シンプルでナチュラルなメッセージをウクレレに乗せて伝えるシンガーソングライター平井大と、今年で日本デビュー15周年を迎え、さまざまなサウンドや感情をウクレレ1本で表現するジェイク・シマブクロ。今回音楽ナタリーでは平井のニューアルバム「Life is Beautiful」の発売にあわせ、2人の対談をセッティング。楽器との出会いや魅力について語ってもらった。その中で見えてきたのは、それぞれの音楽に対する真摯な思いだった。
取材・文 / 松永尚久 撮影 / 奥本昭久 翻訳 / 大石千枝
ウクレレの魅力をわかりやすい形で伝えてる
──平井さんとジェイクさんは、これまで交流はあったのですか?
平井大 一度、共通の知り合いの方を通して挨拶したことがあるくらいですね。
ジェイク・シマブクロ 僕が日本デビューするにあたって、プロモーションをしてくださった方が紹介してくれたんですよね。
平井 確か「ウクレレ・ピクニック」というイベントの会場だったと思います。
ジェイク そうそう。鎌倉でしたよね?
平井 僕はまだデビューする前だったような気がします。
──平井さんはその当時ジェイクさんの音楽に関して、どんな印象を持っていましたか?
平井 今もそう思うんですけど、すごいですよね。ウクレレという楽器の可能性を最大限に引き伸ばしているというか。今までにないウクレレのよさも引き出してて、パイオニア的存在と言えるのではないのでしょうか。
ジェイク (日本語で)アリガトウゴザイマス。僕が平井さんに最初に持った印象は、すばらしいウクレレプレイヤーという感じ。最新アルバム「Life is Beautiful」もこれまでとはまた違ったアプローチになっていて、本当にアメージングな内容だと思います。ソングライティング、メロディ、アレンジ……すべてに磨きがかかっている感じで。ミュージシャンとして進化を遂げている姿や、より音楽に対して真摯に向き合っている様子が伝わってきました。
平井 デビュー当初は、インスト曲ばかりで歌を歌っていなかったですからね。その頃に比べたら、音楽スタイルがけっこう変わった気がします。
ジェイク 今のスタイルのほうが、俄然すばらしいんじゃないかって思いますよ。ウクレレという楽器になじみのない人も、サラッと聴きやすいというか。ウクレレの魅力をわかりやすい形で伝えていらっしゃるのかなって。だから「Life is Beautiful」を聴いた人はウクレレが好きになると思う。また平井さんは、きっとそういうことがしたくて音楽を制作しているんじゃないかって感じました。
平井 まさにその通りですね!
魅力はサイズ感ですかね
──そもそもお二人は、どういうきっかけでウクレレに出会ったのでしょうか?
平井 僕は3歳のとき、祖母からプレゼントしてもらったのがきっかけですね。ほかにも家にはアコースティックやエレクトリックのギターなどもあったんですけど、子供の頃は手が小さいから弾けなくて。それからずっとウクレレを弾き続けていて、気付いたら20年以上経過していました。
ジェイク 僕もきっかけは平井さんとほとんど一緒で、4歳の頃に母親からプレゼントしてもらったんです。ハワイではウクレレってとてもポピュラーで伝統のある楽器ということで。最初にコードを弾いた瞬間から心奪われて、今に至ったという感じです。僕もギターを弾いたこともありましたが、それだとしっくりこなかったですね。
──ウクレレの魅力ってなんですか?
平井 サイズ感ですかね。小さくて持ち運びに便利(笑)。夏だと17時過ぎにならないとサーフィンができないビーチばかりなので、それまでの時間潰しみたいな感じで、気軽に弾くことができる。そういう手軽さが魅力。最近アコースティックギターを持って全国を回る機会が増えているんですけど、正直ギターを持って移動するのは肩が凝るし、面倒だなって(笑)。ウクレレはそういうことを気にしなくていいから。
ジェイク 僕も一緒です。世界中どこにでも手軽に持ち運ぶことができるのは魅力ですよね。でもウクレレは4本の弦で2オクターブしか音が出せないので、表現できる音が制限されてしまうんですよね。情景豊かな音を出すのが難しいんです。でも、いろいろと実験や挑戦を重ねながら、なんとかバランスのとれた音を作ろうとしています。大変ですが、楽しい作業でもありますね。
平井 アレンジについては僕の場合、ウクレレ以外の楽器も加えていくんです。だからウクレレだけですべてを表現させてしまう、ジェイクさんのテクニックはすばらしいなって。僕には絶対にまねできないことです。
ジェイク アリガトウゴザイマス(日本語で)。