつくった。

 18世紀せいき後半こうはん、クーロンは磁針じしんかかしも装置そうちかんする研究けんきゅうおこない、一方いっぽう、ガウスやW・E・ウェーバーによって国際こくさい地磁気ちじき観測かんそくもう組織そしきされ、ウェーバーが『地磁気ちじき』(1840)をんだ。19世紀せいきはいり、エルステッドやアンペールらが磁気じき電流でんりゅう関連かんれん研究けんきゅう、やがてスタージョンらが電磁石でんじしゃく発明はつめい、またファラデーはつね磁性じせいたいはん磁性じせいたい存在そんざいあきらかにした。しかし磁石じしゃくそのものの本質ほんしつてき解明かいめいは20世紀せいきはいってからのこととなる。

高橋たかはし智子さとこ

浅沼あさぬまみつるちょ『NとSの世界せかい』(1977・東海大学とうかいだいがく出版しゅっぱんかい)』板倉いたくらきよしせんちょ磁石じしゃく魅力みりょく』(1980・仮説かせつしゃ)』


磁石じしゃく狂言きょうげん
じしゃく

狂言きょうげん曲名きょくめいざつ狂言きょうげんきょうかう途中とちゅう、すっぱ(詐欺さぎ(さぎし)。シテ)にだまされて人買ひとかいの宿屋やどやまれた田舎いなか(いなか)のおとこは、宿やど亭主ていしゅとすっぱのはなしきして事情じじょうさっし、よく未明みめい自分じぶん身代金みのしろきん横取よこどりしてす。いかけてきたすっぱが太刀たち(たち)をいて(き)りつけようとすると、おとこはとっさに磁石じしゃくせいになりすまし、その太刀たちを呑(の)もうと大口おおぐちけてすっぱをたじろがせる。太刀たちさや(さや)におさめると、今度こんどたおれてんだふりをする。あわてたすっぱが太刀たちそな蘇生そせい(そせい)をいのると、おとこがって太刀たちをとり、すっぱをんでいく。このように、すっぱを手玉てだまにとってしまう田舎いなかしゃは、狂言きょうげんではめずらしい。

池田いけだ英悟えいご

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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん磁石じしゃく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

磁石じしゃく (じしゃく)
magnet

磁極じきょくをもつ物体ぶったいのこと。ひろくはこれと同様どうよう磁場じばつく装置そうちふくめる。前者ぜんしゃには,天然てんねんのもの(磁鉄鉱じてっこうなど),人工じんこうてきにフェライトなどに磁化じかあたえてつくったものがある。磁石じしゃくのもつ性質せいしつとしては,おおまかには,てつたいする牽引けんいんせい磁石じしゃくどうしのあいだ相互そうごてき牽引けんいんせい反発はんぱつせい極性きょくせい),きた性質せいしつゆび極性きょくせい)などをあげることができる。古代こだい社会しゃかいでも磁石じしゃく存在そんざいひろ人々ひとびと注意ちゅういをひいていたことはたしかで(中国ちゅうごくかんしては後述こうじゅつ),ギリシアでも,さまざまな呼名よびながあったらしい。たとえば怪力かいりき無双むそう英雄えいゆうヘラクレスのをとったとおもわれる〈ヘラクレスのいしHeracleus〉とか,〈てついしlithos sideritis〉などの呼名よびながあったといわれる。英語えいごのmagnetの語源ごげんもギリシアじんたちの呼名よびなひとつマグネスmagnēsに由来ゆらいするとおもわれるが,それにちかまえのひと発見はっけんしたというせつと,天然てんねん磁石じしゃく産地さんちひとつであるマグネシアMagnēsiaという地名ちめい(ギリシア本土ほんどしょうアジアに同名どうめい2ヵ所かしょがある)にするせつとあって,いまとなってはさだかではない。エジプトでは,太陽たいようかみホルスのちからにちなんで,〈ホルスのほね〉とんでいたらしい。そのmagnēsがもっとも普遍ふへんてき呼名よびなとして普及ふきゅうする。

 磁石じしゃくについての言及げんきゅうは,プラトンの《イオン》,アリストテレスの《霊魂れいこんろん》などにあり,さらに,真空しんくうみとめたデモクリトスからルクレティウスへの古代こだい原子げんしろん系譜けいふなかでも,ちから作用さよう真空しんくうちゅうでもつたえられる(つまり今日きょうのことばでの遠隔えんかく作用さよう場合ばあいれいとして注目ちゅうもくされている。医学いがくてき治癒ちゆりょくがあるという見解けんかいはガレノスにあり,またローマ時代じだい建築けんちくなかには,えん天井てんじょう磁石じしゃくでつくって,てつぞうを,空中くうちゅうかせることをこころみたものがあるとつたえられている。ルクレティウスが《事物じぶつ本性ほんしょうについて》のなかおこなっている解説かいせつは,独特どくとくのものである。かれはものがえるのは,そのものから微細びさい原子げんし間断かんだんなくながて,視覚しかく刺激しげきするからであるといい,そのアナロジーで,しかしきわめて機械きかいてき説明せつめいくわえる。つまり磁石じしゃくから原子げんし空気くうきをはねばし,そこに空隙くうげき(くうげき)をつくる。そこへてつ原子げんしはいむことによって,てつかたまり結局けっきょく磁石じしゃくのほうにうごいていくという。この説明せつめいでは,なぜてつだけが牽引けんいんされるのかはあきらかにならないが,ルクレティウスはかねのようにおもすぎてうごけないもの,またのようになりあらすぎて,磁石じしゃく原子げんしながれが有効ゆうこう機能きのうしないものがあるとかんがえている。

 そのもイスラム世界せかい西方せいほうラテン世界せかいでの磁石じしゃくたいする関心かんしんつづき,とくに12世紀せいき中国ちゅうごくから指南しなんぎょがイスラム経由けいゆつたえられ,ゆび極性きょくせい注目ちゅうもくあつまった。いうまでもなくそれがだい航海こうかい時代じだいのヨーロッパにむすくことになる。ただ,〈サガ〉にあらわれるように10世紀せいききたアメリカにわたっていたノルウェーけい人々ひとびとは,ゆびきた磁針じしん使つかっていたとかんがえられており,ヨーロッパでの最初さいしょ羅針盤らしんばん問題もんだいは,やや微妙びみょうである。こうした状況じょうきょうなかから,電気でんきてき現象げんしょうならんでおおくの知見ちけんかさねられた。たとえばルネサンスしんプラトン主義しゅぎ普及ふきゅう最大さいだいちからのあったM.フィチーノには,コハクを摩擦まさつしてられるようなちからと,磁力じりょくとが,ゆびきたりょくというてんことなることを指摘してきした言及げんきゅうがある。このてんはG.カルダーノによってより明確めいかくされた。こうした伝統でんとうのうえにって,磁石じしゃくかんして重要じゅうよう貢献こうけんをしたのがW.ギルバートである。ギルバートの《磁石じしゃくろん》は,一方いっぽうに,きわめて多様たよう実験じっけんおこなうと同時どうじに,もう一方いっぽうで,ルネサンス特有とくゆうしんプラトン主義しゅぎりゅうのアニミズムや神秘しんぴ主義しゅぎつよ意識いしきした著作ちょさくである。ギルバートは,磁気じき電気でんきとはことなることを明白めいはくべている。電気でんきりょく摩擦まさつによる)は,コハクの摩擦まさつによってしょうじた〈発散はっさんeffluvia〉が放出ほうしゅつされ,それをつうじて近接きんせつ作用さようてき牽引けんいんりょくつたわる。ところが磁力じりょくは,一種いっしゅ遠隔えんかく作用さようであって,それは,物体ぶったい内在ないざいするアニマどうしの合体がったいというかたち理解りかいすべきものということになる。そこから,ギルバートの主張しゅちょうとして著名ちょめいな,地球ちきゅうひとつの磁石じしゃくであるという論点ろんてんられる。アリストテレスのように,地球ちきゅう不完全ふかんぜん世界せかいかんがえず,地球ちきゅうもまたアニマをもつひとつの天体てんたいとして理解りかいするコペルニクスせつ同根どうこんしんプラトン主義しゅぎ根本こんぽん原理げんりが,ここにられる。このようにギルバートの磁石じしゃくろんは,一般いっぱん喧伝けんでんされているほど近代きんだいてきでも科学かがくてきでもない。そのてんではコペルニクスせつている。しかしながら,ほとんどどう時代じだいのデカルトの磁石じしゃくろんも,あるいはまたその磁石じしゃくろん同工異曲どうこういきょくといえる。デカルトは,磁気じきエフルウィアせつをとったし,この磁気じき流体りゅうたい仮説かせつ(ルクレティウスの議論ぎろんちかい)は18世紀せいきまで一般いっぱんてきであった。さらに磁気じきのもつ神秘しんぴせいは,F.A.メスマーのような磁気じき治療ちりょうほう動物どうぶつ磁気じきせつ)などにもつながっている。結局けっきょく,19世紀せいき電磁気でんじきがく成立せいりつまで,磁石じしゃくについての明確めいかく説明せつめいあたえられなかったといってよい。
執筆しっぴつしゃ

中国ちゅうごくではまえ3世紀せいき後半こうはんはた始皇帝しこうてい時代じだい宰相さいしょうりょ韋(りよふい)が編集へんしゅうした《りょ春秋しゅんじゅう季秋きしゅう精通せいつうへんに〈慈石はてつきよせる〉とみえる。慈は磁とおとおなじで,てつとするのにたいし,磁石じしゃく慈母じぼにたとえている。そのにもまえ2世紀せいきまつの《淮南ワイナン(えなんじ)》や1世紀せいきまつの《ろん(ろんこう)》などに記載きさいがある。ことにこうかんおうたかしあらわした《ろん衡》には,磁石じしゃくゆび極性きょくせいりそれを利用りようした器具きぐである〈つかさみなみしゃく〉のことにふれている。磁石じしゃくゆび極性きょくせい世界せかいにさきがけて中国人ちゅうごくじんはじめて発見はっけんした。その磁針じしんをつくるようになり,これを木製もくせいさかなはられてみずかべ,方位ほうい指南しなんぎょ考案こうあんされた。最初さいしょはもっぱら地相ちそう家相かそうをみる占師うらないしあいだ使用しようされたが,1100ねんころにはふねそなえられ,後世こうせい羅針盤らしんばん先駆せんくとなった。これが中国ちゅうごく貿易ぼうえき従事じゅうじしたアラビアじんによってヨーロッパにつたえられた。
執筆しっぴつしゃ

磁極じきょくをもつ物体ぶったい,またそれが周囲しゅういにつくるのと同様どうよう磁場じばをつくり装置そうち磁石じしゃくである。つよ磁性じせいたい(フェリ磁性じせいたいふくむ)をもち磁化じかたもつようにしたものを永久えいきゅう磁石じしゃく導線どうせんでコイルをつくり,電流でんりゅうながして磁場じばをつくりすものを電磁石でんじしゃくぶ。電磁石でんじしゃくにはコイルのなかに,つよ磁性じせいたいしん(磁心という)をもつものともたないものとがあり,磁心をもたないものをそらこころコイルとして電磁石でんじしゃく区別くべつする場合ばあいもある。非常ひじょうつよ磁場じばをつくる場合ばあいにはそらこころコイルにだい電流でんりゅうながすが,これにはちょう伝導でんどうたい導線どうせんもちいるちょう伝導でんどう磁石じしゃく非常ひじょう有用ゆうようである。永久えいきゅう磁石じしゃくかたちとしては棒状ぼうじょうのもの,馬蹄ばていがたのもの,あるいはえんいたじょうのものなどがあるが,いずれもSごくおよびNきょくの2種類しゅるい磁極じきょくをもち,同種どうしゅ磁極じきょくあいだには斥力せきりょく異種いしゅ磁極じきょくあいだには引力いんりょくはたらく。はりじょう磁石じしゃく磁針じしんといい,磁針じしん重心じゅうしんささえて自由じゆううごけるようにすると,地球ちきゅうじょう一定いってい方向ほうこうく。地球ちきゅう自身じしんひとつの磁石じしゃくで,北極ほっきょくちかいところにSごく南極なんきょくちかいところにNきょくがあるためである。磁気じき電気でんき対応たいおうさせると,磁極じきょく電荷でんか対応たいおうするものであり,Nごく,Sきょくはそれぞれただしまけ電荷でんか対応たいおうするが,電気でんき場合ばあいことなって,単独たんどく磁極じきょく存在そんざい現在げんざいまでのところつかっておらず,つねにS,Nのたいあらわれる。たとえばひとつのぼう磁石じしゃくふたつのぼう磁石じしゃくけても,あたらしくつくられた断面だんめんには,それぞれの磁石じしゃくがSとNのきょくたいでもつように磁極じきょくあらわれる。このとき断面だんめんあらわれる磁極じきょくはもとの磁極じきょくおなつよさをもつ。永久えいきゅう磁石じしゃく磁極じきょくをもつので,磁石じしゃく内部ないぶにその磁極じきょくによる磁場じば,すなわちはん磁場じばをつくる。このはん磁場じば磁化じか減少げんしょうさせる方向ほうこうはたらく。そらこころコイルの場合ばあいには磁極じきょくはないからはん磁場じば存在そんざいしない。はん磁場じばこうして磁化じかたもつために,永久えいきゅう磁石じしゃくには磁力じりょくおおきい材料ざいりょうのぞましく,一方いっぽう交流こうりゅうもちいる電磁石でんじしゃくの磁心には磁力じりょくちいさいものがのぞましい。

 永久えいきゅう磁石じしゃく代表だいひょうてきなものとしてアルニコけい鋳造ちゅうぞう磁石じしゃくおよびバリウムけいフェライト磁石じしゃくがある。前者ぜんしゃ材料ざいりょう磁石じしゃくこうぞくし,後者こうしゃ酸化さんかぶつ磁石じしゃくである。これらの永久えいきゅう磁石じしゃく材料ざいりょうたん磁区じく微粒子びりゅうし集合しゅうごうたいとして説明せつめいされる。たん磁区じく微粒子びりゅうし磁化じか磁気じきあやかたせいエネルギーのひく方向ほうこう容易よういじく方向ほうこう)の正負せいふどちらかに,全体ぜんたいとしておおきい磁化じかをもつように分布ぶんぷしている。この微粒子びりゅうし磁化じか逆転ぎゃくてんするためにはあやかたせいエネルギーのたかいところ,いわばとうげえねばならず,これが磁力じりょくさだめることになる。アルニコけい鋳造ちゅうぞう磁石じしゃく場合ばあいにはこのあやかたせい形状けいじょう磁気じきあやかたせいに,バリウムけいフェライト磁石じしゃくでは結晶けっしょう磁気じきあやかたせい由来ゆらいし,ともにおおきい磁力じりょくをもつ。
磁気じき →磁区じく →磁性じせい
執筆しっぴつしゃ


磁石じしゃく (じしゃく)

狂言きょうげん曲名きょくめいざつ狂言きょうげん,すっぱもの大蔵おおくら和泉いずみりょうりゅうにある。遠江とおとうみ(とおとうみ)こく見付みつけ(みつけ)から上京じょうきょうするいなかものが,大津おおつ松本まつもと見物けんぶつしていると,にんりを稼業かぎょうとするすっぱがことばたくみにちかづき,いなかもの定宿じょうやどへつれむ。宿やど亭主ていしゅじつ人買ひとかいで,すっぱからいなかもの契約けいやくわす。この相談そうだんぬすきしたいなかものは,先回さきまわりしてかねる。あとをったすっぱが,太刀たちいてげると,いなかものはとっさの機転きてんで,自分じぶん磁石じしゃくせいだとのり,太刀たちをひとくちんでしまうとおどかす。すっぱが太刀たちさやおさめるとたおれてんだふりをする。おどろいたすっぱが太刀たちまくらもとにそなえて蘇生そせいいのっていると,いなかものきゅうがり,太刀たちってすっぱをむ。登場とうじょう人物じんぶつはすっぱ,いなかもの亭主ていしゅの3にんで,すっぱがシテ。磁石じしゃくという題材だいざいに,人身じんしん売買ばいばいちの風俗ふうぞく蘇生そせい呪術じゅじゅつなど,中世ちゅうせい時代じだいしょうかんじさせる狂言きょうげん
執筆しっぴつしゃ

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん磁石じしゃく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

磁石じしゃく
じしゃく
magnet

磁場じばしょうじさせるもの。磁針じしんのこともいう。つよさのひとしいNごく,Sきょくの2つの磁極じきょくをもつ。MKこう,アルニコ,フェライトなど磁力じりょくおおきいつよ磁性じせいたい残留ざんりゅう磁化じか利用りようした永久えいきゅう磁石じしゃくと,軟鉄なんてつしんをもつソレノイド電流でんりゅうつうじて磁場じばをつくる電磁石でんじしゃくとがある。つよ一様いちよう磁場じばるには2つの磁極じきょくめんたがいに平行へいこうにして,わずかのすきまをたもてばよい。これらの磁性じせいたいもちいる磁石じしゃく磁場じばは2~3T (テスラ ) 程度ていど限度げんどで,それ以上いじょう磁場じばをつくるにはそらしんソレノイドだい電流でんりゅうながす。高水たかみずあつでコイルを冷却れいきゃくしながら電流でんりゅうなが電磁石でんじしゃくと,液体えきたいヘリウム温度おんど冷却れいきゃくしたちょう伝導でんどうコイルにだい電流でんりゅうながして 10T以上いじょうつよ磁場じばをつくるちょう伝導でんどう磁石じしゃくがある。

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百科ひゃっか事典じてんマイペディア磁石じしゃく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

磁石じしゃく【じしゃく】

てつきつける程度ていど磁気じきびた物体ぶったい一般いっぱんつよ磁性じせいたいはほかの磁石じしゃくまたは電流でんりゅう磁場じばないくと磁化じかして磁石じしゃく性質せいしつしめすが,残留ざんりゅう磁化じか磁力じりょく磁気じきヒステリシス)のおおきい物体ぶったいはがねとく磁石じしゃくこう)はそとからの磁場じばをとりっても磁石じしゃく性質せいしつのこり,永久えいきゅう磁石じしゃくばれる。永久えいきゅう磁石じしゃくはふつうぼうがた馬蹄ばてい(ばてい)かたち小針こばりじょう磁針じしん),U字形じけい円形えんけい管状かんじょうなどにつくられ,電気でんき計器けいきその利用りようされる。→電磁石でんじしゃく

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普及ふきゅうばん どおり磁石じしゃく」のみ・字形じけい画数かくすう意味いみ

磁石じしゃく】じしやく・じせき

じしゃく。南朝なんちょうそうあわびあきらしろ〕(もんに)いしせい(つく)りてもって衝(しよう)(武器ぶき)を禦(ふせ)ぎ、壤(ていじやう)をのり(ぬ)りてもっばす(かざりとする)。

どおり「磁」の項目こうもく

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化学かがく辞典じてん だい2はん磁石じしゃく」の解説かいせつ

磁石じしゃく
ジシャク
magnet

磁石じしゃく常識じょうしきてきにはてつきつけるぐらいのつよさの磁気じきをもつ物質ぶっしつである.つよ磁性じせいからだフェリ磁性じせいからだでは,残留ざんりゅう磁化じかがあるので磁石じしゃくになるが,磁力じりょくちいさいものは,容易ようい磁化じかうしなわれるので一時いちじ磁石じしゃくといわれる.残留ざんりゅう磁化じか磁力じりょくおおきい磁石じしゃく永久えいきゅう磁石じしゃくとして役立やくだつ.一時いちじ磁石じしゃくにコイルをいたものは電磁石でんじしゃくである.最近さいきん電磁石でんじしゃくちょう伝導でんどうたいもちいたちょう伝導でんどう磁石じしゃくもちいられる.[べつ用語ようご参照さんしょう]希土類きどるい磁石じしゃく

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち磁石じしゃく言及げんきゅう

水運すいうん】より

…このような海運かいうん発展はってんかげには,輸送ゆそう技術ぎじゅつ発達はったつ存在そんざいした。鎌倉かまくら時代じだいまでは,ふねおおきさも前代ぜんだいとあまりかわりなかったが,室町むろまち時代じだいになるとふね大型おおがたして,千石船せんごくぶねもかなり一般いっぱんし,じゅん構造こうぞうせんより構造こうぞうせんへと移行いこうしつつあり,磁石じしゃく使用しようられるようになった。これらを背景はいけいふね賃貸ちんたいその海上かいじょう運行うんこうりきめるうみほう自然しぜん発生はっせいてきまれたが,室町むろまちまつ成立せいりつのいわゆる《廻船かいせん式目しきもく》は当時とうじのヨーロッパのうみほうをしのぐ高度こうど内容ないようをもつものとされる。…

磁石じしゃく】より

前者ぜんしゃには,天然てんねんのもの(磁鉄鉱じてっこうなど),人工じんこうてきにフェライトなどに磁化じかあたえてつくったものがある。磁石じしゃくのもつ性質せいしつとしては,おおまかには,てつたいする牽引けんいんせい磁石じしゃくどうしのあいだ相互そうごてき牽引けんいんせい反発はんぱつせい(極性きょくせい),きた性質せいしつ(ゆび極性きょくせい)などをあげることができる。古代こだい社会しゃかいでも磁石じしゃく存在そんざいひろ人々ひとびと注意ちゅういをひいていたことはたしかで(中国ちゅうごくかんしては後述こうじゅつ),ギリシアでも,さまざまな呼名よびながあったらしい。…

※「磁石じしゃく」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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