結成けっせい25年ねん、ずっと楽たのしいが続つづいてる

──dustboxが今年ことしで結成けっせい25年ねんという、その事実じじつにびっくりしました。

SUGA（Vo, G）　本当ほんとうですよね。いろいろありましたし、「あっという間あいだだったか？」と聞きかれたらなんとも言いえないですけど、がむしゃらに活動かつどうを続つづけていたら音源おんげんもたくさん出だしていたという。僕ぼくらはアルバム1枚まい作つくってツアーを回まわって、「じゃあ3、4年ねんは何なにもしなくてもいいか」という感かんじにはなれなくて。だいたいツアーが終おわったらまた次つぎの作品さくひんを制作せいさくしていたので、気付きづいたら25年ねんも経たっていたというのが本音ほんね。結成けっせい25年ねんという言葉ことばに一番いちばんピンときてないのは僕ぼくらかもしれないです（笑）。

──SUGAさんはdustboxを始はじめた頃ころ、バンドの未来みらいに対たいしてどんなイメージを持もっていましたか？

SUGA　最初さいしょはとにかく楽たのしいからバンドやろうぜ！ってことでライブに命いのちを懸かけていましたね。すごく下手へたくそでしたけど熱量ねつりょうだけは人一倍ひといちばいあって。音源おんげんを出だしたいけどどうしたらいいかわからないから、とりあえずデモテープを作つくってライブを始はじめたら運うんよくレーベルが決きまって、とんとん拍子びょうしで1stアルバムを出だすところまで進すすめた。で、初はじめての全国ぜんこくツアーも40カ所かしょ以上いじょう回まわって……そこから止とまらずここまで来きたので、目めの前まえの楽たのしいことにそのときそのときで向むき合あって、ずっとその楽たのしいが続つづいている感覚かんかくですね。そもそも、46歳さいになってもバンドを続つづけているとは思おもわなかったですから。YU-KIが入はいったのが……。

YU-KI（Dr）　2015年ねんかな。

SUGA　そのときYU-KIはいくつ？

YU-KI　30歳さいぐらいですかね。

SUGA　え、もうすぐ40歳さいじゃん！

──特とくにYU-KIさんは途中とちゅうからdustboxに参加さんかしていることもあって、このバンドに対たいする印象いんしょうがいろいろ変かわったかと思おもいますが。

YU-KI　そうですね。外そとから見みていたときは、スタジオに週しゅう3、4日にち入はいって5時じ間あいだぐらい練習れんしゅうしているのかなと思おもっていました。いざ加入かにゅうしてみると全然ぜんぜんやってないっていう（笑）。

SUGA　スタジオにとりあえず集あつまって、機材きざいをセッティングしたら一服いっぷくして、そこから3、40分ふんしゃべっちゃう。そのあと2、3曲きょく合あわせて、また1時じ間あいだぐらい話はなして「もう時間じかんないじゃん！」って焦こげるという（笑）。

YU-KI　加入かにゅうしてすぐの頃ころは曲きょくをたくさん演奏えんそうしたいじゃないですか。なのに全然ぜんぜんそのへん考かんがえてなくて、だいたい「え、やらないんですか？」「いいよ今日きょうは」という会話かいわで終おわるんですよ（笑）。たぶん音おとを出だすのは毎回まいかい30分ふんぐらい。あなたたちはずっとやってきたかもしれないけど、俺おれは一いち度どもやってないんだからっていう（笑）。

SUGA　もちろん、そのあとに合宿がっしゅくに入はいってしっかり練習れんしゅうしましたけどね（笑）。

──今いまのお話はなしを聞きくだけでも、やっぱりバンドをやっていることが常つねに楽たのしいんだろうなと感かんじました。大変たいへんなことも都度つど都度つどあったと思おもいますけど、それよりも楽たのしさが勝かっていたことが25年ねん続つづけられた秘訣ひけつでもあるのかなと。

SUGA　そうなのかな。でも、確たしかにずっと張はり詰つめたままだとどこかでダメになっちゃったかもしれないですね。

dustboxにとっての曲きょく作づくりとは

──先さきほど、SUGAさんがこの25年ねんで音源おんげんをたくさん発表はっぴょうしてきたとおっしゃっていましたが、確たしかにdustboxはオリジナルアルバム10枚まい、ミニアルバム4枚まいにスプリットアルバムやシングルなどもリリースしており、作品さくひん数すうはかなり多おおいですよね。

SUGA　曲きょく作づくりは好すきなほうなんですよ。もちろん作つくり始はじめてめちゃめちゃ悩なやむときもあるし、みんなで集あつまって「どうしよう？」と無言むごんになっちゃう時間じかんもあるんですけど。

YU-KI　常つねに曲きょくを作つくっている印象いんしょうがありますよね。レコーディングが1つ終おわっても、SUGAさんはもう次つぎの曲きょくを作つくってますし。

SUGA　曲きょく作づくりをやめちゃうと、いざ次つぎに作つくろうと思おもってもすぐにはできないんで、なるべくネタだけでも貯ためているんです。あと、ツアーが終おわると燃もえ尽つき症候群しょうこうぐんみたいになって何なにも手てにつかなくなることもあるし、特とくにバンドを始はじめた頃ころは次つぎにやることがないとどうしていいかわからなくなることもあったので、何なにかしら次じのアクションを決きめておく。それが僕ぼくらの場合ばあいは音源おんげんなので、曲きょくを作つくり続つづける習慣しゅうかんがついたのかもしれないです。

YU-KI　制作せいさくのために合宿がっしゅくに入はいる時点じてんで、すでにデモが10曲きょくぐらいそろってますし。

SUGA　「これどうなんだろう？」っていう程度ていどのものも含ふくめて、10曲きょくとか15曲きょくとかね。

YU-KI　でも、いつもデモが送おくられてくるのは合宿がっしゅくの1日にち前まえぐらい（笑）。だから、合宿がっしゅくに入はいっても「まだ全部ぜんぶ聴きいてないです」ってことも多おおくて。

SUGA　ああいうのって瞬発しゅんぱつ力りょくだと思おもうんで、パッと聴きいて直感ちょっかんで「これいいんじゃない？」ってぐらいでいいと思おもうんです。あんまり前まえから聴きかせるのも反応はんのうが気きになって怖こわくなりますし（笑）。

YU-KI　曲きょくを作つくっていない側がわの俺おれとJOJIさんはタバコを吸すいながら、2人ふたりで「何なん曲きょく目めからやります？」「お前まえからSUGAに言いえよ」「いやいや、JOJIさんから言いってください」という打うち合あわせをするわけですよ（笑）。で、そういうやり取とりを経へて、最終さいしゅう的てきに残のこるのが8曲きょくぐらい。

SUGA　自分じぶんの中なかでは、例たとえばアルバムを作つくるためにデモを15曲きょくぐらい用意よういすると、「これは自信じしんがある」っていうのが3曲きょくぐらい。そのほかは「この曲きょく、始はじまり方かたとかドラムのリズムとかが俺おれの中なかでまだわからない」と伝つたえながら、2人ふたりの力ちからを借かりてどんどん完成かんせいさせていく感かんじです。メンバーに投なげてその曲きょくが変化へんかするのも面白おもしろいですし。だから、なんだかんだ曲きょく作づくりっていうものを楽たのしんでいるんでしょうね。

YU-KI　デモからまったく変かわってしまう曲きょくもあるし。

SUGA　1人ひとりである程度ていどのところまでは作つくるんですけど、没頭ぼっとうしていると途中とちゅうでわからなくなっちゃうんで。特とくに曲きょくのアレンジなんて無限むげんだから迷まよったら相談そうだんする。それがバンドの醍醐味だいごみでもありますしね。

タイトルは自然しぜんと浮うかんできた

──トリビュートアルバムを聴きいて改あらためて実感じっかんしたのは、SUGAさんはこの25年ねんにわたって普遍ふへん性せいのある楽曲がっきょくを作つくり続つづけていたんだなということでした。いろんなバンドがそれぞれのアレンジでdustboxの楽曲がっきょくを表現ひょうげんしていますが、どの曲きょくも一いち度ど聴きいたら耳みみから離はなれないメロディばかりで、まさに「Timeless Melodies」というタイトルにぴったりな曲きょくが並ならんでいるなと。

SUGA　そのタイトルも僕ぼくが決きめたんですけど、自分じぶんで言いうのも変へんな感かんじですよね。自分じぶんの曲きょくをすげえ褒ほめてるみたいだし。

YU-KI　そこは自信じしんを持もってください！（笑）

SUGA　（笑）。もちろん全部ぜんぶの曲きょくが大好だいすきで、すべて自分じぶんが産うんだ子供こどもみたいな感かんじなんですけど、今回こんかいいろんなバンドにカバーしてもらって改あらためて「ああ、これっていい曲きょくなんだ」と気付きづかせてもらえた。そうしたら自然しぜんと「Timeless Melodies」というタイトルが浮うかんできたんです。

──なるほど。25周年しゅうねんという節目ふしめのタイミングにトリビュートアルバムの制作せいさくを決きめた理由りゆうは？

SUGA　ベストアルバムを考かんがえたこともあったんですけど、ファンの人ひとはみんな過去かこのアルバムを持もっているだろうし、持もってないにしても今いまはサブスクで手軽てがるにプレイリストを作つくれちゃうじゃないですか。野外やがいフェスをやろうかって話はなしもあったんですけど、地元じもとでの開催かいさいがなかなかうまくいかなくて。そこで、JOJIがトリビュートアルバムのアイデアを出だしたのかな。

YU-KI　そうっすね。けっこう前まえから言いってましたもんね。

SUGA　そう。あるツアー中ちゅうに「25周年しゅうねんが2年ねん後ごぐらいにあるけどさあ」みたいなところから「トリビュートアルバムと言いっても俺おれらにしかできないような内容ないようにしよう」と話はなして、気付きづいたら参加さんかバンドが21組くみになったという（笑）。

YU-KI　20組くみ以上いじょうも参加さんかしているトリビュートアルバムってあんまり聞きかないですよね（笑）。大体だいたい10組くみ前後ぜんこうですし。

SUGA　CDの収録しゅうろく時間じかんとか考かんがえずに参加さんかバンドを決きめたんで、「あれ、もしテンポを落おとしたアレンジが多おおかったら、1枚まいのCDに収おさまらないんじゃないか？」ってあとから気付きづいて（笑）。でも、蓋ぶたを開あけてみたらなんとかしっかり1枚まいに収おさまったからよかった。パッケージに関かんしても、今回こんかいは昔むかしから僕ぼくらのことを知しっている人ひとだけじゃなくいろんな人ひとに盤ばんを手てに取とってほしいなという願ねがいを込こめて、ジャケットにもめちゃくちゃ力りょくを入いれています。デザイナーさんといろいろ話はなし合あって、部屋へやに飾かざってもカッコいいと思おもえる1枚まいに仕上しあがったんじゃないかなと。

世代せだいを超こえた参加さんかバンド、未来みらいにつなぐ1枚まいに

──アルバムに参加さんかする21組くみをセレクトするのはさすがに大変たいへんな作業さぎょうだったのでは？

SUGA　そうなんですよ。実際じっさい、もっと参加さんかしてほしいバンドはほかにもいたし、「僕ぼくらもやりたい」と言いってくれたバンドもいて。できれば今いままで関かかわってくれた仲間なかま全員ぜんいんに参加さんかしてほしかったけど、そうなると100組くみくらいになっちゃうから（笑）。

YU-KI　うちらも把握はあくしきれないですよね（笑）。

SUGA　だからすごく難むずかしかったですけど、昔むかしっからの戦友せんゆうみたいなバンドや、よくツアーに誘さそってくれるバンド、そしてここ最近さいきんで関かかわりが強つよくなったバンドを先輩せんぱい後輩こうはい関係かんけいなく混まぜていって、この21組くみになりました。これからも、まだまだカッコいい若わかいバンドが出でてくるだろうし、未来みらいにつなげていけるような1枚まいにしたかったんです。

──参加さんかバンドを見みると、10-FEETやHAWAIIAN6、ROTTENGRAFFTYのようにdustboxと同どう時期じきに結成けっせいされてここまで生いき残のこったバンドもいれば、HEY-SMITHや04 Limited Sazabys、Dizzy Sunfistのようにdustboxから直接ちょくせつ影響えいきょうを受うけた下したの世代せだい、さらにKUZIRAみたいなさらに若わかい世代せだいもいて、歴史れきしを継承けいしょうしている感かんじが伝つたわります。

SUGA　そういう意味いみでも、本当ほんとうにすごくいい作品さくひんになったなと思おもいます。なにせ自分じぶんでめちゃめちゃ聴きいてますから（笑）。不思議ふしぎなのが、どのカバーもそのバンドの曲きょくのように聞きこえること。確たしかにうちの曲きょくなんですけど、長ながく続つづけているバンドって個性こせいも強つよいから、しっかりそのバンドのアレンジになって返かえってくる。だけどもともとは自分じぶんの曲きょくなんだよなって思おもうと、すごく面白おもしろいんですよ。

──アルバム特設とくせつサイトでは各かくバンドからのコメントが紹介しょうかいされていますが、「原曲げんきょくが完成かんせいされ尽つくしているから、アレンジが難むずかしかった」という声こえが多おおいですね。

SUGA　そうやって褒ぼめてもらえてうれしかったです。僕ぼくらも10-FEETのトリビュートアルバム（2022年ねん発売はつばい「10-feat」）に参加さんかして、ほかのバンドの曲きょくを再さい構築こうちくすることの難むずかしさは知しっているので。

YU-KI　バンドが作つくったものをもう1回かい壊こわして作つくり直なおすってことは、本当ほんとうに難むずかしい作業さぎょうですからね。

SUGA　僕ぼくらはアレンジをけっこう細こまかいところまでしっかり作つくり込こむタイプなので、そう考かんがえるとなおさら大変たいへんだったろうなと思おもいます。