父ちちとの別わかれを予感よかんする「夏なつの終おわりに願ねがうこと」新しん映像えいぞう　YOU、高瀬たかせ隼はやぶさ子こ、大だい九きゅう明子あきこら絶賛ぜっさん

映画えいが「夏なつの終おわりに願ねがうこと」の本編ほんぺん映像えいぞうがYouTubeで解禁かいきん。あわせて著名ちょめい人じんからの推薦すいせんコメントが到着とうちゃくした。

父ちちの誕生たんじょう日びパーティのため、祖父そふの家いえを訪おとずれた7歳さいの少女しょうじょソルが過すごす夏なつの1日にちを描えがく本ほん作さく。病気びょうきで療養りょうよう中ちゅうの父ちちと久ひさしぶりに会あえることを喜よろこぶ彼女かのじょだったが、準備じゅんびに駆かけ回まわる家族かぞくたちの異変いへんに気きが付ついていく。映画えいが初はつ出演しゅつえんのナイマ・センティエスがソル役やくで主演しゅえんを務つとめたほか、モンセラート・マラニョン、マリソル・ガセ、マテオ・ガルシア・エリソンド、テレシタ・サンチェスもキャストに名なを連つらねた。

本編ほんぺん映像えいぞうには、父ちちとの面会めんかいを許ゆるされなかったソルがスマートフォンのAIに「いつ世界せかいが終おわるの？」と問といかける場面ばめんから幕開まくあけ。父ちちとの別わかれを予感よかんし涙なみだぐむ彼女かのじょに、ヘルパーのクルスが「心しんの底そこから愛あいしてるのよ」と父ちちの思おもいを代弁だいべんする様子ようすも収おさめられた。

本ほん作さくを鑑賞かんしょうしたYOUは「ソルが素晴すばらしい。願ねがうことは 全すべてを尊とうといものに変かえる力ちからであり 宇宙うちゅうを創つくる美うつくしい分子ぶんしのようだ」と、第だい167回かい芥川賞あくたがわしょうを受賞じゅしょうした小説しょうせつ家かの高瀬たかせ隼はやぶさ子こは「スクリーンの前まえでわたしたちは息いきを止とめて、その願ねがいを見届みとどける。彼女かのじょのこのうえなく真摯しんしな祈いのりを、ともに願ねがうでもなく、ただ見みつめる」とつづった。そのほか映画えいが監督かんとくの大だい九きゅう明子あきこ、コラムニストの山崎やまざきまどか、映画えいが監督かんとく・写真しゃしん家かの枝えだ優花ゆから10名めいも本ほん作さくにコメントを寄よせている。

なお本ほん作さくをテーマとしたオルタナティブポスター2種しゅも公開こうかい。イラストレーターの長崎ながさき訓子くにこと宮みや嵜蘭がデザインを手てがけ、長崎ながさきは色いろ鮮あざやかな風船ふうせんやオウム、カマキリ、カタツムリたちがソルの願ねがいを見守みまもる様子ようす、宮みや嵜はロウソクの炎ほのおを見みつめるソルの真摯しんしな瞳ひとみ、草木くさきと生命せいめいが共鳴きょうめいする一幕ひとまくを描えがいている。

リラ・アビレスが監督かんとくを務つとめ、第だい73回かいベルリン国際こくさい映画えいが祭さいでエキュメニカル審査しんさ員いん賞しょうを受賞じゅしょうした「夏なつの終おわりに願ねがうこと」は8月がつ9日にちより東京とうきょう・ヒューマントラストシネマ有楽町ゆうらくちょう、新宿しんじゅく武蔵野むさしの館かんほか全国ぜんこくで順次じゅんじロードショー。

映画えいが「夏なつの終おわりに願ねがうこと」本編ほんぺん映像えいぞう

YOU（タレント）コメント

ソルが素晴すばらしい。
願ねがうことは 全すべてを尊とうといものに変かえる力ちからであり 宇宙うちゅうを創つくる美うつくしい分子ぶんしのようだ

高瀬たかせ隼はやぶさ子こ（小説しょうせつ家か）コメント

スクリーンの前まえでわたしたちは息いきを止とめて、その願ねがいを見届みとどける。
彼女かのじょのこのうえなく真摯しんしな祈いのりを、ともに願ねがうでもなく、ただ見みつめる。

大だい九きゅう明子あきこ（映画えいが監督かんとく）コメント

TOTEMという原題げんだいのまま、公園こうえんのトーテムポールのようにそこにあって。死しとは。命いのちあるものみな死しぬ。
「祈いのり」そのもののようなこの映画えいがにあって、人間にんげん同士どうしは壮絶そうぜつな祈いのりを込こめて、しれっと命いのちを贈おくり合あう。
それは真水まみずの金魚きんぎょであり、がんじがらめの盆栽ぼんさいであり、キャンバスに描えがき出だされた生いき物ものの絵えである。
ラスト、ソルが蝋燭ろうそくの炎ほのおに向むけて捧ささげる祈いのりに至いたっては、地底ちていからか天空てんくうからか、
呼よび覚さまされ吸すい出だされるあらゆる命いのちの恐おそろしい叫さけび声ごえすらあぶり出だされている。
なんと息苦いきぐるしい。私わたしはこの映画えいがが好すきだ。

山崎やまざきまどか（コラムニスト）コメント

にぎやかな家族かぞくの中なかに漂ただよう、終おわりの気配けはい。
それを鋭敏えいびんに感かんじ取とる少女しょうじょの眼差まなざしが素晴すばらしい。
未知みちの悲かなしみを受うけ入いれる準備じゅんびをしているかのような、
そのか細ぼそい姿すがたがただただ切せつなかった。

枝えだ優花ゆか（映画えいが監督かんとく / 写真しゃしん家か）コメント

死しが身近みぢかにある状態じょうたいとは
同時どうじに今いま、ここに当あたり前まえのようにある生せいを感かんじることでもある。
我々われわれは何なにによって生いかされて、何なにをもって生いきていると思おもうのか。
息いきをひそめ、じっと彼かれらの生活せいかつを見みつめ、己おのれの生活せいかつを反芻はんすうする時間じかん。

遠藤えんどう文香あやか（写真しゃしん家か）コメント

家族かぞくと自然しぜん、生いき物ものたちの中なかで、
悲かなしみ、不安ふあん、喜よろこび、愛あい、願ねがうことを通とおして、
ソルの現実げんじつは絶たえず揺ゆらぎ、螺旋らせんを描えがきながら変化へんかし続つづける。
この映画えいがは人生じんせいであり世界せかいそのもの。

森もり直人なおと（映画えいが評論ひょうろん家か）コメント

手てのひらで掬すくい取とった水みずの中なかに幾多いくたの生命せいめいが動うごいている。
そんな風ふうに家族かぞくの集つどいを、人間にんげんの営いとなみを捉とらえた美うつくしい傑作けっさく。
我々われわれは人生じんせいの時間じかん制限せいげんいっぱいまでパーティーを続つづけるのだ。

月永つきなが理絵りえ（ライター / 編集へんしゅう者しゃ）コメント

たしかに漂ただよう死しの予感よかん。
けれど、それを取とり巻まく人々ひとびとの感情かんじょうはみなバラバラで、決けっして同一どういつにはなりえない。
ときに親密しんみつで、ときに不協和音ふきょうわおんを立たてる、ある家族かぞくの肖像しょうぞう。
誰だれかの死しを受うけ入いれるまでの時間じかんを、こんなふうに描えがいた映画えいがを初はじめて見みた気きがする。

麦むぎ倉くら正樹まさき（ライター）コメント

カサヴェテスの「まなざし」を持もったメキシコの新鋭しんえい。
この映画えいがは、少女しょうじょの目めを通とおした「こわれゆく女おんな」であり、「こわれゆくパパ」が奏かなでる、愛あいの不協和音ふきょうわおんの群像ぐんぞう劇げきなのだ。

児玉こだま美月みづき（映画えいが文筆ぶんぴつ家か）コメント

カタツムリが絵画かいがの上うえを這はう遅おそさで、
ハチドリが100万まん回かい羽はばたく速はやさで、
少女しょうじょは大人おとなになり、やがて知しってゆく。
最愛さいあいのひとがいなくなったとしても、
決けっして世界せかいがなくなりはしないことを。

SYO（物書ものかき）コメント

終おわりを前まえにして笑わらおうと努つとめる大人おとなたちと、戸惑とまどう少女しょうじょ。
どちらも整理せいりはできていない。人前ひとまえで繕つくろうかどうかの違ちがい。
祝祭しゅくさいの端はし々、各々おのおのの感情かんじょうが零こぼれ出だす様ようは等ひとしく哀切あいせつだった。

宮代みやしろ大だい嗣（映画えいが批評ひひょう）コメント

夏なつの終おわりが好すきだ。
独特どくとくな季き節ぶしの香かおり、終おわりに向むかっていく色彩しきさい。
多感たかんな少女しょうじょが香かおりや色彩しきさいの中なかからすべてを感かんじとり、願ねがう。
目めを閉とじて、ゆっくりとタイトルを唱となえたくなる作品さくひん！