「花咲はなさき舞まいが黙だまってない」主演しゅえんの今田いまだ美よし桜さくらさん　「いまだ」「こんた」どちらで読よむのが多おおい？

4月がつ13日にちからスタートする、日本にほんテレビ系けい「花咲はなさき舞まいが黙だまってない」。人気にんき作家さっか池ち井戸いど潤じゅんによる銀行ぎんこうを舞台ぶたいにした小説しょうせつをドラマ化かしたものだ。

このドラマで主演しゅえんを務つとめるのが今田いまだ美よし桜さくらである。「美よし桜さくら」を「みお」と読よむのは難読なんどくだが、「今田いまだ」を「いまだ」と読よむのは当あたり前まえと感かんじている人ひとが多おおいだろう。しかし、「今田いまだ」を「いまだ」と読よむのは地域ちいきによっては当あたり前まえではない、というと驚おどろくだろうか。

そもそも「今田いまだ」とは何なにだろうか。名字みょうじでは「今村いまむら」「今川いまがわ」など「今いま（いま）」のつくものは多おおい、こうした「今いま」は「新あたらしくできた」という意味いみである。

もとからあった村むらから分村ぶんそんして新あたらしく誕生たんじょうした村むらを「今村いまむら」、流ながれが変かわってできた新あたらしい川かわを「今川いまがわ」といった。同おなじように、「今田いまだ」は新あたらしく開墾かいこんした田たんぼのことである。江戸えど時代じだい以前いぜんの、米べいの収穫しゅうかく量りょうがそのまま財力ざいりょくとなる時代じだい、各地かくちで新あたらしい水田すいでんの開発かいはつがすすめられ、新田にったが切きり開ひらかれた。こうしてできた新あたらしい新田しんでんのことを「今田いまだ」ともいい、それらを耕たがやしていた人ひとが名乗なのったものが「今田いまだ（いまだ）」である。

従したがって「今田いまだ」は各地かくちにあり、「今田いまだ」さんも全国ぜんこくに広ひろがっている。なかでもとくに多おおいのが広島ひろしま県けんと山形やまがた県けんだ。ところが、山形やまがた県けんに集中しゅうちゅうしている「今田いまだ」は「いまだ」ではなく、「こんた」と読よむ。

東北とうほく地方ちほうには「今いま（こん）」「今野こんの（こんの）」など、「こん」で始はじまる名字みょうじが多おおい。この「こん」は東北とうほく地方ちほうに広ひろがっていた「こん」一族いちぞくの末裔まつえいとされる。

平安へいあん時代じだい、東北とうほくには蝦夷えぞ（えみし）と呼よばれる人達ひとたちが広ひろがっていた。そのルーツについては諸説しょせつあるが、彼かれらの中なかに「こん」という名字みょうじを名乗なのった有力ゆうりょく一族いちぞくがいた。この「こん」には後のちに「紺こん」「近こん」「昆こん」「金かね」などいろいろな漢字かんじをあてたが、なかでも「今いま」を使つかうことが最もっとも多おおかった。そのため、東北とうほくでは名字みょうじに使つかわれる「今いま」という漢字かんじは「こん」と読よむことが多おおく、「今田いまだ」も「こんた」と読よむのが主流しゅりゅうである。

現在げんざい、山形やまがた県けんでは「今田いまだ」の99％以上いじょうが「こんた」と読よみ、「いまだ」は少数しょうすう派は。隣となりの秋田あきた県けんも9割わり以上いじょう、青森あおもり県けんでも8割わりが「こんた」である。一方いっぽう、西日本にしにほんではほぼ「いまだ」で、今田いまだ美よし桜さくらも福岡ふくおか県けん出身しゅっしんなので「いまだ」である。

全国ぜんこくを合計ごうけいすると「今田いまだ」さんの6分ぶんの1ほどが「こんた」さんである。