中学ちゅうがくまでは共学きょうがくで、高校こうこう、短大たんだいと女子じょし校こうに通とおった。

最初さいしょに驚おどろいたのは、名前なまえを呼よび捨すてにされたこと。
「山田やまだ！」
「田中たなか！」
「さん」をつけない。まるで体育たいいく会かい系けいの男おとこ同士どうしの挨拶あいさつのようで、面食めんくらった。
けれどもみんなそうだから、私わたしも呼よび捨すてで同級生どうきゅうせいを呼よんだ。自然しぜんと同級生どうきゅうせい同士どうしの会話かいわは男おとこ同士どうしのような、かなり乱暴らんぼうな言葉ことば遣づかいになっていった。

可愛かわいく見みせたい対象たいしょうがいない女子じょし校こうはあけっぴろげで、あけすけだった

しかも机つくえの下したでは大股おおまた開びらき。プリーツスカートとはいえ、男性だんせい教師きょうしは目めのやり場ばに困こまるといった顔かおだったし、女性じょせい教師きょうしに至いたっては眉まゆをひそめ、ときに、
「ほれ！　足あし！」
と声高こわだかに注意ちゅういする教師きょうしもいた。

共学きょうがくだとやはり異性いせいというものを意識いしきするから、女おんなならやはり「可愛かわいい」と言いわれたい、可愛かわいく見みせたい、の意識いしきが働はたらく。

それがない。
可愛かわいく見みせたい対象たいしょうがいないのだから、あけっぴろげで、あけすけだ。
会話かいわだって男おとこ同士どうしのような話はなし方かたをする。
そんなときに「そうなのよね」「わからなくって」なんてな言葉ことば遣づかいでもしようものなら、それこそ「ぶりっこ」と言いわれてしまう。

その村八分むらはちぶ扱あつかいが怖こわくて私わたしも極力きょくりょく、女おんならしい言葉ことば遣づかいをしないようにしていた。
学校がっこうと家いえでは分わけているつもりでも、ついつい学校がっこうでの振ふる舞まいが家いえでも出でてしまう。
「ご飯はんは食たべたの？」
「まだ食くってない」
「まあ、何なに、その言葉ことば遣づかい」
と、母ははにたしなめられたことがある。つい出でてしまった。

「誰だれかの目め」を気きにしなくなったら、自分じぶんのことも気きにしなくなる

学校がっこうでの同級生どうきゅうせいとの会話かいわが、こうした荒あらっぽい言葉ことば遣づかいなので、つい出でてしまうのだ。
やはり「誰だれかの目め」を気きにしなくなったら、自分じぶんのことも気きにしなくなる。

どこの誰だれと知しらなくても、どこかで誰だれかが「私わたし」を見みてる、という意識いしきが働はたらいている間あいだは男おとこも女おんなも小綺麗こぎれいにする。同性どうせい同士どうしとなると、それがなくなってしまう。

特とくに女おんなは化粧けしょうするでも、服ふくを着きるのでも、他人たにんの目めを気きにする。だいたいは男おとこであるけれど、ときに同性どうせいのこともある。

人ひとの目めを気きにする、特とくにこの私わたしが男性だんせいにとってどう映うつっているか、を一番いちばん気きにする。それがどうでもよくなってしまう。

とりわけ思春期ししゅんきなればなおのこと。それがもっと進すすみ、年としを取とっていくと、男おとこ、女おんな、以前いぜんの誰だれの目めも気きにしなくなるから、もっと始末しまつに悪わるい。その結果けっか、言いいたい放題ほうだいのオバンが出来上できあがってしまうのだ。

男おとこあっての女おんなで、女おんなあっての男おとこ。支ささえあって「人ひと」となる

やはり男おとこと女おんなしかいないのだから、その恋愛れんあい対象たいしょうが異性いせいであっても同性どうせいであっても同おなじである。

相手あいてに「好感こうかん」を持もたれる、「好意こうい」を抱だいてもらうという感情かんじょうを大事だいじにする、それが一番いちばん大事だいじなことではないかな、と最近さいきん思おもう。
何なにより異性いせいの目めを意識いしきする時期じきに、同性どうせいばかりの温室おんしつの中なかにいると、その中なかだけが社会しゃかいになってしまう。

その中なかで必然ひつぜん的てきにリーダー的てきな存在そんざいが生うまれ、そのリーダー的てきな存在そんざいにみんな右みぎへ習ならえをしてしまう、しないとクラスの中なかで生いきていけなくなってしまう。
それが怖こわさにリーダー的てき存在そんざいの女おんなの子こに皆みな、追随ついずいしていく。

こうした存在そんざいを作つくってしまうのも、やはり別べつ学がくならではの事ことだと思おもう。
共学きょうがくの間あいだはそうした存在そんざいは現あらわれないし、そうした存在そんざいを作つくってしまう雰囲気ふんいきは共学きょうがくにはない。こうした存在そんざいを作つくるのは別べつ学がくの、特とくに女おんなならではのものだと思おもう。

やはり男おとこと女おんな、しかいないのだから、別べつ学がくにする意味いみはないように思おもう。
男おとこがいて、女おんながいて、支ささえあって「人ひと」となる。どちらかばかりでは「人ひと」という文字もじは作つくれない。

共学きょうがくも別べつ学がくも経験けいけんしてみて、やはり男おとこあっての女おんなで、女おんなあっての男おとこであると実感じっかんする。
それが今いまはＬＧＢＴな時代じだいだから男おとこあっての男おとこ、でも女おんなあっても女おんなでも構かまわない。
極端きょくたんな「人ひと」よがりさえなければ、いい。
それがない、が何なにより一番いちばんだと最近さいきん、とみに思おもう。