「学校がっこう以外いがいの居場所いばしょを認みとめて」　不ふ登校とうこうの経験けいけんを社会しゃかいに伝つたえる使命しめい

　「不ふ登校とうこうはダメではない。学校がっこうに行いかない選択肢せんたくしもある」。小幡おばた和輝かずてるさん（27）はこの春はる、自身じしんが主催しゅさいしたオンライン講演こうえん会かいで視聴しちょう者しゃにそう語かたりかけた。不ふ登校とうこうの時期じきを約やく10年ねん過すごした後のち、高校生こうこうせいで起業きぎょうした小幡おばたさん。不ふ登校とうこうになった時ときの苦くるしみ、自分じぶんの居場所いばしょがようやくできて安心あんしんした気持きもち……。それを身みをもって知しるからこそ、社会しゃかいに伝つたえたいことがある。

　始はじまりはささいなことの積つみ重かさねが原因げんいんだったように思おもう。和歌山わかやま県けんで生うまれ育そだち、今いまは東京とうきょう都内とないで暮くらす小幡おばたさんは幼稚園ようちえんの頃ころから集団しゅうだん生活せいかつになじめず、お遊戯ゆうぎ会かいが苦手にがてだった。小学校しょうがっこうでは牛乳ぎゅうにゅうが飲のめず、給食きゅうしょくがいつまでも終おわらなかった。やりたくないことを強制きょうせいされている気きがして次第しだいに学校がっこうを休やすみがちになった。

　両親りょうしんからは「どうして学校がっこうに行いきたくないんだ」と問とい詰つめられ、毎朝まいあさのようにけんかした。登校とうこうしても周囲しゅういからの「ずる休やすみした」という心しんない言葉ことばが耳みみにつく。小学しょうがく2年ねんの冬ふゆ、同級生どうきゅうせいから理由りゆうも分わからず殴なぐられたことで本格ほんかく的てきに不ふ登校とうこうになり、中学ちゅうがく卒業そつぎょうまでほとんど学校がっこうには行いかなかった。

　不ふ登校とうこうになってからは近所きんじょの適応てきおう指導しどう教室きょうしつに通かよい、同おなじ境遇きょうぐうの生徒せいととカードゲームや卓球たっきゅうをして遊あそんだ。「ここは好すきなことができる」。ようやく自分じぶんの居場所いばしょができたと感かんじた。高校こうこうは指導しどう教室きょうしつの仲間なかまも通かよう夜間やかんの定時ていじ制せいに入はいった。10年ねんぶりに学校がっこうで授業じゅぎょうを受うけることに不安ふあんはあったものの、自分じぶんのペースで勉強べんきょうしながら卒業そつぎょうまで通かよい、推薦すいせん入試にゅうしで和歌山大わかやまだいに進学しんがくした。

　居場所いばしょは学校がっこう以外いがいにたくさんあった。…