「宮松みやまつと山下やました」監督かんとく集団しゅうだん・5月が語かたる香川かがわ照之てるゆきのすごみと、3人にんユニットの強つよみ

「宮松みやまつと山下やました」の公開こうかい記念きねん舞台ぶたい挨拶あいさつが本日ほんじつ11月がつ19日にちに東京とうきょう・新宿しんじゅく武蔵野むさしの館かんで行おこなわれ、監督かんとく集団しゅうだん・5月として監督かんとくを務つとめた関せき友とも太郎たろう、平瀬ひらせ謙太けんた朗ろう、佐藤さとう雅彦まさひこが登壇とうだんした。

香川かがわ照之てるゆき主演しゅえんの本ほん作さくは、記憶きおくを失うしない自分じぶんの過去かこを何なにも思おもい出だせない宮松みやまつが、エキストラ俳優はいゆうとして「主人公しゅじんこうではない人生じんせい」を演えんじ続つづける物語ものがたり。現場げんばでの印象いんしょう的てきな瞬間しゅんかんを問とわれた監督かんとく陣じんは、現場げんばでの香川かがわの様子ようすを振ふり返かえっていく。

佐藤さとうは宮松みやまつがたばこを吸すいながら振ふり返かえり、笑顔えがおを見みせるシーンに言及げんきゅう。「あのカットにびっくりして。軽かろやかで、自然しぜんな、裏うらのない幸しあわせな笑わらい。あの笑顔えがおを作つくる秘密ひみつは教おしえてくれなかったんですけど、かつて相当そうとうな努力どりょくをされたらしいです。香川かがわさんの内部ないぶに、どんな状況じょうきょうでも、あの顔かおを作つくる構造こうぞうがある」と語かたる。また日差ひざしが強つよい場面ばめんでは本番ほんばん中ちゅうにまぶしい顔かおをしないよう直前ちょくぜんに太陽たいようをじっと見みつめ、目めを慣ならしていた香川かがわの様子ようすを紹介しょうかい。後日ごじつ、香川かがわ本人ほんにんから「私わたしが新人しんじんの頃ころに先輩せんぱいの役者やくしゃさんに教おそわったんです。まぶしいと目めを細ほそめてしまう。その前まえに太陽たいようを見みて目めを“焼やき殺ころす”んです」と聞きいたことを明あかした。

続つづいて関せきは「劇げき中ちゅう劇げきは、“本物ほんものの撮影さつえい”に見みせないといけない。エキストラとしての演技えんぎのうまい下手へたのさじ加減かげんも、香川かがわさんの中なかでいろんなバリエーションがあった」と述懐じゅっかい。香川かがわはテイクごとに異ことなる芝居しばいを見みせており、平瀬ひらせは「エキストラとして斬きられるときも、もっと芝居しばいが大おおきいものもあった。『これは（斬きられてないことが）バレる。こんなエキストラの方ほうがいたら画面がめんから外はずしてしまう』と感かんじさせるようなカットもありました」と明あかし、佐藤さとうも「香川かがわさんは超ちょうプロですから、かつらをかぶることにも慣なれちゃってるんですね。そこでも慣なれていないかぶり方かたを模索もさくする必要ひつようがありました。香川かがわさんはすごく頭あたまを働はたらかせていたと思おもいます」と話はなした。

関せきは最終さいしゅう日びに、香川かがわから「3人にんの監督かんとくは初はじめてだったけど、いいことだらけだった。OKにも3人にん分ぶんの重おもみがある。安心あんしんして次つぎのシーンに切きり替かえることができた」と声こえを掛かけられたことを回想かいそう。5月は東京藝術大学とうきょうげいじゅつだいがく映像えいぞう研究けんきゅう科かの佐藤さとうの研究けんきゅう室しつから生うまれたユニットであり、佐藤さとうは「3人にんが同時どうじに企画きかくして、原作げんさく・脚本きゃくほんを書かいて、撮影さつえい・編集へんしゅうするのは、世界せかいでも稀有けうなこと。各々おのおのが集あつまり、そこから新あたらしい5月がつという個性こせいが生うまれた。我々われわれが標榜ひょうぼうしているのは、手法しゅほうがテーマを担になうということ。そこを追求ついきゅうした新あたらしい形かたちが、新あたらしい表現ひょうげんを生うむんじゃないかと思おもっています」と、3人にんで監督かんとくすることの強つよみに触ふれた。

最後さいごに関せきは、ある取材しゅざいでインタビュアーから「2回かい目めに観みるとき、途中とちゅうを早送はやおくりしたら、何なにをやってるのか全然ぜんぜんわからなかった」と言いわれたことを振ふり返かえり「そこで気付きづいたんですが、この映画えいがは早送はやおくりすると面白おもしろさが生うまれない。物語ものがたりを追おって終おわりのタイプの映画えいがではない。迫力はくりょくも派手はでさもないですが、そういう意味いみでもぜひ映画えいが館かんで観みていただきたい」と呼よびかける。また平瀬ひらせは「これまでお茶ちゃの間あいだで観みられてきたのは、激はげしい動うごきでみんなを楽たのしませる“動どうの香川かがわさん”。この映画えいがに映うつっているのは、もっと静しずかな香川かがわさん。そんな香川かがわさんを今いま観みられるのは、この映画えいがだけだと思おもいます」と語かたった。

「宮松みやまつと山下やました」は新宿しんじゅく武蔵野むさしの館かん、シネクイント、シネスイッチ銀座ぎんざほか全国ぜんこくで上映じょうえい中ちゅう。