エッセイ投稿とうこうサイト「かがみよかがみ」には、18～29歳さい女性じょせいたちが書かいたエッセイが2万まん本ほん超ちょう届とどいています。エッセイからは、かがみすと（投稿とうこう者しゃ）たちが、悩なやみながらも個人こじんとして社会しゃかいをアップデートしていこうとする思おもいが伝つたわってきます。そして、かがみすとと同どう時代じだいを生いきる企業きぎょうも同おなじく悩なやみながら組織そしきとしてチャレンジを続つづけています。かがみすとのエッセイに呼応こおうする企業きぎょうの「中なかの人ひと」の声こえを届とどけます。

かがみ企業きぎょうインタビュー01　パナソニック株式会社かぶしきがいしゃ

かがみすとのエッセイから

“ある日ひ、出社しゅっしゃした私わたしに50代だいの男性だんせい社員しゃいんはこう言いった。「毎朝まいあさ、旦那だんなさんの夕飯ゆうはん、用意よういしてくるの？」と。私わたしはこの言葉ことばに思おもわず絶句ぜっくしてしまった。”

“「旦那だんなさんが家事かじをやってくれるなら、仕事しごとをたくさん振ふっても大丈夫だいじょうぶだね」と思おもわれているような気きがしてならない。そういったこと気きにしながら働はたらくのも、気きを使つかって疲つかれる。”

「旦那だんなさんは家事かじとか手伝てつだってくれるの？」への違和感いわかん。家事かじは夫婦ふうふで「一緒いっしょに行おこなう」もの 

お話はなしを聞きいた方ほう：橡とち尾お麻未あさみさん

パナソニック株式会社かぶしきがいしゃ エレクトリックワークス社しゃ
人事じんじ・総務そうむセンター 　労政ろうせい企画きかく課か 　兼けん　DEI推進すいしん室しつ

橡尾麻未さん

2011年ねん、一般いっぱん職しょくとして入社にゅうしゃし、営業えいぎょう部門ぶもんで大手おおて住宅じゅうたく会社かいしゃへの提案ていあん営業えいぎょうを経験けいけん。2017年ねん、総合そうごう職しょくに転換てんかん。2020年ねん、自みずからの希望きぼうでDEI推進すいしん室しつに異動いどうし、主おもにジェンダーギャップの解消かいしょうなどを担当たんとうする。2025年ねんから現職げんしょく。

――お仕事しごと内容ないようを教おしえてください。

2020年ねんから社内しゃないのダイバーシティを推進すいしんする部署ぶしょで働はたらいています。

2011年ねんに入社にゅうしゃして、10年ねんほど営業えいぎょうに配属はいぞくされました。そこは、営業えいぎょうの部署ぶしょとしては珍めずらしく女性じょせいが多おおい職場しょくばでした。女性じょせいの先輩せんぱいたちが、出産しゅっさん後ごの働はたらき方かたや、夫おっとの転勤てんきんに帯同たいどうするかを悩なやんでいるのを目めにしたり、一方いっぽうでそれをサポートするメンバーも業務ぎょうむ負担ふたんが増ふえたりしているのを見みる中なかで、何なにかできることはないのかと考かんがえるようになったのがきっかけで、ダイバーシティを推進すいしんする部署ぶしょに異動いどう希望きぼうをだしました。

全ぜん社員しゃいん向むけアンコンシャスバイアスの研修けんしゅう。思おもい込こみに目めを向むける

――ジェンダー・バイアス解消かいしょうに向むけて、エレクトリックワークス社しゃではどのようなお取とり組くみをしているのでしょうか。

全ぜん社員しゃいん向むけにアンコンシャスバイアスについての研修けんしゅうをしています。この投稿とうこう者しゃさんがもやもやしているのも、まさにアンコンシャスバイアスによるものですよね。それぞれの無意識むいしきの思おもい込こみから思おもわず出でてしまう言葉ことばが、誰だれかを嫌いやな気持きもちにさせてしまうことがあるかもしれない。年代ねんだいによって、ライフスタイルや受うけてきた教育きょういくも異ことなりますから、意識いしき的てきに自分じぶんの中なかの思おもい込こみに目めを向むける機会きかいが大切たいせつだと思おもっています。

このエッセイほどの極端きょくたんな例れいだけではなく、異動いどうの際さいに男性だんせいだったら「単身たんしん赴任ふにんになるけど、どう？」とオファーするのに、女性じょせいの場合ばあい「単身たんしん赴任ふにんになると、厳きびしいかな」と無意識むいしきに決きめつけてオファーしない…というのも「アンコンシャスバイアス」の一ひとつです。そういった思おもい込こみがないかということを、グループに分わかれてディスカッションしてもらっています。

ほかにも、女性じょせいにフォーカスした取とり組くみとしては、主任しゅにんクラスを対象たいしょうにした「キャリアストレッチセミナー」という研修けんしゅうがあります。これはパナソニックグループ全体ぜんたいで実施じっししており、当社とうしゃからは毎年まいとし30名めいほどが受うけています。

アンコンシャスバイアスには、他人たにんから自分じぶんに対たいするものもありますが、自分じぶん自身じしんに対たいする思おもい込こみというのもあります。例たとえば目めの前まえのリーダーを見みて、「私わたしはぐいぐい引ひっ張ぱっていくようなリーダーにはなれない」と思おもって挑戦ちょうせんをためらうなど。そういうのをとっぱらって、多様たようなリーダーがいて良よい。「あなたらしい」「あなたの得意とくいな」リーダーシップをとってほしいとお伝つたえしています。

男性だんせいの育休いくきゅう期間きかんが長ながくなるほど、「出産しゅっさん」による男女だんじょの働はたらき方かたの差さが縮ちぢまる

――ここ最近さいきんでダイバーシティ関連かんれんで社内しゃないに変化へんかはありますか。

男性だんせい育休いくきゅうのとらえ方かたが大おおきく変かわったなと思おもいます。今いまは子こどもが産うまれた方ほうはほぼ全員ぜんいん取得しゅとくしていますし、取得しゅとく期間きかんも平均へいきんすると1カ月かげつ弱じゃくと徐々じょじょに長ながくなってきています。

取とり組くみを始はじめた2019年ねんごろは男性だんせい側がわも「何なにのためのお休やすみなのか」と戸惑とまどっている方ほうも多おおかったように思おもいます。今いまは共働ともばたらきの方ほうも増ふえていますし、夫婦ふうふで育児いくじをするための立たち上あげ期間きかんとして、それぞれのライフスタイルに合あわせながらとらえている方ほうも増ふえてきたように思おもいます。

男性だんせいの育休いくきゅう期間きかんが長ながくなるほど、「出産しゅっさん」による男女だんじょの働はたらき方かたの差さがうまってくるのかなと思おもうので良よい変化へんかだなと思おもっています。一方いっぽうで社内しゃないの若手わかて男性だんせい社員しゃいんにアンケートをすると、1～３か月げつの育休いくきゅう取得しゅとくを希望きぼうする声こえが最もっとも多おおいので、安心あんしんして長期間ちょうきかん取得しゅとくできる職場しょくば風土ふうどづくりに向むけ、会社かいしゃとしてサポートしていきたいと考かんがえています。

24時じ間あいだ会社かいしゃにウェイトを置おくのではなく、多様たような経験けいけんをしてほしい

――企業きぎょうとしてダイバーシティに力ちからをいれることのメリットは何なにだと思おもいますか。

弊社へいしゃの創業そうぎょう者しゃ・松下まつした幸之助こうのすけは、企業きぎょう理念りねんとして「衆知しゅうち経営けいえい」を掲かかげています。衆知しゅうち経営けいえいというのは、一人ひとりひとりの多様たような知恵ちえを結集けっしゅうしてより良よい経営けいえいを行おこなうという意味いみです。そのためには、多様たような人ひとがいきいきと働はたらける職場しょくばをつくることが必要ひつようだと考かんがえています。

また、かつてのように24時じ間あいだ会社かいしゃにウェイトを置おくのではなく、育児いくじをする、副業ふくぎょうをする、社会しゃかい人じん大学院だいがくいんに通かよう……など会社かいしゃ員いんだけでは得えられない多様たような経験けいけんを社員しゃいんにしてもらうことも大事だいじだと思おもうんです。仕事しごと以外いがいの経験けいけんが「お客様きゃくさまのくらしによりそう」ということにつながると思おもいますし、めぐりめぐって仕事しごとにもいかされると思おもっています。

「どちらか」ではなく「どちらも」選択せんたくできるように挑戦ちょうせんを

――20代だいの女性じょせいたちに何なにかメッセージをいただけますか。

20代だいはキャリアとライフイベントが重かさなる人ひとも多おおく、「どちらを選択せんたくするか」悩なやむことも多おおい時期じきだと思おもいます。ぜひ「どちらか」ではなく「どちらも」選択せんたくできるように、自分じぶんの可能かのう性せいを信しんじて、やりたいことにチャレンジしてほしいなと思おもいます。
私わたしがこの会社かいしゃに入はいって良よかったなと思おもうのは、人ひとをつくり、人ひとを活いかすことを大切たいせつにしていることです。私わたし自身じしん、希望きぼうのキャリアに向むけて努力どりょくをしたことを上司じょうしが見みて、サポートしてくれ異動いどう希望きぼうもかないました。自分じぶんだけで頑張がんばらず、周囲しゅういの人ひとの力ちからも借かりながら、自分じぶんらしいライフ・キャリアを築きずいていって欲ほしいです。