「ヴァシュロン・コンスタンタン」の創造そうぞう性せい溢あふれる最新さいしん作さく

“エジェリー”から2つのタイムピースが誕生たんじょう

2020年ねんに女性じょせいのためのコレクションとして誕生たんじょうした“エジェリー”は、「オートクチュールと高級こうきゅう時計とけい製造せいぞう」が融合ゆうごうされた華はなやかなコレクションと形容けいようされてきた。今回こんかい、イーキンとの協業きょうぎょうによって生うまれた“エジェリー・ザ・プリーツ・オブ・タイム”は市場いちばに出でないコンセプトモデルだが、そこに「パフューム」という要素ようそを融合ゆうごうして、コレクションの歴史れきしに新あたらしい1ページを加くわえた。

熟練じゅくれん調ちょう香こう師しのドミニク・ロピオンが、イーキンとの対話たいわを重かさねながら創作そうさくした香かおりをナノカプセルに閉とじ込こめ、それをマザーオブパールの小片しょうへんがちりばめられたストラップに組くみ込こんだ。そうすることで手首てくびの動うごきに応おうじ、淡あわい芳香ほうこうを放はなつ。「香かおりという特別とくべつな思おもい出でを時ときの中なかに刻きざむことができた」とドミニクはコメントを残のこしている。

直径ちょっけい37ミリのピンクゴールドのケースを58個このダイヤモンドが縁取へりとり、ライラック色しょくのマザーオブパールのダイヤルが優美ゆうびさを引ひき立たてる。

一方いっぽう、“エジェリー・ムーンフェイズ”は3本ほんの付つけ替かえ可能かのうなストラップが付属ふぞくし、100本ほん限定げんていで生産せいさん。繊細せんさいなプリーツ模様もようが施ほどこされたダイヤルは、イーキンが創作そうさくするオートクチュールのスタイルを思おもわせる。

2時じ位置いちにリュウズとムーンフェイズ、8時じ位置いちには「VACHERON CONSTANTIN」と配はいされ、メゾンが本ほんコレクションにおいて大切たいせつにする「非対称ひたいしょう性せい」を表現ひょうげん。ピンクゴールドのケースに自社じしゃキャリバーを搭載とうさいし、シースルーバックからマルタ十字じゅうじをかたどったゴールドのローターを含ふくむ精密せいみつな機構きこうを鑑賞かんしょうすることもできる。

「私わたしの直感ちょっかん的てきな創造そうぞう性せいを、厳格げんかくな時計とけい製造せいぞうの現場げんばに吹ふき込こみ、時間じかんから解放かいほうされた感情かんじょうを掻かき立たてるような作品さくひんを目指めざした。私わたしの伝つたえたかった、時ときの寛大かんだいな力強ちからづよさを表現ひょうげんすることができたと思おもっている」とイーキンは今回こんかいの創作そうさくの過程かていを振ふり返かえりながら話はなしている。

〈左ひだり〉“エジェリー・ザ・プリーツ・オブ・タイム”［ケース: PG×ダイヤモンド、文字もじ盤ばん:マザーオブパール×PG×ダイヤモンド、ケース径みち37㎜、ストラップ/バックル: マザーオブパールの小片しょうへんと香かおりのカプセルを入いれ込こみ、シルク糸いとの刺繍ししゅうで飾かざられたカーフスキンストラップ、機械きかい式しき自動じどう巻まき］非売品ひばいひん　〈右みぎ〉“エジェリー・ムーンフェイズ”［ケース: PG×ダイヤモンド、文字もじ盤ばん: マザーオブパール×PG×ダイヤモンド、ケース径みち37㎜、ストラップ/バックル: ライラック色しょくのミシシッピアリゲーターレザー、パウダーピンクのグレイン仕上しあげカーフスキンレザー、ミッドナイトブルーのサテン仕上しあげカーフスキンレザーの3本ほんの付つけ替かえ可能かのうなストラップが付属ふぞく。各かくストラップにPGのピンバックルを装備そうび、機械きかい式しき自動じどう巻まき］¥6,160,000［予定よてい価格かかく、100本ほん限定げんてい、個別こべつシリアルナンバーを刻印こくいん］（ともにヴァシュロン・コンスタンタン）

異ことなる分野ぶんやの才能さいのうを発見はっけんし、結合けつごうすることで革新かくしん的てきな作品さくひんへ

私わたしの仕事しごとは点てんと点てんを結むすび付つけて、新あらたなクリエイションの地平ちへいを切きり開ひらいていくこと――。「ヴァシュロン・コンスタンタン」で製品せいひん開発かいはつの責任せきにん者しゃを務つとめるサンドリンはそう話はなす。つまり、こういうことだ。彼女かのじょは異ことなる分野ぶんやのクリエイティブな才能さいのうという「点てん」を発見はっけんし、それらを注意深ちゅういぶかく結合けつごうすることで革新かくしん的てきな作品さくひんにまとめ上あげていく。

今回こんかい発表はっぴょうした“エジェリー・ザ・プリーツ・オブ・タイム”もメゾンの強つよみである精密せいみつな高級こうきゅう時計とけい製造せいぞうの伝統でんとうと、イーキンが創造そうぞうする華はなやかなオートクチュールの世界せかい、そしてドミニクによるパフュームの複雑ふくざつな調しらべ香がが絶妙ぜつみょうに融合ゆうごうし、「ヴァシュロン・コンスタンタン」にしか作つくることのできない革新かくしん的てきな1本ほんに仕上しあがった。

しかし、なぜパフュームなのか？ 「香かおり」と「時じ」は一見いっけん無関係むかんけいのようだが、いずれも目めには見みえず、ある瞬間しゅんかんに強烈きょうれつな記憶きおくを蘇よみがえらせるという共通きょうつう点てんがあるという。サンドリンの話はなしを聞きいていて、「プルーストの『失うしなわれた時ときを求もとめて』のよう」とつぶやくと、彼女かのじょも優やさしくうなずいた。小説しょうせつの冒頭ぼうとう、主人公しゅじんこうの少年しょうねんが紅茶こうちゃに浸ひたしたマドレーヌを口くちにした瞬間しゅんかん、昔むかしの記憶きおくが鮮あざやかに蘇よみがえる一節いっせつがあるからだ。

化粧けしょう品ひん業界ぎょうかいや他たの時計とけいメゾンなどでキャリアを重かさね、2018年ねんに「ヴァシュロン・コンスタンタン」に入社にゅうしゃしたサンドリンにとって、2020年ねんに誕生たんじょうした“エジェリー”コレクションは、とりわけ思おもい入いれのある時計とけいだという。「機械きかい式しき時計とけいは男性だんせいのものというイメージが強つよいけれど、メゾンは19世紀せいき末まつから女性じょせいのための腕時計うでどけい製作せいさくに創造そうぞう性せいを発揮はっきし続つづけている。“エジェリー”もそのDNAを確実かくじつに受うけ継ついでいる」

そうした“エジェリー”の輝かがやかしい歴史れきしに新あたらしいページを書かき加くわえるために力ちからを借かりたのが、「One of Not Many」のタレントでもあるイーキンだった。「彼女かのじょが時計とけい製作せいさくの技術ぎじゅつ的てきなリミットに馴染なじみのなかったことが、かえってコラボレーションを豊ゆたかなものにした」とサンドリンは振ふり返かえる。

実際じっさい、イーキンによるオートクチュールでの優雅ゆうがなフォルムや繊細せんさいな色合いろあいの探求たんきゅうが“エジェリー・ムーンフェイズ”の随所ずいしょに息いきづいている。「例たとえば、ダイヤルに用もちいられたライラック色しょくのマザーオブパール。プリーツ模様もようが施ほどこされ、光ひかりを複雑ふくざつに反射はんしゃする色合いろあいは、イーキンのドレスに用もちいられる優やさしいパステルの色合いろあいを思おもい出ださせるはず」

「そんな“エジェリー”の新作しんさくに込こめた私わたしたちの想おもいや美意識びいしきを、日本にっぽんの女性じょせいたちは直感ちょっかん的てきに理解りかいしてくれるのが何なによりもうれしい」とサンドリンは話はなす。「マニュファクチュールとオートクチュールのデザイナーが協力きょうりょくすることで生うまれた新あたらしい“エジェリー”の魅惑みわく的てきな世界せかいを一人ひとりでも多おおくの女性じょせいに体感たいかんしてほしい」

photos: ©VACHERON CONSTANTIN 　text: Naohiko Takahashi

芸術げいじゅつ家かザリア・フォーマンと巡めぐる、「ヴァシュロン・コンスタンタン」の美意識びいしきに触ふれるニセコへの旅たび