歌舞伎かぶき「ナウシカ」明日あした開幕かいまく、ナウシカ演えんじる尾上おがみ菊之助きくのすけ「5年ねん越ごしの夢ゆめが結実けつじつ」

宮崎駿みやざきはやお「風ふうの谷たにのナウシカ」を題材だいざいとした「新作しんさく歌舞伎かぶき『風ふうの谷たにのナウシカ』」が、明日あした12月がつ6日にちに東京とうきょう・新橋しんばし演舞えんぶ場じょうで開幕かいまくする。これに先さきがけ、本日ほんじつ12月がつ5日にちに昼ひるの部ぶの公開こうかい舞台ぶたい稽古けいこが行おこなわれた。

「新作しんさく歌舞伎かぶき『風ふうの谷たにのナウシカ』」では、映画えいが版ばんでは描えがかれなかった全ぜん7巻かんにおよぶ原作げんさくのストーリーすべてを、昼ひるの部ぶ・夜よるの部ぶ通どおしで舞台ぶたい化か。舞台ぶたい稽古けいこが公開こうかいされた昼ひるの部ぶは序幕じょまく「青あおき衣ころもの者もの、金色きんいろの野のに立たつ」、二に幕まく目め「悪魔あくまの法ほうの復活ふっかつ」、三さん幕まく目め「白しろき魔女まじょ、血ちの道みちを征せいく」から構成こうせいされている。序幕じょまくは映画えいが「風ふうの谷たにのナウシカ」冒頭ぼうとうにも登場とうじょうする伝承でんしょうの描えがかれたタペストリーを背景はいけいに、裃かみしも姿すがたの尾上おがみ右近うこんが作品さくひんの世界せかい観かんやあらすじを紹介しょうかい。アレンジされた映画えいがのオープニング曲きょくが流ながれ出だすと、紗幕しゃまくの向むこうに腐海ふかいをイメージした舞台ぶたい美術びじゅつや巨大きょだいな王おう蟲ちゅうの抜ぬけ殻がらが現あらわれ、幻想げんそう的てきな光景こうけいが立たち上あがった。

ナウシカ役やくの尾上おがみ菊之助きくのすけは、ワイヤーで客席きゃくせき上空じょうくうを移動いどうする“宙乗ちゅうのり”と呼よばれる演出えんしゅつで、空そら飛とぶ凧たこ・メーヴェでの飛行ひこうシーンも披露ひろう。凛りんとした佇たたずまいを見みせる一方いっぽう、黒衣くろごが操あやつるキツネリス・テトをなだめる姿すがたなど、仲間なかまや生いき物ものたちへの慈愛じあいに満みちたナウシカを穏おだやかな表情ひょうじょうで演えんじた。白しろい衣装いしょうと長ながい金髪きんぱつで皇女おうじょクシャナに扮ふんした中村なかむら七之助しちのすけは、紫色むらさきいろのマントを翻ひるがえして颯爽さっそうと花道かどうを闊歩かっぽし、観客かんきゃくを魅了みりょう。家族かぞくに命いのちを狙ねらわれていることを知しって戦たたかいを挑いどむ決意けついをする場面ばめんでは、強つよいまなざしで場内じょうないを惹ひきつけた。

劇げき中ちゅうでは「王おう蟲ちゅうとの交流こうりゅう」をはじめ、映画えいがのいくつかの楽曲がっきょくを和楽わらく器きで演奏えんそう。また「ペジテ」「ガンシップ」「バカガラス」といった固有名詞こゆうめいしはそのまま使つかわれるなど、原作げんさくや映画えいがのイメージを残のこしつつ、ナウシカの衣服いふくが王おう蟲ちゅうの体液たいえきで青あおく染そまる様子ようすは“引ひき抜ぬき”という衣裳いしょうを瞬時しゅんじに替かえる手法しゅほうで、ナウシカと王おう蟲ちゅうが心しんを通かよわせる場面ばめんは踊おどりで表現ひょうげんするなど、印象いんしょう的てきなシーンを歌舞伎かぶきならではの演出えんしゅつで見みせていった。

初日しょにちに際さいし、菊之助きくのすけと七之助しちのすけからのコメントも到着とうちゃく。菊之助きくのすけは「魅力みりょく的てきな登場とうじょう人物じんぶつや壮大そうだいな世界せかい観かんを、古典こてん歌舞伎かぶきで表現ひょうげんしたらどのような舞台ぶたいができあがるのか。試行錯誤しこうさくごの連続れんぞくではありましたが、古典こてんの力ちからを信しんじ、精一杯せいいっぱい勤つとめます」と意気込いきごみ、七之助しちのすけも「立たて廻まわりや大だい仕掛しかけもたくさん盛もり込こまれていますが、なにより深ふかいところで『いいな』と感かんじていただけるような作品さくひんになっていると思おもいます。クシャナという女性じょせいの葛藤かっとうを大切たいせつに演えんじていきたいです」とメッセージを寄よせている。

公演こうえんは12月25日にちまで。なお映画えいが館かんでのディレイビューイング上映じょうえいも決定けっていしている。

尾上おがみ菊之助きくのすけコメント

大好だいすきな「風ふうの谷たにのナウシカ」を歌舞伎かぶきにしたいと思おもい立たったのは、いまから五ご年ねん前まえのことでした。五ご年ねん越ごしの夢ゆめが結実けつじつし、いよいよ明日あした初日しょにちの幕まくが開ひらきます。魅力みりょく的てきな登場とうじょう人物じんぶつや壮大そうだいな世界せかい観かんを、古典こてん歌舞伎かぶきで表現ひょうげんしたらどのような舞台ぶたいができあがるのか。試行錯誤しこうさくごの連続れんぞくではありましたが、古典こてんの力ちからを信しんじ、精一杯せいいっぱい勤つとめますので、よろしくお願ねがいいたします。

中村なかむら七之助しちのすけコメント

あの名作めいさく漫画まんが「風ふうの谷たにのナウシカ」を歌舞伎かぶきにするという大おおきな挑戦ちょうせんに、菊之助きくのすけのお兄にいさんをはじめ一座いちざで取とり組くんでまいりました。立たて廻まわりや大だい仕掛しかけもたくさん盛もり込こまれていますが、なにより深ふかいところで「いいな」と感かんじていただけるような作品さくひんになっていると思おもいます。クシャナという女性じょせいの葛藤かっとうを大切たいせつに演えんじていきたいです。そして私わたしたちの愛あいしている歌舞伎かぶきを観みていただき、楽たのしんでいただけるように力ちからを合あわせて勤つとめますので、どうぞお楽たのしみにご覧らんください。