山中やまなかさわお、a flood of circleに好感こうかんを抱いだく

山中やまなかさわお（the pillows）　フラッドと出会であったのはちょうど10年ねん前まえだったっけ？

佐々木ささき亮介りょうすけ（a flood of circle）　そうですね。ピロウズのトリビュートアルバム（「ROCK AND SYMPATHY」）に参加さんかさせてもらって。

山中さんちゅう　ピロウズが25周年しゅうねんのときに、2回かい目めのトリビュートアルバムを出だしてもらえることになって。1作さく目め（2004年ねんリリースの「SYNCHRONIZED ROCKERS」）は旧知きゅうちのバンドに頼たのんだんだけど、2作さく目めは知しってる人ひともいれば、会あったこともない人ひとたちも参加さんかしてるんだよね。俺おれ、フラッドのことは当時とうじ知しらなくて。

佐々木ささき　若手わかてのバンドがいっぱい参加さんかしてたんですよね。当時とうじはWHITE ASHが同おなじ事務所じむしょだったんですけど、彼かれらはバンド名めいをピロウズの曲名きょくめいから取とっていて、彼かれらのほうが先さきにさわおさんと知しり合あっていて。俺おれもピロウズが大好だいすきだったから、「うらやましいな」って言いってたら、「じゃあフラッドもトライしてみる？」という話はなしになり。何なん曲きょくか選えらんでカバーさせてもらって、そのうちの1曲きょく（「Blues Drive Monster」）をトリビュートに入いれてもらったんです。

山中さんちゅう　その流ながれで俺おれたち主催しゅさいの対たいバンツアー（2014年ねん開催かいさいの「the pillows 25th Anniversary NEVER ENDING STORY "ROCK AND SYMPATHY TOUR"」）に出でてくれたんだよね。

佐々木ささき　仙台せんだいRensaですね。Scars Boroughも一緒いっしょでした。

山中さんちゅう　そうか。9mmもあのツアーに出でてくれたよね？

菅原すがわら卓郎たくろう（9mm Parabellum Bullet）　Zepp Nagoyaですね。俺おれらも「インスタント ミュージック」でトリビュートアルバムに参加さんかして。

山中さんちゅう　うん。亮介りょうすけとはトリビュートアルバムきっかけで出会であって、すぐ仲なかよくなった。

佐々木ささき　受うけ入いれてもらいました。

──フラッドのライブを初はじめて観みたのも、2014年ねんの対たいバンのときですか？

山中さんちゅう　たぶんそうかな。その頃ころに野の音おんのライブDVD（「I'M FREE The Movie-形かたちないものを爆破ばくはする映像えいぞう集しゅう- 2014.04.12 Live at 日比谷ひびや野外やがい大だい音楽おんがく堂どう」）を送おくってくれたんだよ。それを観みて「好すきな曲きょくがいっぱいあるバンドだな」と認識にんしきして。

佐々木ささき　その話はなしは初はじめて聞ききました。俺おれもピロウズは10代のときから聴きいてて。さわおさんと共通きょうつうの友達ともだちに田淵たぶちさん（UNISON SQUARE GARDENの田淵たぶち智也ともや）がいるんですけど、自分じぶんたちの世代せだいのロックバンド好すき、ロックミュージック好すきはみんなピロウズを聴きいてたと思おもいます。

しっかり仕事しごとする佐々木ささき亮介りょうすけ

──9mmとフラッドが出会であったのは？

菅原すがわら　2007年ねんですね。自分じぶんたちの対たいバンツアーだったんですけど、新宿しんじゅくLOFT公演こうえんにトップバッターとしてフラッドが出でてくれて。ただ、そのあとはそんなに会あってないよね。どっから仲なかよくなったんだろ？

佐々木ささき　自分じぶんの中なかでは2015年ねんにZepp DiverCityでツーマンをやったのが大おおきくて。俺おれらの主催しゅさいだったんですけど、ちょうどメンバーが変かわったりしていて、“勝負しょうぶ時じのツーマン”みたいな感かんじだったので覚おぼえてます。

菅原すがわら　そうか。最近さいきんだとウチのトリビュートにも参加さんかしてくれて（9mmのトリビュートアルバム「CHAOSMOLOGY」で「Black Market Blues」をカバー）。あとは「SHIKABANE」かな。THE BACK HORNの（山田やまだ）将司まさしさん、Nothing's Carved In Stoneの（村松むらまつ）拓たくちゃん、俺おれと亮介りょうすけの4人にんで弾ひき語がたりをするというユニットなんですけど。

佐々木ささき　SHIKABANEで卓郎たくろうさんとの心しんの距離きょりがグッと近ちかくなったような気きがします。

菅原すがわら　亮介りょうすけはSHIKABANEの中なかでしっかり仕事しごとをするんですよ。将司まさしさんと拓たくちゃんは冗談じょうだんばっかり言いってて楽たのしそうな中なか、亮介りょうすけがグイグイと引ひっ張ぱってくれて。

佐々木ささき　4人にんの中なかでは一番いちばん年下とししたなので、ちょっと「カマすぞ」という気持きもちもあって（笑）。

菅原すがわら　亮介りょうすけが音楽おんがく的てきに推進すいしんしてくれて、俺おれがまとめるという感かんじなんだけど、すごく頼たよりになりますね。誰だれも頼たのんでないのにギターソロを弾ひき始はじめたり。

佐々木ささき　SHIKABANEで出演しゅつえんした2017年ねんの「MONSTER baSH」もよく覚おぼえてますね。ライブも打うち上あげも楽たのしくて。俺おれはどうしても人前ひとまえでカッコつけちゃうんですけど、そのときはお互たがいの弱よわみもちょっとずつ見みせられた気きがしました。

菅原すがわら　そんな話はなしをしたあとに拓たくちゃんが「商店しょうてん街がいで指輪ゆびわを落おとした」ってい出いだして、みんなで探さがしに行いって。

佐々木ささき　青春せいしゅんの思おもい出でです（笑）。

──シネマとフラッドはほぼ同どう世代せだいですか？

佐々木ささき　そうですね。関係かんけいはかなり古ふるくて、最初さいしょに会あったのは俺おれが20歳さいのときだったんですよ。そのとき瑞みず規ぶんまわしは19歳さい？

飯田いいだ瑞みずほ規ぶんまわし（cinema staff）　そうです。最初さいしょに対たいバンしたときは、お互たがいデビュー前まえで。名古屋なごやのUPSETだったんですけど、やぶ屋や（居酒屋いざかや）で打うち上あげをしました。

佐々木ささき　ハハハ。

飯田いいだ　亮介りょうすけくんと初はじめて話はなしをしたのもそのときですね。僕ぼく、岡庭おかにわ（匡志ただし / G）さんや石井いしい（康かん崇たかし / B）さんもそうなんですけど、フラッドの今いままでのメンバーには全員ぜんいんお会あいしていて。石井いしいさんがバンドを離はなれる直前ちょくぜんの対たいバンが名古屋なごやのCLUB ROCK'N'ROLLだったんですけど、アンコールで「石井いしいさんに捧ささげます」と言いって演奏えんそうしました。

佐々木ささき　そのときはまだ脱退だったいを発表はっぴょうしてなかったから、「バレちゃう！」って（笑）。

菅原すがわら　エモ走はしることってあるからね（笑）。

佐々木ささき　9mmとシネマは世代せだいはわりと近ちかいんですけど、ずっと近ちかくにいた感かんじはなくて。そもそもフラッドにはずっと並なみ走そうしていたバンドがいなくて、どこかのシーンの中なかにいる感覚かんかくもないんですよ。そんな中なかでも大事だいじな出会であいがいくつかあった。15周年しゅうねんのタイミングで尊敬そんけいしているバンド、好すきなバンドに自分じぶんたちのツアーに出でてほしかったし、この3バンドと一緒いっしょにやれるのはすごくうれしいですね。

亮介りょうすけには品格ひんかくがある

──山中やまなかさんが感かんじるフラッドのよさ、佐々木ささきさんの魅力みりょくとは？

山中さんちゅう　いつも思おもうんだけど、亮介りょうすけには品格ひんかくがあるんだよね。ロックンロールが好すきで、ステージでめちゃくちゃ暴あばれてても、なんか下品げひんじゃないし、優雅ゆうがな感かんじがする。それはとっても大事だいじじゃない？ 卓郎たくろうくんもそうなんだよね。やってる音楽おんがくは無茶苦茶むちゃくちゃなんだけど、優雅ゆうがさがあって（笑）。

飯田いいだ　……実じつは俺おれもそうなんですよ（笑）。

佐々木ささき・菅原すがわら　ハハハハハ！

山中さんちゅう　ごめんごめん（笑）。品格ひんかくって持もって生うまれたものなんだよね。にじみ出でるものだし、作つくり込こんでも表現ひょうげんできないことだから、それは素敵すてきな武器ぶきだと思おもうよ。あとバンドに関かんしては、いい曲きょくを書かいて、いい歌詞かしを書かいて、いい演奏えんそうするしかない。それを考かんがえるとフラッドはいいバンドなんじゃない？

佐々木ささき　うれしいです。自分じぶんのいいところや悪わるいところはよくわからないんだけど、さわおさんが言いってくれるんだったら、「俺おれはそういう人間にんげんなんだろうな」と思おもえるというか。それはたぶんピロウズから学まなんでることでもあるんですよね。自分じぶんのロックンロールをやるってことが大事だいじで。言葉ことばにするとチープだけど、その姿勢しせいがカッコイイと思おもってピロウズを聴きいてきました。

菅原すがわら　いろんなバンドの曲きょくを聴きく中なかで、好すきな歌詞かしや苦手にがてな歌詞かしというのがあるんですけど、亮介りょうすけが書かく歌詞かしは「全部ぜんぶ大丈夫だいじょうぶ」って思おもえるんですよ。どの歌詞かしを見みても「わかる。そうだよな」と。自分じぶんが同おなじような歌詞かしを書かくわけじゃないんだけど、どういう狙ねらいで、何なにを伝つたえようとして書かいているのかがわかる。去年きょねん出でたアルバム（「花はな降ふる空そらに不滅ふめつの歌うたを」）に入はいってる佐々木ささき亮介りょうすけが丸出まるだしの楽曲がっきょく（「月夜つきよの道みちを俺おれが行いく」）もブレーキをかけないで作つくったんだろうなと。単純たんじゅんに「いいバンドだな」とか「好すきな曲きょくがある」というのを超こえて「俺おれがこんなに理解りかいしてるんだから、亮介りょうすけは俺おれのこともわかってくれるはずだ」っていう思おもいもあるんですけど（笑）。

──普段ふだんから歌詞かしの話はなしとかもするんですか？

佐々木ささき　技術ぎじゅつ的てきな話はなしとかはしないですけど（笑）、もちろん9mmの新作しんさくが出でるたびに聴きいていて。俺おれらにとって9mmは見上みあげる存在そんざいというか、目めの上うえのタンコブ的てきな……。

飯田いいだ　ハハハ。

佐々木ささき　先さきにデビューして、どんどん上うえに行いって。もちろん好すきなバンドなんだけど、微妙びみょうにジェラシーや憧あこがれが混まざってるんですよね。「歌詞かしが好すき」っていうのも生意気なまいきなのかなと思おもったり。

菅原すがわら　全然ぜんぜんだよ。

佐々木ささき　バンドマンとしての戦たたかい方かたというか、卓郎たくろうさんが背負せおってきたものが歌詞かしに入はいっていると思おもっていて、そこにグッとくるんですよね。1つのストーリーとして描えがいている歌詞かしもあるんだけど、そこにも卓郎たくろうさんの背中せなかに刻きざまれた傷跡きずあとが見みえる。それは共感きょうかんというよりも「ヤバい！」という感かんじなんですけどね。

──そこには悔くやしさも混まざってるんですか？

佐々木ささき　それもあります。ただ、先輩せんぱいに対たいしても同おなじロックミュージック好すきという気持きもちがデカいんですよね。ジョン・レノンに対たいする気持きもちと一緒いっしょなんですけど（笑）、ロックミュージックが好すきってだけで友達ともだちみたいな感かんじがするんです。さわおさんもそうで、話はなすときは敬語けいごだし、尊敬そんけいしてるだけど“魂たましいの友達ともだち”みたいな。

山中さんちゅう　俺おれ、見みた目めは55歳さいだけど、心しんは14歳さいだから。すげえ後輩こうはいだよ。

菅原すがわら　（笑）。亮介りょうすけのほうが精神せいしん年齢ねんれいが高たかい可能かのう性せいが。

佐々木ささき　確たしかに14歳さい同士どうしが集あつまってる瞬間しゅんかんがありますからね。

菅原すがわら　あるね（笑）。ピロウズもフラッドもシネマもそうなんですけど、ロック好すき、音楽おんがく好すきという感かんじでつながってる感覚かんかくがいまだにあるので。もう1つ思おもうのは、俺おれも亮介りょうすけも「黙だまって俺おれについて来こい」というタイプじゃないんですよ。亮介りょうすけがライブでワーッとやってる姿すがたを見みると「黙だまって俺おれについて来こいって感かんじなのかな」と思おもう人ひともいるかもしれないけど、実じつはそうじゃなくて。どっちかと言いうとメンバーに対たいして「ガヤガヤ言いいながら、側がわにいろ」と思おもってるんじゃないかな。

佐々木ささき　そうかも（笑）。

菅原すがわら　もちろんファンの人ひとたちには伝つたわってると思おもうんだけど。俺おれや亮介りょうすけにとってバンドって、たぶん心しんをひとつにするためのものではないんですよ。ステージの袖そでで円陣えんじん組ぐみんだりすることもあるけど、大事だいじなのはそこじゃなくて。音おとを一緒いっしょに鳴ならした瞬間しゅんかんに、曲きょくがバーッと立たち上あがればいいんだよね。