「アルマギア-Project-」初となる大型イベント「LAWSON presents 朗読歌劇アルマギア ~First Live 2023~」が、去る7月9日に東京・立川ステージガーデンで開催された。同イベントでは、マンガ1巻の世界観を朗読、ライブ歌唱を織り交ぜて表現。トークコーナーも展開され、大盛況のうち幕を閉じた。
コミックナタリーでは、当日の模様をレポートでお届け。またネオン役の麻倉もも、アカネ役の夏川椎菜のミニインタビューと、ククル役・戸松遥、マツリカ役・日笠陽子、ミウキャット役・徳井青空、フェスタ役・久保ユリカ、クルシュ役・小倉唯、ケラ役・石原夏織、マーブル役・沼倉愛美、バジス役・相川奏多らからのコメントで振り返る。さらに11月に行われる「アルマギア-Project-」の舞台「魔法歌劇アルマギア~Episode.0~」からは、キャストの初公開カットが到着した。
取材・文 / 粕谷太智イベントスチール撮影 / Mao Yamamoto
歌がキャストのパワーに!「朗読歌劇アルマギア」
2023年7月9日。“歌姫音楽プロジェクト”「アルマギア-Project-」の歴史に新たな1ページが加わった。会場は東京・立川ステージガーデン。ライブを交え、マンガ1巻を全編朗読劇化するという同プロジェクト初の試みに、開演前からファンの胸の高鳴りが感じられる。
朗読歌劇は、マンガ本編をフルカラーでスクリーンに映しながら進行。物語の冒頭から、麻倉もも演じるネオンが、オリジアース帝国の兵士によって両親と離れ離れにされてしまうという緊迫した場面が展開される。開演前の雰囲気から一変、会場には緊張感が漂う。それに拍車をかけるのは、ネオンに向けた父の「生きてさえいれば、必ずまた会える!!」という絶叫。麻倉の熱の入った演技も相まって観客を物語へグッと引き込んだ。
場面は変わり、ネオンは明るく活発な少女へと成長。父が懇意にしていた運送会社を営む親方のもとで世話になり、身体能力を活かして運送業を手伝っていた。足の悪い親方に対しても「私は親方の足の代わりなんだからさっ」と、笑顔で言ってのける。そんなネオンの運命は、帝国の支配が続く街へ一隻の戦艦が墜落したことで大きく動き出す。その戦艦から出てきた少女・アカネの歌声を聴いたネオンは、不思議な力で剣を携えた姿へと変身。みなぎる力で兵士たちを次々に倒していく。
今回の朗読歌劇では、アカネ役の夏川椎菜が朗読劇の流れからそのまま歌声を披露。迫力のSEに加え、スピード感溢れる演出が施されたマンガのカットからシームレスに夏川の圧巻の歌唱へとつながり、より一層物語への没入感を生んでいた。アカネの歌声からネオンが力をもらったように、夏川の「喪失のPrinciple」の歌唱を経て、麻倉の演技も迫力が増していく。激しいアクションシーンに合わせての叫びは、ここまで帝国へフラストレーションを溜めていた観客の気持ちを代弁するかのようだった。
気絶したネオンが目を覚ましたのは、帝国の圧政から人々を解放する反乱軍・アルマギアの戦艦。戸松遥演じる関西弁に似た言葉遣いをするククル、相川奏多演じる艦長バジス、日笠陽子演じるおっとりした雰囲気をまとったディーヴァ・マツリカら、アルマギアの面々の登場で、朗読劇は一層賑やかになっていく。ネオンとククル、バジスとのかけ合いはこれまでのストーリーから少し空気が変わり、コメディタッチに。個性的なキャラクターたちが織りなす笑いを交えたかけ合いは、ここまでの重い物語の小休止となっていた。しかし、その空気はまたもや帝国によって壊される。
歌で魔力を生み出し、人々を支える“ディーヴァ”、そのディーヴァの中でも特別な存在だというアカネを追ってきた帝国の戦艦が、ネオンたちの乗る戦艦を襲撃。ここでは、ククルとマツリカが抜群のコンビネーションを発揮する。「後で香水でも買ってもらわなくちゃ」と軽口も飛び出すマツリカから魔力を受け取りスピーディーに戦うククル。のちのトークでも仲のよさを見せていた戸松と日笠の軽快なやりとりが、戦闘のスピード感にマッチしていた。「アタシを何とかせんと、アンタら帰るトコなくなるで!!」と余裕すら見せるククルに感心するネオン。アルマギア優勢かと思われた、次の瞬間にはアカネの首にナイフが突き付けられ、今度は帝国に主導権が移る。
かつて両親を帝国によって奪われたネオンは、今度は大切な人を守りたいと、勇気を振り絞り反撃に出る。強い思いに突き動かされたネオンは、アカネを奪取。しかし、なりふり構っていられない帝国も、戦艦ごと沈めようと主砲をお見舞い。そんな危機的状況を救ったのは、またもやネオンとアカネだった。「お願い力の使い方教えて」というネオンのまっすぐな願いをき入れたアカネは、再び歌い出す。力を受けたネオンは大剣を一閃。敵の砲撃を受け切ると、ティア、ミア、そして沼倉愛美演じるマーブルら新たなアルマギアの仲間が助けにくる。
マーギアーとディーヴァが揃ったら敵なしと思わせるような、圧倒的な攻撃を繰り出すと、トドメはククルとマツリカに委ねられる。日笠が歌い上げたマツリカの楽曲「fighting love heart」は、熱血なククルを思わせる激しさのある一曲。歌の力を受けたククルは「みなぎってキタでー!!」とこの日一番の元気のよさで、渾身の「猛虎衝撃拳」を繰り出し、見事帝国を退けた。
バジスに「よくやったなネオン!」と労われるネオン。しかし、彼女は浮かない顔で「私 悔しい……」「みんなが戦っている時 私は何もできなかった……!」と吐露する。それでも「胸を張りな」とバジスに笑顔を向けられると、やっと笑顔に。全編通して成長するネオンの姿に、観客たちは釘付けにされ続けた。これからも続いていくネオンの物語への期待が膨らむ中、朗読歌劇は幕を閉じた。
次回は大喜利イベント?豪華キャストに夢が広がる
開演から約40分、ノンストップで歌に朗読にと駆け抜けたキャストたちは、続いてトークパートに登場。ラジオ番組「文化放送 超!A&G+『徳井青空・久保ユリカ アルマギア情報局』」のパーソナリティとしてもおなじみのミウキャット役の徳井青空とフェスタ役の久保ユリカが進行を務め、朗読劇から一変、観客席からも声が上がるような和やかな雰囲気で、「アルマギア情報局」番外編として、おなじみのタイトルコールからトークが展開された。朗読劇に参加した麻倉、夏川、戸松、日笠、沼倉、相川、ライブパートに出演するクルシュ役の小倉唯、ケラ役の石原夏織がステージに上がると、徳井も「勢揃いするとは思っていなかった」というほど豪華なキャスト陣に大きな拍手が贈られる。
セリフよりも歌唱が先だったことで緊張していたという夏川は、「物語を引き継ぎながら歌う経験がなかった。マーギアーに力を与えなくちゃいけないので、説得力のある歌唱ができるかドキドキしていた」と開演前の心境を語る。一方で、いざステージに立った際には「アカネが降りてきてくれた。アカネに力をもらって、マーギアーのように歌うことができました」と、劇中のマーギアーとディーヴァのように、力を与えてもらったと笑顔を見せた。
「殴られたり殴ったりで喉が……(笑)」と話し始めたのは麻倉。アクションシーンも見どころであることから叫び声が多かったそうで、「日常で叫べることがないので、ストレス発散になりました(笑)」と気持ちよく演じ切れたと胸を張る。アクションシーンを支えた迫力のSEにも話が及ぶと、徳井が「4DXみたいだった」と、体感型の映画並みの臨場感を感じたと褒め称えた。
ディーヴァとマーギアーとしてコンビを組む戸松と日笠は話を振られると、肩を組み仲のよさをアピール。戸松が「歌がカッコいいし、あの難しい歌を歌いこなせるってすごい」と日笠を褒めれば、日笠も「マツリカを演じるのは今回が初めてだったけど、付き合いが長いので、ペアでやることに安心感があった」と戸松に信頼を寄せる。また日笠は歌唱について話を振られると、マツリカの「普段のふんわりとした雰囲気」と、「歌の力強さ」その塩梅に気を配ったと振り返る。続けて「歌で敵を倒しがちなので(笑)」と他作品での役に触れて笑いを起こすと、最後には「パワーを与えるってところを念頭に置いた」と歌へのアプローチの仕方を語った。
沼倉が演じたマーブルは、1巻の時点ではまだまだ謎の多いキャラクター。沼倉はそんなマーブルについて「マーブルは歌声でキケンな状態になるんです。今日はまだキケンな感じが出ていなかったので、今後に期待してください」と自身のキャラクターの魅力を熱弁する。相川のトークでは、バジスに声が付くのが初、作品の朗読劇に参加するのも初、大人のカッコいい女性を演じるのも初、と初めてづくしのイベントであったことが明かされる。続けて相川が「あんな格好の人を演じるのも初めてで、いろんな意味でドキドキしました(笑)」とバジスのドキッとする格好に言及すると、会場から笑いが起こった。
「アルマギア-Project-」の初期から参加する小倉は同じく初期からの参加組である久保とともに「こんなことになるとは思っていなかった」と、大型イベント開催の感動をしみじみ語る。「もっとこじんまりしていた」と、当時の雰囲気を述懐し、「こんなステージで歌えるなんて夢みたいですね。ライブ映えする楽曲なので、皆さんで盛り上がりたい」とこの後のライブへの期待を膨らませた。同じく歌唱を控える石原は2019年発売の6thシングルから参加。楽曲について「当時は(私が)あまり歌ったことのなかったカッコいい系統の楽曲。レコーディングも『できるのかな?』と思いながらやっていました。でもいざできあがったらめちゃめちゃカッコいい作品になりました」と懐かしんだ。
トークパートも終わりに差し掛かると、久保が「(アルマギア情報局は)変なコーナーもいっぱいあるんだけどみんなにはやらせられないってことかな? みんなに大喜利やってほしかったんだけどね」と名残惜しそうに話す。さらに「大喜利が強そうな人がいっぱいいるんだけど」と、キャスト陣を見回しバラエティ色の強いイベントの開催にも期待を寄せた。
ライブパートの前には、舞台「魔法歌劇アルマギア~Episode.0~」のキャストが発表に。高井千帆、長谷川里桃、小山璃奈、岡田夢以、星守紗凪、反田葉月、野本ほたる、浜浦彩乃、花奈澪、明音亜弥の名前が次々にスクリーンへ映されると、客席からも驚きの声が湧き起こった。イベントにもマツリカ役の岡田、ククル役の星守、バジス役の野本の3人が登壇。客席からイベントをここまで観覧していたことが明かされる。感想を求められた星守が「鳥肌が止まらなかったですし、帝国許さんという気持ちになりました」と表情豊かに話すと、徳井も久保も「すでに感情移入してくれてる!」と新たなアルマギアファミリーの誕生に喜びを見せていた。目の前で演技を見たことで岡田は「プレッシャーを感じました」と正直に話す。一方で野本は「舞台の前に生の演技を見られることは少ないので、とても贅沢な時間でした」と、熱っぽく語った。
「アルマギア」の歴史を作ってきた楽曲で見せつけた歌の力
イベント最後のパートとなるライブでは、2014年のプロジェクト発足から「アルマギア-Project-」の歴史を支えてきた楽曲たちが次々と披露された。
トップバッターを務めた徳井の「スカイメーカー」で、さっそく観客が総立ちになると、笑顔が弾ける徳井へピンクのペンライトを振りながら声援が贈られる。続く久保の「クラウドスキップ」では、暗闇に輝くブルーのペンライトで会場全体が星空のような雰囲気に。久保のフェミニンな歌声が観客を一層、幻想的な雰囲気に誘った。
3曲目は重厚感のある低音響く楽曲に石原の歌声が映える「Brain maze」。トークパートで石原が言及していたようにカッコよさの際立つ楽曲が会場のボルテージを上げる。アップテンポな「ルッキングオーダー」では、小倉の歌声に合わせてこの日一番ペンライトが振られた。間奏では小倉が観客を煽る場面も。「ライブに映える曲」という小倉の言葉通り、会場のボルテージを一段上げていた。
久保と徳井のデュエット曲「ミュージカルコネクト」は2人の演じる個性的なキャラクターに合わせ、転調が織り交ぜられた楽曲。2人の歌声が重なる心地よさに、手拍子も起こり、会場が一体感に包まれる。2人が手を合わせてハートの形を作るパフォーマンスでは一際大きな歓声が起こった。ラストを飾ったのは6人のディーヴァが揃って歌唱する「アルマギア」。それぞれがアーティストとしても活動する6人のソロパートは圧巻で、重厚感のあるコーラスが印象的な楽曲と、個性豊かなキャスト陣の歌声が響き、イベントを締めくくるにふさわしい一曲となった。
ライブ後の挨拶では、親方役などを演じた松山鷹志、兵士役などを演じた川島零士、少年役を演じた夏目ここなにも惜しみない拍手が贈られる。戸松が「セカンドライブで会いましょう!」と次回開催を熱望すれば、小倉も「これから先の展開にもワクワクしますよね」と観客に語りかけるなど、キャスト陣が口を揃えて新たな展開に期待。徳井と久保ら長年「アルマギア-Project-」を支えてきたキャストからは、ライブの実現に喜ぶ声が改めて聞かれた。最後に挨拶した麻倉は「ボイスコミックを収録したときに、朗読歌劇をやりたいと雑談で話していたんです。こんなに早く夢が叶うとは思いませんでした」と驚きを伝える。続けてキャスト全員の思いを代弁するように「セカンド、サードと続くようにがんばっていきますので、これからも応援よろしくお願いします!」と、さらなる「アルマギア-Project-」の発展を観客に誓いイベントを締めくくった。