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近代経済学(キンダイケイザイガク)とは? 意味や使い方 - コトバンク

近代きんだい経済けいざいがくみ)キンダイケイザイガク

デジタル大辞泉だいじせん近代きんだい経済けいざいがく」の意味いみみ・例文れいぶん類語るいご

きんだい‐けいざいがく【近代きんだい経済けいざいがく

1870年代ねんだい以降いこうオーストリア学派がくはローザンヌ学派がくはケンブリッジ学派がくはケインズ経済けいざいがくなどの経済けいざいがく総称そうしょうマルクス経済けいざいがくたいする用語ようごきんけい

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きんだい‐けいざいがく【近代きんだい経済けいざいがく

  1. 名詞めいし いちはちなな年代ねんだい以後いごの(マルクス主義しゅぎてきな)経済けいざいがく総称そうしょうミクロ経済けいざいがくマクロ経済けいざいがくよりり、また理論りろんてき基礎きそ計量けいりょうてき基礎きそった政策せいさく提言ていげんへの志向しこうつ。

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日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)近代きんだい経済けいざいがく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

近代きんだい経済けいざいがく
きんだいけいざいがく

マルクス経済けいざいがくたいする用語ようご近代きんだい経済けいざいがくというかたり対応たいおうする英語えいごはmodern economicsであるが、欧米おうべいにはこのかたりに、近代きんだい経済けいざいがくあるいは現代げんだい経済けいざいがくという、通常つうじょう意味いみ以外いがい特殊とくしゅ意味いみをもたせる用語ようごほうはない。しかし、日本にっぽんでは、だい世界せかい大戦たいせんのおおよそ1950年代ねんだいのなかばごろに、近代きんだい経済けいざいがくというかたり特殊とくしゅ用語ようごほう定着ていちゃくした。すなわち、早坂はやさかただし(ただし)(1931―1995)によれば「1870年代ねんだい初頭しょとうにおこった限界げんかい革命かくめいから今日きょういたるまでの、歴史れきし学派がくは制度せいど学派がくはとをのぞく、マルクスけい経済けいざいがくほぼ全体ぜんたいを、一口ひとくち近代きんだい経済けいざいがくぶ」(「『近代きんだい経済けいざいがく』とはなにか」)のである。

 近代きんだい経済けいざいがくのこの特殊とくしゅ用語ようごほうは、「きんけい」と略称りゃくしょうされ、「きんけい」と「マルけい」(マルクスけい経済けいざいがく略称りゃくしょう)というふたつの経済けいざいがく観念かんねんは、大学だいがく経済けいざいがくカリキュラムふたつの講義こうぎ併置へいちするというかたちで、また学会がっかいふたつの学会がっかい設立せつりつされるというかたちで、いわば制度せいどされた。

 もっとも、このたぐいの先駆せんくというべきものが、すでに1927ねん昭和しょうわ2)に、東京とうきょう商科しょうか大学だいがくげん一橋大学ひとつばしだいがく)の「経済けいざい原論げんろん」の講義こうぎにあった(福田ふくだ徳三とくぞう大塚おおつか金之助きんのすけによる並行へいこう講義こうぎ)。

 しかし、日本にっぽんにおいて、マルクス経済けいざいがく対抗たいこうするものとして、「近代きんだい経済けいざいがく」(当初とうしょは、むしろ「近代きんだい経済けいざい理論りろん」というかたりもちいられた)というかたり文献ぶんけんのうえで使つかわれはじめたのは、O・R・ランゲの論文ろんぶん「マルクス経済けいざいがく近代きんだい経済けいざい理論りろん」Marxian Economics and Modern Economic Theory(Review of Economic Studies, June 1935)以後いごのことであるといわれている。なお、このランゲの論文ろんぶんは、柴田しばたたかし(しばたけい)(1902―1986)の論文ろんぶん「マルクスの資本しほん主義しゅぎ分析ぶんせきローザンヌ学派がくは一般いっぱん均衡きんこう理論りろん」Marx's Analysis of Capitalism and the General Equilibrium Theory of the Lausanne School(The Kyoto University Economic Review, July 1933)に刺激しげきされてかれたものであり、早坂はやさかただし指摘してきしたように、「『近代きんだい経済けいざいがく』というかたり発生はっせいてきにもきわめて日本にっぽん密着みっちゃくしていた」。

 だい世界せかい大戦たいせん日本にっぽんに「近代きんだい経済けいざいがく」というかたり特殊とくしゅ用語ようごほう成立せいりつするについては、遠近えんきんさまざまの要因よういんはたらいたものとおもわれる。戦前せんぜん日本にっぽんには欧米おうべいのいろいろな経済けいざいがく導入どうにゅうされたが、日本にっぽん土壌どじょう定着ていちゃくした外国がいこく経済けいざいがく唯一ゆいいつは、大正たいしょう初期しょきから中期ちゅうきにかけて定着ていちゃくしたマルクス経済けいざいがくであった。いろいろな学派がくはマルクスけい経済けいざいがく導入どうにゅうされたが、部分ぶぶんてきになりがちで、マルクス経済けいざいがくくら体系たいけいせいけるうらみがあった。そのため、日本にっぽん経済けいざい学界がっかい多数たすうはマルクス経済けいざい学者がくしゃめられる結果けっかとなった。しかし、少数しょうすうではあったが、マルクスけい経済けいざいがく体系たいけいてき研究けんきゅうは、とりわけM・E・L・ワルラス経済けいざいがく中心ちゅうしんに、高田たかだ保馬やすま(やすま)、中山なかやま伊知郎いちろう安井やすい琢磨たくま(たくま)らによってしだいにすすめられていた。戦後せんご開花かいかする近代きんだい経済けいざいがく基礎きそは、すくなくとも昭和しょうわ初期しょきには、ひそかにつちかわれていたのである。

 だい世界せかい大戦たいせん戦時せんじには、かみがかりてき国粋こくすい主義しゅぎ経済けいざいがく跳梁ちょうりょう(ちょうりょう)した。戦後せんご近代きんだい経済けいざいがくのもとに結集けっしゅうした経済けいざい学者がくしゃたちがいた理念りねんは、イデオロギーあやしげな形而上けいじじょう(けいじじょう)がくから自由じゆうな、経験けいけん科学かがくとしての経済けいざいがくのそれであった。

 だい世界せかい大戦たいせん、「近代きんだい経済けいざいがく」というかたり普及ふきゅうに、杉本すぎもと栄一えいいちベストセラー近代きんだい経済けいざいがく解明かいめい』(1950)はおおいに貢献こうけんした。しかし、皮肉ひにくなことに、杉本すぎもと定義ていぎした「近代きんだい経済けいざいがく」は、「古典こてん学派がくは解体かいたいののちに成立せいりつした、年代ねんだいてきにいって、1860、70年代ねんだい成立せいりつした諸々もろもろ経済けいざいがく」の総称そうしょうであり、マルクス経済けいざいがくふくめたものであった。

 ところで、「近代きんだい経済けいざいがく」というかたりによって、限界げんかい革命かくめい以降いこうマルクスけい経済けいざいがく包括ほうかつしてかんがえることの意義いぎはどこにあるか。もとより、限界げんかい革命かくめいによって近代きんだい経済けいざいがく基礎きそきずかれた、ということである。限界げんかい革命かくめい革命かくめいであったかかは異論いろんのあるところであるが、イギリスのW・S・ジェボンズ(1871)、オーストリアのC・メンガー(1871)、およびスイス・ローザンヌのワルラス(1874)の3にんが、それぞれ独立どくりつげた偉業いぎょう、すなわち、古典こてん学派がくは生産せいさん価値かちろん退しりぞけ、それにとってかわる効用こうよう価値かちろん展開てんかいし、その経済けいざい分析ぶんせき発展はってんにもたらした革新かくしんによって、近代きんだい経済けいざいがく基礎きそきずかれた、ということには異論いろんはなかろう。限界げんかい革命かくめいは、「古典こてん経済けいざいがく供給きょうきゅう生産せいさんおよび分配ぶんぱい中心ちゅうしんかんがえていたものを、むしろ需要じゅよう消費しょうひといった主観しゅかんてき要素ようそ強調きょうちょうするほうに、経済けいざい理論りろん焦点しょうてんおおきく移動いどうさせたばかりでなく、競争きょうそうてき価格かかく理論りろん精緻せいち(せいち)価値かち生産せいさんおよび分配ぶんぱい理論りろん統合とうごう経済けいざい論理ろんり洗練せんれん、および分析ぶんせき数学すうがくてき方法ほうほう拡張かくちょうふくめて、経済けいざいがく主題しゅだい包括ほうかつてき体系たいけいのための基礎きそきずいた」(コーツAlfred William Coats。1924―2007)。しかし、革新かくしんひらいた3にん業績ぎょうせき一括いっかつするには、それぞれの業績ぎょうせきは、「たん形式けいしきにおいてばかりでなく、本質ほんしつてき内容ないよう意図いとについても大変たいへん重要じゅうようちがいがあった」(ジャッフェWilliam Jaffé。1898―1980)。したがって、近代きんだい経済けいざいがくには、オーストリア学派がくは(メンガーが始祖しそ)、ローザンヌ学派がくは(ワルラス)、ケンブリッジ学派がくは(A・マーシャル)、そのくわわった北欧ほくおう学派がくは(K・ウィクセル)のしょ学派がくは経済けいざいがくふくまれることになる。1930年代ねんだいいたると、J・M・ケインズの『雇用こよう利子りしおよび貨幣かへい一般いっぱん理論りろん』(1936)がケインズ革命かくめいをもたらし、かつまたJ・R・ヒックスの『価値かち資本しほん』(1939。しゅとして前半ぜんはん)が世界せかい経済けいざい学者がくしゃ関心かんしんあつめ、いわば近代きんだい経済けいざいがくのいわゆるパラダイム成立せいりつしたかのかんていする。

 しかし、1970年代ねんだい前後ぜんこうになって、このパラダイムにかげがさしてくる。スタグフレーション公害こうがい問題もんだい国際こくさい通貨つうか問題もんだい資源しげん問題もんだいなど、「経済けいざいがく危機きき」が表面ひょうめんするにいたり、近代きんだい経済けいざいがくは、パラダイムの独占どくせんよりも、パラダイム成立せいりつまえしょ学派がくは蘇生そせい(そせい)と競合きょうごうだつようになった。マクロ理論りろんについても同様どうようで、ケインジアンたいマネタリストはむしろA・スミスてきビジョン復活ふっかつさせた。また、ケンブリッジ学派がくはのスラッファPiero Sraffa(1898―1983)のいわば古典こてん学派がくはへの復帰ふっき、J・V・ロビンソンらのマルクス経済けいざいがくへの接近せっきんなど、過渡かとむかえた近代きんだい経済けいざいがくが、かつて視点してん接近せっきん方法ほうほう異質いしつであることを理由りゆう排除はいじょした歴史れきし学派がくは制度せいど学派がくはとの境界きょうかいみずからあいまいにすることもしょうじてくるとかんがえられる。

佐藤さとう隆三りゅうぞう

早坂はやさかただしちょ「『近代きんだい経済けいざいがく』とはなにか」(稲田いなだけんじいち岡本おかもと哲治てつじ早坂はやさかただしへん近代きんだい経済けいざいがく再考さいこう所収しょしゅう・1974・有斐閣ゆうひかく)』『R・D・コリソン・ブラック、A・W・コーツ、C・D・W・グッドウィン編著へんちょ岡田おかだ純一じゅんいち早坂はやさかただしやく経済けいざいがく限界げんかい革命かくめい』(1975・日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ)』玉野井たまのい芳郎よしお柏崎かしわざき利之としゆき輔編『近代きんだい経済けいざいがく系譜けいふ』(1976・日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ)』美濃みのこう武雄たけお早坂はやさかただしへん近代きんだい経済けいざいがく日本にっぽん』(1978・日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ)』安井やすい琢磨たくまちょ経済けいざいがくとその周辺しゅうへん』(1979・木鐸ぼくたくしゃ)』杉本すぎもと栄一えいいちちょ近代きんだい経済けいざいがく解明かいめいじょうした岩波いわなみ文庫ぶんこ)』

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百科ひゃっか事典じてんマイペディア近代きんだい経済けいざいがく」の意味いみ・わかりやすい解説かいせつ

近代きんだい経済けいざいがく【きんだいけいざいがく】

ワルラス,メンガー,ジェボンズの限界げんかい革命かくめいはじまり,市場いちば経済けいざい分析ぶんせきおこな経済けいざいがく総称そうしょう価格かかく機構きこう役割やくわりしんじるしん古典こてん,それを否定ひていし,有効ゆうこう需要じゅよう原理げんり主張しゅちょうするケインズ学派がくは,さらにはオーストリア学派がくはスウェーデン学派がくはなどを中軸ちゅうじく発展はってんしてきた経済けいざいがく体系たいけいである。1870年代ねんだい以降いこう経済けいざいがく古典こてんからおおきくマルクス経済けいざいがく近代きんだい経済けいざいがくかれ,後者こうしゃは,経済けいざい行動こうどう法則ほうそくせい経済けいざい成長せいちょうりつ貯蓄ちょちく投資とうし関係かんけい資本しほん所得しょとく物価ぶっか生産せいさんうごきなどの理論りろん展開てんかいしてきた。現代げんだい経済けいざいがく主流しゅりゅうをなしている。
関連かんれん項目こうもく近代きんだい政治せいじがく経済けいざいがく資本しほんワルラス

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近代きんだい経済けいざいがく (きんだいけいざいがく)

日本にっぽんではマルクス経済けいざいがくとの対比たいひにおいて,限界げんかい革命かくめい(1870年代ねんだい以降いこうマルクス経済けいざいがくのほぼ全体ぜんたいすためにもちいられる言葉ことば。マルけいたいきんけい略称りゃくしょうすることもおおい。マルクス経済けいざいがく影響えいきょう日本にっぽんくらべて軽微けいび欧米おうべい学界がっかいでは,近代きんだい経済けいざいがく対応たいおうする英語えいごのmodern economicsという表現ひょうげんは,とくに確定かくていした意味いみをもっているわけではない。ひろくケネーないしアダム・スミス以降いこう経済けいざいがく全体ぜんたいすこともあれば,せまく,現代げんだいにおいて研究けんきゅう教授きょうじゅされている経済けいざいがくという意味いみ使つかわれることもある。日本にっぽん使つかわれる近代きんだい経済けいざいがくという用語ようごには,ドイツ歴史れきし学派がくは制度せいど学派がくは経済けいざいがくふくまれず,どちらかといえば欧米おうべい自由じゆう主義しゅぎてき風土ふうどなか展開てんかいされた経済けいざいがく一般いっぱんすときにもちいられることがおおい。元来がんらい均衡きんこう理論りろん中核ちゅうかくとしたもので,その根幹こんかん形成けいせいもっとおお貢献こうけんしたのはL.ワルラスとA.マーシャルである。1930年代ねんだいいたってケインズらにより貯蓄ちょちく投資とうし所得しょとく中心ちゅうしんとした均衡きんこうどうがくてき理論りろん展開てんかいされるが,その理論りろんめん精緻せいち(せいち)統計とうけいてき処理しょり方法ほうほう進歩しんぽにはめざましいものがある。ただ,70年代ねんだいはいって近代きんだい経済けいざいがくのみならず経済けいざいがく全体ぜんたいにおいて,視野しや拡大かくだい方法ほうほうじょう変革へんかくもとめるこえつよくなっていることも無視むしできない。いずれにしろ,近代きんだい経済けいざいがくという用語ようご自体じたい日本にっぽん特有とくゆうなものであって,日本にっぽんおな意味いみ他国たこくでも無条件むじょうけん通用つうようする言葉ことばではないことは注意ちゅういようする。
経済けいざいがく
執筆しっぴつしゃ

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近代きんだい経済けいざいがく
きんだいけいざいがく
modern economics

1870年代ねんだい初頭しょとう,C.メンガー,W.ジェボンズ,L.ワルラスによりそれぞれ独自どくじとなえられた限界げんかい効用こうよう学説がくせつさかいに,それ以降いこう発達はったつした経済けいざいがくをいう。それまでの経済けいざいがくして,だい1にたんなる経済けいざい現象げんしょう把握はあくから,その現象げんしょう背後はいごにひそむ経済けいざい主体しゅたい行動こうどう分析ぶんせきにまで深化しんかさせたこと (限界げんかい効用こうよう学派がくは ) ,だい2に部分ぶぶん分析ぶんせきから一般いっぱん均衡きんこう分析ぶんせきおこない,理論りろん一般いっぱんをはかったこと (一般いっぱん均衡きんこう理論りろん) の2つの特徴とくちょうをもつ。これは限界げんかい革命かくめいばれ,近代きんだい経済けいざいがく基礎きそとなった。その 1930年代ねんだいには J.ケインズにより従来じゅうらい価値かち分析ぶんせきから所得しょとく分析ぶんせき中心ちゅうしんうつされ,マクロ (巨視的きょしてき) 分析ぶんせきというあたらしい分析ぶんせき方法ほうほう確立かくりつされるなど革新かくしんてき理論りろん完成かんせいされた (→ケインズ革命かくめい ) 。ケインズ経済けいざいがくきょう克服こくふく経済けいざいがくとして政治せいじ接近せっきんしたが,これが近代きんだい経済けいざいがくおおきな特色とくしょくひとつとなっている。また,ケインズ経済けいざいがく静態せいたいてき短期たんき分析ぶんせきであったのにたいし,ケインズ以降いこう経済けいざいがくは,動態どうたいへの関心かんしんつよまり,P.サミュエルソン,J.ヒックスによるマクロ・ダイナミックス (巨視的きょしてき動態どうたい理論りろん) としてさらに発展はってんした。一方いっぽう近代きんだい経済けいざいがく数学すうがく統計とうけい理論りろんむすびついて経済けいざい実証じっしょうてき分析ぶんせきさかんとなり,統計とうけい資料しりょう整備せいび,コンピュータの普及ふきゅうあいまって各国かっこく経済けいざい政策せいさく経済けいざい計画けいかくなどの立案りつあん策定さくてい利用りようされるようになっている。なお日本にっぽんにおいては,近代きんだい経済けいざいがくという概念がいねんは,いわゆるマルクス経済けいざいがく対比たいひして,マルクス経済けいざいがくという意味合いみあいでもちいられることがおおい。

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山川やまかわ 世界せかいしょう辞典じてん 改訂かいてい新版しんぱん近代きんだい経済けいざいがく」の解説かいせつ

近代きんだい経済けいざいがく(きんだいけいざいがく)
modern economics

しん古典こてん経済けいざいがく」ともばれる。1870年代ねんだいのいわゆる「限界げんかい革命かくめい」をへて体系たいけいされ,今日きょう経済けいざい学界がっかい主流しゅりゅうをなす経済けいざい学説がくせつをいう。ざい価値かち測定そくていする基準きじゅんは「効用こうよう」(主観しゅかんてき満足まんぞく)である,所有しょゆうするざいりょうがふえると効用こうようのふえかたゆるやかになる(限界げんかい効用こうよう逓減ていげん),生産せいさんするざいりょうがふえると費用ひようのふえかたはげしくなる(限界げんかい費用ひよう逓増ていぞう),といった仮定かていち,取引とりひき当事とうじしゃ双方そうほう効用こうよう最大さいだいする価格かかく取引とりひきりょう利益りえき最大さいだいにする生産せいさんりょうなどを探求たんきゅうする。

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旺文社おうぶんしゃ世界せかい事典じてん さんていばん近代きんだい経済けいざいがく」の解説かいせつ

近代きんだい経済けいざいがく
きんだいけいざいがく

1870年代ねんだい成立せいりつした限界げんかい効用こうよう学説がくせつ以降いこう発展はってんしてきた経済けいざい学説がくせつ総称そうしょう古典こてん経済けいざいがく歴史れきし学派がくは経済けいざいがくとくにマルクス経済けいざいがく対比たいひしてもちいられる
限界げんかい効用こうよう学派がくは(メンガー)・ケンブリッジ学派がくは(マーシャル)・ローザンヌ学派がくは(ワルラス)などがあるが,マーシャルの学説がくせつけついだケインズ経済けいざいがく中心ちゅうしんをなす。古典こてん経済けいざいがく・マルクス経済けいざいがくとのちがいは,政治せいじ経済けいざいがく社会しゃかいがくとの結合けつごうはいして,経済けいざい現象げんしょうのみを理論りろんてき数理すうりてき分析ぶんせきすることにある。

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世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん旧版きゅうばんうち近代きんだい経済けいざいがく言及げんきゅう

経済けいざい学説がくせつ】より

… リカードは,生産せいさんせいたか土地とち供給きょうきゅうには限界げんかいがあることから,生産せいさんせいたか土地とち投下とうかされた資本しほん生産せいさんせいひく土地とち投下とうかされた資本しほん利潤りじゅんりつ均等きんとうするために,前者ぜんしゃ土地とち地代じだい発生はっせいするという差額さがく地代じだいろん展開てんかいした。このかんがかたは,のち近代きんだい経済けいざいがくによって,賃金ちんぎん利潤りじゅんにも適用てきようされる限界げんかい原理げんり一般いっぱんされる。資本しほん蓄積ちくせき人口じんこう増加ぞうかにより,地代じだい存在そんざいしない限界げんかいとしてますます生産せいさんせいひく土地とち使用しようされることとなり,地代じだい増大ぞうだいするが,賃金ちんぎん不変ふへんであるから,利潤りじゅんりつ低下ていかする。…

経済けいざいじん】より

… しかし,効用こうよう理論りろんから選択せんたく理論りろんへの推移すいいは,一方いっぽうでは形式けいしきてき厳密げんみつせいという科学かがく要請ようせいたしはするが,他方たほうでは欲望よくぼう形成けいせい社会しゃかいてき文化ぶんかてきおよび政治せいじてきしょ要因よういんにも依存いぞんするものであるというてんへの配慮はいりょいている。そのため,近代きんだい経済けいざいがく方法ほうほうてき特徴とくちょうである個人こじん主義しゅぎてきもしくは要素ようそろんてき性格せいかくつよめられ,その結果けっかとして,そのような方法ほうほう採用さいようしていない社会しゃかいしょ科学かがく近代きんだい経済けいざいがくとの交流こうりゅう困難こんなんになっている。くわえて,たとえば経済けいざい政策せいさくについて議論ぎろんする場合ばあいのように,しょ個人こじん選択せんたく結果けっかについてなんらかの価値かち判断はんだんくだそうとすると,選択せんたく合理ごうりせいをめぐる形式けいしきてき分析ぶんせきにとどまっていることができず,選択せんたく意味いみ内容ないようについても議論ぎろんしなければならなくなる。…

経済けいざい哲学てつがく】より

科学かがくとしての経済けいざいがく自認じにんする近代きんだい経済けいざいがく哲学てつがくとふれあうだい1の局面きょくめんは,仮説かせつ演繹えんえきおよび仮説かせつ検証けんしょうをめぐる科学かがく方法ほうほうろんかんしてである。簡略かんりゃくにいえば,経済けいざいがく性格せいかく自然しぜん科学かがくのそれと類似るいじのものにするための条件じょうけんさぐるのが経済けいざい哲学てつがく主要しゅよう仕事しごとになっている。…

※「近代きんだい経済けいざいがく」について言及げんきゅうしている用語ようご解説かいせつ一部いちぶ掲載けいさいしています。

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