歌舞伎かぶき

歌舞伎かぶき　歌舞伎町かぶきちょう大だい歌舞伎かぶき　気きの良よい七之助しちのすけの貧乏神びんぼうがみ＝評ひょう・小玉こだま祥子さちこ

　勘九郎かんくろう、七之助しちのすけ兄弟きょうだいを軸じくにした、新宿しんじゅく・歌舞伎町かぶきちょうに昨年さくねん開場かいじょうの劇場げきじょうにおける初はつ歌舞伎かぶき公演こうえん。　序幕じょまくが舞踊ぶよう2題だい。最初さいしょが曽我そが物ぶつで長唄ながうたの「正札しょうふだ附ふ根元ねもと草摺くさずり」。虎とら之の介かいの五ご郎ろうが若々わかわかしい勇いさましさ、鶴松つるまつの舞鶴まいづるが強つよさの中なかに柔やわらかみを出だした。　続つづいて清元きよもとの「流星りゅうせい」。牽牛けんぎゅう（勘太郎かんたろう）と織女しょくじょ（長三郎ちょうさぶろう）が3年ねんぶりの逢瀬おうせ（おうせ）を楽たのし

役やくの履歴りれき書しょ

水野みずの十郎左衛門じゅうろうざえもん成之しげゆき　幡はた随ずい院いん長兵衛ちょうべえを殺害さつがい＝小玉こだま祥子さちこ

　水野みずの十郎左衛門じゅうろうざえもん成之しげゆきは江戸前えどまえ期きの旗本はたもと。父ちち成なり貞さだは備後びんご福山ふくやま城主じょうしゅ・水野みずの勝成かつなりの三男さんなんで母ははは阿波あわ徳島とくしま藩主はんしゅ・蜂須賀はちすか至いたる鎮の娘むすめ。知行ちぎょう三さん千せん石せきの大身たいしんであった。　十郎左衛門じゅうろうざえもんは徒党ととうを組くみ、派手はでな装よそおいで暴あばれまわる旗本はたもとの集団しゅうだん、旗本奴はたもとやっこ（やっこ）の「白しろ柄がら（しらつか）組ぐみ」頭目とうもくであった。旗本奴はたもとやっこは町人ちょうにんの町奴まちやっこと激はげしい争あらそいを繰くり広ひろげていた。　

歌舞伎かぶき　歌舞伎座かぶきざ「團だん菊きく祭さい五ご月がつ大だい歌舞伎かぶき」　胸むね打うつ菊之助きくのすけの政せい岡おか＝評ひょう・小玉こだま祥子さちこ

　昼ひるの序幕じょまくが舞踊ぶよう「おしどり」。河津かわづ（松也まつや）、股また野の（萬太郎まんたろう）が遊女ゆうじょ喜瀬きせ川がわ（尾上おがみ右近うこん）を巡めぐり相撲すもうで対戦たいせんするのが前半ぜんはん。後半こうはんは松也まつやが雄お鴛鴦えんおう（おしどり）の精せい、右近うこんが雌めす鴛鴦えんおうの精せいに変へんじる。3人にんともに役やくにふさわしく、花形はながたらしい華はながある。　中幕なかまくが四世左團次一年祭追善狂言「毛抜けぬき」。粂寺弾正だんじょうの男女だんじょ蔵ぞうを春はる道どうの菊五郎きくごろう、巻まき絹きぬの

尾上おがみ松也まつや、尾上おがみ右近うこん　六ろく月がつ博多はかた座ざ大だい歌舞伎かぶきに登場とうじょう　音羽屋おとわやのホープ飛躍ひやくの機会きかい　「責任せきにんある役やく　願ねがいかなった」

　＜金曜きんようカルチャー　西部せいぶ発はつ　文化ぶんか＆芸能げいのう＞　歌舞伎かぶき俳優はいゆう、二に代目だいめ尾上おがみ松也まつや（39）、二に代目だいめ尾上おがみ右近うこん（31）が、開場かいじょう25周年しゅうねん記念きねん「六ろく月がつ博多はかた座ざ大だい歌舞伎かぶき」（6月がつ2～17日にち）に登場とうじょうする。共ともに、人気にんきと実力じつりょくを兼かね備そなえた花形はながた（若手わかて）の代表だいひょう格かく。プライベートでも親交しんこうの深ふかい2人ふたりが福岡ふくおか市内しないで意気込いきごみを語かたった。　■2人ふたりで海うみを見みた

歌舞伎かぶき　歌舞伎座かぶきざ「四よん月がつ大だい歌舞伎かぶき」　愛之助あいのすけの団だん七ななに闊達かったつさ＝評ひょう・小玉こだま祥子さちこ

　昼ひるの序幕じょまくが「引窓ひきまど」。軸じくとなる東蔵とうぞうのお幸こうが情味じょうみ豊ゆたかで実子じっしの濡髪ぬれがみ（松緑しょうろく）の来訪らいほうと義理ぎりの子こ南みなみ与兵衛よへえ（梅うめ玉たま）の昇進しょうしんの喜よろこびをはっきりと表現ひょうげんし、後ごの悲かなしみを際立きわだたせる。梅うめ玉だまは義母ぎぼへの思おもいやりが随所ずいしょにあらわれ、松緑しょうろくは母ははへの愛あいと与兵衛よへえへの義理立ぎりだてが感かんじられた。扇雀せんじゃくのお早はやが明あかるく優やさしい。　中幕なかまくが「七福神しちふくじん」今井いまい豊茂とよしげ改あらため

役やくの履歴りれき書しょ

八百屋やおやお七しち　「お七なな吉きち三さん」のヒロイン＝小玉こだま祥子さちこ

　浄瑠璃じょうるりや歌舞伎かぶきのジャンルに「お七なな吉きち三さん」ものがある。天和てんわ3（1683）年ねんに放火ほうかで死罪しざいとなったとされる八百屋やおやお七しちと恋人こいびとの吉よし三郎さぶろうを主人公しゅじんこうにした作品さくひん群ぐんだ。　貞享ていきょう年間ねんかん（1684～88年ねん）に成立せいりつした「天和てんわ笑わらい委い集しゅう」によるとお七しちは江戸えど本郷ほんごうの八百屋やおや市し左衛門さえもんの娘むすめ。天和てんわ2（1682）年ねん12月28日にちの大火たいかで焼やけ出だされた市し

50年ねん後ごに歌舞伎かぶきを残のこすために　中村なかむら壱太郎かずたろうさんの絵本えほんに込こめた思おもい

　「歌舞伎かぶきの楽たのしさを知しって、親子おやこで劇場げきじょうに来きてもらいたい」――。歌舞伎かぶき俳優はいゆうの中村なかむら壱太郎かずたろう（かずたろう）さんが中心ちゅうしんとなってつくった歌舞伎かぶき絵本えほん「恋こいするお三さん輪りん（みわ）」が、2024年ねん1月がつに発売はつばいされた。「見みて　聞きいて　まねして　楽たのしむ」がキャッチコピーのシリーズ3冊さつ目め。3月24日にちまで京都きょうと・南座みなみざで「三さん月がつ花形はながた歌舞伎かぶき

歌舞伎かぶき　｢立春りっしゅん歌舞伎かぶき特別とくべつ公演こうえん｣｢三さん月がつ花形はながた歌舞伎かぶき｣　花形はながたら近松ちかまつ作品さくひんに挑いどむ

　今年ことしは近松ちかまつ門左衛門もんざえもんの没後ぼつご300年ねん。関西かんさいの歌舞伎かぶき劇場げきじょうでは、この春はる、花形はながた俳優はいゆうたちが上方かみがたの近松ちかまつ作品さくひんに次々つぎつぎに挑いどみ、舞台ぶたいに新風しんぷうを呼よび込こんでいる。　2月がつの「立春りっしゅん歌舞伎かぶき特別とくべつ公演こうえん」（大阪おおさか松竹しょうちく座ざ、2～18日にち）では中村なかむら壱太郎かずたろうのお初はつ、尾上おがみ右近うこんの徳兵衛とくべえで「曽根崎そねざき心中しんちゅうの」が上演じょうえんされた。壱太郎かずたろうは祖父そふ（四よん代目だいめ坂田さかた藤十郎とうじゅうろう）が造形ぞうけいし

役やくの履歴りれき書しょ

徳川とくがわ綱つな豊ゆたか　後ごの将軍しょうぐんと忠臣蔵ちゅうしんぐら＝小玉こだま祥子さちこ

　徳川とくがわ綱つな豊ゆたかが名なを家宣いえのぶと改あらため、江戸えど幕府ばくふ六ろく代だい将軍しょうぐんとなったのは宝永ほうえい6（1709）年ねんのことだ。家宣いえのぶは儒学じゅがく者しゃ、新井あらい白石はくせきを登用とうようして幕政ばくせいの改革かいかくを行おこない、その治世ちせいは後のちに次代じだいの七なな代だい将軍家しょうぐんけ継つぎと合あわせ、「正徳しょうとくの治ち」とたたえられる。　忠臣蔵ちゅうしんぐらと呼よばれる、取とり潰つぶしにされた浅野あさの家か旧臣きゅうしん、いわゆる赤穂あこう浪士ろうしによる吉良上野介きらこうずけのすけ邸てい討うち入いりは元もと

歌舞伎かぶき　歌舞伎座かぶきざ「三さん月がつ大だい歌舞伎かぶき」　中堅ちゅうけん、若手わかてによる好こう舞台ぶたい＝評ひょう・小玉こだま祥子さちこ

　昼ひるの序幕じょまくが「寺子屋てらこや」。菊之助きくのすけ初役はつやくの松まつ王丸おうまるは、わが子こ小太郎こたろう（丑之助うしのすけ）への愛情あいじょうが一貫いっかんして感かんじられる。首実検くびじっけんで抑制よくせいされた表現ひょうげんで悲かなしみをにじませ、「桜さくら丸まるが不憫ふびん（ふびん）でござる」の嘆なげきに亡なき兄弟きょうだいに仮託かたくして小太郎こたろうを悼いたむ思おもいが伝つたわる。愛之助あいのすけの源蔵げんぞうは菅かん秀才しゅうさいへの忠義ちゅうぎ心しんと誠実せいじつさがあり、梅枝ばいしの千代ちよは覚悟かくごと悲かなしみを見みせ

「中村なかむら座ざ」同朋どうほう高だかで熱演ねつえん　生徒せいとや保護ほご者しゃ、裏方うらかたで支ささえる　／愛知あいち

　名古屋なごや市し中村なかむら区くの同朋どうほう高校こうこうで、歌舞伎かぶき公演こうえん「名古屋なごや平成へいせい中村なかむら座ざ」が開催かいさいされている。高校こうこうが芝居しばい小屋こやになるのは全国ぜんこく唯一ゆいいつといい、2階かい建だての体育館たいいくかんが様変さまがわりした。中村なかむら勘九郎かんくろうさん、七之助しちのすけさん兄弟きょうだいが熱演ねつえんする一方いっぽうで、生徒せいとや保護ほご者しゃらのボランティアが来場らいじょう客きゃくの出迎でむかえや掃除そうじなど裏方うらかたとして運営うんえいを支ささえる。【山田やまだ泰生やすお】　同朋どうほう高だかでは

勘九郎かんくろうさんら「お練ねり」　同朋どうほう高校こうこうで公演こうえん前まえに　名古屋なごや　／愛知あいち

　歌舞伎かぶき俳優はいゆうの中村なかむら勘九郎かんくろうさんと七之助しちのすけさん兄弟きょうだいらが3日にち、名古屋なごや市し中村なかむら区くの豊国とよくに神社じんじゃ前まえの参道さんどうで人力車じんりきしゃに乗のって「お練ねり」をした。中村屋なかむらや一門いちもんが近ちかくの同朋どうほう高校こうこうで公演こうえんする「名古屋なごや平成へいせい中村なかむら座ざ」（6～18日にち）を盛もり上あげようと企画きかくされ、約やく3万まん人にんの歌舞伎かぶきファンが声援せいえんを送おくった。　中村なかむら区くは歌舞伎かぶきの大だい名跡みょうせき・初代しょだい中村なかむら勘三郎かんざぶろうの生誕せいたん

中村なかむら勘九郎かんくろうさんら、名古屋なごやでお練ねり　3万まん人にんが声援せいえん　6日にちから公演こうえん

　歌舞伎かぶき俳優はいゆうの中村なかむら勘九郎かんくろうさんと七之助しちのすけさん兄弟きょうだいらが3日にち、名古屋なごや市し中村なかむら区くの豊国とよくに神社じんじゃ前まえの参道さんどうで人力車じんりきしゃに乗のって「お練ねり」をした。中村屋なかむらや一門いちもんが近ちかくの同朋どうほう高校こうこうで公演こうえんする「名古屋なごや平成へいせい中村なかむら座ざ」（6～18日にち）を盛もり上あげようと企画きかくされ、約やく3万まん人にんの歌舞伎かぶきファンが声援せいえんを送おくった。　中村なかむら区くは歌舞伎かぶきの大だい名跡みょうせき・初代しょだい中村なかむら勘三郎かんざぶろうの生誕せいたん

Topics

こんぴら歌舞伎かぶき、4月がつに開催かいさい　5年ねんぶり「琴平ことひらに春はる」

　昔むかしながらの芝居しばい小屋こやで歌舞伎かぶき公演こうえんを楽たのしめる第だい37回かい四国しこくこんぴら歌舞伎かぶき大だい芝居しばいが4月がつ5～21日にち、香川かがわ県けん琴平ことひら町まち・旧きゅう金毘羅こんぴら大だい芝居しばい（金丸かねまる座ざ）で開ひらかれる。松本まつもと幸四郎こうしろう、中村なかむら雀右衛門じゃくえもん、中村なかむら鴈治郎がんじろう、中村なかむら壱太郎かずたろう、市川いちかわ染五郎そめごろうらの出演しゅつえん。第だい1部ぶが、「沼津ぬまづ」（鴈治郎がんじろうの平作へいさく、壱太郎かずたろうのお米べい、染五郎そめごろうの安兵衛やすべえ、幸四郎こうしろうの十兵衛じゅうべえ）▽「羽衣はごろも

三さん月がつ花形はながた歌舞伎かぶき

京都きょうと・南座みなみざ「三さん月がつ花形はながた歌舞伎かぶき」　若手わかて3人にんが近松ちかまつの名作めいさくに挑いどむ

　若手わかて花形はながたによる「三さん月がつ花形はながた歌舞伎かぶき」が3月2～24日にち、京都きょうと・南座みなみざで開ひらかれる。中村なかむら壱太郎かずたろう、尾上おがみ右近うこん、中村なかむら隼人はやとが出演しゅつえんし、近松ちかまつ門左衛門もんざえもんの名作めいさくなどに挑いどむ。　公演こうえんは「松まつプロ」「桜さくらプロ」と銘打めいうった二ふたつのプログラムを交互こうごに上演じょうえんする。松まつプロは、近松ちかまつの「心中しんちゅうの天網てんもう島とう（てんのあみじま）」を原作げんさくとした「河かわ庄しょう（かわしょう）」を

Interview

中村なかむら雀右衛門じゃくえもん　父ちち・四よん世せいの言葉ことばを胸むねに　三月さんがつ大だい歌舞伎かぶきで「傾城けいせい道成寺どうじょうじ」

　名めい女形おんながたとして知しられた四よん世せい中村なかむら雀右衛門じゃくえもん（1920～2012年ねん）の十じゅう三さん回忌かいき追善ついぜん狂言きょうげんとして、東京とうきょう・歌舞伎座かぶきざの「三さん月がつ大だい歌舞伎かぶき」（3月がつ3～26日にち昼ひるの部ぶ）で、ゆかりの「傾城けいせい（けいせい）道成寺どうじょうじ」が上演じょうえんされる。傾城けいせい清川きよかわを演えんじるのは、四よん世せいの次男じなんで父ちちの名跡みょうせきを五ご代目だいめとして継ついだ当代とうだい雀右衛門じゃくえもん。「道成寺どうじょうじ物ぶつは父ちちにとっても私わたしに

歌舞伎かぶき　新橋しんばし演舞えんぶ場じょう「ヤマトタケル」　團子だんご、タケルを繊細せんさいに描写びょうしゃ＝評ひょう・小玉こだま祥子さちこ

　二に世せい猿翁えんおうが作つくり上あげたスーパー歌舞伎かぶき第だい1作さくの新しん主役しゅやくを迎むかえての上演じょうえん。梅原うめはら猛たけし作さく、石川いしかわ耕こう士し監修かんしゅう、二に世せい猿翁えんおう脚本きゃくほん・演出えんしゅつ。大和やまとの帝みかど（中車ちゅうしゃ）の子こ、小碓おうす命いのち（おうすのみこと）（隼人はやと／團子だんご）は兄あにの大だい碓うす命いのち（おおうすのみこと）（同どう）殺ころしの科か（とが）を受うけ、帝みかどの命令めいれいで熊くま襲かさね（くまそ）征伐せいばつに赴おもむく。平たいらげた熊くま襲かさねの弟おとうとタケル（錦之助きんのすけ／

役やくの履歴りれき書しょ

丸橋まるはし忠弥ちゅうや　左ひだり團だん次じのあたり役やく＝小玉こだま祥子さちこ

　原題げんだいは「樟くすのき紀おさむ流りゅう（くすのきりゅう）花見はなみ幕張まくはり（はなみのまくはり）」だが、「慶安けいあん太平たいへい記き」あるいは「丸橋まるはし忠弥ちゅうや」の題名だいめいで親したしまれている。河竹かわたけ黙阿弥もくあみ作さくで1870年ねん3月がつに東京とうきょう・守田もりた座ざで初演しょえんされた。　四よん代だい将軍しょうぐん・徳川とくがわ家綱いえつな治世ちせい下かの慶安けいあん4（1651）年ねん7月がつに軍学ぐんがく者しゃ・由井ゆい正雪しょうせつを頭目とうもくとする浪人ろうにんらが幕政ばくせいの改革かいかくを目的もくてきに反乱はんらんを企くわだて

歌舞伎かぶき　歌舞伎座かぶきざ「猿さる若わか祭さい二に月がつ大だい歌舞伎かぶき」　勘九郎かんくろうが細ささやかな表現ひょうげん＝評ひょう・小玉こだま祥子さちこ

　十じゅう八はち世せい勘三郎かんざぶろう十じゅう三さん回忌かいき追善ついぜん興行こうぎょう。昼ひるの序幕じょまくは「野崎のさき村むら」。十じゅう八はち世せいの愛弟子まなでし、鶴松つるまつ初役はつやくのお光ひかりは田舎いなか娘むすめらしい素朴そぼくさがあり、お染しみへの気後きおくれと反発はんぱつを愛あいらしく見みせたことで尼あま姿すがたになる哀あわれさが際立きわだった。七之助しちのすけの久松ひさまつは柔やわらかな二枚目にまいめぶり、弥十郎やじゅうろうの久作きゅうさくは人柄ひとがらの良よさをにじませ、児太郎こたろうのお染しみが大だい商家しょうかの娘むすめらしい大胆だいたんさでお光ひかりとの対たい

歌舞伎かぶき　「新春しんしゅん浅草あさくさ歌舞伎かぶき」「平家ひらか女おんな護まもる嶋しま　恩愛おんあい麻絲あさいと央ひさし源平げんぺい」　米吉よねきちのお富とみに色気いろけ＝評ひょう・小玉こだま祥子さちこ

　「新春しんしゅん浅草あさくさ歌舞伎かぶき」は若手わかて花形はながた中心ちゅうしん。1部ぶの序幕じょまくが「十じゅう種しゅ香が」。新悟しんごの濡衣ぬれぎぬはせりふに秀ひいで、役やくの心情しんじょうが伝つたわる。米吉よねきちの八はち重じゅう垣かき姫ひめは初々ういういしく、橋之助はしのすけの簑みの作さくに品位ひんい。歌昇かしょうの謙信けんしん。中幕なかまくが「源氏げんじ店てん」。米吉よねきちのお富とみに世慣よなれた強つよさと色気いろけがあり、隼人はやとの与三郎よさぶろうは姿すがたの良よさが役やくにはまる。松也まつやの蝙蝠かわほり安やす（こうもりやす）はこすっからさと嫌いや