家事かじ・育児いくじに充あてる時間じかん　女性じょせいが男性だんせいの5倍ばい以上いじょう　偏かたよる家庭かてい内ない労働ろうどう

　参院さんいん選せんが始はじまった。政治せいじが抱かかえる課題かだいは何なにか。現場げんばで声こえを聞きき、外国がいこくから学まなべるヒントを事情じじょうに詳くわしい人ひとと考かんがえた。

　外そとで働はたらく女性じょせいは増ふえているのに、賃金ちんぎんに結むすびつかない「家庭かてい内ない労働ろうどう」は女性じょせいに負担ふたんが偏かたよっている――。調査ちょうさ結果けっかはそんな日本にっぽんの現状げんじょうを示しめしていた。6歳さい未満みまんの子こを持もつ女性じょせいの家事かじ・育児いくじ関連かんれん時間じかんを内閣ないかく府ふがまとめたところ、日本にっぽんは男性だんせいの5倍ばい以上いじょうで、諸しょ外国がいこくと比くらべても突出とっしゅつして差さが大おおきかった。育児いくじ・介護かいご休業きゅうぎょう法ほうの改正かいせいで、10月からは男性だんせいが生後せいご間あいだもない時期じきに4週間しゅうかんの休やすみを取とれる「男性だんせい版ばん産休さんきゅう」の仕組しくみも始はじまる。制度せいどは整ととのえられつつあるが、社会しゃかいに変化へんかの兆きざしはあるのか。

育休いくきゅう取得しゅとくし担当たんとう外はずされた男性だんせい

　「休やすみに入はいる前まえに同僚どうりょうに引ひき継ついでおくことはほとんどないんです。社しゃの主要しゅような業務ぎょうむは任まかされなくなっているので」。北海道ほっかいどうに住すむ20代だいの会社かいしゃ員いん、尾田おだ翔しょうさん（仮名かめい）は6月がつ中旬ちゅうじゅん、帰路きろの公園こうえんで取材しゅざいを受うけながらため息いきをついた。出産しゅっさん予定よてい日びまであと10日にちほどに迫せまっていた。間あいだもなく半年はんとし間あいだの育児いくじ休業きゅうぎょうに入はいる。赤あかちゃんに会あえる日ひが待まち遠どおしい一方いっぽうで、取得しゅとくが決きまるまでのやりとりを思おもい出だすと苦にがい思おもいがよみがえる。

　社員しゃいんが100人にんに満みたない道内どうないの企業きぎょうに入社にゅうしゃして数すう年ねん。2021年ねん秋あき、共働ともばたらきの妻つまの妊娠にんしんが分わかった。安定あんてい期きに入はいった今年ことし春はるごろ、上司じょうしに半年はんとし間あいだの育休いくきゅうを取とりたいと打診だしんした。「お互たがいに頼たよれる親戚しんせきが近ちかくにいない。妻つま1人にんに子育こそだてを任まかせるのはだいぶ負担ふたんになる」。夫婦ふうふで相談そうだんした上うえでの決断けつだんだった。

　上司じょうしの返答へんとうは、すぐにはなかった。しばらくして「会社かいしゃとしては2週間しゅうかんしか認みとめられない」と伝つたえられた。長期ちょうきの取得しゅとくが必要ひつような理由りゆうを改あらためて説明せつめいしたが、回答かいとうは変かわらない。社長しゃちょうに直接ちょくせつ訴うったえると、こんな言葉ことばが返かえってきた。

　「そもそもなんで育児いくじ休業きゅうぎょうを取とるんだ」

　「育休いくきゅうを取とることで人員じんいん不足ふそくになることを、どう思おもっているんだ」

　以来いらい、出勤しゅっきんしようとすると動悸どうき（どうき）が激はげしくなった。深夜しんやまで寝付ねつけない日ひも増ふえた。労働ろうどう局きょくなどに相談そうだんし、会社かいしゃに書面しょめんでの回答かいとうを求もとめた。

　その後ご、半年はんとし間あいだの育休いくきゅうが認みとめられたが、…