ピノキオピーの10年ねん前まえのツイートは伏線ふくせんだった…？ / 結成けっせいから10年ねん、Royal Scandalが新しん体制たいせいであの曲きょくを

文ぶん / 真ま貝かい聡さとし

まずはこの週しゅうの初はつ登場とうじょう曲きょくの振ふり返がえりから

今週こんしゅうのYouTubeのミュージックビデオランキングは、4位いにStray Kidsの「Chk Chk Boom」、15位いにJIMIN（BTS）の「Who」とK-POPのトップアーティストたちのMVがランクイン。19位いにはSnow Manの「ドレス&タキシード」Rec Ver.、25位いになにわ男子だんしの「コイスルヒカリ」とSTARTO ENTERTAINMENT所属しょぞくグループのMVが登場とうじょうし、日にち韓かんの人気にんきグループの新曲しんきょくが目立めだった。

Stray Kids「Chk Chk Boom」ミュージックビデオ

Snow Man「ドレス&タキシード」Rec Ver.

そのほか14位いにヨルシカの「忘わすれてください」がランクインした。これは日本にほんテレビ系けいドラマ「GO HOME～警視庁けいしちょう身元みもと不明ふめい人じん相談そうだん室しつ～」の主題歌しゅだいかで、いなくなった自分じぶんを忘わすれてほしいと願ねがう歌うた。擬態ぎたいするメタがMV監督かんとくを務つとめた、二に次元じげんと三さん次元じげんの映像えいぞうが融合ゆうごうしたオリジナリティの高たかい映像えいぞうも話題わだいだ。

ヨルシカ「忘わすれてください」ミュージックビデオ

20位いにはKanariaの「チャンピオン」が登場とうじょうした。こちらは去年きょねん8月がつ31日にちに始はじまった、ポケットモンスターと初音はつねミクのコラボレーション企画きかく「ポケモン feat. 初音はつねミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs」の第だい20弾だん。シロナ戦せんのBGMをベースにしつつ、さまざまなポケモンの鳴なき声ごえやSEがちりばめられている楽曲がっきょくだ。対戦たいせん時じにミクのコスプレをしてくれるシロナの姿すがたにも、大おおきな反響はんきょうが起おきている。

Kanaria「チャンピオン」ミュージックビデオ

47位いにはあしざるFCの「桃太郎ももたろうパーティー」がランクインした。聴きいていて自然しぜんと楽たのしくなるパーティチューンで、MVでは桃太郎ももたろう一いち行ぎょうのゆるいコスプレをするメンバーたちに癒いやされる。

あしざるFC「桃太郎ももたろうパーティー」ミュージックビデオ

アイドル、バンド、ボカロなど幅広はばひろい楽曲がっきょくが並ならんだ今週こんしゅうは下記かきの3曲きょくをピックアップ。

ピノキオピー「ユーチューバー」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初はつ登場とうじょう50位い

この曲きょくの舞台ぶたいは現代げんだいではなく、数すう十じゅう年ねん後ごの世界せかいで「おじいちゃんはね 昔むかし ユーチューバーだったんだよ」「おばあちゃんはね 可愛かわいい ブイチューバーだったんだよ」と、かつて動画どうが配信はいしん者しゃだった老人ろうじんがその頃ころの思おもい出でを若者わかものに語かたるような歌詞かしになっている。

驚おどろかされたのは後半こうはんの展開てんかいだ。「終おわってる もう 終おわってる X年とし後ごに人類じんるいが消きえ去さってる――でも続つづいてる AIになって まだ動画どうが作つくってる 誰だれも見みてないのに更新こうしんしてる」と、物語ものがたりは思おもってもみない方向ほうこうに進すすんでいく。ここまでこの曲きょくを歌うたっていた登場とうじょう人物じんぶつは、実じつは人間にんげんの肉体にくたいから解とき放はなたれたAIだったのだ。その後ごの「ハロー ハロー ハロー ハロー 人間にんげんやめても ユーチューバー」もブラックユーモアが効きいていて面白おもしろい。

ラストに「おじいちゃんはね 昔むかし ボカロPだったんだよ」というピノキオピー自身じしんの言葉ことばのような歌詞かしと、「あっそ」という無む関心かんしんそうな若者わかものの反応はんのうでオチがつけられたこの曲きょく。ちなみにピノキオピーは10年ねん前まえの2014年ねんにTwitter（現げんX）で「おじいちゃんはね・・ 昔むかしボーカロイドの曲きょく作つくってたんだよ・・」と投稿とうこうしており、このツイートを発見はっけんしたリスナーの間あいだで「あのつぶやきは、今回こんかいの伏線ふくせんだったのでは」という説せつが浮上ふじょうしている。

CYBERJAPAN DANCERS「Bounce!」ダンスバージョンMV

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初はつ登場とうじょう54位い

韓国かんこくのヒップホップグループ・DJ DOCが2000年ねんに発表はっぴょうして現地げんちで大だいヒットを記録きろくした「Run To You」を、CYBERJAPAN DANCERSが正式せいしきカバーした。日本にっぽんではDJ OZMAが2006年ねんに「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士きし」というタイトルでカバーしたことでも知しられているパーティソングだが、彼女かのじょたちの明あかるくポジティブな雰囲気ふんいきが、楽曲がっきょくと見事みごとにマッチしている。

MVはダンスバージョンの前まえに通常つうじょうのものも公開こうかいされているのだが、特とくにダンスバージョンが爆発ばくはつ的てきに再生さいせい数すうを伸のばしている。この動画どうがではビキニを着用ちゃくようしてダンスしているため、1人ひとりひとりのスタイルのよさが際立きわだつだけでなく、踊おどっているときの指先ゆびさきや腰こし回まわりなど繊細せんさいな動うごきも確認かくにんできる。

CYBERJAPAN DANCERS 「Bounce!」ミュージックビデオ

DJ DOCを懐なつかしむ人々ひとびとにリーチしたようで、こちらの映像えいぞうは日本にっぽんだけでなく韓国かんこくでも話題わだいになっており、韓国かんこくのYouTubeチャートでは7月がつ20日にち付づけのデイリーランキングで2位い、ウィークリーランキングでも7位いにランクインしている。YouTubeのコメント欄らんには韓国かんこく語ごで「24年ねん前まえの歌うたをカバーしてもらって嬉うれしい」と感謝かんしゃをするコメントや、英語えいごで「とても美うつくしいMVだ」と賞賛しょうさんする声こえが上あがっており、彼女かのじょたちの存在そんざいが海外かいがいでも認みとめられているのがわかる。

Royal Scandal「アンチ・クイーンオブハート feat. Fuki」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初はつ登場とうじょう86位い

「アンチ・クイーンオブハート feat. Fuki」はRoyal Scandalの初はつ作品さくひん「クイーンオブハート」の発表はっぴょう10周年しゅうねんを記念きねんして作つくられた楽曲がっきょく。これまでボーカルを務つとめていたluzが今年ことし1月がつに逮捕たいほされたことを機きに、Royal Scandalは彼かれとの関係かんけいを終了しゅうりょうしており、この曲きょくはRoyal Scandal史上しじょう初はつのゲストボーカルとしてFuki（Unlucky Morpheus）を迎むかえて制作せいさくされた。

Royal Scandal「クイーンオブハート」ミュージックビデオ

「アンチ・クイーンオブハート」には「クイーンオブハート」と対たいになっているフレーズが随所ずいしょに見みられる。例たとえば、原曲げんきょくでは「誠意せいい」を「あい」と読よんでいたのに対たいして今回こんかいは「愛あい」を「せいい」と読よんでいたり、「犯おかさぬように、穢けがさぬように」が「冒おかさぬように、怪我けがさぬように」と同音どうおんで表記ひょうきが変かわって別べつの意味いみになっていたり。2つの曲きょくを比くらべることで面白おもしろみが格段かくだんに増ますような仕掛しかけが施ほどこされているのだ。

YouTubeのコメント欄らんでは「『クイーンオブハート』では艶なまめかしい女おんなに見みえていた彼女かのじょが実じつは強つよく優やさしい母ははだったことが、ボーカリストを変かえることでも表現ひょうげんされているように感かんじられてよかった」といったFukiに対たいする好意こうい的てきな声こえや、「原曲げんきょくでは自分じぶんの欲望よくぼうに忠実ちゅうじつで残酷ざんこくに描写びょうしゃされていたチェルシーママが、今回こんかいは泣なきながら手てを伸のばしてるのが意味深いみしんすぎる……」とMVについて考察こうさつする声こえも上あがっている。中心ちゅうしんメンバーである奏そう音おん69はInstagramで「10年ねん前まえ、クイーンオブハートの歌詞かしにちょっとだけ遊あそびを仕込しこんでおきました」と投稿とうこうしているので、もしかしたら「クイーンオブハート」にもまだ何なにか知しられざる要素ようそが隠かくされているのかもしれない。

なお7月がつ28日にちには「アンチ・クイーンオブハート」のボーカロイドバージョンのMVも公開こうかいされている。このMVはFukiボーカル版ばんとは一部いちぶ異ことなる新しん演出えんしゅつが含ふくまれているので、合あわせてチェックしてみよう。

巡めぐ音おとルカと奏そう音おん69「アンチ・クイーンオブハート」ミュージックビデオ

Royal Scandalは今後こんご、奏そう音おん69とRAHWIAの2名めいが残のこり、ボーカルは固定こていせず楽曲がっきょくごとのコンセプトに合あった人ひとを“キャストボーカル”として招まねいて活動かつどうしていくという。ただし、過去かこ音源おんげんを使用しようすることは権利けんり的てきに難むずかしくなるため、これまでの楽曲がっきょくは自主じしゅレーベルにて再さい構築こうちくし、新しんキャストボーカル・新しんMVにて再さい発表はっぴょうしていくとのこと。また、これまではリスナーが自由じゆうに想像そうぞうできるようにストーリーやキャラクターの詳細しょうさいはあえて明あかしてこなかったが、今後こんごは過去かこ作さくを含ふくむ全ぜんエピソードのあらすじ、登場とうじょう済ずみキャラクターの詳細しょうさいなプロフィールを順次じゅんじ公開こうかいし、キャラクターをメインとしたグッズの発売はつばい、Royal Scandal初はつの小説しょうせつ化かなど、新あたらしい企画きかくを始動しどうするそうだ。大おおきな目標もくひょうとして、音楽おんがくと物語ものがたりを融合ゆうごうさせた“舞台ぶたい化か”を目指めざしていくとのことで、彼かれらがどんなエンタテインメントを届とどけてくれるのか、これからの展開てんかいに期待きたいしたい。

「Royal Scandalは、この10周年しゅうねんを機きに大おおきく変かわる決意けついをいたしました」

真ま貝かい聡さとし

ライター / インタビュアー。雑誌ざっしやWebで執筆しっぴつするほか、MOROHA「其ノ灯ひ、暮くれラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像えいぞう作品さくひんや、テレビ特番とくばん「Mrs. GREEN APPLE ～Review of エデンの園えん～」にインタビュアーとして参加さんかしている。