いつものようにテレビ番組ばんぐみ欄らんを眺ながめていたら、久ひさしぶりに「総合そうごう診療しんりょう医いドクターG」の名前なまえを発見はっけんしました！　ついに新しんシリーズが始はじまったようです。久々ひさびさにレビューをしてみたいと思おもいます。

　今回こんかいのドクターGは、この番組ばんぐみの最多さいた出演しゅつえんを誇ほこる大阪おおさか医大いだい病院びょういんの鈴木すずき富雄とみお先生せんせいです。「病名びょうめいから症状しょうじょうを整理せいりするのではなく、症状しょうじょうから病名びょうめいを絞しぼり込こんでいくのが総合そうごう診療しんりょう医いだ」とおっしゃる鈴木すずき先生せんせいの診断しんだんポリシーは、新しんシリーズの開幕かいまくにはもってこいなのかもしれません。

　取とり上あげる症状しょうじょうは「しゃっくり」です。以前いぜん、ためしてガッテンで取とり上あげられた「しゃっくり足あし症候群しょうこうぐん」とは関係かんけいありません。本物ほんものの「しゃっくり」です。「吃ども逆ぎゃくが止とまらない」が主しゅ訴の症例しょうれいです。

　改あらためて調しらべてみると、吃ども逆ぎゃくというのは、延髄えんずいの異常いじょう興奮こうふんによって横隔膜おうかくまくの痙攣けいれんと声帯せいたいの閉鎖へいさが同時どうじに起おこる状態じょうたいだそうです。「しゃっくりを100回かいすると……」というのは、アニメ『ちびまる子こちゃん』でも取とり上あげられたことのある有名ゆうめいな都市とし伝説でんせつですが、もちろん医学いがく的てきな根拠こんきょはありません。でも今回こんかいは、「止とまらないしゃっくり」を、ドクターGが取とり上あげているわけです。

　いつものように、再現さいげんドラマが何なん回かいかに分わけて流ながされます。最初さいしょに流ながれたドラマでは、しゃっくりが出でて止とまらないということしか分わかりません。最初さいしょの数すう分ふんだけ見みて、出演しゅつえんする現役げんえきの3名めいの研修けんしゅう医いが疑うたがい病名びょうめいを提示ていじするという段取だんどりは今いままで通とおりです。

　基礎きそデータは血圧けつあつが高たかめ、尿にょう酸さんも血糖けっとう値ちも総そうコレステロールもすべて高たかめで、喫煙きつえんもしているとのこと。まあ、でも、だからといって、しゃっくりも生活せいかつ習慣しゅうかんの乱みだれが原因げんいんだとは言いえません。

　研修けんしゅう医いの皆みなさんが、最初さいしょの疑うたがい病名びょうめいを挙あげました。すると、3人にんとも疑うたがい病名びょうめいは「胸部きょうぶ大動脈だいどうみゃく瘤こぶ」で一致いっちしました。まさか、このパターン、いきなり全員ぜんいん正解せいかいだったりして？　さすがに最初さいしょで全員ぜんいん正解せいかいじゃ番組ばんぐみとして成立せいりつしませんから、違ちがうんでしょうけど。

　続つづくカンファレンスでは、この疑うたがい病名びょうめいと合あわない症状しょうじょうに迫せまっていきます。研修けんしゅう医いの先生せんせい方かたは、胸部きょうぶ大動脈だいどうみゃく瘤こぶは特とくに見逃みのがしたくない疾患しっかんなので、最初さいしょに鑑別かんべつに挙あげたわけですが、鈴木すずき先生せんせいは、そこは評価ひょうかしつつも、中枢ちゅうすう性せいの原因げんいん疾患しっかんも可能かのう性せいがあるのではないかと誘導ゆうどうします。

　続つづく再現さいげんドラマでは、顔面がんめんの感覚かんかくなどに異常いじょうがないことを示唆しさする場面ばめんに続つづいて、若干じゃっかんわざとらしく、この患者かんじゃに「カーテン徴候ちょうこう」を発見はっけんします。カーテン徴候ちょうこうというのは、発声はっせい時じに後こう咽頭いんとう壁かべのヒダが偏へん位くらいする現象げんしょうをいいます。これが見みられる場合ばあいには、迷走めいそう神経しんけいや舌した咽のど神経しんけいの障害しょうがいが疑うたがわれるのだそうです。

　この直後ちょくごに2回かい目めの疑うたがい病名びょうめいの提示ていじに移うつります。ここで研修けんしゅう医い3人にんが出だしたのは「頸静脈じょうみゃく孔あな症候群しょうこうぐん」「迷走めいそう神経しんけい麻痺まひ」「咽頭いんとう喉頭こうとう癌がん」で、今度こんどはきれいに分わかれました。鈴木すずき先生せんせいいわく、「この再現さいげんドラマでは、カーテン徴候ちょうこうが認みとめられたことから、首くびから上うえに原因げんいんがあるということに気付きづいてほしかった」とのことでした。

　続つづく再現さいげんドラマでは、原因げんいんを絞しぼり込こむために、顔面がんめんを金属きんぞくのボールペンでなぞって顔面がんめん感覚かんかくを確認かくにんしていくのですが、ここで「ボールぺンが右みぎ頬ほおでは滑すべって、左ひだり頬ほおでは滑すべっていない。だから、発汗はっかんに左右さゆう差さがあるのだ」と説明せつめいが入はいります。ちょっとこれは映像えいぞう的てきに分わかりにくかったですし、研修けんしゅう医いのみなさんも戸惑とまどっているように見みえました。テレビの限界げんかいでしょうか。

　ここまで来きて「延髄えんずい」というキーワードが出でてこない方ほうが不自然ふしぜんだよなあ、と見みていると、いきなり延髄えんずいに話はなしが展開てんかいして、あっという間まに「延髄えんずい外側そとがわ症候群しょうこうぐん」という最終さいしゅう病名びょうめいにたどり着つきました。

　最後さいごは、ちょっと強引ごういんな感かんじはしたものの、新しんシリーズでも、ドクターＧの軽かろやかなストーリー展開てんかいは健在けんざいだということが分わかり、冬ふゆに向むけて楽たのしみが増ふえました。