「ソング・オブ・アース」監督かんとくが語かたる映画えいが、父ちち、ヴィム・ヴェンダースへの思おもい

ドキュメンタリー映画えいが「SONG OF EARTH／ソング・オブ・アース」のメイキング写真しゃしんが解禁かいきんされた。あわせて、同どう作さくで監督かんとくを務つとめたドキュメンタリー作家さっかのマルグレート・オリンからコメントが到着とうちゃくした。

第だい96回かいアカデミー賞しょう長編ちょうへん国際こくさい映画えいが賞しょうのノルウェー代表だいひょうに選えらばれた同どう作さくは、オリンがノルウェー西部せいぶの山岳さんがく地帯ちたいオルデダーレンの渓谷けいこくに暮くらす両親りょうしん・ヨルゲンとマグンヒルドに1年ねん密着みっちゃくしたもの。シンプルかつ豊ゆたかに生いきる彼かれらの姿すがたから、娘むすめは人生じんせいの意味いみや生なまと死しについて学まなんでいく。

メイキング写真しゃしんは5点てん。父ちちのヨルゲンとオリンが深ふかい雪ゆきの中なかを歩あるく様子ようすや、渓谷けいこくにかかった虹にじを眺ながめるヨルゲン、大おおきなカメラを手てに潜水せんすいするスタッフの姿すがたが切きり取とられた。

同どう作さくが生うまれたきっかけは、9年ねん前まえにオリンのパートナーが脳のう梗塞こうそくになり、昏睡こんすい状態じょうたいに陥おちいったことだという。事実じじつを受うけ入いれられなかったオリンは、母ははにアドバイスを求もとめた際さいに「あなたはお父とうさんが自然しぜんの中なかで歩あるいているところを撮とりたいとずっと言いってたじゃない。お父とうさんは84歳さいなんだからもう時間じかんはないんだよ？」との言葉ことばをかけられ、父ちちの許ゆるしを得えて撮影さつえいに踏ふみ切きった。オリンは「故郷こきょうの風景ふうけいを映画えいがにすることは、両親りょうしんの内うちなる心情しんじょうを映画えいがにすることだと感かんじていました」と回想かいそうする。

オリンは映画えいがの画面がめんに映うつることはないが、撮影さつえい中ちゅうはヨルゲンと行動こうどうをともにし、すべての瞬間しゅんかんを共有きょうゆうしてきた。彼女かのじょは「撮影さつえいを通つうじて“SONG OF EARTH”、つまり“地球ちきゅうの歌うた”を一緒いっしょに聞きいた気きがします」「父ちちの周まわりにずっとあったその音おとを私わたしたちが録音ろくおんし、それを父ちちともシェアしている……そのこと自体じたいが私わたしにとって人生じんせいで一番いちばんのギフトだと思おもいました」と思おもい入いれたっぷりに語かたる。映画えいがでは、ヨルゲンが氷こおりの上うえを歩あるく音おと、氷こおりがひび割われる音おと、滝たきの音おと、風かぜの音おとなど、自然しぜんの中なかから生うまれる数かぞえきれないほどの音おとが丁寧ていねいに拾ひろわれ、オーケストラの音楽おんがくとしても表現ひょうげんされている。

同どう作さくの製作せいさく総そう指揮しきは、ヴィム・ヴェンダースとリヴ・ウルマンが担になった。映画えいが「もしも建物たてものが話はなせたら」でもオリンとタッグを組くんだヴェンダースは、今回こんかい、自みずからプロデュースを申もうし出でたそう。オリンは「ヴェンダースさんとは開発かいはつ段階だんかいでアイデアやコンセプトについていろいろ話ばなしをしました。プロジェクトの魂たましいとなる部分ぶぶん、オルデダーレンの魂たましいとはなんなのかについて意見いけんを交かわすのにうってつけの方ほうだったんです」と協業きょうぎょうを振ふり返かえる。

ウルマンとは旧知きゅうちの仲なか。オリンが編集へんしゅうの第だい一いち稿こうを見みせ、意見いけんを求もとめたこともあり、幼おさない頃ころに自身じしんの父ちちを亡なくした経験けいけんを持もつウルマンは、父ちちへの思おもいを重かさね合あわせながら助言じょげんを行おこなった。日本にっぽん公開こうかいのためのインタビューで、ウルマンは「私わたしはこれまでずっと、父ちちと手てをつないで自然しぜんの中なかを一緒いっしょに歩あるくことを夢見ゆめみていました。オリン監督かんとくは、この映画えいがで私わたしの願ねがいを実現じつげんさせてくれたのです」と感慨かんがい深ふかげに話はなした。

「SONG OF EARTH／ソング・オブ・アース」は、9月がつ20日はつかより東京とうきょう・TOHOシネマズ シャンテ、シネマート新宿しんじゅくほか全国ぜんこくにてロードショー。

ドキュメンタリー映画えいが「SONG OF EARTH／ソング・オブ・アース」予告編よこくへん