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調停(チョウテイ)とは? 意味や使い方 - コトバンク

調停ちょうていみ)チョウテイ

デジタル大辞泉だいじせん調停ちょうてい」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

ちょう‐てい〔テウ‐〕【調停ちょうてい

(スル)
対立たいりつする双方そうほうあいだってあらそいをやめさせること。仲裁ちゅうさい。「いさかいを調停ちょうていする」
紛争ふんそう当事とうじしゃあいだ第三者だいさんしゃ介入かいにゅうして、双方そうほう互譲ごじょう合意ごういのもとに和解わかいさせること。民事みんじ調停ちょうてい家事かじ調停ちょうていなど。
労働ろうどう争議そうぎさいし、労働ろうどう委員いいんかいもうけられる調停ちょうてい委員いいんかい労使ろうし双方そうほう主張しゅちょういて調停ちょうていあん作成さくせいし、その受諾じゅだく勧告かんこくして争議そうぎ解決かいけつはかること。→斡旋あっせんあっせん仲裁ちゅうさい
[類語るいご]仲介ちゅうかい橋渡はしわた仲立なかだ媒介ばいかいかいする世話せわ口利くちき口入くちい口添くちぞ肝煎きもいりきもい斡旋あっせんあっせん周旋しゅうせん紹介しょうかい仲買なかがい媒酌ばいしゃく節介せっかい仲裁ちゅうさいはしわたりをけるわせるなかあいだ

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精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん調停ちょうてい」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

ちょう‐ていテウ‥調停ちょうてい

  1. 名詞めいし
  2. 対立たいりつする両者りょうしゃあいだにはいってあらそいをやめさせること。なかって双方そうほうをまるくおさめること。なかなおりさせること。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「諸国しょこく合同ごうどうしてこれ和解わかい調停ちょうていすべし」(出典しゅってん万国ばんこくしんはなし(1868)〈柳河やなかわはるさんへんさん)
    2. [その文献ぶんけん]〔そうふみわだちでんろん
  3. とくに、民事みんじじょうあるいは家庭かていない紛争ふんそう解決かいけつするため、裁判所さいばんしょなかち、当事とうじしゃ双方そうほうたがいにゆずってもらい、合意ごういのうえで円満えんまん和解わかいをさせること。また、その手続てつづき民事みんじ調停ちょうてい家事かじ調停ちょうてい大別たいべつされる。
    1. [初出しょしゅつ実例じつれい]「其間の調停ちょうていらずして、かれ行為こういついだいひゃくじゅうじょうといしょとなりぬ」(出典しゅってん金色きんいろ夜叉やしゃ(1897‐98)〈尾崎おざき紅葉こうよう)
  4. 斡旋あっせん(あっせん)仲裁ちゅうさいとともに労働ろうどう争議そうぎ解決かいけつ一方いっぽうほう調停ちょうてい委員いいんかい労使ろうし双方そうほう主張しゅちょういて解決かいけつあんつくり、双方そうほう提示ていじして受諾じゅだく勧告かんこくするもの。任意にんい調停ちょうてい強制きょうせい調停ちょうていとがある。

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)調停ちょうてい」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

調停ちょうてい
ちょうてい

一般いっぱんてきには種々しゅじゅ紛争ふんそう解決かいけつにあたり、第三者だいさんしゃ紛争ふんそう当事とうじしゃあいだ斡旋あっせん(あっせん)仲介ちゅうかいして、当事とうじしゃたがいにゆずうことにより合意ごういたっするようにつとめ、その結果けっかあらそいを解決かいけつさせることを目的もくてきとした行為こういをいう。そこで国家こっか機関きかんなどが、調停ちょうていにあたり、法定ほうてい手続てつづきにより処理しょりし、当事とうじしゃ利用りようできるように設置せっちしたのが調停ちょうてい制度せいどである。法律ほうりつじょうは、「調停ちょうてい」の名称めいしょうした紛争ふんそう解決かいけつのための手続てつづきをいう。たとえば、民事みんじじょう調停ちょうてい民事みんじ調停ちょうていほう家事かじ事件じけん手続てつづきほうだい3へん)、労働ろうどうほうじょう調停ちょうてい労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう17じょう以下いか)、自治じち紛争ふんそうじょう調停ちょうてい地方ちほう自治じちほう251じょう)などのほか、国際こくさいあいだ紛争ふんそうについては国際こくさいほうじょう調停ちょうていなどがある。

内田うちだ武吉たけよし加藤かとう哲夫てつお 2016ねん5がつ19にち

民事みんじじょう調停ちょうてい

民事みんじ調停ちょうてい手続てつづきは、裁判所さいばんしょもうけられた調停ちょうてい委員いいんかい仲介ちゅうかいによって、当事とうじしゃあいだ紛争ふんそう解決かいけつのための合意ごうい成立せいりつさせる手続てつづきである。民事みんじ調停ちょうてい広義こうぎ事件じけんぞくするので、特別とくべつさだめがある場合ばあいのぞいて、調停ちょうていかんしてはその性質せいしつはんしないかぎり、「事件じけん手続てつづきほう」(平成へいせい23ねん法律ほうりつだい51ごうだいへん規定きてい準用じゅんようされる(民事みんじ調停ちょうていほう22じょう)。つまり民事みんじ調停ちょうていには、「民事みんじ調停ちょうていほう」(昭和しょうわ26ねん法律ほうりつだい222ごう)に規定きていされている民事みんじ調停ちょうていと、「家事かじ事件じけん手続てつづきほう」(平成へいせい23ねん法律ほうりつだい52ごう)に規定きていされている家事かじ調停ちょうていがある。家事かじ調停ちょうてい後述こうじゅつのごとく、家庭かてい裁判所さいばんしょもうけられた調停ちょうてい委員いいんかい一般いっぱん家庭かていかんする事件じけんについておこな調停ちょうていであり、これ以外いがい民事みんじ事件じけんについては民事みんじ調停ちょうていおこなわれる(たとえば、民事みんじ調停ちょうていほうだい2しょうとくそくでは、宅地たくち建物たてもの調停ちょうてい農事のうじ調停ちょうてい商事しょうじ調停ちょうてい鉱害こうがい調停ちょうてい交通こうつう調停ちょうてい公害こうがいとう調停ちょうていなどにつき規定きていいている)。

 民事みんじ事件じけんについて、紛争ふんそう解決かいけつ訴訟そしょうもとめるか調停ちょうていもとめるかは当事とうじしゃ意思いしまかされている。しかし裁判所さいばんしょ適当てきとうみとめるときは、職権しょっけんをもって事件じけん調停ちょうていすることもできる(民事みんじ調停ちょうていほう20じょう)。民事みんじ調停ちょうてい手続てつづきにおいては、裁判官さいばんかんのなかから地方裁判所ちほうさいばんしょ指定していする調停ちょうてい主任しゅにん1人ひとり学識がくしき経験けいけんしゃのなかから指定していされた2人ふたり以上いじょう調停ちょうてい委員いいんにより構成こうせいされた調停ちょうてい委員いいんかいどうほう5じょう~8じょう)が紛争ふんそう解決かいけつ仲介ちゅうかいをする。その手続てつづきについては厳格げんかくさだめはなく、調停ちょうてい内容ないよう法律ほうりつ依拠いきょしたものでなくてもよい。「当事とうじしゃ互譲ごじょうにより、条理じょうりにかない実情じつじょうそくした解決かいけつはかることを目的もくてき」(どうほう1じょう)としているからである。調停ちょうてい結果けっか当事とうじしゃあいだ合意ごうい成立せいりつし、これを調書ちょうしょ記載きさいしたときは、その記載きさい裁判さいばんじょう和解わかい同一どういつ効力こうりょくゆうする(どうほう16じょう)。また、裁判所さいばんしょは、調停ちょうてい委員いいんかい調停ちょうてい成立せいりつする見込みこみがない場合ばあいでも、相当そうとうであるとみとめるときは、当該とうがい調停ちょうてい委員いいんかい組織そしきする民事みんじ調停ちょうてい委員いいん意見いけんき、当事とうじしゃ双方そうほうのために衡平こうへい考慮こうりょし、いっさいの事情じじょうをみて、職権しょっけんで、当事とうじしゃ双方そうほう申立もうしたての趣旨しゅしはんしない限度げんどで、事件じけん解決かいけつのために必要ひつよう決定けっていをすることができる(どうほう17じょう)。しかしこの決定けっていは、当事とうじしゃまたは利害りがい関係かんけいじんから適法てきほう異議いぎ申立もうしたてがあったときは、その効力こうりょくうしなう(どうほう18じょう)。

 人事じんじについてのあらそいなどの家庭かていかんする事件じけんは、通常つうじょう民事みんじ事件じけんとはことなった性質せいしつをもっているので、公開こうかい法廷ほうていあらそわせることを適当てきとうとしない場合ばあいおおい。そこで、家庭かていかんする事件じけんについては、家事かじ事件じけん手続てつづきほう家事かじ審判しんぱん手続てつづき家事かじ調停ちょうてい手続てつづき規定きていして、家庭かてい裁判所さいばんしょがこれを管轄かんかつしている。審判しんぱん事項じこう家事かじ事件じけん手続てつづきほうだい2へんだい2しょうおよび別表べっぴょう列挙れっきょされているが、それには事件じけん性質せいしつじょうから、調停ちょうていによる解決かいけつてきしない事項じこうどうほう別表べっぴょうだい1)と、調停ちょうていによる解決かいけつ可能かのうである事項じこうどうほう別表べっぴょうだい2)の2種類しゅるいけている。そして審判しんぱん事項じこうは、家庭かてい裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかんにより審判しんぱんによって決着けっちゃくがつけられるが、どうほう別表べっぴょうだい2にさだめられている事件じけんかんしては、家庭かてい裁判所さいばんしょはいつでも職権しょっけん調停ちょうていすることができる。つまり、人事じんじかんする訴訟そしょう事件じけんその一般いっぱん家庭かていかんする事件じけんについては、どうほう別表べっぴょうだい1にさだめられている事件じけんのぞいて、すべて調停ちょうていおこなうことができる。また、このような事件じけんについてうったえを提起ていきしようとするものは、まず家庭かてい裁判所さいばんしょ調停ちょうてい申立もうしたてをしなければならない(どうほう257じょう調停ちょうていまえおけ主義しゅぎ)。この調停ちょうていは、裁判官さいばんかん1にんおよび家事かじ調停ちょうてい委員いいん2にん以上いじょうによって組織そしきされた調停ちょうてい委員いいんかいによっておこなわれる(どうほう248じょう)。以上いじょうのように民事みんじじょう調停ちょうていについては、当事とうじしゃがそれを受諾じゅだくするかかの自由じゆうゆうするとともに、調停ちょうてい条項じょうこうはかならずしも法律ほうりつ依拠いきょしたものである必要ひつようはないてん特色とくしょくがある。

内田うちだ武吉たけよし加藤かとう哲夫てつお 2016ねん5がつ19にち

労働ろうどうほうじょう調停ちょうてい

斡旋あっせん仲裁ちゅうさいなら労使ろうし紛争ふんそう調整ちょうせい手続てつづきひとつ。労働ろうどう委員いいんかいもうけられる調停ちょうてい委員いいんかいが、労使ろうし双方そうほうから事情じじょう聴取ちょうしゅするなど事実じじつ調査ちょうさおこなったのち、調停ちょうていあん作成さくせいし、労使ろうし双方そうほうにこの受諾じゅだくもとめることによって労使ろうし紛争ふんそう調整ちょうせいする手続てつづきである。斡旋あっせんが、労使ろうし双方そうほう主張しゅちょう明確めいかくにし、当事とうじしゃあいだはないをとりなすことによって紛争ふんそう解決かいけつしようとする方法ほうほうであるのとくらべて、調停ちょうていは、調停ちょうていあん作成さくせいして解決かいけつはかてん特徴とくちょうがある。ただし実際じっさいには、斡旋あっせん場合ばあいも「斡旋あっせんあん」を提示ていじして紛争ふんそう解決かいけつはかることもおおく、事実じじつじょう斡旋あっせん調停ちょうていとの差異さいはほとんどなくなってきているといわれる(斡旋あっせん調停ちょうてい)。このため労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうじょう手続てつづきのうち、調停ちょうてい仲裁ちゅうさいより利用りようされているとはいうものの、要件ようけんゆるやかな斡旋あっせんくらべて利用りようされる割合わりあいはたいへんひくい。調停ちょうてい委員いいんかい作成さくせいした調停ちょうていあんは、労使ろうし受諾じゅだくしたときはじめて拘束こうそくりょくをもつ。このてん、いったん仲裁ちゅうさい手続てつづき開始かいし同意どういすれば、仲裁ちゅうさい委員いいんかい判断はんだんにかならず拘束こうそくされる仲裁ちゅうさいことなる。

 調停ちょうてい委員いいんかいは、公益こうえき労働ろうどうしゃ使用しようしゃさんしゃ代表だいひょうする委員いいんから構成こうせいされる。労使ろうし代表だいひょうする調停ちょうてい委員いいん同数どうすうでなければならないとされ(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう20じょう)、実際じっさいにはおおやけろう使つかいかく1めい調停ちょうてい委員いいんによって調停ちょうてい委員いいんかい構成こうせいされるのが普通ふつうである。このてん仲裁ちゅうさい委員いいんかい公益こうえき委員いいんまたは特別とくべつ調整ちょうせい委員いいんのみから構成こうせいされるのとことなる。しかし斡旋あっせん場合ばあい都道府県とどうふけん労働ろうどう委員いいんかい段階だんかいでは斡旋あっせんいんおおやけろう使つかいかく1めい指名しめいされることがだい多数たすうであるため、このてんでも実際じっさいじょう調停ちょうてい委員いいんかいおな構成こうせいとなっている。調停ちょうてい委員いいんは、労働ろうどう委員いいんかい会長かいちょうが、労働ろうどう委員いいんかいおおやけろう使つかいかく委員いいんおよび特別とくべつ調整ちょうせい委員いいんのなかから指名しめいする。

 調停ちょうてい開始かいしされるのは、
(1)労使ろうし双方そうほう調停ちょうてい申請しんせいした場合ばあい
(2)労働ろうどう協約きょうやくさだめにもとづいて、労使ろうし双方そうほうまたは一方いっぽう調停ちょうてい申請しんせいした場合ばあい
(3)公益こうえき事業じぎょうで、労使ろうし一方いっぽう調停ちょうてい申請しんせいした場合ばあい
(4)公益こうえき事業じぎょうかんして労働ろうどう委員いいんかい職権しょっけん調停ちょうてい開始かいし決議けつぎした場合ばあい
(5)公益こうえき事業じぎょう、または公益こうえきいちじるしい障害しょうがいおよぼす事件じけんについて、厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんまたは知事ちじ調停ちょうてい請求せいきゅうした場合ばあい
である。

 (1)(2)のように労使ろうし双方そうほう自発じはつてき意思いしもとづいて(調停ちょうてい申請しんせい一方いっぽうがしても、事前じぜん労働ろうどう協約きょうやく合意ごういしている場合ばあいふくめて)調停ちょうてい開始かいしされる場合ばあい任意にんい調停ちょうていといい、(3)~(5)のように、当事とうじしゃ一方いっぽうまたは双方そうほう意思いしわずに調停ちょうてい開始かいしされる場合ばあい強制きょうせい調停ちょうていという。強制きょうせい調停ちょうていは、前述ぜんじゅつのように公益こうえき事業じぎょうまたは公益こうえきいちじるしい障害しょうがいおよぼす場合ばあいのほか、特定とくてい独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじんとうおよび地方ちほう公営こうえい事業じぎょうについてもみとめられている(行政ぎょうせい執行しっこう法人ほうじん労働ろうどう関係かんけいかんする法律ほうりつ27じょう地方ちほう公営こうえい企業きぎょう労働ろうどう関係かんけいほう14じょう)。

 調停ちょうてい委員いいんかいは、調停ちょうてい申請しんせいなどがあったから15にち以内いない調停ちょうていあん作成さくせいするものとされ、作成さくせいされた調停ちょうていあんは、当事とうじしゃしめされて10日とおか以内いない期限きげんして受諾じゅだく勧告かんこくされる(労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう26じょうどう施行しこうれい10じょう)。必要ひつよう場合ばあいには調停ちょうていあん公表こうひょうされ、世論せろんちからうったえることもある。

木下きのした秀雄ひでお吉田よしだ美喜夫みきお

自治じち紛争ふんそうじょう調停ちょうてい

普通ふつう地方ちほう公共こうきょう団体だんたい都道府県とどうふけん市町村しちょうそん相互そうごあいだまたはその機関きかん相互そうごあいだ(たとえば、議会ぎかい執行しっこう機関きかん執行しっこう機関きかん相互そうごあいだなど)に紛争ふんそうがある場合ばあいに、自治じち紛争ふんそう調停ちょうてい委員いいんによりなされる調停ちょうてい制度せいど地方ちほう自治じちほう251じょう)。都道府県とどうふけんまたはその機関きかん当事とうじしゃになるものについては総務そうむ大臣だいじん、それ以外いがいもの当事とうじしゃになるものについては都道府県とどうふけん知事ちじが、当事とうじしゃ申請しんせいもとづき、または職権しょっけんにより調停ちょうていする。これには強制きょうせいりょくはない。このほか、市町村しちょうそん境界きょうかいかんする争論そうろん地方ちほう公営こうえい企業きぎょう経営けいえいかんする地方ちほう公共こうきょう団体だんたいあいだ紛争ふんそう市町村しちょうそん合併がっぺいともなそうろん調停ちょうていについては、それぞれ別個べっこ制度せいどがある。

阿部あべ泰隆やすたか

国際こくさいほうじょう調停ちょうてい

国際こくさい紛争ふんそう平和へいわてき解決かいけつするために、とくにそのためにもうけられた独立どくりつ機関きかん紛争ふんそう当事とうじこく主張しゅちょう調和ちょうわはかることをいう。仲介ちゅうかい居中きょちゅう調停ちょうてい(きょちゅうちょうてい))が第三国だいさんごく介入かいにゅうによる紛争ふんそう解決かいけつ方法ほうほうであるのにたいし、調停ちょうてい独立どくりつ委員いいん構成こうせいされる機関きかん介入かいにゅうによる方法ほうほうである。また国際こくさい裁判さいばん原則げんそくとしてほう基準きじゅんとしておこなわれ、判決はんけつ法的ほうてき拘束こうそくりょくゆうするのにたいして、調停ちょうていはかならずしもほう基準きじゅんとせず、かつ解決かいけつあんたんなる勧告かんこくにとどまる。調停ちょうてい機関きかんたる委員いいんかいは、紛争ふんそうのつど設置せっちされることも、常設じょうせつてき設置せっちされていることもある。

 国際こくさい調停ちょうてい構想こうそう登場とうじょうしたのは、アメリカの締結ていけつした1911ねんノックス条約じょうやくや、1913ねんブライアン条約じょうやく最初さいしょであるが、1924ねんごろからおおくの調停ちょうてい条約じょうやくむすばれ、1928ねん国際こくさい紛争ふんそう平和へいわてき処理しょり一般いっぱん議定ぎていしょのなかでも、調停ちょうてい制度せいど重要じゅうよう地位ちいあたえられた。実際じっさい調停ちょうていされた紛争ふんそうおおくはないが、ふたたび調停ちょうてい制度せいど評価ひょうかする傾向けいこうがみられる。たとえば海洋かいようほう条約じょうやくでは、紛争ふんそう強制きょうせいてき解決かいけつ手続てつづきならんで、あるしゅ紛争ふんそうについては当事とうじこく選択せんたくにより調停ちょうていによる解決かいけつ手続てつづきみとめ、条約じょうやくほう条約じょうやくでは条約じょうやく無効むこう終了しゅうりょうかんする紛争ふんそうについては調停ちょうてい委員いいんかい付託ふたくするものとされ、また、国際こくさい人権じんけん規約きやく(B規約きやく)では、人権じんけん委員いいんかいによって解決かいけつされない紛争ふんそうについては特別とくべつ調停ちょうてい委員いいんかい付託ふたくするものとされている。

石本いしもと泰雄やすお

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改訂かいてい新版しんぱん 世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん調停ちょうてい」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

調停ちょうてい (ちょうてい)

第三者だいさんしゃ紛争ふんそう当事とうじしゃ仲介ちゅうかい合意ごうい成立せいりつせしめることにより紛争ふんそう解決かいけつする制度せいど。〈和解わかい斡旋あっせん〉ということもある。第三者だいさんしゃ判断はんだん当事とうじしゃ拘束こうそくする制度せいど訴訟そしょう仲裁ちゅうさい)や,第三者だいさんしゃ介入かいにゅうしない民法みんぽうじょう和解わかいとはことなる。

裁判所さいばんしょ関与かんよする調停ちょうていのうち,身分みぶんじょう紛争ふんそうにつき家庭かてい裁判所さいばんしょおこな家事かじ調停ちょうてい以外いがいの,一般いっぱん財産ざいさんじょう紛争ふんそうにつき通常つうじょう裁判所さいばんしょおこな調停ちょうていのみをここで説明せつめいする。民事みんじ調停ちょうていは,民事みんじ紛争ふんそうを,当事とうじしゃたがいにゆずい,条理じょうりにかない,実情じつじょうそくした合意ごういにより解決かいけつすることを目的もくてきとする手続てつづきである(民事みんじ調停ちょうていほう1じょう)。

 調停ちょうてい手続てつづきは,一方いっぽう当事とうじしゃ裁判所さいばんしょたいする申立もうしたてによって開始かいしされるのが通常つうじょうであるが,うったえの提起ていきけた受訴裁判所さいばんしょ職権しょっけんにより開始かいしされることもある(2,20じょう)。調停ちょうていは,裁判官さいばんかん単独たんどくおこなうこともあるが,原則げんそくとして,1めい裁判官さいばんかんと2めい以上いじょう調停ちょうてい委員いいん民間みんかんじん)により構成こうせいされる調停ちょうてい委員いいんかいおこなう(4~7じょう)。調停ちょうていは,紛争ふんそう法規ほうきにより裁断さいだんするのではなく,当事とうじしゃにとり納得なっとくのいく合意ごういによる円満えんまん解決かいけつはかるのが目的もくてきであるから,一般いっぱん民間みんかんじん関与かんよさせることはその目的もくてきにかなう。しかし,調停ちょうてい委員いいんは,常識じょうしきてき法律ほうりつ知識ちしきゆうし,正義せいぎ公平こうへい感覚かんかく良識りょうしきじんをもってあてねば,調停ちょうてい実効じっこう発揮はっきしがたい。手続てつづき開始かいしにより,申立もうしたてじんとその相手方あいてがた調停ちょうてい当事とうじしゃとなる。調停ちょうてい結果けっか利害りがい関係かんけいゆうするものは,その参加さんかまたは調停ちょうてい委員いいんかい決定けっていにより参加さんかじんとなる(11じょう)。調停ちょうてい委員いいんかい呼出よびだしをけたものは,原則げんそくとして本人ほんにん出頭しゅっとうしなければならない。呼出よびだしをけた当事とうじしゃ参加さんかじん正当せいとう理由りゆうなくして出頭しゅっとうしないときは,罰則ばっそく制裁せいさいける(34じょう)。調停ちょうてい委員いいんかいは,非公開ひこうかい期日きじつにおいて,合意ごうい成立せいりつ基礎きそとなる事実じじつ調査ちょうさする一方いっぽう当事とうじしゃ話合はなしあいによる合意ごうい形成けいせい斡旋あっせんしなければならない。相当そうとう内容ないようゆうする合意ごうい成立せいりつすれば,調書ちょうしょ記載きさいされ,その記載きさい債務さいむ名義めいぎ効力こうりょくゆうする。合意ごうい成立せいりつ見込みこみがなければ手続てつづき終了しゅうりょうとなるが,裁判所さいばんしょは,調停ちょうてい委員いいんかい意見いけんき,当事とうじしゃ双方そうほう申立もうしたての趣旨しゅしはんしない範囲はんいで,合意ごういわる決定けっていをすることができる。これは,当事とうじしゃおよび利害りがい関係かんけいじん異議いぎ申立もうしたてにより失効しっこうしないかぎり,債務さいむ名義めいぎ効力こうりょくゆうする(14~18じょう)。

 調停ちょうてい日本にっぽんさかんに利用りようされているが,その原因げんいんについては,日本人にっぽんじん権利けんり意識いしきひくいからであるとの見解けんかいもあるが,(1)訴訟そしょうよりはやい,(2)一刀両断いっとうりょうだんてき解決かいけつでないからあとにしこりがのこらない,(3)調停ちょうてい委員いいんにじっくりはなしいてもらえるなどのメリットが指摘してきされている。
家事かじ調停ちょうてい
執筆しっぴつしゃ

労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう(17~28じょう)などによる(国営こくえい企業きぎょう労働ろうどう関係かんけいほう地方ちほう公営こうえい企業きぎょう労働ろうどう関係かんけいほうもっと重要じゅうよう労働ろうどう争議そうぎ調整ちょうせい方法ほうほう労働ろうどう争議そうぎ調整ちょうせい制度せいど)。労使ろうしあいだ発生はっせいする労働ろうどう争議そうぎ自主じしゅてき解決かいけつ原則げんそくであり,理想りそうであるが,これが困難こんなん場合ばあいに,第三者だいさんしゃたる公的こうてき機関きかん争議そうぎ解決かいけつへの助力じょりょくをすることも有益ゆうえきである。調停ちょうていは,労働ろうどう委員いいんかい会長かいちょう指名しめいするどう委員いいんかい労働ろうどうしゃ使用しようしゃ公益こうえき代表だいひょうする委員いいんまたは特別とくべつ調整ちょうせい委員いいんによるさんしゃ構成こうせい調停ちょうてい委員いいんかいが,関係かんけい当事とうじしゃ意見いけん聴取ちょうしゅしたうえで調停ちょうていあん作成さくせいし,労使ろうし双方そうほうにその受諾じゅだく勧告かんこくして紛争ふんそう解決かいけつをはかる方法ほうほうである。これはさんしゃ構成こうせい委員いいんかいにより調停ちょうていあん作成さくせいされるてん斡旋あっせんことなり,いかなる場合ばあいにも関係かんけい当事とうじしゃ調停ちょうていあん諾否だくひ自由じゆうがあるてん仲裁ちゅうさいことなる。調停ちょうてい開始かいしには2種類しゅるいある。一般いっぱん民間みんかん企業きぎょう労働ろうどう争議そうぎについては,任意にんい調停ちょうてい方式ほうしきがとられ,関係かんけい当事とうじしゃ双方そうほう申請しんせいがある場合ばあいか,労働ろうどう協約きょうやくもとづきその双方そうほうまたは一方いっぽう申請しんせいがある場合ばあいのほかは,開始かいしされない。しかし,事業じぎょう公共こうきょうせいがある公益こうえき事業じぎょう労働ろうどう争議そうぎについては,このほか,関係かんけい当事とうじしゃ一方いっぽうだけの申請しんせい労働ろうどう委員いいんかい職権しょっけんによる決議けつぎ労働ろうどう大臣だいじん船員せんいん運輸うんゆ大臣だいじん海上かいじょう労働ろうどう船員せんいんほう))か都道府県とどうふけん知事ちじ請求せいきゅうによっても開始かいしされる。また,労働ろうどう大臣だいじんらの請求せいきゅうによる開始かいしは,事件じけん規模きぼおおきいか,特別とくべつ性質せいしつ事業じぎょうかんする公益こうえきいちじるしい障害しょうがいおよぼす事件じけん場合ばあいにもみとめられる。これらの開始かいしについてのみ強制きょうせいする方法ほうほう強制きょうせい調停ちょうていぶ。申請しんせいのあったから15にち以内いない調停ちょうていあん作成さくせいされ,その受諾じゅだく勧告かんこくには10日とおか以内いない期限きげんされる。世論せろんによる争議そうぎ解決かいけつ促進そくしんのために調停ちょうていあん公表こうひょうもできる。調停ちょうていあん当事とうじしゃ双方そうほうにより受諾じゅだくされ争議そうぎ解決かいけつした場合ばあいも,これが拒否きょひされた場合ばあいにも,調停ちょうてい手続てつづき終了しゅうりょうする。

 なお,受諾じゅだくした調停ちょうていあん解釈かいしゃく履行りこうにつきあらそいがある場合ばあいは,調停ちょうてい委員いいんかい見解けんかいしめすことになっており,この場合ばあい一定いってい期間きかん争議そうぎ行為こうい禁止きんしがある。ほうによりもっと中心ちゅうしんてき争議そうぎ調整ちょうせい方式ほうしきとして予定よていされているわりには,現実げんじつ利用りようすくない。当事とうじしゃがより簡便かんべん弾力だんりょくてき斡旋あっせん方式ほうしき選好せんこうするためといわれている。
執筆しっぴつしゃ

当事とうじしゃあいだ紛争ふんそうについて,行政ぎょうせい機関きかんがその専門せんもんてき知識ちしきにより,裁判さいばん手続てつづき比較ひかくして簡易かんい手続てつづきによって解決かいけつする紛争ふんそう処理しょり手続てつづきをいう。法的ほうてき紛争ふんそうは,本来ほんらい司法しほう手続てつづきにより解決かいけつはかられるべきであり,伝統でんとうてき行政ぎょうせいけん私的してき紛争ふんそう介入かいにゅうすることは極力きょくりょくけるべきであるとかんがえられてきたのである(たとえば,警察けいさつ公共こうきょう原則げんそく)。しかし,公害こうがい訴訟そしょうなどにみられるように,被害ひがいしゃ裁判さいばんうったえても,高度こうど科学かがくてき問題もんだいかんする専門せんもんによるおおくの証言しょうげん鑑定かんてい必要ひつようとなり,そのために訴訟そしょう費用ひようがかさみ,解決かいけつまでに長時間ちょうじかんようするために,司法しほう手続てつづき緊急きんきゅう救済きゅうさいとしては十分じゅうぶん機能きのうしないことがすくなくない。そこで,厳格げんかく手続てつづき多大ただい費用ひよう時間じかんようする司法しほう手続てつづきによるのではなく,行政ぎょうせい機関きかんによる簡易かんい手続てつづきで,その行政ぎょうせい専門せんもんせいかした迅速じんそくかつ低廉ていれん紛争ふんそう解決かいけつもとめられるのである。ここに,行政ぎょうせい機関きかんによる簡易かんい迅速じんそく解決かいけつとその反面はんめん公正こうせい妥当だとう紛争ふんそう処理しょり保障ほしょうできる行政ぎょうせいじょう調停ちょうてい存在そんざい理由りゆうがある。(1)わたし人間にんげん紛争ふんそう解決かいけつのための行政ぎょうせいじょう調停ちょうていとしては,労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほうさだめる労働ろうどう争議そうぎ調停ちょうてい公害こうがい紛争ふんそう処理しょりほうもとづく公害こうがい紛争ふんそう調停ちょうていなどがある。これらの行政ぎょうせいじょう調停ちょうていでは,紛争ふんそう簡易かんい迅速じんそく解決かいけつ行政ぎょうせい機関きかん専門せんもんせい活用かつよう手続てつづき公正こうせい妥当だとうせい確保かくほのために,労働ろうどう委員いいんかい公害こうがいとう調整ちょうせい委員いいんかいとう調停ちょうていにあたる機関きかん職権しょっけん行使こうし独立どくりつせい中立ちゅうりつせいについて配慮はいりょされている。(2)地方ちほう自治じちほうじょう普通ふつう地方ちほう公共こうきょう団体だんたい相互そうごあいだ紛争ふんそうのほか,議会ぎかい執行しっこう機関きかん執行しっこう機関きかん相互そうごのような普通ふつう地方ちほう公共こうきょう団体だんたい機関きかん相互そうごあいだ紛争ふんそうについて,自治じち紛争ふんそう調停ちょうてい制度せいどもうけられている(地方ちほう自治じちほう251じょう)。また,市町村しちょうそん境界きょうかいかんするあらそいについては,関係かんけい市町村しちょうそん申請しんせいもとづき知事ちじ調停ちょうていする手続てつづきがある(9じょう1こう)。
執筆しっぴつしゃ

独立どくりつ第三者だいさんしゃ国際こくさい紛争ふんそう争点そうてん審査しんさし,紛争ふんそう当事とうじこく主張しゅちょう接近せっきんをはかり,必要ひつよう場合ばあいには適当てきとうみとめる紛争ふんそう解決かいけつ条件じょうけん当事とうじこく勧告かんこくして紛争ふんそう処理しょりする手続てつづき国際こくさい調停ちょうてい制度せいどは,おもにだい1大戦たいせん発展はってんしたものであり,裁判さいばんことなりかならずしもほう基準きじゅんとすることを必要ひつようとせず,政治せいじてきかつ中立ちゅうりつてき性格せいかくをもつ国際こくさい調停ちょうてい委員いいんかい審査しんさ結果けっか紛争ふんそう解決かいけつ条件じょうけん勧告かんこく当事とうじこく法的ほうてき拘束こうそくする効力こうりょくをもたない。これと類似るいじする手続てつづき居中きょちゅう調停ちょうてい仲介ちゅうかい)があるが,それは国際こくさい紛争ふんそう解決かいけつのために第三国だいさんごく交渉こうしょう内容ないようってりょう当事とうじこくあいだ和解わかい努力どりょくすることである。他方たほう調停ちょうていはとくにそのためにもうけられた独立どくりつ国際こくさい機関きかん紛争ふんそう公平こうへい審査しんさし,紛争ふんそう解決かいけつ条件じょうけん当事とうじこく勧告かんこくする制度せいどである。だい1大戦たいせん国際こくさい調停ちょうてい一般いっぱんてき制度せいどにもかかわらず,これもあまり利用りようされず,調停ちょうてい委員いいんかい紛争ふんそう付託ふたくされたれいは1937ねんまでに4けんにすぎない。しかし,だい2大戦たいせんは,国際こくさい調停ちょうていへの認識にんしき以前いぜんくらべかなりたかまってきている。
執筆しっぴつしゃ

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百科ひゃっか事典じてんマイペディア調停ちょうてい」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

調停ちょうてい【ちょうてい】

一般いっぱんには,第三者だいさんしゃ紛争ふんそう当事とうじしゃ仲介ちゅうかい譲歩じょうほさせて和解わかい示談じだんによって紛争ふんそう解決かいけつはかることをいうが,今日きょうでは,とく国家こっか制度せいどとしておこなうものをさす。(1)民事みんじじょうは,家庭かてい事件じけんかんする家事かじ調停ちょうていと,その民事みんじ事件じけんかんする民事みんじ調停ちょうていがあり,裁判官さいばんかんのほかに民間みんかんじんたる調停ちょうてい委員いいんくわえた調停ちょうてい委員いいんかい斡旋あっせん(あっせん)する。当事とうじしゃ互譲ごじょうによる解決かいけつ不調ふちょう場合ばあい一定いってい要件ようけんした強制きょうせい調停ちょうていみとめられる。調停ちょうてい成立せいりつしたときは確定かくてい判決はんけつおな効力こうりょくみとめられる。訴訟そしょうなら重要じゅうよう私的してき紛争ふんそう処理しょり機能きのうたしている。(2)労働ろうどう争議そうぎ調整ちょうせい手段しゅだんひとつ。日本にっぽんでは労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう一般いっぱんてき規定きていがあり,労働ろうどう委員いいんかい調停ちょうてい委員いいんかい同数どうすう労働ろうどうしゃ使用しようしゃ公益こうえき代表だいひょう構成こうせい)をつくりこれをおこなう。調停ちょうてい委員いいんかい当事とうじしゃ主張しゅちょうもとづいて調停ちょうていあん作成さくせいし,その受諾じゅだく勧告かんこくするが,受諾じゅだくするかかは当事とうじしゃ意思いしにまかされる。当事とうじしゃ双方そうほう申請しんせい労働ろうどう協約きょうやくさだめにもとづく場合ばあい一方いっぽうのみでも)により開始かいしされる任意にんい調停ちょうていと,労働ろうどう委員いいんかい職権しょっけんもとづき開始かいしされる強制きょうせい調停ちょうていがある。→斡旋あっせん仲裁ちゅうさい(3)国際こくさいほうじょう紛争ふんそう解決かいけつ手段しゅだんひとつ。→国際こくさい調停ちょうてい
関連かんれん項目こうもく職権しょっけん調停ちょうてい中央ちゅうおう労働ろうどう委員いいんかい労働ろうどう争議そうぎ

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ブリタニカ国際こくさいだい百科ひゃっか事典じてん しょう項目こうもく事典じてん調停ちょうてい」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

調停ちょうてい
ちょうてい
conciliation; Schlichtung

当事とうじしゃあいだ紛争ふんそうがある場合ばあいに,第三者だいさんしゃ仲介ちゅうかいして当事とうじしゃあいだ合意ごういりたせることによって,紛争ふんそう解決かいけつをはかる制度せいど。 (1) 民事みんじ家事かじ紛争ふんそうについての調停ちょうてい手続てつづきは,民事みんじ調停ちょうていほう (昭和しょうわ 26ねん法律ほうりつ 222ごう) と,家事かじ調停ちょうていについての家事かじ審判しんぱんほう (昭和しょうわ 22ねん法律ほうりつ 152ごう) に規定きていされ,裁判官さいばんかんのほかに民間みんかんじん調停ちょうてい委員いいんくわえた調停ちょうてい委員いいんかいおこなうのが原則げんそくである。 (→家事かじ審判しんぱん , 民事みんじ調停ちょうてい , 宅地たくち建物たてもの調停ちょうてい , 農事のうじ調停ちょうてい ) (2) 労働ろうどうほうじょうは,労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう (昭和しょうわ 21ねん法律ほうりつ 25ごう) により,労働ろうどう争議そうぎ解決かいけつ一方いっぽうほうとして,労働ろうどう委員いいんかい調停ちょうてい委員いいんかい構成こうせいして調停ちょうていおこなう。 (3) 地方ちほう自治じちほうでは,自治じち紛争ふんそう調停ちょうてい委員いいん調停ちょうてい (251じょう) により,普通ふつう地方ちほう公共こうきょう団体だんたい相互そうごあいだまたはその機関きかん相互そうご紛争ふんそうがあるとき,その事件じけんごとに学識がくしき経験けいけんしゃから3にん調停ちょうていしゃ任命にんめいして解決かいけつをはかる。 (4) 公害こうがい関係かんけいでは,公害こうがい紛争ふんそう処理しょりほう (昭和しょうわ 45ねん法律ほうりつ 108ごう) により,内閣ないかく総理そうり大臣だいじん所轄しょかつのもとにおかれた中央ちゅうおう公害こうがいとう調整ちょうせい委員いいんかいまたは都道府県とどうふけん知事ちじ所轄しょかつのもとにおかれる都道府県とどうふけん公害こうがい審査しんさ委員いいんかいもうけた2人ふたり調停ちょうてい委員いいんから調停ちょうてい委員いいんかい紛争ふんそう調停ちょうていおこなう (31~38じょう) 。 (→鉱害こうがい調停ちょうてい , 公害こうがい調停ちょうてい ) (5) 調停ちょうていほうは 1922ねん借地しゃくち借家しゃくや調停ちょうていほうをはじめとして以後いご種々しゅじゅ調停ちょうていほう制定せいていされ,大正たいしょう時代じだいには訴訟そしょうよりもかくたない紛争ふんそう解決かいけつ制度せいどとしておおいに利用りようされた。しかし内実ないじつ深刻しんこく利害りがい立場たちば対立たいりつする事件じけんでも関係かんけいしゃ双方そうほう権利けんり義務ぎむ責任せきにん法的ほうてきにきびしく正確せいかく追及ついきゅうするほう意識いしき育成いくせいめんおくれが批判ひはんされている。その一方いっぽうで,法律ほうりつ先行せんこうがた改革かいかくともな法制ほうせい急速きゅうそく近代きんだい日本にっぽん実情じつじょうとのひらきのおおきさをめる努力どりょく工夫くふうともひょうされる。

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知恵ちえぞう調停ちょうてい」の解説かいせつ

調停ちょうてい

第三者だいさんしゃ仲介ちゅうかいによって当事とうじしゃたがいに譲歩じょうほい、合意ごういもとづいて紛争ふんそう解決かいけつすること。第三者だいさんしゃ(仲裁ちゅうさいじん)の判定はんてい当事とうじしゃ双方そうほうしたがうことをあらかじめやくする仲裁ちゅうさいとはことなる。かつては権利けんり意識いしきひく日本にっぽん独特どくとく紛争ふんそう解決かいけつ方式ほうしきとして否定ひていてきにみられていたが、現在げんざいでは、世界せかいてき裁判さいばんがい紛争ふんそう処理しょり(ADR)方式ほうしき見直みなお傾向けいこうにあり、簡易かんい迅速じんそく現実げんじつてき解決かいけつ方式ほうしきとしてひろ利用りようされている。一般いっぱん民事みんじ紛争ふんそうについて通常つうじょう裁判所さいばんしょおこなわれる民事みんじ調停ちょうていと、家庭かていかんする事件じけんについて家庭かてい裁判所さいばんしょおこなわれる家事かじ調停ちょうていとが代表だいひょうてきなもの。調停ちょうてい委員いいんかい裁判官さいばんかん1人ひとり民間みんかんじん2にん構成こうせいされ、市民しみん司法しほう参加さんか観点かんてんからも注目ちゅうもくされる。労働ろうどう委員いいんかいによる労働ろうどう争議そうぎ調停ちょうてい公害こうがいとう調整ちょうせい委員いいんかいとうによる公害こうがい紛争ふんそう調停ちょうていなども制度せいどされている。

(土井どい真一しんいち 京都きょうと大学だいがく大学院だいがくいん教授きょうじゅ / 2007ねん)

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損害そんがい保険ほけん用語ようごしゅう調停ちょうてい」の解説かいせつ

調停ちょうてい

裁判所さいばんしょもうて、民事みんじじょう紛争ふんそう当事とうじしゃ相互そうご譲歩じょうほすることにより条理じょうりにかなった方法ほうほうおよび実情じつじょうそくした方法ほうほう解決かいけつはか手続てつづきです。正式せいしき裁判さいばんことなり証拠しょうこ調しらべもなく双方そうほう当事とうじしゃ主張しゅちょうもうべ、調停ちょうてい委員いいん内容ないようおうじた妥協だきょうあん提案ていあんあらそいを解決かいけつする方法ほうほうです。双方そうほうがおたがいに主張しゅちょうゆずらないと調停ちょうてい不調ふちょうわりますが、成立せいりつすると確定かくてい判決はんけつ同様どうよう効力こうりょくがあります。調停ちょうてい利点りてんとしては正式せいしき訴訟そしょうくら費用ひよう低額ていがくである、手続てつづきが簡便かんべん比較的ひかくてき短期間たんきかん結論けつろんるなどのてんです。

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産学さんがく連携れんけいキーワード辞典じてん調停ちょうてい」の解説かいせつ

調停ちょうてい

調停ちょうてい」とは、特許とっきょけん侵害しんがいにおける裁判さいばんがい紛争ふんそう解決かいけつ手段しゅだんひとつ。紛争ふんそう当事とうじしゃほかだい3しゃとして調停ちょうていじんはいってもらい、紛争ふんそう解決かいけつ判断はんだんくだしてもらう方法ほうほうのことをす。「調停ちょうてい」をおこなさい調停ちょうていじん判断はんだんには強制きょうせいりょくともなわない。「調停ちょうてい」によって紛争ふんそう解決かいけついたらなかった場合ばあい仲裁ちゅうさい、もしくは民事みんじ裁判さいばん移行いこうするケースがおおい。なお、「調停ちょうてい」は紛争ふんそう当事とうじしゃ調停ちょうていしゃあいだだけの非公開ひこうかいおこなえるてんがメリットである。

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普及ふきゅうばん どおり調停ちょうてい」のみ・字形じけい画数かくすう意味いみ

調停ちょうてい】ちようてい

和解わかい

どおり調しらべ」の項目こうもく

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち調停ちょうてい言及げんきゅう

【噯∥扱】より

中世ちゅうせい近世きんせいにおいて紛争ふんそう解決かいけつのためにおこなわれた仲裁ちゅうさい調停ちょうてい
中世ちゅうせい
 日本にっぽん中世ちゅうせい社会しゃかい紛争ふんそう解決かいけつ手段しゅだんとして,一般いっぱんてきおこなわれたのは,紛争ふんそう当事とうじしゃが,ちゅうじん(仲人なこうど)(ちゆうにん),扱衆,異見いけんしゅ立入たちいりしゅ批判ひはんしゅなどとばれた第三者だいさんしゃ(単数たんすうまたは複数ふくすう)に解決かいけつをゆだね,その調停ちょうていによって和解わかいする噯(ちゅうじんせい)であった。…

裁判さいばん】より

…そして,この和解わかい第三者だいさんしゃ関与かんよしたおこなわれ,かつ第三者だいさんしゃ自己じこ判断はんだん当事とうじしゃしめし,または同意どういうながすという場合ばあいがある。このような場合ばあいに,和解わかいざした第三者だいさんしゃ活動かつどう調停ちょうていばれるが,これは,第三者だいさんしゃ法的ほうてき判断はんだん多少たしょうとも権威けんいをもって当事とうじしゃしめされるかぎりにおいて,裁判さいばんじゅんずるものといってよい。その意味いみで,日本にっぽん民事みんじ調停ちょうてい手続てつづきがしばしば〈調停ちょうてい裁判さいばん〉と俗称ぞくしょうされるのはかならずしも的外まとはずれとはいえない。…

訴訟そしょう】より

…このような,当事とうじしゃについて手続てつづきじょうはらわれる配慮はいりょ手続てつづき保障ほしょうといい,そのような保障ほしょうける当事とうじしゃ地位ちいをとくに当事とうじしゃけんしょうし,憲法けんぽう保障ほしょうされた〈裁判さいばんける権利けんり〉の重要じゅうよう一部いちぶをなすものであるとされている。
調停ちょうてい仲裁ちゅうさいなどとのちがい]
 上述じょうじゅつしたように,刑事けいじ訴訟そしょうにおいては,人権じんけん尊重そんちょう趣旨しゅしから当事とうじしゃ主義しゅぎてき訴訟そしょう構造こうぞうをとることが要請ようせいされている以上いじょう刑罰けいばつけん確定かくていするには,刑事けいじ訴訟そしょうほうによって規律きりつされている刑事けいじ訴訟そしょうによらなければならない。しかし,民事みんじ訴訟そしょうあつか私人しじんあいだ紛争ふんそうは,元来がんらい当事とうじしゃたる私人しじん自由じゆう処分しょぶんすることができる権利けんり利益りえきについてであるから,当事とうじしゃあいだ自主じしゅてき話合はなしあいをし和解わかいができれば,それにこしたことはない。…

仲裁ちゅうさい】より

あらそいの当事とうじしゃ双方そうほうが,あらそいの解決かいけつ第三者だいさんしゃにゆだね,それにもとづいてなされた第三者だいさんしゃ判断はんだん当事とうじしゃ拘束こうそくすることにより紛争ふんそう解決かいけついた制度せいど仲裁ちゅうさい当事とうじしゃ合意ごういにより紛争ふんそう解決かいけつされる調停ちょうてい当事とうじしゃ一方いっぽう申立もうしたてにもとづき,国内こくないのまたは国際こくさいてき裁判所さいばんしょ強制きょうせいてき紛争ふんそう解決かいけつする訴訟そしょうとはことなる(国際こくさいほうじょう仲裁ちゅうさい裁判さいばんについては〈国際こくさい裁判さいばん〉のこう参照さんしょう)。
民事みんじじょう仲裁ちゅうさい
 民事みんじじょう仲裁ちゅうさいには,〈公示こうじ催告さいこく手続てつづき及ビ仲裁ちゅうさい手続てつづきせきスル法律ほうりつ〉のさだめるもののほか,制定せいていほうじょうのものとして公害こうがい紛争ふんそう処理しょりほう(1970公布こうふ)および建設けんせつ業法ぎょうほう(1949公布こうふ)によるものがあるが,ここでは前者ぜんしゃのみ説明せつめいする。…

民事みんじ訴訟そしょう】より

私人しじんあいだ紛争ふんそう裁判所さいばんしょ裁判さいばんによって解決かいけつする手続てつづきであり,ほうしたがってすすめられるものである。調停ちょうてい仲裁ちゅうさい和解わかい(示談じだん)などとならわたし人間にんげん紛争ふんそう解決かいけつする手続てつづきである。なお〈刑事けいじ訴訟そしょう〉〈訴訟そしょう〉のこう参照さんしょうされたい。…

労働ろうどう関係かんけい調整ちょうせいほう】より

… 労働ろうどう委員いいんかいによる各種かくしゅ調整ちょうせい手続てつづきは,本法ほんぽう2しょう~4しょうの2が規定きていする。通常つうじょう調整ちょうせい手続てつづきとしては,斡旋あっせん(2しょう),調停ちょうてい(3しょう),仲裁ちゅうさい(4しょう)の3種類しゅるい方法ほうほうがある。斡旋あっせんもっと融通ゆうずうのきく柔軟じゅうなんでダイナミックな調整ちょうせい方法ほうほうであり,現在げんざい,これら3しゅ公的こうてき調整ちょうせいのうちでいちばん利用りようされ,じつ労働ろうどう委員いいんかい調整ちょうせいによる争議そうぎ解決かいけつの9わり以上いじょう斡旋あっせん方式ほうしきによっている。…

労働ろうどう争議そうぎ調整ちょうせい制度せいど】より

ひとつは,労働ろうどうしゃ個々人ここじん使用しようしゃとのあいだ個別こべつてき労働ろうどう関係かんけい発生はっせいする個別こべつてき労働ろうどう争議そうぎ対象たいしょうとする調整ちょうせい制度せいどであり,もうひとつは,労働ろうどうしゃ集団しゅうだん団体だんたい(とりわけ労働ろうどう組合くみあい)と使用しようしゃ使用しようしゃ団体だんたいとのあいだ集団しゅうだんてき労働ろうどう関係かんけい発生はっせいする集団しゅうだんてき労働ろうどう争議そうぎ対象たいしょうとする調整ちょうせい制度せいどである。 個別こべつてき労働ろうどう争議そうぎ調整ちょうせいのためには,国家こっかてき制度せいどとして,労使ろうし紛争ふんそう以外いがい一般いっぱん紛争ふんそう解決かいけつ場合ばあい同様どうように,通常つうじょう裁判所さいばんしょ司法しほうてき調停ちょうてい仲裁ちゅうさい機関きかんによる解決かいけつもとめる方法ほうほう,または,所轄しょかつ通常つうじょう行政ぎょうせい機関きかんによる解決かいけつもとめる方法ほうほうのほか,労使ろうし紛争ふんそう解決かいけつのためにとくにもうけられた労働ろうどう裁判所さいばんしょとか労働ろうどう委員いいんかいなどのような特別とくべつ裁判所さいばんしょ行政ぎょうせい機関きかんによる解決かいけつもとめる方法ほうほうがある。日本にっぽんでは,たとえば賃金ちんぎん支払しはらい不満ふまんをもつ労働ろうどうしゃ使用しようしゃとのあいだ自主じしゅてき解決かいけつ期待きたいできないとみた場合ばあいには,通常つうじょう裁判所さいばんしょうったえを提起ていきできる(一般いっぱん民事みんじ調停ちょうていなどのあつかいにはならない)。…

※「調停ちょうてい」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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